既済卦
事が成し遂げられ、すべてが収まるべき所に収まった時の卦です。始まりはよくても、怖いのはその後の気のゆるみ。最後から二番目に置かれ、成功は終点ではないと告げています。
一つのことを心に、筮竹で一卦立てる事はおおむね成り、皆が収まるべき所に収まっています。この先いちばん気をつけたいのは気のゆるみです。順調な始まりが順調な終わりを約束するわけではないので、今のうちにどこでほころびが出そうかを考えておきましょう。
よいこと
- ほころびをふさぐ
- 手順を固める
- 得た成果を守る
- 小さく調整する
避けたいこと
- 成った途端に気をゆるめる
- 全部を作り直す
- 勝ったのにさらに追う
- 見栄を張って大きくする
仕事とお金
- 就職・転職
- 内定や昇進が決まったばかりなら、事は成っています。気がゆるみやすいのはその後の数か月です。試用期間の目標や引き継ぎの一覧を先に固め、着任してすぐ大きく変えないほうが信頼を得やすくなります。
- 起業・商売
- 仕事は軌道に乗っており、卦辞は「亨小」。小さな改善はよくても、大がかりな刷新や拡大は控えましょう。帳簿、契約、在庫の手順を固め、攻めより守りを先にするほうが崩れにくい時です。
- お金
- すでに得たものをまず守る時です。保険や生活防衛資金の見直しに向き、値が高いところでの買い増しには向きません。
恋愛と人間関係
- シングル
- 出会いの条件はもう整っていて、合う人に会えば話は進みやすい時です。大事なのは付き合い始めた後。最初の熱心さを急に引っ込めず、初めてのけんかをどう収めるかに気を配りましょう。
- パートナーがいる
- 関係は安定していて、怖いのは慣れです。九五は、西の隣人の簡素な祭りが東の盛大な祭りより福を受けるとします。記念日に大金をかけるより、時間どおりに、心を込めて過ごすほうが伝わりやすいものです。
- 復縁
- もう一度付き合うこと自体は話がまとまりやすいものの、難しいのはその後です。別れた原因をそのままにすると、戻っても長続きしにくくなります。まずそこをきちんと話し合いましょう。
- 人間関係・協力
- 協力の話がまとまり分担も決まった今、気をつけたいのは手を抜く人や手柄を取りたがる人です。九三は「小人勿用」。要の役は、口のうまさより地道に動く人に任せるほうが安心です。
暮らし
- 試験・学業
- 合格や資格の取得のあとは、いちばん勉強から離れやすい時です。六四は、舟はいつ漏れてもおかしくないので布を用意しておけと言います。得意な科目も定期的に見直し、試験前に安心して手を止めないことです。
- 引っ越し・旅行
- 新居に入った、旅程が決まったなど、準備は万端に見える時です。水が火の上にある象のとおり、鍋をかけたら火の番が要ります。入居後は水道、ガス、鍵を一通り確かめ、出発前に身分証も見直しましょう。
- 心身の状態
- 大きな仕事を終えた直後は、気が抜けてかえって疲れが出たり、眠りが浅くなったりしやすいものです。数日はしっかり休み、生活のリズムを少しずつ戻しましょう。大象の「思患而豫防之」のとおり、体の小さな異変は早めに受診すると安心です。
昔ながらの占的
- 待っていること
- おおむね決着がつき、結果はすでに出ている側に傾いています。知らせのあとも書類や手続きが残ります。初九の「曳其輪」のとおり、受け取ってすぐ次へ走らず、一度足を止めましょう。
- 争い・訴訟
- 争いはおおむね話がつき、まず和解の書面や実行の細部を文字にしておく時です。上六は「濡其首、厲」。勝ったのにさらに追うと、水が頭まで来やすくなります。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みは高めです。坎は水や溝、離は火を表します。北の方角、台所のコンロのそば、流し台や排水口のあたりを探してみましょう。
決断するとき
今の形を保ち、備えを固めるほうがよい時です。変えるなら小さな調整にとどめ、大きな変更は見送りましょう。
たとえばこんな人なら
既済は事が成った卦ですが、卦辞は「初吉終乱」と言います。開幕のにぎわいが過ぎた会期の中盤こそ、トラブルが起きやすい時です。当番表、機材の点検、展示品の状態を毎週確かめる担当を決め、撤収の手順も今のうちに書いておくと慌てにくくなります。
川を渡りきった直後は、気がゆるんで大きく使いたくなりやすいものです。毎月返していた額を、そのまま生活防衛資金の積み立てに自動で回しましょう。習慣を切らさなければ、この成果は守りやすくなります。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
亨小。利貞。初吉終亂。
亨ること小なり。貞しきに利ろし。初めは吉にして終わりは乱る。
小さく通じます。正しさを守るのがよいです。初めは吉で、終わりには乱れます。
水火既済(すいかきせい)は、上卦が坎(水)、下卦が離(火)です。水が火の上にあり、鍋を火にかけて煮炊きするように、水と火がそれぞれ働いています。六本の爻の陰陽がすべて正しい位にあるので「既済」、すでに渡りきった、成ったという意味です。
初九
曳其輪,濡其尾,无咎。
其の輪を曳き、其の尾を濡らす。咎なし。
車輪を後ろへ引いて止め、川を渡る狐が尾をぬらします。咎はありません。
事が成ったばかりで、すぐ次へ走り出したくなる段階です。一度ブレーキを踏みましょう。多少の損やきまりの悪さがあっても、勢いのまま走ってつまずくよりは傷が浅くすみやすくなります。
小象:曳其輪,義无咎也。
六二
婦喪其茀,勿逐,七日得。
婦其の茀を喪う。逐うなかれ。七日にして得。
婦人が車の覆い(茀)をなくします。追ってはいけません。七日で戻ってきます。
表に立つための条件を一時的に失う形です。立場をふさがれる、機会を取り上げられるといったことです。急いで取り返そうとせず、自分の務めを守っていれば、時がたって戻ってきやすくなります。
小象:七日得,以中道也。
九三
高宗伐鬼方,三年克之,小人勿用。
高宗鬼方を伐ち、三年にして之に克つ。小人は用うるなかれ。
高宗(殷の王、武丁)が鬼方(遠方の部族)を討ち、三年かかってようやく勝ちます。小人を用いてはいけません。
三年がかりで勝つというのは、代償がそれだけ大きいということです。大きな動きは軽々しく起こさないこと。どうしても進めるなら人選を厳しくし、手柄を急ぐ人や近道ばかり探す人を要の位置に置かないほうが安心です。
小象:三年克之,憊也。
六四
繻有衣袽,終日戒。
ぬるるに衣袽有り。終日戒む。
舟が水にぬれて漏れそうになります(繻は、程子・朱熹の読みで濡)。ぼろ布や古着(袽)を用意してふさぎ、一日じゅう警戒します。
今は何事もないように見えても、いつほころびが出てもおかしくない段階です。代わりの案、データの控え、急な出費のための予算を先に用意し、毎日少し点検を。起きてから探し回るより慌てずにすみやすくなります。
小象:終日戒,有所疑也。
九五
東鄰殺牛,不如西鄰之禴祭,實受其福。
東隣の牛を殺すは、西隣の禴祭して実に其の福を受くるに如かず。
東の隣人が牛を殺して盛大に祭るのは、西の隣人の簡素な禴の祭りに及びません。西の隣人のほうが、確かに福を受けます。
規模の大きさが効き目を決めるわけではなく、時機と誠意のほうが大事な時です。贈り物、催し、提案など、心を込めた小ぶりなもののほうが、大金をかけたものより届きやすいことがよくあります。
小象:東鄰殺牛,不如西鄰之時也;實受其福,吉大來也。
上六
濡其首,厲。
其の首を濡らす。厲うし。
川を渡って頭までぬらします。危ういです。
すでに成功しているのに、さらに先へ突き進み、水が頭まで来ている状態です。利益を確定する、計画を締めくくるなど、ここで手を引くほうが、手にした成果を守りやすくなります。
小象:濡其首厲,何可久也。
既濟,亨,小者亨也。利貞,剛柔正而位當也。初吉,柔得中也。終止則亂,其道窮也。
既済が通じるというのは、小さいものが通じるということです。正しさを守るのがよいのは、剛も柔も正しく、位がふさわしいからです。初めが吉なのは、柔が中の位を得ているからです。最後に歩みを止めれば乱れるのは、その道が行き着くところまで来たからです。
大象水在火上,既濟;君子以思患而豫防之。
水、火の上に在るは既済なり。君子以て患いを思いて予め之を防ぐ。
水が火の上にあるのが既済です。君子はこれを見て、起こりうる災いを思い、前もって防ぎます。
序卦伝:なぜこの順番なのか有過物者,必濟,故受之既濟。
人並みを超えて事に当たる人は、必ず物事を成し遂げ、難所を渡りきります。そこで小過の後に既済が続きます。既済とは、すでに渡りきり、事が成ったということです。
雑卦伝漸女歸待男行也,頤養正也,既濟定也。
雑卦伝は、既済を定まることとします。六本の爻がすべて正しい位にあり、事が決着して落ち着いた姿です。この句は漸・頤と並ぶ一連の中にあり、直接対になる卦はありません。
関連する卦よくある質問
既済卦が出たら、恋愛はどう読む?
出会いの条件はもう整っていて、合う人に会えば話は進みやすい時です。大事なのは付き合い始めた後。最初の熱心さを急に引っ込めず、初めてのけんかをどう収めるかに気を配りましょう。 関係は安定していて、怖いのは慣れです。九五は、西の隣人の簡素な祭りが東の盛大な祭りより福を受けるとします。記念日に大金をかけるより、時間どおりに、心を込めて過ごすほうが伝わりやすいものです。
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内定や昇進が決まったばかりなら、事は成っています。気がゆるみやすいのはその後の数か月です。試用期間の目標や引き継ぎの一覧を先に固め、着任してすぐ大きく変えないほうが信頼を得やすくなります。 プロジェクトの稼働や目標の達成のあとは、穴をふさぎ、手順を固めておく時です。細かな改善は進めてかまいませんが、全体を作り直すような大改革は控えましょう。
既済卦が出たら、待っていることは来る?
おおむね決着がつき、結果はすでに出ている側に傾いています。知らせのあとも書類や手続きが残ります。初九の「曳其輪」のとおり、受け取ってすぐ次へ走らず、一度足を止めましょう。
既済卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みは高めです。坎は水や溝、離は火を表します。北の方角、台所のコンロのそば、流し台や排水口のあたりを探してみましょう。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。