「太微賦」をやさしく読む
『全書』の巻頭第一篇は、命盤の読み方を語っている・5分
『全書』の最初の篇
『全書』を開くと、最初の篇は「太微賦(たいびふ)」です。いきなり命盤の作り方を教えるのではなく、まずこの学問が奥深いことを認め、それから人を見るにはどこから見ればいいかを教えてくれます。
斗数は至玄至微にして、理旨明らかにし難し。百篇の中に問いを設くといえども、なお言いて未だ尽くさざるあり。
やさしく言うと斗数はとても深く、とても細やかで、道理をはっきり説明するのは簡単ではありません。百篇の問答を書いても、まだ語り尽くせないところがあります。作者は冒頭で、まずそのことを認めています。
おおむね身命をもって福徳の本となし、加えて根源をもって窮通の資となす。
やさしく言うと人を見るときは、まず命宮と身宮を見ます。そこが福の根本です。それから生まれ持った下地を見て、道が通じるかどうかを判断します。身命は出発点であって、すべてではありません。
命宮は出発点、身宮は方向
命宮は生まれ持ったあなたの姿、身宮は生まれたあとにだんだん力を入れていく場所です。太微賦はこの二つのマスをいちばん前に置いています。人を見るときは、出発点も、そのあとどこへ向かうかも見る、ということです。
星、廟旺に臨めば、さらに生剋の機を観よ。命、強宮に坐せば、細かに制化の理を察せよ。
やさしく言うと星がよい位置に来ていても、まわりの星と相性がよいかを見る必要があります。命宮が強いマスに座っていても、何がそれを抑えているかを細かく見る必要があります。条件がよいからといって、細部を見なくていいわけではありません。
一文だけを切り離して読まない
太微賦の後半には、「ある星があるマスにあれば、こうなる」という文がたくさん出てきます。それは昔の人の経験則です。命盤全体に戻して見る必要があり、一文だけを取り出して自分に当てはめると、読み違えやすくなります。
あなたの命宮と身宮
太微賦は、人を見るならまず身命を見よと言います。まず命盤でこの二つのマスを見つけましょう。
身宮は財帛宮にあります。年を重ねるほど、この宮のことに力を注ぐようになります。
- 命宮
- 未の宮・太陽(得)化権、太陰(不)
- 身宮
- 財帛宮(卯の宮)・空宮お金の稼ぎ方と使い方、お金との向き合い方、金運の波を見る宮です。
これはサンプルの命盤です。生年月日を入力すると、このカードがあなたの命盤に切り替わります。 命盤を出す ›
太微賦によれば、人を見るときにまず押さえる二つのマスは?
- 命宮と身宮
- 財帛宮と官禄宮
- 夫妻宮と子女宮
答えを見る
命宮と身宮
原文は「身命をもって福徳の本となす」と言い、命宮と身宮が命盤全体の根だとしています。
まず命宮と身宮を見つけ、そこから外へ読んでいきます。
深掘り
巻頭の第一篇
「太微賦」は『紫微斗数全書』巻一のいちばん前に置かれた、対句で書かれた総論です。二つの部分に分かれていて、前の短い部分は命盤を読む姿勢と順番を語り、後ろには「例に曰く」として長い経験則の一覧が続きます。巻一の後ろにはさらに「増補太微賦」という篇があり、後世の人が同じ形式で書き足したものです。巻三も、その中の多くの句を取り出して注と例をつけています。
まず難しいと認める
斗数は至玄至微にして、理旨明らかにし難し。百篇の中に問いを設くといえども、なお言いて未だ尽くさざるあり。
最初の一文はこう言っています。この学問は深くて細やかで、道理をはっきり語るのは難しく、百篇の問答を書いても語り尽くせない。一冊の本が冒頭で、語り尽くせないと自分から認めている。この姿勢は学ぶ価値があります。命盤はひとつの観察の言葉であって、模範解答集ではありません。
まず身命を見る
おおむね身命をもって福徳の本となし、加えて根源をもって窮通の資となす。
これは篇全体でいちばん実用的な一文です。命宮はあなたという人の核、身宮は生まれたあと、生きるほどに力を注いでいく場所で、この二つを一緒に読んではじめて「福徳の本」になります。「根源」はふつう、生まれ年の干支のような生まれ持った下地と解釈されます。「窮通」は、道が通じるか通じないかです。
同じ部分には「廟に入るを奇と為し、度を失うを虚と為す」という一句もあります。星が自分に合った位置に来ればよく力を発揮し、合わない位置に来れば空回りしやすい、ということです。のちに命盤に示されるようになった輝度は、まさにこれを分けたものです。
よい位置でも細かく見る
星、廟旺に臨めば、さらに生剋の機を観よ。命、強宮に坐せば、細かに制化の理を察せよ。
星が廟旺にあることも、命宮が強いことも、出発点にすぎません。まわりの星と合うかどうか、抑えているものがあるかどうかも見る必要があります。これは第1章で学んだ三方四正と同じ理屈です。ひとつのマスを読むとき、ひとつのマスだけを見ないこと。
「太微賦」は続けて「諸星吉なれば、凶に逢うもまた吉。諸星凶なれば、凶に逢うもまた凶」と言います。全体に吉星が多ければ、煞星がひとつ来ても持ちこたえられる。全体に煞星が多ければ、もうひとつ来るとさらに苦しくなる。大事なのは全体で、一つの星ではありません。前半の最後の一文も、同じことを注意しています。「いやしくもその機を察せず、さらにその変を忘るれば、すなわち数の造化遠し」。星と星がどう影響し合い、どう変わっていくかを見なければ、本当に読み解くことからは遠く離れてしまう、ということです。
後半の経験則
「例に曰く」の下の句の多くは、のちに格局の名前になりました。
- 「日月はもっとも反背を嫌い、禄馬はもっとも交馳を喜ぶ」:太陽星と太陰星は光らない位置に来るのがいちばん不利で、禄存星と天馬星は呼応し合うのがいちばんよい。つまり禄馬交馳です。
- 「紫微・天府はまったく輔弼の功に依る」:紫微星や天府星のような先頭に立つ星は、左輔星と右弼星の助けがあってこそ力を発揮できる。管理職のそばに頼れる補佐役が必要なのと同じです。
- 「太陽、午に居れば、これを日麗中天と謂う」「太陰、子に居れば、号して水澄桂萼と曰う」:特定の組み合わせにつけられた名前で、ひとつは正午の太陽、ひとつは真夜中の澄んだ月です。
とても重く書かれた句もあり、ある組み合わせは大きな災いに遭う、とそのまま断じています。星格はこうした句を字面どおりには読みません。昔の人が極端な場合を描いたものであって、今で言えば「この組み合わせはプレッシャーが大きいので、多めに気を配ろう」というヒントに近いものです。
この篇の使い方
- まず、あなたの命宮と身宮を見つけます。
- 命宮の主星が廟旺か落陥かを見て、次に三方四正に何が助け、何が抑えているかを見ます。
- 古書の断定を読んだら、どの一文も命盤全体に戻して見て、単独で自分に当てはめないようにします。
この回の用語
- 太微賦
- 『紫微斗数全書』巻一の最初の篇。対句で書かれた総論で、命盤を読む姿勢と順序をまず説きます。
- 命宮
- あなたという人の核。性格と生まれ持った器を表し、命盤はすべてここから読み始めます。
- 身宮
- 人生を重ねるほど力を注ぐようになる場所。多くは中年以降にはっきりしてきます。
- 紫微斗数全書
- 紫微斗数のもっとも古典的な書物。陳希夷の作とされ、明代にまとめられました。星格の読み方はこの書に従っています。
- 輝度
- 星がその宮でどれだけ力を出せるか。廟・旺がいちばん冴え、陥がいちばんぎこちなくなります。
- 廟旺
- 星がいちばん居心地のいい位置にあり、持ち味がもっとも素直に、前向きに出る状態です。
- 三方四正
- 本宮と対宮、二つの三合の宮。この四つを合わせて読むと全体像が見えます。
- 禄馬交馳
- 禄存星と天馬星が同じ宮にある形。財の気と動く力がそろい、古くは動く中で財が生まれると読まれました。
