紫微斗数は占いではなく、性格の地図
「当たるかどうか」はいったん置いて、何を描いているのかを見てみましょう・3分
友だちに「口は強いけど根はやさしい」と言われた
友だちがあなたの命盤を作り、ひと目見て「口は強いけど根はやさしいね。人に迷惑をかけるのが苦手でしょう」と言いました。どうしてわかるのか、不思議に思うかもしれません。当たるかどうかは、少しあとにしましょう。このレッスンで話すのは、命盤がそもそも何を見ているのか、です。
判決書ではなく、地図です
紫微斗数(しびとすう)は、昔の人が生まれた日時から描いた「人の地図」です。どう考え、どう選びやすいか、どこでつまずきやすいかが書き込まれています。地図はあなたの代わりに歩いてはくれません。どの道を行くかは、あなた自身が決めます。
地図と占いの違い
使う材料はとても少ない
生まれた年・月・日・時辰(じしん)、それに性別だけです。昔の人はこれを干支に置き換え、決まった口訣(覚え歌)に沿って、百を超える星を十二のマスに並べました。
あなたの地図はこんな形
光っているマスがあなたの命宮です。地図はここから読み始めます。
あなたの命宮は未の宮にあり、太陽星と太陰星が入っています。
- 主星
- 太陽(得)化権、太陰(不)
- 副星
- 左輔、右弼
- 乙級星
- 蜚廉
これはサンプルの命盤です。生年月日を入力すると、このカードがあなたの命盤に切り替わります。 命盤を出す ›
星格は紫微斗数をどう捉えている?
- 性格とリズムを見る地図
- 変えられない判決書
- 宝くじを当てる道具
答えを見る
性格とリズムを見る地図
地図が教えてくれるのは地形だけです。どの道を行くかは、やはりあなたが選びます。
自分を知っても、道を選ぶのは自分です。
深掘り
一冊の本、ひとつの言葉
紫微斗数の起源は、古書では宋代初めの道士・陳希夷(ちんきい)(陳摶)に帰されています。ただ、今読めるのは明代に刊行された『紫微斗数全書』で、名前を借りただけの部分が大きいと考えられています。くわしくは第8章で取り上げます。五百年ほど前に形が定まった「人を描くための言葉」だと思ってください。生まれた日時から十二マスの命盤を作り、百を超える星の組み合わせで、その人の性格とリズムを語ります。
よく四柱推命と並べて語られます。どちらも材料はほぼ同じで、生まれた年・月・日・時です。違うのは読み方です。四柱推命は生まれを八つの字に書き、五行のどれが強くどれが弱いかを見ます。紫微斗数は星を十二の宮に配置し、恋愛・仕事・お金にそれぞれ一マスずつ割り当てます。読む感覚は、間取り図を眺めるのに近いでしょう。紫微斗数のほうが入りやすいと感じる人が多いのは、このためです。
なぜ「地図」なのか
地図は、明日どこへ行くかを教えてはくれません。どこに山があり、どこに川があり、どの道が歩きやすいかを示すだけです。命盤も同じです。性格の傾向や物事の進め方、どんなことで力を入れすぎやすく、どこでつまずきやすいかを描いています。
たとえば、仕事にはとことん打ち込むのに、恋愛には受け身、と命盤に出ていたとします。これは昇進するとか、ずっとひとりだとか言っているのではありません。力がどこに向かいやすいかを言っているのです。それがわかれば、そのまま打ち込み続けてもいいし、身近な人のための時間を意識して取ってもいいのです。
「当たるかどうか」について
『全書』巻一の「太微賦(たいびふ)」は、冒頭でこう認めています。
斗数はきわめて奥深く、その道理は明らかにしがたい。
書いた本人たちでさえ、扱いが難しいと認めているわけです。同じ箇所には「寿命の長短、賢愚、富貴や貧賤は、ひとつの決まりで論じてはならない」ともあり、星ひとつで結論を出すなという意味です。
命理(運命を読む術)は、昔の人がまとめた観察の言葉であって、科学の法則ではありません。ぴったり当たったと感じるとき、その一部は、多くの人が持っている気持ちをとても的確な言葉で表しているからです。心理学ではこれを「バーナム効果」と呼びます。十分にあいまいな説明は、だれが読んでも自分のことだと感じる、という現象です。そしてもう一部は、自分では気づいていなかった面を指し示してくれるからです。当たらなかったときも、あなたが「間違っている」わけではありません。
おすすめの使い方は、鏡として扱うことです。ある一文を読んだら、まず「自分はそうだろうか」と問い、次に「そうだとしたら、どう調整したいか」と考えます。親しい友だちと一緒に読んで、似ているかどうか言ってもらうと、ひとりで読むより得るものが多いことがよくあります。
よくある二つの誤解
ひとつ目は「命盤が悪ければ人生も悪い」という考えです。古書はたしかに命を上格・中格・下格に分けていますが、見ているのは星の組み合わせとめぐってくる時期で、しかも五百年前の基準です。星格は命盤に点数をつけず、傾向だけを説明します。
ふたつ目は「同じ時辰に生まれた人は、人生も同じ」という考えです。同じ時辰に生まれれば、たしかに同じ命盤になります。でも家庭も、選択も、出会う人も違います。命盤が描くのは傾向で、台本ではありません。
流派と星格の立場
紫微斗数は中国語圏で長く受け継がれ、いくつもの流派に分かれました。よく耳にするのは大きく二つです。ひとつは星そのものの性格と組み合わせを重んじる流派で、ふつう三合派と呼ばれます。もうひとつは、各宮の十干から生まれる四化がマスの間をどう動くかを重んじる流派で、飛星派や四化派と呼ばれます。使う命盤は同じで、読むときの重点が違います。
星格の命盤作成は『全書』の原文に沿い、一部だけ現代で広く使われているやり方を採っています。どこがそうなのかは、第8章で一つずつ説明します。読み方は星の性格と三方四正が中心で、飛星などの道具は第4章で紹介します。解読はどれも「紫微斗数ではこう読みます」という形で書き、断言もしなければ、怖がらせもしません。
この回の用語
- 紫微斗数
- 生まれた年月日と時刻から百を超える星を十二の宮に配置し、その人の性格と人生のリズムを読む占術です。
- 時辰
- 一日を二時間ずつ十二に分けた古い時刻の単位。生まれた時辰で命宮の位置が決まります。
- 陳希夷
- 宋の初めの道士、陳摶(ちんたん)。希夷先生と号し、紫微斗数の祖と伝えられています。
- 紫微斗数全書
- 紫微斗数のもっとも古典的な書物。陳希夷の作とされ、明代にまとめられました。星格の読み方はこの書に従っています。
- 宮
- 命盤の十二のマス。ひとつひとつが人生の一つの分野を受け持つ、十二の部屋のようなものです。
- 三方四正
- 本宮と対宮、二つの三合の宮。この四つを合わせて読むと全体像が見えます。
- 飛星
- 各宮の十干からも四化が生まれ、ほかの宮へ飛んでいきます。心の力がどこへ向かうかを見ます。
