雑局

〈定雜局〉

『紫微斗数全書』巻一・賦文・諸星問答と格局・原文と現代語訳

はじめに

〈雑局〉は巻一の格局リストの最後の組で、八つの項目はすべて運限の話です。本命盤の星の組み合わせは見ません。

  • 風雲際会:身宮・命宮が弱くても、大限・小限が禄馬に遇う。
  • 錦上添花:運限が悪星を破って吉地を行く。
  • 禄衰馬困:運限が七殺星に逢い、禄馬が空亡に落ちる。
  • 衣錦還郷:若いうちは思うようにいかず、四十歳を過ぎて墓運を行く。
  • 歩数無依:前の限が後の限に接し、切れ目なく続いて分かれない。
  • 水上駕星:一年よく、一年よくない。
  • 吉凶相伴:命宮に主星があり、限がよければ発し、限が衰えれば発しない。
  • 枯木逢春:命は衰えているが限がよい。

どれも運限のことなので、この篇には本命盤で照らし合わせられる条件がありません。

1風雲際會 身命雖弱二限逢祿馬是也。

書き下し風雲際会す。身命弱しといえども、二限に禄馬に逢う、是なり。

現代語訳風雲際会:身宮・命宮は弱くても、大限・小限で禄星・天馬星に遇うのが、この格局です。

二限
大限と小限。
解説

〈雑局〉の八条はどれも命と運の関係を述べていて、本命の格局を見る前の富・貴・貧賤の局とは違います。風雲際会は、身宮・命宮が弱くても、大限・小限で禄馬に遇う形です。本命が強くない人でも、よい運限に入れば勢いに乗って伸びられる、という意味です。

これは〈先に貧しく後に富む命を論ず〉と同じことを言っています。生まれの低い人が「因限步相扶,星辰逢吉曜兼廟旺,以此突然發達」とあります(先に貧しく後に富む命を論ずを参照)。星格の盤で大限に切り替え、大限の命宮やその三方に禄存星・化禄・天馬星があるかを見ます。

✎ メモ

2錦上添花 謂限破惡星而行吉地是也。

書き下し錦上に花を添う。限、悪星を破りて吉地を行くを謂う、是なり。

現代語訳錦上添花:運限が悪星を打ち破って吉地を行くことを言い、それがこの格局です。

解説

錦上添花は、運限が悪星を打ち破り、吉地へ進む形です。定義はごく簡単で、だいたいの意味は、運限が凶から吉へ転じ、よいことが続けてやってくるということです。気をつけたいのは、「錦上添花」が〈骨髄賦〉の「明祿暗祿錦上添花」にも出てくることです。あちらは本命の格局、こちらは運限で、名前は同じでも意味が違います。

今の暮らしで言えば、苦しい時期を抜けたあと、その次の運がとりわけ順調に進む形です。盤では前後二つの大限の命宮を比べ、煞星や化忌が集まる宮から、吉星が集まる宮へ移っているかを見るとよいでしょう。

✎ メモ

3祿衰馬困 限逢七殺祿馬空亡是也。

書き下し禄衰え馬困しむ。限、七殺に逢い、禄馬空亡なる、是なり。

現代語訳禄衰馬困:運限が七殺星に遇い、禄星・天馬星が空亡に落ちるのが、この格局です。

解説

禄衰馬困は、運限が七殺星に遇い、さらに禄星・天馬星が空亡に落ちる形です。運限の上の凶格で、〈貧賤の局〉の「馬落空亡」に似ていますが、こちらは運限の話で、しかも七殺星が加わっています。

七殺星が限に入るのは、もともと七殺星の篇の言う「倒限之地」です。そこで禄馬まで空に落ちれば、財にも動きにも行き場がありません。現代に当てはめると、その期間はお金も仕事も詰まりやすく、攻めるより守るほうがよい時期です。

✎ メモ

4衣錦還鄉 少年不遂四十後行墓運是也。

書き下し錦を衣て郷に還る。少年遂げず、四十の後に墓運を行く、是なり。

現代語訳衣錦還郷:若いうちは思いどおりにならず、四十歳を過ぎてから墓運を行くのが、この格局です。

墓運
運限が墓庫の地、つまり辰戌丑未に行くこと。または長生十二神の「墓」。
解説

衣錦還郷は、若いうちは順調でなく、四十歳を過ぎて墓運を行ってから発する形です。墓運は、運限が辰戌丑未の四墓に入ることとも、長生十二神の「墓」とも読めます。これは〈骨髄賦〉の「貪武墓中居,三十才發福」と同じで、どちらも全書の、墓の地は発達が遅いという考え方に立っています。

面白いのは、天魁星・天鉞星の篇が「若四十以後逢墓庫,不依此斷」と言っていることです。四十歳を過ぎて墓庫を行くと、魁鉞の貴人の力はかえって数えない、という意味です。同じ四十以後の墓運でも、ここでは発達を主り、あちらでは貴人が退場するので、墓運の吉凶も星を見て決めるしかないことがわかります。

✎ メモ

5步數無依 前限接後限連綿不分是也。

書き下し歩数、依る無し。前限、後限に接し、連綿として分かれざる、是なり。

現代語訳歩数無依:前の運限が後の運限に続き、切れ目なく連なって分けられないのが、この格局です。

步數
運限の歩み、その一歩一歩。
解説

歩数無依は、前の運限が後の運限に続き、切れ目なく連なって分けられない形です。定義は簡単で、運限と運限のあいだにはっきりした転換点がなく、よいことも悪いことも引きずってしまう、というのがおおよその意味です。

考えられる読み方としては、いくつも続く大限の命宮が似たような星の環境にある場合です。たとえばどれも主星がない、あるいはどれも同じ組の煞星の影響を受けている、などで、人生にはっきりした浮き沈みや転機が乏しくなります。全書はこの条にそれ以上の説明をしていないので、具体的な盤の条件というより、ひとつの描写として受け取るのがよいでしょう。

✎ メモ

6水上駕星 一年好一年不好是也。

書き下し水上に星を駕す。一年好く、一年好からざる、是なり。

現代語訳水上駕星:一年よく、一年よくないのが、この格局です。

解説

水上駕星は、一年よく、一年よくない形です。水の上で舟を操るように、浮き沈みがあります。ここで言っているのは流年の段階の揺れです。本命も大限も目立たないので、毎年のよしあしが流年の四化や流曜につれて揺れ動きます。

今で言えば、運の起伏が大きく、安定しない形です。長い目で見るのが合っていて、一年よかったから広げる、一年悪かったからやめる、という判断は避けたほうがよいでしょう。盤では流年に切り替えると、毎年の流年命宮の位置と、流年の四化が落ちる宮の変化が見えます。

✎ メモ

7吉凶相伴 命有主星限前則發限衰不發是也。

書き下し吉凶相伴う。命に主星有り、限前なれば則ち発し、限衰うれば発せざる、是なり。

現代語訳吉凶相伴:命宮に主星があり、運限が前向き(よい)なら発し、運限が衰えれば発しないのが、この格局です。

限前則發
言葉が簡略ですが、おおよそ運限がよいときに発するという意味です。
解説

吉凶相伴は、命宮に主星があり、運限がよければ発し、運限が衰えれば発しない形です。これは命と運の関係について全書がいちばん率直に述べたところで、本命に土台はあっても、発するかどうかは運しだいだ、ということです。〈大限十年の禍福を論ず〉の考え方とも一致していて、宮の星がすべて吉で廟旺なら十年は穏やか、限の中に煞星・化忌があれば成功と失敗が入り混じる、と言っています(大限十年の禍福を論ずを参照)。

今の言葉に直せば、力そのものは安定していても、成果は時機しだいだということです。これは斗数の「本命が体、運限が用」という基本の考え方でもあります。

✎ メモ

8枯木逢春 謂命衰限好是也。

書き下し枯木、春に逢う。命衰え限好きを謂う、是なり。

現代語訳枯木逢春:命が衰えていて運限がよいことを言い、それがこの格局です。

解説

枯木逢春は、命が衰えていて限がよい形です。第1条の風雲際会に似ていますが、本命の弱さをより強く言っています。枯れた木が春に出会えば、それでも芽を出せる、というたとえです。

この八条の雑局を合わせて見ると、全書の運命観の全体が見えてきます。本命が上限と基調を決め、運限が時機を決めます。命がよくても運が悪ければ、よいところが発揮されず、命が弱くても運がよければ、ひとときの輝きを得られます。星格で大限と流年を読むのは、この二層の噛み合わせを見ることです。大限も参考にしてください。

✎ メモ
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
风云际会 身命虽弱二限逢禄马是也。 锦上添花 谓限破恶星而行吉地是也。 禄衰马困 限逢七杀禄马空亡是也。 衣锦还乡 少年不遂四十后行墓运是也。 步数无依 前限接后限连绵不分是也。 水上驾星 一年好一年不好是也。 吉凶相伴 命有主星限前则发限衰不发是也。 枯木逢春 谓命衰限好是也。

よくある質問

風雲際会とはどんな格局ですか?

〈雑局〉は「身命雖弱二限逢祿馬是也」と言います。本命の身宮・命宮が弱くても、大限・小限で禄星や天馬星に遇えば、風雲際会と呼びます。

紫微斗数で枯木逢春とはどういう意味ですか?

全書は「謂命衰限好是也」と言います。本命は弱いのに運限がよい形で、枯れた木が春に出会うようなものです。

この篇に出てくる主星

七殺星
✎ 読み終えたら、星霊にひとこと感想を