紫微斗数の副星・六煞星
擎羊星とは?
擎羊星は勢いの星。正面からぶつかる迫力があり、向きが合えば競争力になります。
命盤に擎羊星(けいようせい)を見つけると、まず身構える人が多いでしょう。六煞星(ろくさつせい)の筆頭で、名前には武器の字まで入っています。けれども擎羊星が表しているのは、まっすぐに向かっていく力です。思い切って飛び込み、競い、回り道を好まない。紫微斗数では、擎羊星が良いか悪いかよりも、その力をどこに使い、うまく導けているかを見ます。自分の擎羊星がどの宮にあるかを知るには、まず命盤を作ってみてください。
擎羊星はどんな星か
擎羊星は六煞星に属し、星格ではその持ち味を「刑の星、剛の煞」としています。衝動、競争、真っ向勝負で、うまく使えば決断力になります。かみくだいて言えば、擎羊星は勢いの星です。問題があれば正面から解決したくなり、待つのも譲るのもあまり得意ではありません。
擎羊星の配置:いつも禄存星についてくる
擎羊星は自分で位置を決めるのではなく、禄存星(ろくぞんせい)についていきます。『紫微斗数全書』巻二の「安擎羊陀羅二星訣」にははっきりこう書かれています。
此の二星は禄存に随いて之を安ず。禄の前に擎羊を安じ、禄の後に陀羅を安ず。
禄存星のひとつ先の宮が擎羊星、ひとつ手前の宮が陀羅星(だらせい)です。禄存星の位置は生まれ年の十干で決まるので、擎羊星もそうなります。同じ十干の年に生まれた人の擎羊星は、みな同じ十二支に入ります。甲の年は卯、乙の年は辰、丙と戊の年は午、丁と己の年は未、庚の年は酉、辛の年は戌、壬の年は子、癸の年は丑です。この配置法では、擎羊星は寅・申・巳・亥の4つの宮には決して入りません。
そのため、どの命盤でも擎羊星と陀羅星が左右から禄存星をはさんでいて、昔の人はこれを「羊陀夾禄」と呼びました。禄存星は守るのが得意で、そのぶん手放すのが少し苦手です。このことは禄存星と天馬星の回で話しています。
輝度:辰戌丑未がいちばん安定する
『全書』巻二では、擎羊星は辰・戌・丑・未の4つの宮で廟、子・午・卯・酉の4つの宮で陥とされていて、星格の命盤の輝度もこれに従っています。廟の擎羊星は勢いに着地点があり、決断力や責任感に近い形で出ます。陥の擎羊星は、その力が人と張り合うほうに向きやすくなります。
古書の言葉と、今の読み方
『全書』巻二には、擎羊星が命宮にある場合の歌があります。
擎羊、命を守れば性剛強なり。四墓の生人は福寿長し。若し紫府の来たりて会合するを得れば、須らく知るべし、財穀倉箱に富むことを。
「四墓」は辰・戌・丑・未のことです。擎羊星が命宮にある人は性格が強く、辰・戌・丑・未の年に生まれ、しかもこれらの位置にあると、かえって安定する。さらに紫微星や天府星と出会えば、財産を積み上げることもできる、という意味です。紫微星と天府星は重みのある星なので、擎羊星の勢いを押さえ、物事を進める力に変えてくれます。
「増補太微賦」には、並べて読みたい一句があります。
君子の命中にも亦た羊陀火鈴有り、小人の命内に豈に科禄権星無からんや。
人格の優れた人の命盤にも擎羊星はあります。煞星が多いか少ないかで、その人の良し悪しが決まることはありません。
擎羊星が命宮にある場合
擎羊星が命宮にある人は、たいてい一目で意志が強いとわかります。話し方はまっすぐで、決断が早く、衝突を恐れません。不公平なことがあれば声を上げ、競争があれば勝ちたいと思います。
この力は、突破が必要な場面でとても役に立ちます。営業、起業、交渉、スポーツ、緊急対応の仕事では、擎羊星の人が真っ先に飛び出していくことがよくあります。つまずきやすいのは真っ向勝負です。少し回り道すれば通れるところを、あえて正面からぶつかってしまう。考えは正しくても言い方が強すぎて、相手には口調しか残らない、ということになりがちです。
擎羊星が命宮にある人へのアドバイスはひとつです。まず、それが争う価値のあることかを決め、それからどう争うかを決めること。力を正しい場所に使えば、擎羊星はあなたの競争力になります。
十二宮での擎羊星
擎羊星のある宮では、その分野のことを自分の力で片づけたい気持ちがとくに強くなり、摩擦も起きやすくなります。よく聞かれる位置をいくつか挙げます。
- 命宮:まっすぐで意志が強い。上で話したとおりです。
- 夫妻宮:恋愛では言い方がストレートで遠回しを好まず、けんかも早く始まりがちです。パートナーもせっかちなら、2人で落ち着くための約束事を決めておきましょう。
- 財帛宮:お金は勢いと交渉で得るタイプで、競争や成果が問われる環境に向いています。使うほうも、つい勢いで、ということがあります。
- 官禄宮:仕事では勝ちたい、前に進みたい気持ちが強く、決断力が求められるポジションに向いています。同僚とのあいだには少しクッションを置きましょう。
- 遷移宮:外の場面では矢面に立つことが多く、家の中より外でのほうが思い切って動けます。
- 福徳宮:心のペースが速く、休んでいても落ち着きません。運動のように力を使い切れる趣味を見つけるのがおすすめです。
- 疾厄宮:ここで見るのはストレスのたまり方です。擎羊星がここにある人は、ストレスが一気に噴き出しやすいので、決まった運動と生活リズムが大切になります。
同じ擎羊星でも、同宮する主星、輝度、吉星があるかどうかで読み方は大きく変わります。読む順番は六煞星の回にまとめています。
擎羊星と合わせて見る星
- 陀羅星:擎羊星と陀羅星は、いつも前と後ろから禄存星をはさんでいます。一方は突進、一方はじわじわ削る力で、よく一緒に語られます。
- 羊陀夾忌:生まれ年の化忌がちょうど禄存星の宮に入り、擎羊星と陀羅星に前後からはさまれる形で、昔の人はこれを羊陀夾忌と呼びました。いちばん気にかけていることが真ん中にはさまれ、焦るほど動けなくなる、という意味です。原文は格局大賞・下にあります。
- 火星・鈴星:擎羊星がさらに火星(かせい)や鈴星と重なると、勢いはいっそう急で激しくなり、クールダウンの時間がより多く必要になります。
- 紫微星・天府星:『全書』は天府星(てんぷせい)が擎羊星と陀羅星を自分の力として取り込めるとしていて、上の歌も擎羊星が「若し紫府の来たりて会合するを得れば」かえって財産を積めると言っています。紫微星(しびせい)と天府星は重みが十分なので、そのそばにある擎羊星の勢いは責任感に変わりやすくなります。
- 流年の擎羊星:年ごとに、流年の禄存星について動く「流年の擎羊星」もあり、その年だけ働きます。流年を見るときに使います。
よくある質問
擎羊星は悪い星ですか?
擎羊星は六煞星に属し、古書には化気は刑とありますが、持ち味は勢いと決断力で、悪いものではありません。廟の擎羊星は決断力と責任感と読むことが多く、陥のときは人と張り合うほうに力が向きやすくなります。紫微斗数で見るのは、擎羊星があるかどうかではなく、その力をどこに使うかです。
擎羊星が命宮にある人はどんな性格ですか?
たいていはまっすぐで、せっかちで、意志が強く、衝突から逃げず、競争では勝ちたいタイプです。長所は行動が早く、責任を引き受けられること。つまずきやすいのは真っ向勝負と、言い方の強さです。争う価値があるかを先に判断し、それから言い方を決める。それが擎羊星が命宮にある人にとっていちばん実用的な課題です。
なぜ擎羊星はいつも禄存星の隣にあるのですか?
擎羊星は禄存星を基準に置かれるからです。『紫微斗数全書』の配置の歌は、禄存星のひとつ先の宮に擎羊星を、ひとつ手前の宮に陀羅星を置くとしています。そのため、どの命盤でも禄存星は擎羊星と陀羅星にはさまれています。禄存星は生まれ年の十干で決まるので、擎羊星の位置も十干で決まります。
擎羊星は辰戌丑未と子午卯酉でどう違いますか?
『全書』では、擎羊星は辰・戌・丑・未で廟、子・午・卯・酉で陥とされています。廟のときは勢いに着地点があり、決断力に近い形で出ます。陥のときは勢いが焦りや人との摩擦になりやすいです。擎羊星は寅・申・巳・亥の4つの宮には決して入りません。
ほかの六煞星
ここに書いたのは一般的な読み方です。あなた自身の命盤では、星の明るさ、三方四正、流年によって変わってきます。
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