人の命が格に入ることを論ず

〈論人命入格〉

『紫微斗数全書』巻三・論命と行限・原文と現代語訳

はじめに

〈人の命が格に入ることを論ず〉はわずか六句で、〈談星要論〉のあとに置かれ、一つの実際的な問いを扱っています。命盤が「格に入った」なら、それだけでよい命なのか、という問いです。

全書の答えは「そうとは限らない」です。格に入るのは出発点にすぎず、さらに二つのことを見なければなりません。命宮の星が入廟しているか、そして吉星や化科・化権・化禄が加わっているかです。格に入り、入廟し、吉を集め、科権禄が守っていれば上上の命、入廟していなくても吉や化があれば上の次の命、入廟していても吉星がなければ平凡、星が落陥のうえ煞星と化忌が加われば下格で、「不以入格而論」とされます。最後の句は、格に入っていても化が吉ではなく凶に向かうなら、本命の吉凶の多い少ないで判断し直す、と言っています。

この篇は、全書が「格局」について与えている総まとめの注意と読めます。格の名前は保証ではなく、明るさと四化がその中身を決めるのです。

1如命入格,廟旺聚吉,科權祿守,上上之命。

書き下し如し命格に入り、廟旺にして吉を聚め、科権禄守れば、上上の命。

現代語訳もし命宮が格局に入り、星が廟旺で吉星を集め、さらに化科・化権・化禄が守っていれば、上上の命です。

入格
命盤の組み合わせがある格局に当てはまること。
科權祿
化科・化権・化禄。
解説

この六句は一枚の等級表で、第一等の条件は三段になっています。まず「入格」、つまり命盤の組み合わせが名の知れた格局に当てはまること。次に命宮の主星が廟旺で吉星を集めていること。最後に化科・化権・化禄が守っていること。三つがそろってはじめて上上の命です。全書は〈談星要論〉でも同じ枠組みで上上・上の次・中・下を分けていますが、そちらは入格に触れず、こちらは「入格」をいちばん前に置いています。星格では、格局の名前は命盤の解説で確かめられ、星の明るさと化科・化権・化禄も盤上に表示されます。三つを合わせて見ることこそ、学堂の格局の課でくり返し言っている、格の名前は出発点にすぎない、ということです。

✎ メモ

2不入廟加吉化,科權祿,上次之命。

書き下し入廟せずとも吉化、科権禄を加うれば、上の次の命。

現代語訳(格に入っていて)星が入廟していなくても、吉星と化科・化権・化禄が加われば、上等のうち一段下の命です。

解説

第二等は、格には入っているが星が入廟せず、吉星と科権禄が支えている場合です。この句から全書の重みのかけ方がわかります。四化と吉星は明るさの不足を補えるので、「不入廟加吉化」でもやはり上等に入り、ただ一段下になるだけです。実際に盤を見るとよくあるのは、格局は成り立っているのに主星の明るさが平和か得地にとどまり、それでも命宮や三方に左輔星・右弼星、文昌星・文曲星、天魁星・天鉞星があるか、生まれ年の四化が三方四正に落ちている、という形です。

✎ メモ

3不入廟不加吉,為平常命。

書き下し入廟せず吉を加えざれば、平常の命と為す。

現代語訳(格に入っていても)星が入廟せず、吉星も加わらなければ、平凡な命です。

解説

第三等は、格には入っているが星が入廟せず、吉星もない場合で、平凡な命にすぎません。この句を前の句と並べると、違いは「加吉」があるかないかだけなのに、結果は上の次から平凡に落ちます。読み手にじかに言っているのと同じです。格の名前そのものの加点はごくわずかで、明るさも吉星もなければ、格に入っても入らなくてもたいして変わらない、と。ネットでよく見る「自分は何々格だから命がよい」という言い方は、この一句で正すことができます。

✎ メモ

4入廟不加吉,平等。

書き下し入廟すれども吉を加えざれば、平等。

現代語訳(格に入り)星が入廟していても、吉星が加わらなければ、並です。

解説

第四等は、星は入廟しているが吉星がない場合で、「平等」とされ、前の句の「平常命」とほぼ同じ等級です。ここで目を留めたいのは、入廟していても吉がなければ並にすぎない、という点です。明るさがよいとは星の本来の性質が発揮できることですが、大きなことを成すには、古人はやはり補佐する吉星を求めました。これは〈太微賦〉の「紫微天府全依輔弼之功」と同じ考え方で、主星がどれほど強くても助け手が要るのです。

✎ メモ

5若居陷地又加殺化忌,為下格之命,不以入格而論也。

書き下し若し陥地に居て又殺化忌を加うれば、下格の命と為す、入格を以て論ぜず。

現代語訳もし星が落陥の地にあって、さらに煞星と化忌が加われば、下格の命です。格に入っていることをもって論じることはしません。

解説

これがこの篇でいちばん役に立つ一句です。星が落陥の地にあり、さらに煞星と化忌が加われば下格で、「不以入格而論」、格局はそのまま取り消されます。条件は三つで、明るさが落陥であること、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星などの煞星があること、化忌があることです。星格の盤で、命宮の星が落陥と表示され、そこに煞星と化忌が同時にそろっていれば、この句の言う形です。全書巻二の〈十二宮諸星失陥破格訣〉は各星が落陥して格を破る場合を一つずつ挙げているので、続けて調べることができます。

✎ メモ

6又入格不化吉而化凶,只以本命吉凶多寡而斷之。

書き下し又格に入りて吉に化せずして凶に化すれば、只本命の吉凶の多寡を以て之を断ず。

現代語訳また、格に入っていても化が吉ではなく凶に向かうなら、ただ本命の吉星・凶星の多い少ないによって判断します。

解説

最後の句は例外を一つ補っています。格に入っていても、四化が吉ではなく凶に化す、つまり命宮の主星が化忌を帯びているなら、格局は数に入れず、「本命吉凶多寡」に戻って判断します。盤全体の吉星と凶星を数え直すのと同じことです。この句の要点は、化忌が格局を打ち消しうるということです。よくある例が陽梁昌禄のように文昌星と禄を必要とする格局で、その盤で文昌星が化忌になっていれば、格の名前は残っていても働きはもう割り引かれています。

✎ メモ
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
如命入格,庙旺聚吉,科权禄守,上上之命。 不入庙加吉化,科权禄,上次之命。 不入庙不加吉,为平常命。 入庙不加吉,平等。 若居陷地又加杀化忌,为下格之命,不以入格而论也。 又入格不化吉而化凶,只以本命吉凶多寡而断之。

よくある質問

命盤が格に入っていれば、必ずよい命ですか?

〈人の命が格に入ることを論ず〉は、そうとは限らないと言っています。格に入り、入廟し、吉を集め、科権禄があってはじめて上上の命で、格に入っていても星が落陥し、煞星と化忌が加われば下格の命となり、「不以入格而論」とされます。

「入格」とはどういう意味ですか?

命盤の星の組み合わせが、古書に挙げられたある格局に当てはまることです。たとえば君臣慶会や日照雷門などです。全書は、格に入ったあとも廟旺と四化を見てはじめて高下が決まる、と考えています。

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