五行局と六十納音

〈起五行局與六十納音〉

『紫微斗数全書』巻二・安星起例と十二宮・原文と現代語訳

はじめに

この篇は盤を立てる第二の手順、五行局を定めるところです。五行局は紫微星の位置と、大限が始まる年齢を決めるので、全書は前の篇でわざわざ「納音甲子歌誤要熟讀」(「誤」は「務」)と念を押しています。やり方は二段に分かれます。

  1. 起五行寅例(第2段):生まれ年の十干によって寅宮の十干を決め、そこから順に十二宮の十干を埋めていきます。この口訣は一般に五虎遁と呼ばれます。
  2. 六十花甲子納音歌(第4〜9段):六十組の干支を二つずつ組にして、それぞれに納音の五行を当てます。たとえば甲子・乙丑は「海中金」です。

命宮の干支を納音歌に当て、納音が何に属するかで局が決まります。水二局・木三局・金四局・土五局・火六局です。この対応はこの篇には書かれておらず、〈身宮・命宮の置き方〉の例「丙寅丁卯爐中火」「去火局尋某日生期起紫微」が使い方を示しています。

底本のこの数句には写しの問題が三か所あります。「甲戊」は「甲戌」、「已亥」は「己亥」とするべきで、「桑拓」は通行本では桑柘です。それぞれの段の校勘に書いてあります。星格の五行局の定め方はこの篇と同じです。

起五行寅例

2甲己之歲起丙寅,乙庚之歲起戊寅,丙辛之歲起庚寅,丁壬之歲起壬寅,戊癸之歲起甲寅。

書き下し甲己の歳は丙寅を起こし、乙庚の歳は戊寅を起こし、丙辛の歳は庚寅を起こし、丁壬の歳は壬寅を起こし、戊癸の歳は甲寅を起こす。

現代語訳甲年・己年生まれの人は、寅宮を丙から起こして丙寅とします。乙年・庚年生まれは戊寅から、丙年・辛年生まれは庚寅から、丁年・壬年生まれは壬寅から、戊年・癸年生まれは甲寅から起こします。(寅宮の十干が決まったら、ほかの宮は十干の順に順に並べていきます。)

起丙寅
寅宮の十干が丙であること。この口訣は一般に五虎遁と呼ばれます。
解説

この口訣は一般に五虎遁と呼ばれ、裏にある理屈は、十干が合し、さらに相生するというものです。甲と己は合して土になり、土を生むのは火なので、寅宮は丙火から起こします。乙と庚は合して金、土が金を生むので戊から。丙と辛は合して水、金が水を生むので庚から。丁と壬は合して木、水が木を生むので壬から。戊と癸は合して火、木が火を生むので甲から。この導き方を覚えておけば、丸暗記はいりません。

寅宮が決まれば、卯・辰……と順に丑まで並べ、十二宮にそれぞれ十干が一つずつ付きます。これを宮干と呼びます。全書ではここで宮干を局を定めるためだけに使っていますが、後の飛星派はこれで四化を飛ばし、星格も来因宮(宮干が生まれ年の十干と同じ宮)を示すのに使っています。命盤の各宮の干支は、こうして並べたものです。

✎ メモ

六十花甲子納音歌

4甲子乙丑海中金,丙寅丁卯爐中火,戊辰己巳大林木,庚午辛未路旁土,壬申癸酉劍峰金,

書き下し甲子・乙丑は海中金、丙寅・丁卯は炉中火、戊辰・己巳は大林木、庚午・辛未は路旁土、壬申・癸酉は剣峰金。

現代語訳甲子・乙丑は、納音が海中金です。丙寅・丁卯は炉中火、戊辰・己巳は大林木、庚午・辛未は路旁土、壬申・癸酉は剣峰金です。

納音
六十甲子を二つずつ組にして当てた五行。命宮の干支の納音五行が、五行局の五行です。
解説

納音歌は二組の干支に一つの五行を当てたもので、引くのは命宮の干支です。生まれ年の干支ではありません。五行がわかったら局に直します。水二局・木三局・金四局・土五局・火六局です。たとえば命宮が乙丑なら海中金なので金四局、命宮が丙寅・丁卯なら炉中火なので火六局です。

注意したいのは、納音の五行は干支そのものの五行と関係がないことです。甲子の甲は木、子は水ですが、納音は金です。海中金・炉中火といった名前は、斗数ではその五行だけを取り、名前のイメージを別に判断に使うことはしません。

✎ メモ

5甲戊乙亥山頭火,丙子丁丑澗下水,戊寅己卯城頭土,庚辰辛巳白蠟金,壬午癸未楊柳木,

書き下し甲戊・乙亥は山頭火、丙子・丁丑は澗下水、戊寅・己卯は城頭土、庚辰・辛巳は白蝋金、壬午・癸未は楊柳木。

現代語訳甲戌・乙亥は山頭火、丙子・丁丑は澗下水、戊寅・己卯は城頭土、庚辰・辛巳は白蝋金、壬午・癸未は楊柳木です。

校勘 底本の「甲戊」は「甲戌」とするべきです。戊は十干で、ここに必要なのは十二支の戌です。

解説

この句の甲戌・乙亥の山頭火については、底本が「甲戊」と書いている問題を校勘で説明しました。実際に使うときは、一つの規則で引く範囲を狭められます。二組の干支ごとに一つの納音を共有し、しかも必ず陽の十干は陽の十二支と、陰の十干は陰の十二支と組むので、ある一つの宮に来る十干は五種類しかありません。たとえば命宮が子なら、十干は甲・丙・戊・庚・壬のどれかで、納音は順に海中金・澗下水・霹靂火・壁上土・桑柘木です。言い換えれば、五行局は「生まれ年の十干」と「命宮の十二支」の二つの条件だけで決まります。

✎ メモ

6甲申乙酉泉中水,丙戌丁亥屋上土,戊子己丑霹靂火,庚寅辛卯松柏木,壬辰癸巳長流水,

書き下し甲申・乙酉は泉中水、丙戌・丁亥は屋上土、戊子・己丑は霹靂火、庚寅・辛卯は松柏木、壬辰・癸巳は長流水。

現代語訳甲申・乙酉は泉中水、丙戌・丁亥は屋上土、戊子・己丑は霹靂火、庚寅・辛卯は松柏木、壬辰・癸巳は長流水です。

解説

はじめから終わりまで通して計算する例を一つ挙げます。丙年生まれで命宮が子の場合です。丙辛の歳は庚寅から起こすので、寅が庚、卯が辛……と子まで並べると庚子になります。庚子の納音は壁上土なので、土五局です。この句の丙戌・丁亥の屋上土、壬辰・癸巳の長流水も、同じように使います。

局の数は盤の上で二つの目に見える働きをします。一つは紫微星がどの宮に落ちるか、もう一つは最初の大限が何歳から始まるかです。土五局の人なら、星格の命盤で命宮の大限の年齢は5から始まり、たとえば「5–14」となります。

✎ メモ

7甲午乙未沙中金,丙申丁酉山下火,戊戌已亥平地木,庚子辛丑壁上土,壬寅癸卯金箔金,

書き下し甲午・乙未は沙中金、丙申・丁酉は山下火、戊戌・已亥は平地木、庚子・辛丑は壁上土、壬寅・癸卯は金箔金。

現代語訳甲午・乙未は沙中金、丙申・丁酉は山下火、戊戌・己亥は平地木、庚子・辛丑は壁上土、壬寅・癸卯は金箔金です。

校勘 底本の「已亥」は「己亥」とするべきです。

解説

「平地木」の句の底本の誤字は、校勘で説明しました。ここでは混同しやすい点を一つ補います。全書には別に、生まれ年の納音で命を論じる説があります。たとえば〈諸星同垣:劫空・傷使と命・身・財・宅〉の「納音墓庫看何宮」(該当の段)では、水の命の人は墓が辰にあると見ます。そこで言う「納音」は生まれ年の干支のことで、たとえば甲午年生まれなら沙中金です。五行局を定めるのに使うのは命宮の干支なので、二つを混ぜないようにしてください。

✎ メモ

8甲辰乙巳覆燈火,丙午丁未天河水,戊申己酉大驛土,庚戌辛亥釵釧金,壬子癸丑桑拓木,

書き下し甲辰・乙巳は覆灯火、丙午・丁未は天河水、戊申・己酉は大駅土、庚戌・辛亥は釵釧金、壬子・癸丑は桑拓木。

現代語訳甲辰・乙巳は覆灯火、丙午・丁未は天河水、戊申・己酉は大駅土、庚戌・辛亥は釵釧金、壬子・癸丑は桑柘木です。

釵釧
かんざしと腕輪。装身具の金を指します。

校勘 底本は「桑拓」、通行本は桑柘に作ります。柘はクワ科の木です。

解説

釵釧金・桑柘木は、どちらも古人が姿を取って付けた名前で、字形は校勘で扱いました。この句の戊申・己酉の大駅土と丙午・丁未の天河水は、局で言えばそれぞれ土五局と水二局です。

自分の計算が合っているかを確かめる方法があります。五行局は必ず命宮の干支と一致します。星格の命盤で命宮を見つけ、その宮に表示された干支をこの歌に当てると、出てきた五行は盤上に表示された局と同じになるはずです。合わなければ、たいてい宮干の並べ方を誤っていて、いちばん多いのは子・丑の二宮を逆にさかのぼって数えてしまうことです。

✎ メモ

9甲寅乙卯大溪水,丙辰丁巳沙中土,戊午己未天上火,庚申辛酉石榴木,壬戌癸亥大海水。

書き下し甲寅・乙卯は大渓水、丙辰・丁巳は沙中土、戊午・己未は天上火、庚申・辛酉は石榴木、壬戌・癸亥は大海水。

現代語訳甲寅・乙卯は大渓水、丙辰・丁巳は沙中土、戊午・己未は天上火、庚申・辛酉は石榴木、壬戌・癸亥は大海水です。

解説

最後の組、壬戌・癸亥の大海水で、六十甲子がちょうど三十組並び終わります。五行局が決まると、その後のいくつもの手順で使います。紫微星の位置は局図で見ます(起例図)。大限が始まる年齢は局の数に従います(水二局は2歳から、火六局は6歳から)。長生十二神の起点も局で決まります(火局は寅から長生を起こす……)。だから全書は〈身宮・命宮の置き方〉で、この歌を熟読するようわざわざ念を押しているのです。

✎ メモ
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
起五行寅例 甲己之岁起丙寅,乙庚之岁起戊寅,丙辛之岁起庚寅,丁壬之岁起壬寅,戊癸之岁起甲寅。 六十花甲子纳音歌 甲子乙丑海中金,丙寅丁卯炉中火,戊辰己巳大林木,庚午辛未路旁土,壬申癸酉剑峰金, 甲戊乙亥山头火,丙子丁丑涧下水,戊寅己卯城头土,庚辰辛巳白蜡金,壬午癸未杨柳木, 甲申乙酉泉中水,丙戌丁亥屋上土,戊子己丑霹雳火,庚寅辛卯松柏木,壬辰癸巳长流水, 甲午乙未沙中金,丙申丁酉山下火,戊戌已亥平地木,庚子辛丑壁上土,壬寅癸卯金箔金, 甲辰乙巳覆灯火,丙午丁未天河水,戊申己酉大驿土,庚戌辛亥钗钏金,壬子癸丑桑拓木, 甲寅乙卯大溪水,丙辰丁巳沙中土,戊午己未天上火,庚申辛酉石榴木,壬戌癸亥大海水。

よくある質問

紫微斗数の五行局はどうやって求めますか?

まず生まれ年の十干から寅宮の十干を起こし(甲己の歳は丙寅から……)、順に並べて命宮まで進み、命宮の干支を得ます。次に六十花甲子納音歌を引き、命宮の干支の納音が水なら水二局、同様に木三局・金四局・土五局・火六局となります。

「甲己之歲起丙寅」とはどういう意味ですか?

甲年・己年生まれの人は、命盤の寅宮の十干が丙になり、寅宮は丙寅、卯宮は丁卯、辰宮は戊辰と、十干の順に並べていきます。乙庚の年は戊寅から、丙辛の年は庚寅から、丁壬の年は壬寅から、戊癸の年は甲寅から起こします。

納音とは何ですか?

納音は、六十甲子を二つずつ組にして、それぞれに五行と名前を当てる古い方法です。たとえば甲子・乙丑は海中金、丙寅・丁卯は炉中火です。紫微斗数では命宮の干支の納音五行で五行局を定めます。生まれ年の納音ではありません。

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