渙卦
風が水面を吹き、氷が解けて波が散っていく時を語る卦です。人の心や物事がばらばらになった時こそ、信じるものと共通の目標で人をもう一度まとめることが大切になります。
一つのことを心に、筮竹で一卦立てる人の心やお金、関係が散らばりつつありますが、組み直す好機でもあります。皆が共に信じられるものを見つけ、王が宗廟で人心をまとめたように心を一つにし、そのうえで一緒に難所を越えていきましょう。
よいこと
- 共通の目標を示し直す
- 内輪の輪を崩す
- 利益を分けて心をつかむ
- 傷つけてくる人から離れる
避けたいこと
- それぞれが勝手に動く
- 私心で損得を言い合う
- お金を気づかず流す
- 散った関係を無理に戻す
仕事とお金
- 就職・転職
- 今の職場が人の入れ替わりで落ち着かないなら、転職や社内異動を考えてよい時で、別の業界も試せます。九二の「渙奔其机」のように、移った先ではまず頼れる人と得意分野を足場にすると、なじみやすくなります。
- 起業・商売
- 立て直しに向く時です。利益の出ない商品は畳み、滞っている資金を動かしましょう。九五の「渙王居」は王の蓄えを分け与えること。経営者が利益を社員に分けるほど、人の心は戻りやすくなります。
- お金
- お金が出ていきやすい時です。どこへ流れているかを洗い出しましょう。分けるべき利益は気前よく分け、止めるべき出費はすぐに止めるのが向いています。
恋愛と人間関係
- シングル
- 渙は氷が解ける卦で、閉じていた心を開いてよい時です。いつもの輪の外へ出て、新しい人と知り合うのに向いています。ただ熱は早く上がりやすいので、一時の好感をすぐ本気と取らないほうが安心です。
- パートナーがいる
- 互いに忙しく、少しずつ離れていきやすい時です。卦辞の「王假有廟」に倣い、決まった家族の行事や一緒にやり遂げる計画など、二人が大事にしているものを取り戻すと、心が寄り添いやすくなります。
- 復縁
- 見込みは低めです。すでに散った関係を無理に引き戻すと、また散りやすくなります。話すなら、まず体面や損得を手放すこと。六三の「渙其躬」のとおり、私心を散らせば、少なくとも悔いは残りにくくなります。
- 人間関係・協力
- 内輪の輪や派閥を崩す時です。六四の「渙其群元吉」のとおり、より大きな協力の網に組み直すと、反発はあっても効果は予想を超えやすくなります。共同で事業をするなら、共通の目標を中心に置きましょう。
暮らし
- 試験・学業
- 気が散り、計画がばらけやすい時期です。まず中心になる目標を一つ決め、手を広げた教材を一本にまとめましょう。初六の「用拯馬壮」のように、勉強仲間に引っぱってもらうと遅れを取り戻しやすくなります。
- 引っ越し・旅行
- 引っ越しや遠出によく向いています。巽の木が坎の水の上にあり、舟で川を渡る姿です。荷物や身分証は一か所にまとめておくと、置き忘れを防ぎやすくなります。
- 心身の状態
- こもった気持ちは口に出したり、外を歩いたりして、張り詰めたものを解くのに向く時期です。生活リズムも崩れやすいので、寝る時間は決めておきましょう。体の不調は一人で抱えず、時間を取って医師に相談してください。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 通じる見込みはありますが、人や条件がまだあちこちに散っています。誰かが声をかけ、関係者を同じ席に集めてはじめて動きやすい形です。待つだけでは宙に浮いたままになりがちです。
- 争い・訴訟
- 互いに一歩ずつ引いて、争いそのものを解いていく形に向きます。相手がこちらを傷つけ続けるなら、上九は傷を散らして遠くへ離れることを語ります。長くもつれるより、きっぱり縁を切るほうが傷は浅くすみやすくなります。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みは低めです。探すなら北の方角、水辺や湿った場所(坎)、木箱や木の家具のすき間(巽)を見てみましょう。
決断するとき
大きなことも進めてよい時です。前提は、正しい道を行き、目標がはっきりしていて、先に人の心をまとめておくことです。
たとえばこんな人なら
渙は散る卦ですが、卦辞は通じると言います。解散の前に誰の手柄かをはっきり伝え、資料と成果をまとめ、一人ひとりの次の行き先へ橋渡しをしましょう。人は散っても縁は残り、また集まる機会も生まれやすくなります。
渙は風が水面を吹くように、お金が知らないうちに散っていく姿です。まず1か月家計簿をつけ、細かいサブスクやコンビニでのついで買いを洗い出して、要らないものは止めましょう。先取りで貯める口座を作ると、お金が集まる場所ができやすくなります。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
亨,王假有廟,利涉大川,利貞。
亨る。王有廟に仮る。大川を渉るに利ろし。貞しきに利ろし。
通じます。王が宗廟に至ります(祭ります)。大きな川を渡るのがよく、正しさを守るのがよいです。
風水渙(ふうすいかん)は、上卦が巽(風)、下卦が坎(水)です。風が水の上を吹き渡り、水は散らされ、氷も解けていきます。この姿から「渙」、散らばる、解けるという意味になりました。
初六
用拯馬壯,吉。
用て拯うに馬壮んなり。吉。
力の強い馬を用いて救います。吉です。
問題が芽を出したばかり、人の心が離れ始めたばかりの段階です。すぐに力のある人や手段を頼って手を打てば、小さな労力で立て直しやすくなります。
小象:初六之吉,順也。
九二
渙奔其机,悔亡。
渙のとき其の机に奔る。悔亡ぶ。
散らばる中で、寄りかかれる台(机)へと走ります。悔いは消えます。
状況が乱れている時は、自分を落ち着かせてくれる場所へ早めに戻る形です。頼れる仲間や慣れた専門分野などがそれにあたります。支えがあれば、後悔することは減りやすくなります。
小象:渙奔其机,得願也。
六三
渙其躬,无悔。
其の躬を渙らす。悔なし。
自分自身(の私心)を散らします。悔いはありません。
自分の損得や体面をいったん置き、皆のことに心を向ける形です。目先では少し損をしても、あとで悔やむことにはなりにくいものです。
小象:渙其躬,志在外也。
六四
渙其群,元吉。渙有丘,匪夷所思。
其の群を渙らす。元いに吉。渙らして丘有り。夷の思う所に匪ず。
小さな徒党を散らします。大いに吉です。散らしたあと、丘のように大きく集まります。普通の人には思いもよらないことです。
仲良しグループや派閥を崩し、より大きなチームに組み直す形です。思い切りが要り、反発する人も出ますが、効果は予想を超えやすいものです。
小象:渙其群,元吉;光大也。
九五
渙汗其大號,渙王居,无咎。
其の大号を汗のごとく渙らし、王の居を渙らす。咎なし。
汗が出るように重大な号令を発し、王の蓄えを散じて分け与えます。咎はありません。
上に立つ人は決断の時です。進む方向をはっきり示し、資源や利益を皆に分けることで、人の心は戻ってきやすくなります。
小象:王居无咎,正位也。
上九
渙其血,去逖出,无咎。
其の血を渙らし、去りておそれより出づ。咎なし。
傷(血)を散らし、遠ざかり、恐れから抜け出します(朱熹は「逖」を「惕」と読みます)。咎はありません。
危ない物事や人がすでにそばにいる形です。未練を残さず、早く離れて縁を切りましょう。十分に距離を取ってこそ、傷を避けやすくなります。
小象:渙其血,遠害也。
渙,亨。剛來而不窮,柔得位乎外而上同。王假有廟,王乃在中也。利涉大川,乘木有功也。
渙は通じます。剛が下卦に来て行き詰まらず、柔は外卦で正しい位を得て、上と心を同じくしています。王が宗廟に至るとは、王が宗廟の中にいるということです(朱熹は「中」を廟の中と読みます)。大きな川を渡るのがよいのは、木の舟(巽は木)に乗って功を立てられるからです。
大象風行水上,渙;先王以享于帝立廟。
風、水上を行くは渙なり。先王以て帝に享し廟を立つ。
風が水の上を吹いていくのが渙です。古の王はこれを見て、天帝を祭り、宗廟を建てました。
序卦伝:なぜこの順番なのか說而後散之,故受之以渙;渙者離也。
前の兌は喜ぶことでした。人は心がのびやかになると、それまで結ぼれていたものが解けて散っていきます。そこで兌の後に渙が続きます。渙とは離れ散ることです。
雑卦伝渙離也,節止也。
雑卦伝は、渙は離れること、節は止めることと対にします。渙は結ぼれたものを散らし、対になる節は流れ出るものを止めます。一方は散らし、もう一方は収めるという対比です。
関連する卦よくある質問
渙卦が出たら、恋愛はどう読む?
渙は氷が解ける卦で、閉じていた心を開いてよい時です。いつもの輪の外へ出て、新しい人と知り合うのに向いています。ただ熱は早く上がりやすいので、一時の好感をすぐ本気と取らないほうが安心です。 互いに忙しく、少しずつ離れていきやすい時です。卦辞の「王假有廟」に倣い、決まった家族の行事や一緒にやり遂げる計画など、二人が大事にしているものを取り戻すと、心が寄り添いやすくなります。
渙卦が出たら、仕事はどう読む?
今の職場が人の入れ替わりで落ち着かないなら、転職や社内異動を考えてよい時で、別の業界も試せます。九二の「渙奔其机」のように、移った先ではまず頼れる人と得意分野を足場にすると、なじみやすくなります。 士気が下がり、それぞれが勝手に動いている時です。共通の目標を改めて示し、内輪の小さな輪を崩しましょう。組織の再編や部署をまたぐ協力を進めるのに向いています。
渙卦が出たら、待っていることは来る?
通じる見込みはありますが、人や条件がまだあちこちに散っています。誰かが声をかけ、関係者を同じ席に集めてはじめて動きやすい形です。待つだけでは宙に浮いたままになりがちです。
渙卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みは低めです。探すなら北の方角、水辺や湿った場所(坎)、木箱や木の家具のすき間(巽)を見てみましょう。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。