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上 兌(沢)・下 乾(天)
夬沢天夬
第43卦 · 沢天夬

夬卦

長く引きずってきた問題に、けりをつける時を語る卦です。決断は必要ですが、力ずくではなく、公の場で筋道を立てて進めることが求められます。

一つのことを心に、筮竹で一卦立てる

長く引きずってきた問題を、いよいよ片づける時です。決断は公にし、理由をはっきり伝えること。それでも危うさは残ると心得て、まず自分の側を整えましょう。最初から喧嘩腰にならないことです。

よいこと

  • 理由を公にはっきり伝える
  • まず身内を整える
  • きっぱり決める
  • 恩恵を下に分ける

避けたいこと

  • 最初から喧嘩腰になる
  • 勝算なく突っ込む
  • 脅しの言葉を使う
  • 決めずに引き延ばす

仕事とお金

就職・転職
決める時が来ています。辞めるなら手続きを踏み、理由をはっきり伝えましょう。ただ初九は「往不勝為咎」と、勝算なく進むことを咎とします。次の行き先が見えないうちに、勢いで退職届を出すのは控えたいところです。
起業・商売
赤字の事業や筋の悪い取引を切る決心がつきやすい時です。卦辞の「告自邑」のとおり、まず社内に説明して足元を整えること。「不利即戎」とあるので、いきなり相手とぶつからないほうが話はこじれにくくなります。
お金
損切りすべきもの、手放すべきものは、決めて処理してよい時です。動きはきっぱりと。ただ、腹立ちまぎれに全部を投げ出すのは避けましょう。

恋愛と人間関係

シングル
あいまいな関係が長く続いているなら、気持ちを伝える頃合いです。互いに答えを出すきっかけになります。ただ、その場で返事を迫ると、強すぎる詰め寄りに相手が引いてしまいやすくなります。
パートナーがいる
胸につかえていることを話し合う時です。卦辞の「揚于王庭」は、問題を公にして筋道で語ること。テーブルに出して事実に沿って話し、口調を少しやわらかくすると、言い争いになりにくくなります。
復縁
夬は決断の卦で、区切りをつける方向に傾きます。相手の態度がもうはっきりしているなら、九五の「莧陸夬夬」のように、手放しにくくても断つ時です。もう一度試すなら、一度で伝えきるほうが悔いは残りにくくなります。
人間関係・協力
チームの中に問題を起こし続ける人がいて、対処すべき時です。大象は「施禄及下」と言います。問題を片づけながら、一緒に苦労した人に恩恵を分けると、周りがこちらの側に立ちやすくなります。

暮らし

試験・学業
転部や再受験で迷っているなら、決めてよい時です。九二の「惕号」のように、決めた後も気を抜かず進み具合を確かめておくと、試験前に何かあっても対応しやすくなります。
引っ越し・旅行
引っ越しや出発は決めてよい時で、下卦の乾が出だしの力になります。ただ上卦の兌は沢なので、水辺の予定や雨の日の移動には気をつけましょう。余裕のある計画のほうが崩れにくくなります。
心身の状態
決めなければならないことを抱え、緊張やいらだちが出やすい時期です。決めてしまえば楽になりやすいものです。夜更かしは控えめに。眠れない日が続いたり体調が崩れたりしたら、医師に相談すると安心です。

昔ながらの占的

待っていること
早めです。物事はもう結論が出るところまで来ています。こちらから表に出て問い合わせると決着しやすく、九四の「其行次且」のように進んでは止まるを繰り返すと、長引きやすくなります。
争い・訴訟
証拠がこちらにあれば、公の場で筋道を立てて進められます。ただ卦辞には「孚号有厲」とあり、正しくても危うさは残ります。主張をそろえて正式な手続きをとり、脅しめいた言葉は避けるほうが不利になりにくいものです。
失せ物・尋ね人
見つかる見込みは中くらいです。乾は高い所・丸い物・金属、兌は沢・口・欠けることを表します。高い棚の上段、金属の缶や箱、洗面台や口の開いた容器の近くを、早めに一度で探しきるのがよさそうです。

決断するとき

この件は決めてよく、方向は前へ進むほうです。ただし強引な手段はとらず、先に理由を説明して身内を納得させましょう。

たとえばこんな人なら

報酬の未払いが続く取引先と向き合うフリーランスの翻訳者

夬は決めてよい時ですが、公の場で筋道を立てることを求めます。契約書とやり取りの記録をそろえ、期限を明記した正式な書面を送り、相手の上司にも写しを。SNSで不満をぶつけるのは控え、それでも払われなければ法的な手続きへ。卦辞の「不利即戎」のとおり、段階を踏むほうがこじれにくくなります。

マンションの住民グループでうわさを流され、訂正を決めた人

九三は「君子夬夬、独行遇雨」、一人で立てば最初は雨に濡れ、出しゃばりだと言われることもあると読みます。事実と根拠を一度にまとめて投稿し、口調は穏やかに、名指しの非難はしないこと。その後は言い返し合いに乗らないほうが、話は収まりやすくなります。

これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。

揚于王庭,孚號,有厲,告自邑,不利即戎,利有攸往。

王庭に揚ぐ。孚ありて号ぶ。厲うきこと有り。自邑に告ぐ。戎に即くに利ろしからず。往く攸有るに利ろし。

王の朝廷で(小人の罪を)公に明らかにし、誠をもって人々に呼びかけますが、なお危うさがあります。まず自分の町に告げ、すぐに武力に訴えるのはよくありません。進んでいくのはよいです。

沢天夬(たくてんかい)は、上卦が兌(沢)、下卦が乾(天)です。沢の水が天の高さまで満ち、今にも堤を切ってあふれそうな姿です。五つの陽爻が下から押し上げ、いちばん上の陰爻一つを決し去ろうとしているので「夬」、決断と呼ばれます。

初九

壯于前趾,往不勝為咎。

前趾に壮んなり。往きて勝たざるを咎と為す。

足の指先に勢いがあって前へ出ようとします。進んでも勝てなければ、それが咎となります。

立場がいちばん低く、準備もいちばん足りない時ほど、前へ出たくなるものです。出て勝てなければ、責めは自分に返ってきます。勝算を先に見積もってから名乗りを上げるほうが、傷は少なくすみやすくなります。

小象:不勝而往,咎也。

九二

惕號,莫夜有戎,勿恤。

惕れて号ぶ。莫夜に戎有るも、恤うるなかれ。

警戒して呼びかけておけば、夜更けに兵が攻めてきても、心配することはありません。

ふだんから自分にもチームにも備えを呼びかけておく形です。リスクへの手当てを先にしておけば、思わぬトラブルが起きても慌てずに受け止めやすくなります。

小象:有戎勿恤,得中道也。

九三

壯于頄,有凶。君子夬夬,獨行遇雨,若濡有慍,无咎。

頄に壮んなり。凶有り。君子は夬夬たり。独り行きて雨に遇い、濡るるがごとくして慍らるること有るも、咎なし。

頬骨に強さが表れていて、凶があります。君子は決然と断ち切り、一人で進んで雨に遭い、濡れたようになって人に恨まれますが、咎はありません。

怒りが顔に出ると、事を壊しやすくなります。しばらくは相手と近づいて見え、身内から誤解されることもあるでしょう。何を断つのかが自分の中ではっきりしていれば、最後には説明がつきやすいものです。

小象:君子夬夬,終无咎也。

九四

臀无膚,其行次且。牽羊悔亡,聞言不信。

臀に膚なし。其の行くこと次且たり。羊を牽けば悔亡ぶ。言を聞くも信ぜず。

尻に肉がなく、歩みがはかどりません。羊を引くように後ろについて行けば悔いは消えますが、そう言われても信じないでしょう。

座っても落ち着かず、歩こうにも足が出ない状態です。ここで先頭を争わず、人の後ろから押す役に回れば、ずっと楽に進みやすくなります。ただ、こういう助言ほど耳に入りにくいものです。

小象:其行次且,位不當也。聞言不信,聰不明也。

九五

莧陸夬夬,中行无咎。

莧陸のごとく夬夬たり。中行なれば咎なし。

スベリヒユ(莧陸)を抜き取るように、きっぱりと断ち切ります。中道を行けば咎はありません。

断つべき人や事柄がすぐそばにあり、気持ちの上ではいちばん手を下しにくい形です。やると決めたら、やり方は苛烈にせず公平に。そのほうが後で自分の立場を保ちやすくなります。

小象:中行无咎,中未光也。

上六

无號,終有凶。

号ぶことなし。終に凶有り。

もう呼びかけて助けを求める相手もいません。最後には凶です。

大勢は決まり、自分が退けられる側に立っている形で、声を上げても応える人がいません。最後まで意地を張るより、早めに認めて自分から身を引くほうが、損は小さくすみやすくなります。

小象:无號之凶,終不可長也。

彖伝

夬,決也,剛決柔也。健而說,決而和,揚于王庭,柔乘五剛也。孚號有厲,其危乃光也。告自邑,不利即戎,所尚乃窮也。利有攸往,剛長乃終也。

夬とは決することで、剛が柔を決し去ることです。下は健やかで上は喜び、決断しながらも和やかさを保ちます。王の朝廷で公に明らかにするのは、一つの柔が五つの剛の上に乗っているからです。誠をもって呼びかけてもなお危ういとするのは、危うさを知ってこそ光明に至るからです。まず自分の町に告げ、武力に訴えるのがよくないのは、武を尊べば行き詰まるからです。進んでいくのがよいのは、剛が伸び続ければ事が終わるからです。

大象

澤上于天,夬;君子以施祿及下,居德則忌。

沢、天に上るは夬なり。君子以て禄を施して下に及ぼし、徳に居れば則ち忌まる。

沢の水が天に上っているのが夬です。君子はこれを見て、禄や恵みを下の人々に施します。徳をため込んで施さなければ、恨みを招きます(「居徳則忌」は朱熹も意味が明らかでないとし、ここでは一般的な解釈をとります)。

序卦伝:なぜこの順番なのか

益而不已,必決,故受之以夬;夬者決也。

前の益は増すことでした。増え続けて止まらなければ、いつか満ちて堤が切れるように決壊します。そこで益の後に夬が続きます。夬とは決すること、切り開き断ち切ることです。

雑卦伝

夬決也,剛決柔也。君子道長,小人道消也。

雑卦伝は、夬は決すること、剛が柔を決し去ることだとします。五つの陽が押し上げ、陰は一つだけ。君子の道が伸び、小人の道が消えていく時だという読みです。

関連する卦

よくある質問

夬卦が出たら、恋愛はどう読む?

あいまいな関係が長く続いているなら、気持ちを伝える頃合いです。互いに答えを出すきっかけになります。ただ、その場で返事を迫ると、強すぎる詰め寄りに相手が引いてしまいやすくなります。 胸につかえていることを話し合う時です。卦辞の「揚于王庭」は、問題を公にして筋道で語ること。テーブルに出して事実に沿って話し、口調を少しやわらかくすると、言い争いになりにくくなります。

夬卦が出たら、仕事はどう読む?

決める時が来ています。辞めるなら手続きを踏み、理由をはっきり伝えましょう。ただ初九は「往不勝為咎」と、勝算なく進むことを咎とします。次の行き先が見えないうちに、勢いで退職届を出すのは控えたいところです。 片づけるべき人事の問題や、たまった不良案件を、表に出して話し合える時です。まずチーム内で立場をそろえ、ルールと証拠で進めましょう。対立をあおるやり方は避けたいところです。

夬卦が出たら、待っていることは来る?

早めです。物事はもう結論が出るところまで来ています。こちらから表に出て問い合わせると決着しやすく、九四の「其行次且」のように進んでは止まるを繰り返すと、長引きやすくなります。

夬卦が出たら、失せ物は見つかる?

見つかる見込みは中くらいです。乾は高い所・丸い物・金属、兌は沢・口・欠けることを表します。高い棚の上段、金属の缶や箱、洗面台や口の開いた容器の近くを、早めに一度で探しきるのがよさそうです。

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