破軍星の性情
〈破軍星性情〉
『紫微斗数全書』巻二・安星起例と十二宮・原文と現代語訳
はじめに
この篇は『紫微斗数全書』巻二「諸星の性情」のうち破軍星の部分で、十四主星の最後の一つです。破軍星は五行で水に属し、北斗の星で、化気は「耗」、妻子と奴僕をつかさどります。
- 性情の総論(第1〜5段):背が低くがっしりして、背中が厚く眉が広く、気性が強く人と合わず、張り合うのを好み、先祖の家業を離れてはじめて福を得て、賭博や狩りを好むとします。紫微星に遇うのを喜んで威権があり、天梁星・天府星がその悪を抑えます。文曲星と同宮すれば一生貧しい読書人で、さらに水郷に入れば残疾や夭折があるとします。第3・4段は、子・午の宮、辰・戌・丑・未の宮で、どの年干なら富貴で、どの年干なら孤独で残疾かを述べます。
- 十二宮の表(第6〜11段):破軍星の十二支ごとの廟陥、同宮する主星と財官格です。
- 歌訣:男命四首、女命二首、入限三首です。
底本の第4段末の「僧道宜之,女命」は文が途中で切れていて、第5段の「子午入廟,陷地加殺則殘疾下賤淫欲」は十二宮の表の中に置かれていますが、実はこの女命の句の続きです。二つの段の校勘で説明しています。原文の「雖富不久、夭折」「破祖離宗」「剋害良人非一次」などの断定は、現代語訳でも原意どおりに訳しています。
1破軍水,北斗化耗星,主妻子、奴僕。體型五短背厚眉寬腰斜,性剛寡合,好爭強。棄祖發福,好博禽捕獵。
書き下し破軍は水、北斗、化して耗星、妻子奴僕を主る。体型五短、背厚く眉寛く腰斜めなり、性剛にして寡合、争強を好む。祖を棄てて福を発す、博禽捕猟を好む。
現代語訳破軍星は五行で水に属し、北斗の星で、化気は耗、妻子と奴僕をつかさどります。体つきは背が低くがっしりしていて、背中が厚く、眉が広く、腰が傾いています。気性が強く、人と打ち解けにくく、張り合うのを好みます。先祖の家業を離れてはじめて福を得て、賭博や鳥獣の狩りを好みます。
- 化耗
- 破軍星の化気は「耗」。すり減らす、使い減らすという意味。
- 五短
- 手足も胴も短いこと。背が低くがっしりした体つき。
- 棄祖
- 先祖の家業や住まいを離れること。
- 博禽捕獵
- 賭博と、鳥を捕り獣を狩ること。
破軍星の化気は耗で、耗はすり減らし壊すこと、まず壊してから立てることです。全書は破軍星が妻子と奴僕をつかさどるとし、〈破軍星の主るところは〉は「司夫妻、子息、奴僕之神」と言います(破軍星の主るところは)。どれも人との関わりの位置なので、破軍星の耗は関係の上に落ちることが多いのです。「棄祖發福」はこの星で最も有名な一句で、もとの家業や環境を離れ、自分で一から始めてはじめて伸びる、という意味です。「好博禽捕獵」は昔は放蕩の表れでしたが、今なら冒険好き、刺激と競争を好むと読めます。星格の盤では、破軍星の対宮はいつも天相星、三合はいつも七殺星と貪狼星で、殺破狼の一角です。
2喜紫微有威權,天梁天府能制其惡,與文曲同度一生貧士,更入水鄉殘疾,雖富不久、夭折。
書き下し紫微を喜べば威権有り、天梁天府能く其の悪を制す。文曲と同度すれば一生貧士、更に水郷に入れば残疾、富むといえども久しからず、夭折。
現代語訳破軍星は紫微星に遇うのを喜び、そうなれば威権があります。天梁星・天府星はその悪を抑えることができます。文曲星と同宮すれば、一生貧しい読書人です。さらに水郷に入れば残疾があり、富んでも長続きせず、夭折することもあります。
- 水鄉
- 五行が水の宮。ふつうは亥・子を指します。
- 貧士
- 貧しい読書人。
この句は破軍星の三つの関係を並べています。「喜紫微」は、紫破が丑・未で同宮し、辰・戌では対宮が紫相になる形で、紫微星という君主が破軍星という先鋒を使いこなせる、ということです。「天梁天府能制其惡」については、盤の上の事実を一つ知っておく必要があります。天梁星も天府星も破軍星の三方四正には現れないので、本命盤の上でこの「制」が字面どおりに成り立つことはまずなく、運限で重なる場合か、格局全体の気質を言っていると考えるほうが自然です。「與文曲同度一生貧士」は、〈破軍星の主るところは〉では「與文星守命一生貧士」となっています。破軍星の耗が文星の清に出会うと、清貧だけが残るというわけです。「入水鄉」は注にあるとおり、亥・子のあたりの水が盛んな地を指します。
3六癸甲生人,坐子午宮者位至三公。若丙戊寅生人命坐子午宮,則孤單殘疾,雖富貴不久、夭折。
書き下し六癸甲の生人、子午の宮に坐する者は位三公に至る。もし丙戊寅の生人命子午の宮に坐すれば、すなわち孤単残疾、富貴といえども久しからず、夭折。
現代語訳癸年・甲年生まれで、命宮が子・午の宮にある人は、地位が三公に至ります。丙年・戊年生まれで命宮が子・午の宮にあれば、孤独で残疾があり、富貴でも長続きせず、夭折することもあります。
- 三公
- 昔の朝廷で最も高い三つの官位。最高の官職を指します。
校勘 「丙戊寅生人」の「寅」は十干ではなく、前後の「丙戊生人」と合いません。衍字か、「庚」などの誤字と見られます。現代語訳は「丙戊生人」として訳しています。
4丙戊生人,命坐辰戌丑未,與紫微同垣或對居,富貴不小。遇廉貞羊陀火鈴於陷宮,爭鬥疾病。僧道宜之,女命
書き下し丙戊の生人、命辰戌丑未に坐し、紫微と同垣或いは対居すれば、富貴小ならず。廉貞羊陀火鈴に陥宮に遇えば、争闘疾病。僧道これに宜し、女命
現代語訳丙年・戊年生まれで、命宮が辰・戌・丑・未にあり、紫微星と同宮するか対宮にあれば、富貴は小さくありません。陥宮で廉貞星・擎羊星・陀羅星・火星・鈴星に遇えば、争いと病があります。出家して修行する人にはこれが向いています。女命は……(原文はここで途切れています)
- 同垣或對居
- 同じ宮にあるか、対宮で向き合うこと。破軍星は丑・未で紫微星と同宮し、辰・戌で紫微星と向き合います。
校勘 「僧道宜之,女命」は文が途中で終わっていて、底本はそのまま十二宮の表に移ります。次の段の「子午入廟,陷地加殺則殘疾下賤淫欲」がこの女命の句の続きで、表の中に誤って置かれたものと見られます。
辰・戌・丑・未の破軍星は、丑・未では紫破が同宮し、辰・戌では破軍星が単独で座って対宮が紫相なので、「與紫微同垣或對居」と言います。条件は丙・戊年ですが、四化表を見ても丙・戊年が紫破に直接化吉をもたらすわけではなく、全書が年干だけを示して理由を書かない一例です。後半の条件は「陷宮」で廉貞星と四煞に遇うことですが、辰・戌・丑・未の破軍星はどれも旺地で陥宮ではありません。廉破が同宮するのは卯・酉だけなので、この半句は実際には卯・酉を指しています。盤と照らすときは、「遇廉貞羊陀火鈴於陷宮」を第7段の卯・酉の廉破の補足として読むとよいでしょう。女命の半句は校勘で説明したとおりで、次の段に続きます。
5子午入廟,陷地加殺則殘疾下賤淫欲。
書き下し子午は入廟、陥地に殺を加うればすなわち残疾下賤淫欲。
現代語訳(女命の)破軍星は子・午で入廟します。落陥して煞星が加われば、残疾があり、身分が低く卑しく、淫らです。
校勘 この句は十二宮の表の中に置かれていますが、表の書式とは違い、内容も次の段の「子午宮入廟」と重なっています。前の段の末尾の「女命」の続きと見られます。
校勘のとおり、この句は前の段の「女命」の続きです。子・午で入廟すれば女命でもよく、陥地に煞が加われば残疾・下賤・淫欲とします。破軍星の陥地は卯・酉だけで、廉破が同宮する位置なので、この句は盤の上では卯・酉の廉破に煞が加わる女命を指しています。〈破軍星の主るところは〉は女命がこれに逢えば「無媒自嫁,喪節飄流」と言っていて(破軍星の主るところは)、同じように厳しい口ぶりです。これは昔の、貞節で女命を測る物差しです。今の読み方では、恋愛の始まりも決断も早く、家族に認められる前に話を進めてしまいやすく、また揺れ戻しも起こりやすい、と読めます。ただ、それでも夫妻宮と煞星の位置を見る必要があります。
6子午宮入廟,丁己癸生人福厚,丙戊生人主困。
書き下し子午の宮は入廟、丁己癸の生人は福厚く、丙戊の生人は困を主る。
現代語訳破軍星は子・午の宮で入廟します。丁・己・癸年生まれは福が厚く、丙・戊年生まれは困窮します。
これは第3段を表にしたもので、年干が少し違います。第3段で吉なのは甲・癸、ここで福が厚いのは丁・己・癸です。丁・己年は禄存星が午にあり、午に座る破軍星なら禄存星と同宮、子に座るなら対宮から照らします。癸年は破軍星そのものが化禄します。甲年はここに挙がっていませんが、第3段は「位至三公」と言っています。二段の言い分が違うのは、第3段は貴(化権は権柄をつかさどる)を言い、この段は福の厚さ(禄は財をつかさどる)を言っている、と理解できます。凶なのはやはり丙・戊で、理由は第3段と同じく擎羊星が午に落ちることです。子・午の破軍星は殺破狼の中で最も力のある形で、吉凶の振れ幅も最も大きいのです。
7卯酉宮陷地與廉貞同度,乙辛癸生人利,甲庚丙生人不耐久。
書き下し卯酉の宮は陥地、廉貞と同度、乙辛癸の生人は利あり、甲庚丙の生人は久しきに耐えず。
現代語訳破軍星は卯・酉の宮で落陥し、廉貞星と同宮します。乙・辛・癸年生まれは有利で、甲・庚・丙年生まれは長続きしません。
- 同度
- 同じ宮にあること。同宮。
卯・酉で廉破が同宮し、破軍星は陥、廉貞星は平和で、破軍星の最も弱い位置です。吉の年干は、乙年が禄存星が卯、辛年が禄存星が酉、癸年が破軍星化禄です。長続きしないほうは、甲年が廉貞星化禄と破軍星化権がありながら禄存星が寅で擎羊星が卯に落ち、庚年は擎羊星が酉に落ち、丙年は廉貞星が化忌します。化禄や化権があっても擎羊星が座り込めば、全書は「不耐久」と判じるわけで、四化より擎羊星を重く見ていることがわかります。廉破の組み合わせについて、〈破軍星の主るところは〉は「與廉貞火鈴同度則決起官非」と言います(破軍星の主るところは)。
8辰戌宮旺地,甲癸生人為福。
書き下し辰戌の宮は旺地、甲癸の生人は福と為す。
現代語訳破軍星は辰・戌の宮では旺地です。甲・癸年生まれは福があります。
辰・戌の破軍星は単独で座る旺地で、対宮は紫微星と天相星です。年干は甲・癸だけで、破軍星そのものが化権・化禄する二つの年です。破軍星はほかの星と違い、ここでは禄存星の位置の働きが挙げられず、全書は破軍星そのものに化吉があるかだけを見ています。破軍星に化禄か化権が付けば、すり減らす力が切り開く力に変わるのです。星格の盤では、破軍星の宮を見つけ、そこに「禄」か「権」の四化の印が付いているかを見るのが、この段を読む最も直接的な方法です。
9丑未宮旺地與紫微同度,丙戊乙生人財官格。
書き下し丑未の宮は旺地、紫微と同度、丙戊乙の生人は財官格。
現代語訳破軍星は丑・未の宮では旺地で、紫微星と同宮します。丙・戊・乙年生まれは財官格です。
- 財官格
- 財運も官運もよい格局。
丑・未で紫破が同宮し、紫微星は廟、破軍星は旺です。年干は、乙年が紫微星化科、丙・戊年が禄存星が巳で、丑の宮の三合(巳酉丑)に落ちます。ただ未の宮から見ると巳は三方に入らないので、この条は丑と未の両宮にきれいに当てはまるわけではありません。〈破軍星の主るところは〉は紫破にとても厳しく、「此星居紫微則失威權」「會紫貪則鼠竊狗盜」と言い(破軍星の主るところは)、ここの財官格とは逆です。ふつうの読み方では、紫破に化吉や吉星があれば切り開くタイプのリーダーになり、煞と化忌が重ければ紫微星が破軍星を抑えきれず、帝星がかえって足を引っ張られる、とします。
10寅申宮得地,甲庚丁己生人財官格。
書き下し寅申の宮は得地、甲庚丁己の生人は財官格。
現代語訳破軍星は寅・申の宮で得地です。甲・庚・丁・己年生まれは財官格です。
寅・申の破軍星は単独で座る得地で、対宮は武曲星と天相星です。四つの年干、甲・庚・丁・己は、天相星・七殺星が寅・申にあるときの一覧とまったく同じで、同じ理屈から出ています。甲年は禄存星が寅、庚年は禄存星が申、丁・己年は禄存星が午で寅の宮の三合に落ちます。甲年はさらに破軍星化権と武曲星化科が加わります。全書の十二宮の表の「財官格」の年干は、多くが禄存星と化禄・化権から割り出されたものなので、この決まりに慣れれば、ほかの組み合わせも自分で推せて、丸暗記する必要はありません。
11巳亥宮與武曲同度,戊生人福厚。
書き下し巳亥の宮は武曲と同度、戊の生人は福厚し。
現代語訳破軍星は巳・亥の宮で武曲星と同宮します。戊年生まれは福が厚いです。
巳・亥で武破が同宮し、武曲星も破軍星も平和で、二つの星がどちらも強くない位置です。福が厚いとされるのは戊年だけで、戊年は禄存星が巳にあるので、巳に座る武破は禄存星と同宮しますが、亥に座るなら対宮から照らすだけです。〈破軍星の主るところは〉は「與武曲入財位則東傾西敗」と言い(破軍星の主るところは)、また「與武曲同居巳宮,貪狼拱亦居臺閣」とも言います(破軍星の主るところは)。一方は凶、一方は吉で、違いは宮と会照にあります。武破は財星が耗星に出会う形で、今なら、稼ぐ力はあってもそのぶん出ていく、と読めます。投じては回収することを繰り返す業種に向きますが、お金を守る仕組みを作っておく必要があります。
破軍入男命吉凶訣:
13破軍七殺與貪狼,入廟英雄不可當,關羽命逢為上將,庶人富足置田莊。
書き下し破軍七殺と貪狼と、入廟すれば英雄当たるべからず。関羽の命逢いて上将と為る、庶人も富足して田荘を置く。
現代語訳破軍星・七殺星と貪狼星は、入廟すれば英雄で、その勢いは止められません。関羽の命はこれに逢って上将となりました。ふつうの人も豊かになり、田畑や荘園を買い入れます。
- 關羽
- 三国時代、蜀漢の名将。古書はよく命の例として挙げます。
この首は殺破狼の三星を並べて挙げています。星の置き方では、破軍星・七殺星・貪狼星はいつも互いに三合の位置にあり、どれか一つが坐命すれば残りの二つは必ず三方にあるので、「破軍七殺與貪狼」はひとまとまりです。条件は「入廟」で、破軍星の廟は子・午、七殺星の廟は寅・申・辰・戌・丑・未、貪狼星の廟は辰・戌・丑・未です。関羽を例に出すのは古書によくある有名人へのこじつけで、関羽の生年月日には確かな記録がありません。現代に当てはめれば、殺破狼の人は変化が大きく、切り開いて突き進むことが求められる環境に向き、ふつうの人でも積極的に動いて家産を築ける、ということです。
14破軍子午會文昌,左右雙雙入廟廊,財帛豐盈多慷慨,祿官昭著佐君王。
書き下し破軍子午にして文昌に会い、左右双双として廟廊に入る。財帛豊盈にして慷慨多く、禄官昭著にして君王を佐く。
現代語訳破軍星が子・午にあって文昌星に会い、左輔星・右弼星がそろってそばにあれば、朝廷に入ります。財は豊かで、人柄は気前がよく、俸禄と官位ははっきりと高く、君主を補佐します。
- 廟廊
- 朝廷。廊廟と同じ意味です。
子・午の破軍星に文昌星と左右が加わる形は、英星入廟を一段上げたものです。ここで第2段との張り合いが出てきます。第2段は破軍星が文曲星と同宮すれば貧士と言い、この首は文昌星に会えば朝廷に入ると言います。違いは、ここでは文昌星が「會」で、さらに左右がそろってそばにあり、破軍星も廟地にあることです。第2段は文曲星と同宮で、条件がより悪いのです。〈破軍星の主るところは〉も「遇文昌於震宮,遇吉可貴」と言い(破軍星の主るところは)、破軍星と文星の組み合わせが一律に悪いのではなく、位置と補佐の星しだいだとしています。
15破軍一曜最難當,化祿科權喜異常,若還陷地仍加殺,破祖離宗出遠鄉。
書き下し破軍の一曜最も当たり難し、禄科権に化すれば喜び常に異なる。若し還た陥地にして仍お殺を加うれば、祖を破り宗を離れて遠郷に出づ。
現代語訳破軍という星は最も手ごわい星です。化禄・化科・化権を得れば、ことのほか喜ばしいです。もし落陥して、さらに煞星が加われば、先祖の家業を壊し、一族を離れて遠い土地へ出ていきます。
- 破祖離宗
- 先祖の家業を壊し、一族と故郷を離れること。
この首の「化祿科權」は四化表と照らし合わせる必要があります。破軍星は甲年に化権、癸年に化禄するだけで、十干の中に破軍星の化科はありません。ですから「科」は句をそろえるためのものか、三方の化科を指していると考えるしかありません。破軍星の化禄・化権がなぜ「喜異常」なのかと言えば、耗星の本性はすり減らすことで、化禄はそれを流れるお金に変え、化権は破壊を制御できる改革に変えるからです。後の二句「若還陷地仍加殺,破祖離宗出遠鄉」は第1段の「棄祖發福」と同じ流れにありますが、ここでは追われて離れる形です。故郷を離れて身を立てるのは今ではよくあることなので、移住や転職と読めば十分ですが、全書の原意はあくまで凶です。
16破軍不喜在身宮,廉貞火羊陀會凶,不見傷殘定壽夭,只宜僧道度平生。
書き下し破軍は身宮に在るを喜ばず、廉貞火羊陀会すれば凶。傷残を見ずんば定めて寿夭、只僧道として平生を度るに宜し。
現代語訳破軍星は身宮にあるのを喜びません。廉貞星・火星・擎羊星・陀羅星に会えば凶です。傷を負わなければ、必ず短命です。僧侶や道士として一生を過ごすのがよいだけです。
- 壽夭
- 短命、早死に。
この首は条件を命宮から身宮に移しています。破軍星が身宮に座り、さらに廉貞星・火羊陀に会えば凶です。身宮は後天の行いとめぐり合わせを見る宮で、破軍星が身宮にあれば、一生を通じて変化と、古いものを壊して新しく立てることの中にいることが多い、という意味になります。「不見傷殘定壽夭」は原意どおりで、極端な組み合わせへの警句です。条件は廉貞星と複数の煞星が同時にそろうことです。〈破軍星の主るところは〉は「惟天梁可制其惡,天祿可解其狂」と言い(破軍星の主るところは)、破軍星の凶さは解けないものではなく、禄存星や化禄が最もよくある和らげ役だとわかります。星格の盤では身宮の位置が示されるので、その宮が破軍星かどうかを見れば足ります。
破軍入女命吉凶訣:
18破軍子午為入廟,女命逢之福壽昌,性格有能偏出眾,旺夫益子姓名香。
書き下し破軍子午は入廟と為す、女命これに逢えば福寿昌んなり。性格能有りて偏に衆に出づ、夫を旺じ子を益して姓名香し。
現代語訳破軍星は子・午で入廟します。女命がこれに逢えば、福も寿も盛んです。性格は有能で、ひときわ人に抜きん出て、夫を盛り立て、子に益があり、名声は芳しいです。
女命で破軍星が子・午に入廟する形について、この首はとても高い評価を与えています。福寿が盛ん、性格が抜きん出ている、夫を盛り立て子に益がある、というものです。これは第5段や次の首の凶の論と対照をなしていて、分かれ目は廟か陥かです。子・午の破軍星の対宮は廉貞星と天相星、三合は七殺星と貪狼星です。今に移すと、力があり、思い切りがよく、変えることを恐れない人で、家庭でも仕事でも物事を引き受けられます。「旺夫益子」は家庭への実際の貢献と読めます。全書が破軍星の女命を一律に否定しているのではなく、位置で見ていることもわかります。
19破軍女命不宜逢,擎羊加陷便為凶,剋害良人非一次,須教悲哭度朝昏。
書き下し破軍は女命に逢うに宜しからず、擎羊を加えて陥なれば便ち凶と為す。良人を剋害すること一次にあらず、須く悲哭して朝昏を度らしむべし。
現代語訳女命は破軍星に逢うのがよくありません。擎羊星が加わって落陥すれば、すぐに凶となります。夫を剋し害することは一度ではなく、朝も夕も泣き悲しんで過ごすことになります。
- 良人
- 昔、妻が夫を呼んだ言葉。
条件ははっきりしていて、破軍星が落陥し(卯・酉、廉破の同宮)、さらに擎羊星が加わることです。卯・酉の擎羊星は甲年(羊が卯)と庚年(羊が酉)に当たり、第7段の「甲庚丙生人不耐久」とちょうど合います。「剋害良人非一次」は昔の言い方で、結婚が何度もつまずき、夫に災いがあるという意味です。現代では、結婚生活で衝突が多く、関係が壊れやすい、と読めます。厳しい断定で原意は変えていませんが、やはり夫妻宮の星と大限に戻って見る必要があり、命宮だけで結論を出すことはできません。
破軍入限吉凶訣:
21破軍入限要推詳,廟地方知福祿昌,更遇文昌同魁鉞,限臨此地極風光。
書き下し破軍限に入れば推詳を要す、廟地にして方に福禄の昌んなるを知る。更に文昌に遇い魁鉞を同じくすれば、限此の地に臨みて極めて風光あり。
現代語訳破軍星が運限に入るときは、よく推し量る必要があります。廟地にあってはじめて福禄が盛んだとわかります。さらに文昌星に遇い、天魁星・天鉞星もそろえば、運限がここに来たときはこのうえなく華やかです。
- 入限
- 大限か小限が、この星のある宮に巡ること。
破軍星が運限に入るときは、まず廟地かどうかを見て、次に文昌星と魁鉞を見ます。破軍星の廟地は子・午だけで、旺地は辰・戌・丑・未です。星格で大限を見るときは、その十年に切り替え、大限の命宮が破軍星なら、まず輝度の小さな字を見て、次に三方四正に文昌星・天魁星・天鉞星があるかを見てください。破軍星の運限はたいてい変化を連れてきます。転職、引っ越し、業種替えなどです。入廟してさらに吉星に遇えば、その変化は昇進や新しい好機になります。今の言葉にすると、この時期は守るより自分から切り開くのに向いています。
22破軍入限細推詳,廟地無凶少損傷,殺湊破軍防破耗,更防妻子自身亡。
書き下し破軍限に入れば細かに推詳せよ、廟地に凶無ければ損傷少なし。殺破軍に湊まれば破耗を防げ、更に妻子自身の亡ぶるを防げ。
現代語訳破軍星が運限に入るときは、細かく推し量らなければなりません。廟地にあって凶星がなければ、損なうことは少ないです。煞星が破軍星に集まれば、財を失いすり減らすことに備え、さらに妻子と自分自身の死に備えなければなりません。
この首は前の首と一組で、言い方はもっと慎重です。廟地で凶星がなければ損なうことが少ないが、煞星が集まれば財の損耗に備え、さらに妻子と自分の命に備えよ、と言います。破軍星は妻子をつかさどるので(第1段)、運限が破軍星に巡って煞を見れば、昔の人はとくに妻子に触れたのです。現代に引き直すと、この時期は家族の関係と健康にいつも以上に気を配り、大きな出費には慎重に、ということです。〈破軍星の主るところは〉の「若逢流殺交並,家業蕩空」(破軍星の主るところは)は、流年の煞星が破軍星の運限に重なる場合を言っています。
23破軍主限多濃血,失脫乖張不可說,更值女人主孝服,血光產難災殃節。
書き下し破軍限を主れば濃血多し、失脱乖張説くべからず。更に女人に値えば孝服を主る、血光産難災殃の節。
現代語訳破軍星が運限をつかさどれば、膿や血の災いが多く、物を失うこと、ひねくれたことが言い尽くせません。さらに女性であれば、喪服を着ることがあり、流血や難産の災いの時期です。
- 孝服
- 喪服。家に喪事があること。
- 產難
- 難産。
校勘 「多濃血」の「濃」は「膿」とすべきです。
この首は破軍星の運限の凶さを体に落としています。膿や血、紛失、ひねくれたこと、そして女性なら喪服、流血、難産です。破軍星は水に属し耗をつかさどり、昔の人はさらに血や壊れることと結びつけたので、膿血や血光の話が出てきます。「產難」は昔の女性にとって最大の生死の関門でした。今は医療の条件が違うので、この種の断定は「この時期は出産や手術にいっそう慎重に」と読めば十分ですが、古書の原意は変えていません。入限の三首は一首ごとに重くなっていき、その順序そのものが段階を追った警告になっています。
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
よくある質問
『紫微斗数全書』では、破軍星は何をつかさどりますか?
全書は、破軍星は五行で水に属する北斗の星で、化気は「耗」、妻子と奴僕をつかさどるとします。坐命する人は背が低くがっしりして、背中が厚く眉が広く、気性が強く人と合わず、張り合うのを好み、先祖の家業を離れてはじめて福を得て、賭博や狩りを好むとします。紫微星に遇えば威権が増し、天梁星・天府星がその悪を抑えるとします。
子・午の破軍星はどんな格局ですか?
全書は、破軍星は子・午で入廟し、癸年・甲年生まれで子・午の宮に座れば「位至三公」とし、歌訣も「破軍子午會文昌,左右雙雙入廟廊」と言います。後の人は子・午の破軍星坐命を英星入廟と呼びました。ただし同じ段で、丙・戊年生まれが子・午に坐命すれば、孤独で残疾があり、富貴も長続きしないとも言います。
破軍星と文曲星が同宮すると、全書は何と言っていますか?
原文は、破軍星が「與文曲同度一生貧士,更入水鄉殘疾,雖富不久、夭折」と言います。文曲星と同宮すれば一生貧しい読書人で、さらに水郷(五行が水の宮)に落ちれば残疾があり、富んでも長続きせず、夭折することもある、という意味です。
破軍星が身宮にあるのはよいことですか?
歌訣は「破軍不喜在身宮,廉貞火羊陀會凶,不見傷殘定壽夭,只宜僧道度平生」と言います。破軍星が身宮にあり、さらに廉貞星・火星・擎羊星・陀羅星に会えば凶で、傷を負うか短命で、出家して一生を過ごすのがよいだけだ、という意味です。
この篇に出てくる主星