兌卦
喜び、語り合い、互いを説き伏せる時を語る卦です。内に誠があり外が和やかなら喜びは長続きし、機嫌取りで得た楽しさはつまずきのもとになりやすいものです。
一つのことを心に、筮竹で一卦立てる場が和み、話がよく通じる時で、交流や協力の相談、教え合うことに向いています。喜びは誠実さの上に築いてこそ長く続きます。正しさを守るほど遠くまで行きやすく、機嫌取りや迎合で得た楽しさは不安定になりがちです。
よいこと
- 和やかに協力を話し合う
- 友と教え合う
- 引き受けたことを守る
- 条件を書面に残す
避けたいこと
- 好かれたくて機嫌を取る
- 甘い言葉をうのみにする
- 人を誘って羽目を外す
- 遊びや飲み食いが過ぎる
仕事とお金
- 就職・転職
- 面接も給与の交渉も、伝え方がものを言う時です。実績は具体的に、温度を込めて話しましょう。相手から条件が出たら、その場でうなずかず、確認して書面に残してから決めるほうが安心です。
- 起業・商売
- 商談や販売、人を呼ぶイベントに向き、和やかさが利益を生みやすい時です。九四の「商兌未寧」のとおり、いくつかの案で迷うなら筋のよいほうを選び、安さだけの誘いは退けたほうが無難です。
- お金
- うまい話を熱心に勧められた時は、まず中身を調べましょう。真っ当な取引の相談なら進めてかまいません。
恋愛と人間関係
- シングル
- 兌は喜びの卦で、話が弾むこと自体がよい兆しです。集まりやサークルに顔を出す価値があります。初九の「和兌」のように、下心なく自然に接するほうが、無理に気に入られようとするより魅力が伝わりやすくなります。
- パートナーがいる
- 一緒にいて楽しい時期で、出かける計画や楽しみを一緒に考えるのに向きます。九二の「孚兌」は誠をもって喜ぶこと。甘い言葉だけで場をつなぐと、いずれ見抜かれやすくなります。
- 復縁
- 見込みはあります。ただ、本心から向き合い、過去の問題を正直に話せることが前提です。六三の「来兌」を爻辞は厳しく戒めます。こちらから寄っていって戻ってと頼み続けるほど、軽く見られやすくなります。
- 人間関係・協力
- 友人づくりや同業者との情報交換に向き、和やかに話せば協力もまとまりやすい時です。ただ、場の空気を守るために何にでもうなずくのは禁物。言うべきことは率直に伝えておきましょう。
暮らし
- 試験・学業
- 勉強会や、友人と問題を出し合うのにとても向いています。大象の「朋友講習」のとおり、人に説明したり質問に詰まったりした所ほど、記憶に残りやすいものです。
- 引っ越し・旅行
- 友人と連れ立っての旅行に向き、湖や海辺、にぎやかな場所も楽しめそうです。卦辞の「利貞」のとおり、出費と安全の線は守っておくと、羽目を外しすぎずに済みやすくなります。
- 心身の状態
- 気分は明るめですが、会食や付き合いが続き、飲み過ぎ食べ過ぎ、しゃべり疲れが出やすい時期です。人と会わない静かな日を何日か作りましょう。体の不調が続く時は、早めに受診してください。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 知らせは気軽な形で届きやすく、友人づての話や雑談から出てくることが多いものです。ただ、口約束は決定ではありません。実際に動きが見えるまでは確定と考えないほうが安心です。
- 争い・訴訟
- 席について話し合うのに向き、兌は口を表すので弁が立つほうが有利です。ただ口は争いも生みます。強い言葉は取り消せないので、態度は和やかに、筋は曲げないほうが不利になりにくいでしょう。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みはあります。誰かが見かけて話に出たことで行方がわかる形になりやすいものです。西の方角、水辺や低い所、コップや鉢など口の開いた器の中を探してみましょう。
決断するとき
進めてよい時で、鍵は人を納得させ、支持を得ることです。自分の筋を曲げて誰かの機嫌を取らなければならない選択肢は、選ばないほうがよいでしょう。
たとえばこんな人なら
兌は喜びの卦ですが、九五はこちらを削る者を信じると危ういと言います。ほめられても値下げに応じる理由にはなりません。値引きの線ははっきり伝え、喜んでもらうのは対応の速さや小さなおまけで。価格を守るほうが長い付き合いになりやすくなります。
兌は喜びであり口でもあります。配信で売れるのは、見る人と話が弾むことです。土を掘る場所や窯の失敗談を話すほうが、値段を連呼するより伝わります。ゆがみや色むらも正直に見せると、また買いに来てもらいやすくなります。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
亨。利貞。
亨る。貞しきに利ろし。
通じます。正しさを守るのがよいです。
兌為沢(だいたく)は、上卦も下卦も八卦の兌(沢)です。兌は沢であり喜びを表します。一つの陰が二つの陽の上にあり、喜びが表に出ている姿です。二つの沢が連なって互いを潤すことから「兌」、喜ぶという意味になりました。
初九
和兌,吉。
和して兌ぶ。吉。
和やかに喜びます。吉です。
下心を持たず、穏やかに人と接している形です。えこひいきも私心もないので、周りは自然と信頼を寄せやすくなります。
小象:和兌之吉,行未疑也。
九二
孚兌,吉,悔亡。
孚ありて兌ぶ。吉にして悔亡ぶ。
誠をもって喜びます。吉で、悔いは消えます。
本心から付き合い、言ったことを守っている形です。そうして得た好感がいちばん確かです。立場が少し気まずくても、その誠意が後悔の種を消しやすくなります。
小象:孚兌之吉,信志也。
六三
來兌,凶。
来たりて兌ぶ。凶。
自分から寄っていって喜びを求めます。凶です。
好かれたくて、得をしたくて相手に合わせすぎている形です。爻辞は厳しく戒めます。筋のない人になりやすく、利用されることもあります。まず自分が何を望むのかを確かめ、機嫌取りで関係を買わないほうが安全です。
小象:來兌之凶,位不當也。
九四
商兌,未寧,介疾有喜。
商りて兌ぶ。未だ寧からず。疾を介つれば喜び有り。
どちらの喜びに従うかをはかりにかけ、心が落ち着きません。よくない誘い(疾)を隔てて遠ざければ、喜びがあります。
正しい側と心ひかれる側の両方から引っぱられ、まだ損得を計算している形です。早めに正しい側を選び、誘いを門の外に置くほうが、よい結果につながりやすくなります。
小象:九四之喜,有慶也。
九五
孚于剝,有厲。
剥に孚す。厲うきこと有り。
こちらを削り取る者(剥)を信じます。危険があります。
高い立場にいて、口はうまいけれど実は自分をすり減らす人がそばにいる形です。耳に心地よすぎる言葉ほど気をつけ、お金や権限を簡単に預けないほうが守りやすくなります。
小象:孚于剝,位正當也。
上六
引兌。
引きて兌ぶ。
人を誘い込んで共に喜ばせます。
皆を巻き込んで一緒に楽しもうとしていますが、相手がついてくるとは限りません。小象は、この喜びはまだ光明ではないと言います。誘う動機が正しいか、一度自分に問い直すと迷いにくくなります。
小象:上六引兌,未光也。
兌,說也。剛中而柔外,說以利貞,是以順乎天,而應乎人。說以先民,民忘其勞;說以犯難,民忘其死;說之大,民勸矣哉!
兌とは喜ぶことです。剛が中にあって柔が外にあり、喜びながら正しさを守るのがよいので、天に順い、人の心に応じます。喜びをもって民の先に立てば、民はその苦労を忘れます。喜びをもって困難に向かわせれば、民は死を忘れます。喜びのはたらきは大きく、民はそれによって互いに励まし合うのです。
大象麗澤,兌;君子以朋友講習。
麗沢は兌なり。君子以て朋友講習す。
二つの沢が連なっているのが兌です。君子はこれを見て、友と共に語り合い、学んだことをおさらいします。
序卦伝:なぜこの順番なのか入而後說之,故受之以兌;兌者說也。
前の巽は入ることでした。互いの心に本当に入り込み、物事が整ってはじめて喜びが生まれます。そこで巽の後に兌が続きます。兌とは喜ぶことです。
雑卦伝兌見,而巽伏也。
雑卦伝は、兌は現れること、巽は伏すことと対にします。兌の喜びは口に出て人の目に見えるもので、巽はへりくだって内へ入っていき、目立ちません。通行の解釈では、兌は喜びを表に出すこと、巽は謙虚に退くことを重んじるとされます。
関連する卦よくある質問
兌卦が出たら、恋愛はどう読む?
兌は喜びの卦で、話が弾むこと自体がよい兆しです。集まりやサークルに顔を出す価値があります。初九の「和兌」のように、下心なく自然に接するほうが、無理に気に入られようとするより魅力が伝わりやすくなります。 一緒にいて楽しい時期で、出かける計画や楽しみを一緒に考えるのに向きます。九二の「孚兌」は誠をもって喜ぶこと。甘い言葉だけで場をつなぐと、いずれ見抜かれやすくなります。
兌卦が出たら、仕事はどう読む?
面接も給与の交渉も、伝え方がものを言う時です。実績は具体的に、温度を込めて話しましょう。相手から条件が出たら、その場でうなずかず、確認して書面に残してから決めるほうが安心です。 交渉、プレゼン、チームのまとめ役、同僚との情報交換に向く時です。気持ちよく働ける場をつくると皆が力を出しやすくなります。ただ、約束はできる範囲にとどめておきましょう。
兌卦が出たら、待っていることは来る?
知らせは気軽な形で届きやすく、友人づての話や雑談から出てくることが多いものです。ただ、口約束は決定ではありません。実際に動きが見えるまでは確定と考えないほうが安心です。
兌卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みはあります。誰かが見かけて話に出たことで行方がわかる形になりやすいものです。西の方角、水辺や低い所、コップや鉢など口の開いた器の中を探してみましょう。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。