富の局

〈定富局〉

『紫微斗数全書』巻一・賦文・諸星問答と格局・原文と現代語訳

はじめに

〈富の局〉は巻一の格局一覧の最初の組で、富をつかさどる六つの格局を挙げています。どの条も「格局名+成り立つ条件+是也」という書き方です。

  • 財蔭夾印:天相星が命宮を守り、武曲星・天梁星が両側から夾む。田宅宮でも同じ。
  • 日月夾財:武曲星が命宮を守り、太陽星・太陰星が両側から夾む。財帛宮でも同じ。
  • 財禄夾馬:天馬星が命宮を守り、武曲星・禄存星が両側から夾む。生旺に逢えばさらによい。
  • 蔭印拱身:身宮が田宅宮にあり、天梁星・天相星が拱沖する。空亡に座ってはいけない。
  • 日月照璧:太陽星・太陰星が田宅宮にある。墓庫にあるのを喜ぶ。
  • 金燦光輝:太陽星が単独で守り、命宮が午の宮にある。

名前の「財」は武曲星、「蔭」は天梁星、「印」は天相星、「禄」は禄存星、「馬」は天馬星で、化気によって名づけています。通行の安星法では、天相星の両隣はかならず巨門星と天梁星で、武曲星が天相星の隣に来ることはないので、「財蔭夾印」は原文のままでは盤の上でそろいません。星格と後世の多くは、化禄と天梁星が天相星を夾む形で判定しています。

1財蔭夾印 相守命武梁來夾是也,田宅宮亦然。

書き下し財蔭夾印。相命を守り武梁来たりて夾むは是れなり、田宅宮も亦然り。

現代語訳財蔭夾印:天相星が命宮を守り、武曲星・天梁星が両側から夾むのが、この格局です。田宅宮でも同じです。

財蔭夾印
財は武曲星(化気が財)、蔭は天梁星(化気が蔭)、印は天相星(化気が印)。
武梁來夾
通行の安星法では、天相星の一つ前の宮はいつも巨門星、一つ後の宮はいつも天梁星で、武曲星が天相星の隣に来ることはありません。この条は原文のままでは盤の上でそろわないので、命盤の条件には入れていません。

星格のやり方星格の「財蔭夾印」の判定は、化禄と天梁星が天相星を夾む形です(後世によくある説)。全書の原文は武曲星と天梁星が天相星を夾む形ですが、安星法では天相星の両隣はかならず巨門星と天梁星なので、原文の組み合わせは現れません。

解説

〈富の局〉は格局の名簿で、どの条も格局名と一句の定義だけです。財蔭夾印の名づけの理屈ははっきりしていて、財は武曲星、蔭は天梁星、印は天相星と、三つの星の化気を組み合わせて格局名にしています。武曲星が天相星の隣に来られないことは、注と上の「星格のやり方」で説明したとおりで、星格は武曲星の代わりに化禄を使っています。

作りから見ると、天相星の両隣はかならず巨門星と天梁星なので、「蔭」の半分は天相星が命宮に座る盤ならどれにもあり、本当の変数は反対側の巨門星です。巨門星が化禄する(辛年)と、後世のいう財蔭夾印になり、巨門星が化忌する(丁年)と、かえって刑忌夾印の一種になります。「田宅宮亦然」は、この形が田宅宮にあっても富になるということで、〈太微賦〉も「財蔭坐於遷移」を大商人の格としています(太微賦)。

✎ メモ

2日月夾財 武守命日月來夾是也,財帛宮亦然。

書き下し日月夾財。武命を守り日月来たりて夾むは是れなり、財帛宮も亦然り。

現代語訳日月夾財:武曲星が命宮を守り、太陽星・太陰星が両側から夾むのが、この格局です。財帛宮でも同じです。

解説

日月夾財は、武曲星が命宮を守り、太陽星・太陰星が両隣から夾む形です。安星法では太陽星はいつも武曲星の次の宮にあるので、「日の夾み」は武曲星が命宮に座る盤ならどれにもあります。太陰星がちょうど反対側に来るのは、武曲星と貪狼星がともに丑か未にあるときだけです。つまりこの格局は、盤の上では実のところ武曲星・貪狼星が丑・未で命宮に座る形です。

〈太微賦〉は「日月夾財,不權則富」と言います(太微賦)。おもしろいことに、〈諸星同垣〉が挙げる例は未の天府星の財帛宮で、午の太陽と申の月が夾んでいて、主役が天府星に入れ替わっています。全書は「財」がどの星を指すかで一致しておらず、武曲星も天府星も財の星なので、どちらの説も盤の上で見つけられます。

✎ メモ

3財祿夾馬 馬守命武祿來夾是也,逢生旺尤妙。

書き下し財禄夾馬。馬命を守り武禄来たりて夾むは是れなり、生旺に逢えば尤も妙なり。

現代語訳財禄夾馬:天馬星が命宮を守り、武曲星・禄存星が両側から夾むのが、この格局です。長生・帝旺の地に逢えばさらによいです。

生旺
長生と帝旺。長生十二神の中の勢いのある位置です。
解説

財禄夾馬は、天馬星が命宮を守り、武曲星と禄存星が両隣から夾む形です。天馬星は寅申巳亥にしかなく、禄存星もこの四つの宮の隣によく来るので、この組み合わせは盤の上で成り立ちますが、よく見かけるものではありません。「逢生旺尤妙」の生旺は長生十二神の長生と帝旺で、星格の盤ではどの宮にも表示されます。

この格局の意味は、駆け回る星(天馬)の両側に財(武曲)と禄(禄存)があり、動けば実入りがある、ということです。禄馬交馳と同じ考え方で、どちらも馬に禄が組み合わさってこそ価値があります。現代なら、外回り、貿易、物流、出張の多い仕事で稼げる人にあたります。

✎ メモ

4蔭印拱身 身臨田宅梁相拱沖是也,勿坐空亡。

書き下し蔭印拱身。身田宅に臨み梁相拱沖するは是れなり、空亡に坐すること勿かれ。

現代語訳蔭印拱身:身宮が田宅宮にあり、天梁星・天相星が拱照・沖照するのが、この格局です。空亡に座ってはいけません。

拱沖
三合から拱照し、対宮から沖照すること。
解説

蔭印拱身は、身宮が田宅宮にあり、天梁星(蔭)・天相星(印)が三合か対宮から照らしてくる形です。この条には盤の上での根本的な問題が一つあります。安星法では、身宮は命宮・夫妻宮・財帛宮・遷移宮・官禄宮・福徳宮の六つのどれかにしか落ちず、田宅宮には落ちません。ですから「身臨田宅」は星格の盤には現れません。

さらに、天梁星と天相星はいつも隣り合っていて、三合と対宮から同時に同じ宮を照らすことはなく、会照できるのはどちらか一つだけです。この条は星の名の意味から組み立てた理想の格局だとわかります。近い盤を探すなら、田宅宮に天梁星か天相星が照らし込んでいるかを見て、「勿坐空亡」は田宅宮に旬空・截路・空亡があるかどうかを見ます。

✎ メモ

5日月照璧 日月臨田宅宮是也,喜居墓庫。

書き下し日月照璧。日月田宅宮に臨むは是れなり、墓庫に居るを喜ぶ。

現代語訳日月照璧:太陽星・太陰星が田宅宮にあるのが、この格局です。墓庫にあるのを喜びます。

照璧
門の内外に立てる目隠しの塀。転じて家のことを指します。
墓庫
辰戌丑未の四つの宮。太陽星と太陰星が同宮するのはちょうど丑・未です。
解説

日月照璧は、太陽星・太陰星が田宅宮にある形です。照璧は家の門の目隠しの塀で、日と月が家を照らせば、家業が明るく、不動産が豊かになるとします。太陽星と太陰星が同宮するのは丑・未だけで、ちょうど墓庫の地なので、原文の「喜居墓庫」は、実は条件にすでに含まれています。

丑・未の太陽星・太陰星は一方が明るく一方が暗く、丑では太陰星が廟、太陽星が不得地、未では太陽星が得地、太陰星が不得地です。全書は〈十二宮諸星得地合格訣〉で、太陽星・太陰星が命宮にそのまま座るのは中くらいの格にすぎないと言いますが、田宅宮に置くと富の局になります。田宅宮が見るのは家の財産と住まいなので、日と月が同時に明るい必要はないからです。

✎ メモ

6金燦光輝 太陽單守,命在午宮是也。

書き下し金燦光輝。太陽単守し、命午宮に在るは是れなり。

現代語訳金燦光輝:太陽星が単独で命宮を守り、命宮が午の宮にあるのが、この格局です。

解説

金燦光輝は、太陽星が単独で午の宮の命宮を守る形です。〈太微賦〉は「太陽居午,謂之日麗中天,有專權之貴,敵國之富」と言っていて(太微賦)、この格局は富の局でありながら貴の面もあります。ここで〈富の局〉に置いているのは、「敵國之富」を強調しているわけです。

「單守」が条件です。午の太陽星はもともと単独で座り、同宮する主星はないので、この字はおもに煞星が同宮しないことを強調しています。星格の盤では午の太陽星は旺と表示されます。くわしくは金燦光輝を見てください。

✎ メモ
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
财荫夹印 相守命武梁来夹是也,田宅宫亦然。 日月夹财 武守命日月来夹是也,财帛宫亦然。 财禄夹马 马守命武禄来夹是也,逢生旺尤妙。 荫印拱身 身临田宅梁相拱冲是也,勿坐空亡。 日月照璧 日月临田宅宫是也,喜居墓库。 金灿光辉 太阳单守,命在午宫是也。

よくある質問

紫微斗数の富の格局にはどんなものがありますか?

『紫微斗数全書』の〈富の局〉は六つを挙げています。財蔭夾印・日月夾財・財禄夾馬・蔭印拱身・日月照璧・金燦光輝です。

財蔭夾印とはどんな格局ですか?

全書は「相守命武梁來夾是也,田宅宮亦然」と言います。天相星が命宮を守り、両隣の宮が武曲星と天梁星だという形です。財は武曲星(化気が財)、蔭は天梁星、印は天相星を指します。ただし通行の安星法では天相星の両隣はかならず巨門星と天梁星で、原文の組み合わせは盤の上に現れません。後世の多くは、化禄と天梁星が天相星を夾む形に改めて論じています。

金燦光輝とはどんな格局ですか?

全書は「太陽單守,命在午宮是也」と言います。太陽星が単独で午の宮の命宮に座る形で、真昼の太陽であり、富をつかさどります。

この篇に出てくる主星

太陽星
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