目の前には困難が幾重にも重なっています。危険は自然には消えません。卦辞が示す道は、誠実さを守り心を乱さずに進めば功がある、というものです。水のように流れ続け、本来の性質を失わなければ、穴の外へ流れ出ていきやすくなります。
よいこと
- 信用を守る
- 小さな前進を先に
- 簡素に誠実に話す
- 基本を繰り返し練習
避けたいこと
- 取り返そうと賭ける
- あわてて動き回る
- ごまかしと責任逃れ
- 険の中での大きな決断
仕事とお金
- 就職・転職
- 選考で次々と壁に当たるのは、習坎ではよくあることです。九二は「求小得」。まず小さな求人や短期契約で入って足場を固めるほうが、一度で理想の仕事を得るより現実的です。
- 起業・商売
- 険が重なる時で、新店舗、拡大、資金の借り入れには向きません。手元資金と、取引先や顧客との約束を守りましょう。水は流れて満ちず、信用が途切れなければ、商いはまだ流れていきます。
- お金
- お金の面にはリスクがあり、守りを優先したい時です。取り返そうとして、さらに大きな賭けに出るのは禁物。まずはこれ以上落ちないことを目指しましょう。
恋愛と人間関係
- シングル
- 心が疲れる相手や、先の見えない曖昧な関係にのめり込みやすい時期です。気持ちを全部預けず、言うこととすることが一致しているかを見ましょう。卦辞の「有孚」、誠のある人なら先へ進む価値があります。
- パートナーがいる
- お金や家族、信頼の問題で、二人が難題の連続にはまっている時です。六四の「納約自牖」のとおり、けんかの最中に正面から話さず、相手が聞ける時を選び、二人きりで簡潔に伝えましょう。
- 復縁
- 復縁の見込みは高くありません。二人の間にはまだ片づいていない穴があります。今無理に会いに行くと、六三の「来之坎坎」のように進退が詰まりやすいもの。まず自分を立て直し、相手が歩み寄ってから話を。
- 人間関係・協力
- 協力相手との間で危機が続き、責任の押しつけ合いが起きやすい時です。信用を守り、大事なことは先に言葉にしておきましょう。約束を破り続ける人とは少しずつ距離を取り、一緒に沈まないように。
暮らし
- 試験・学業
- 試験で足踏みし、やり直しになることもある時期です。大象は「水洊至」「習教事」。坎の課題は繰り返しの練習です。間違えた問題を何度も解き直し、波のように少しずつ埋めていきましょう。
- 引っ越し・旅行
- 外出や旅行には向かず、水辺、雨の日、夜道は特に注意が要り、予定も遅れやすい時です。急がない引っ越しは先送りを。どうしても動くなら、経路、書類、連絡先を二重に用意しておきましょう。
- 心身の状態
- プレッシャーが幾重にものしかかり、眠れない、考えすぎる、胸がざわつく、となりやすい時期です。卦辞の「維心亨」、まず心を守ること。睡眠と生活リズムを整え、誰かに話しましょう。症状が続くなら受診を。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 途中にまだ関門があり、遅くなりそうです。九五の「坎不盈、祗既平」のとおり、水が穴の縁と平らになるまで、つまり障害が一つずつ取り除かれるまで待つ形で、急いでも進みにくいでしょう。
- 争い・訴訟
- 訴訟やもめごとは長引き、次々と絡まりやすい時です。上六は「係用徽纆」「三歳不得」。これ以上深みにはまらないよう、早めに弁護士に相談し、証拠を残し、和解できるなら和解を。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みは低めです。坎には隠れる、盗むという意味があり、人に持ち去られたか、見えない所に挟まっているかもしれません。探すなら水辺、浴室、排水口、低く暗い所を。
決断するとき
大きな動きは今は控えましょう。目の前のいちばん急ぐことを片づけ、信用を守り、険しい所を抜けてから次の一歩を考えるのが順序です。
たとえばこんな人なら
穴の先にまた穴がある状態で、いちばん危ないのは新しい借入で前の返済を埋めることです。まずカードを止め、借りているものをすべて書き出して、専門の相談窓口へ。毎月少しずつ減らすことも、外へ向かう一歩です。
険はまだ続いていますが、卦辞は「行有尚」、進めば功があるとします。この二回、どの科目で落としたかを振り返り、勉強法を変えてもう一度。自分を疑いながら机に向かわないこと。心が乱れなければ、穴の縁まで持ちこたえやすくなります。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
有孚,維心亨。行有尚。
孚有り。維れ心亨る。行けば尚ばるること有り。
心に誠があり、心さえ通じていれば通じます。そのように行えば尊ばれ、功があります。
坎為水(かんいすい)は、上卦も下卦も坎(水)です。坎は水であり、険しさです。一本の陽爻が二本の陰爻に挟まれ、穴に落ちたような形が上下に重なります。険に険が重なるので「習坎」と呼び、習は重なることです。
初六
習坎,入于坎窞,凶。
習坎、坎窞に入る。凶。
重なる険の中で、さらに穴の底のもっと深い穴に落ちます。凶。
すでに苦しい状況なのに、あわてたり道を誤ったりして、さらに深みにはまる形です。まず止まって下手に動かず、どうして落ちたのかを確かめてから出口を探しましょう。
小象:習坎入坎,失道凶也。
九二
坎有險,求小得。
坎に険有り。求めて小しく得。
穴の中に危険があります。小さなことを求めれば得られます。
苦境はまだ終わっていません。一度に抜け出すのは現実的でなく、損失を止める、いちばん急ぐ一件を片づけるなど、小さな前進を重ねて外へ向かう時です。
小象:求小得,未出中也。
六三
來之坎坎,險且枕,入于坎窞,勿用。
来るも之くも坎坎たり。険にして且つ枕す。坎窞に入る。用うることなかれ。
来ても穴、行っても穴。前は険しく、背にもたれている所も落ち着きません(枕)。穴の底の深い穴に落ちます。動いてはいけません。
進むも退くも行き詰まり、どう動いてもこじれやすい時です。大きな決断はせず、上乗せや勢いでの退職、正面からの対決も控えて、まず今の状態を守りましょう。
小象:來之坎坎,終无功也。
六四
樽酒簋,貳用缶,納約自牖,終无咎。
樽酒簋、弐うるに缶を用い、約を納るるに牖よりす。終に咎なし。
樽一つの酒と簋一つの飯、さらに素焼きの缶に盛ったものを添えます。窓口から差し入れて約束を結びます。最後には咎がありません。
苦しい時に人と向き合うなら、体裁より簡素で誠実なことが大切です。二人きりで話す、相手が気にかけていることから切り出すなど、届く入り口を選べば、最後には収まりやすくなります。
小象:樽酒簋貳,剛柔際也。
九五
坎不盈,祗既平,无咎。
坎盈たず。既に平らかなるに祗る。咎なし。
穴の水はまだあふれず、ちょうど平らになるところまで来ています。咎はありません。
抜け出す直前ですが、まだ完全には出ていません。今のペースを保ち、祝ったり手を広げたりは急がずに。もう少し持ちこたえれば、平らに近づきます。
小象:坎不盈,中未大也。
上六
係用徽纆,寘于叢棘,三歲不得,凶。
係ぐに徽纆を用い、叢棘に寘く。三歳まで得ず。凶。
黒い縄で縛られ、いばらの茂みの中に置かれます(囚われる)。三年たっても抜け出せません。凶。
誤った道を重ね、自分を苦境に縛りつけた形です。訴訟や借金、もつれた関係など、短期では解けにくいでしょう。非を認め、専門家の助けを借り、片づけに長くかかると受け入れる時です。
小象:上六失道,凶三歲也。
習坎,重險也。水流而不盈,行險而不失其信。維心亨,乃以剛中也。行有尚,往有功也。天險不可升也,地險山川丘陵也,王公設險以守其國,險之時用大矣哉!
習坎とは、二重の険です。水は流れ続けても満ちあふれず、険しい所を行ってもその信を失いません。心が通じるのは、剛爻が中の位にあるからです。行えば尊ばれるとは、進んで行けば功績があるということです。天の険は高くて登ることができず、地の険は山や川や丘です。王や諸侯は険を設けて国を守ります。険をふさわしい時に用いる働きは、なんと大きいことでしょう。
大象水洊至,習坎;君子以常德行,習教事。
水洊りに至るは習坎なり。君子以て徳行を常にし、教事を習う。
水が次々と絶え間なく流れて来るのが習坎です。君子はこれを見て、自分の徳行を常に保ち、教え導くことを繰り返し習います。
序卦伝:なぜこの順番なのか物不可以終過,故受之以坎;坎者陷也。
前の卦は大過です。物事がいつまでも行きすぎたままではいられず、行きすぎれば必ず険に落ちます。そこで大過の後に坎が続きます。坎とは落ち込むことです。
雑卦伝離上,而坎下也。
離は上へ、坎は下へ。韓康伯の注では、火は燃え上がり、水は低い所を潤して流れると読みます。坎は水で、低い方へ流れて下に沈み、上へ燃える離の火とちょうど反対です。
関連する卦よくある質問
坎卦が出たら、恋愛はどう読む?
心が疲れる相手や、先の見えない曖昧な関係にのめり込みやすい時期です。気持ちを全部預けず、言うこととすることが一致しているかを見ましょう。卦辞の「有孚」、誠のある人なら先へ進む価値があります。 お金や家族、信頼の問題で、二人が難題の連続にはまっている時です。六四の「納約自牖」のとおり、けんかの最中に正面から話さず、相手が聞ける時を選び、二人きりで簡潔に伝えましょう。
坎卦が出たら、仕事はどう読む?
選考で次々と壁に当たるのは、習坎ではよくあることです。九二は「求小得」。まず小さな求人や短期契約で入って足場を固めるほうが、一度で理想の仕事を得るより現実的です。 仕事で問題や行き詰まりが続きやすい時期です。一つずつ片づけ、約束と信用を守りましょう。プレッシャーがあっても、ごまかしや責任逃れはしないことです。
坎卦が出たら、待っていることは来る?
途中にまだ関門があり、遅くなりそうです。九五の「坎不盈、祗既平」のとおり、水が穴の縁と平らになるまで、つまり障害が一つずつ取り除かれるまで待つ形で、急いでも進みにくいでしょう。
坎卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みは低めです。坎には隠れる、盗むという意味があり、人に持ち去られたか、見えない所に挟まっているかもしれません。探すなら水辺、浴室、排水口、低く暗い所を。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。