今は前へ突き進む時ではなく、止まって自分の持ち場を守る時です。何が自分のすべきことで、何が自分の手の届かないことかを見分け、外の雑音にはひとまず応じないでおきましょう。
よいこと
- 立ち止まって考える
- 自分の持ち場を守る
- 順序立てて話す
- 生活リズムを決める
避けたいこと
- 人の領分に口を出す
- 人を無理に引っぱる
- 結果を急かす
- 出発後に予定を変える
仕事とお金
- 就職・転職
- 転職や昇進争いの時ではありません。大象の「思不出其位」のとおり、まず今の担当を満たしましょう。どうしても替わりたいなら初六の「艮其趾」、足を出す前に止まって考えるほうが迷いにくくなります。
- 起業・商売
- 拡大はいったん止め、今のお客さんと手元の資金を守りましょう。彖伝の「時止則止、時行則行」のとおり、止まるのは商品や手順を整えるためです。時が来てから動くほうが、無理がかかりにくくなります。
- お金
- 衝動買いや、値上がりを追いかける買い方はやめておきましょう。今持っているものを守れば十分です。買い増しや、よく知らない新しい商品に手を出すのは、しばらく控えたいところです。
恋愛と人間関係
- シングル
- しばらくは新しい進展が起きにくく、気持ちも外に向きにくい時期です。彖伝は上下が「敵応」して応じ合わないと言います。互いに自分の場所に立っている時なので、まず自分の暮らしを整えましょう。
- パートナーがいる
- 二人ともそれぞれ意地を張りやすい時です。六二は「其心不快」、相手を引っぱろうとしても動かず心が晴れない形です。無理に説得せず、まず自分の側を整えるほうがこじれにくくなります。
- 復縁
- 見込みは低めです。急いで連絡すると、話すほどこじれやすいでしょう。九三は「厲薫心」、感情を押し殺して板ばさみになるのがいちばんつらい形です。まず止まって心を落ち着かせましょう。
- 人間関係・協力
- 人のことにはあまり口を出さず、それぞれが持ち場を守るのがよい時です。六四は「艮其身、无咎」。自分の言動を整え、人のうわさに加わらないほうが、協力はかえって進みやすくなります。
暮らし
- 試験・学業
- 腰を据えて勉強するのに向き、一度に一科目に集中するとよい時です。彖伝の「止其所」のとおり、机と時間帯を決め、スマホは切って、目の前の一冊だけに向かいましょう。
- 引っ越し・旅行
- 引っ越しや遠出はこの時期は向かず、延ばせるなら延ばしましょう。どうしても動くなら決めた予定どおりに。出発してから何度も変えず、止まるも行くもきっぱりと、が艮の流儀です。
- 心身の状態
- 卦辞の「艮其背」のように、心を動かない場所に置き、体のこわばりをほどく時です。寝る前はスマホを置いて静かに座ってみましょう。こわばりがずっと抜けないなら、我慢せず受診してください。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 遅めです。しばらくは動きがなく、短期で大きな変化は起きにくいでしょう。上九の「敦艮、吉」のとおり、最後まで落ち着いていられる人によい結果が来やすい形です。この間は何度も催促しないことです。
- 争い・訴訟
- 急いで手を打たないほうがよく、言い合うほど混乱しやすい時です。六五は「言有序、悔亡」。口を慎み、言うべきことを順に整理して伝えれば、後悔は残りにくくなります。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みは中くらいで、丁寧に探す必要があります。艮は山や石、門のあたりを表すので、部屋の隅、扉の脇、棚、壁ぎわ、階段の曲がり角を見てみましょう。方角は北東です。
決断するとき
今はやめておきましょう。ここで止まっても失うものはありません。時が来てから動くほうが、迷いは少なくなりやすいものです。
たとえばこんな人なら
艮は止まることを後押しする卦です。まず編集者と読者に、休む期間と戻る方向をはっきり伝えましょう。休む間は新しい原稿を自分に課さず、出かけたり展示を見たりして、十分たまってから描き始めるほうが、戻ったあとも続きやすくなります。
艮は止まるべき所に止まることを語ります。何か月も走り続けたあとに急に止まると、心に穴が空いたようになりがちです。すぐに次の案件や予定で埋めず、まずよく眠り、決まった生活リズムを作り、本当にしたいことを一つ二つ選んでゆっくり始めると、落ち着きやすくなります。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
艮其背,不獲其身,行其庭,不見其人,无咎。
其の背に艮まりて、其の身を獲ず。其の庭に行きて、其の人を見ず。咎なし。
背中に止まり(背は体の中で動かない所です)、自分の体さえ感じません。人のいる庭を歩いても、その人々が目に入りません。咎はありません。
艮為山(ごんいざん)は、上卦も下卦も艮(山)です。二つの山が重なり、どっしりと動きません。八卦の艮が二つ重なってできた卦なので、名も同じ「艮」、止まるという意味になりました。
初六
艮其趾,无咎,利永貞。
其の趾に艮まる。咎なし。永貞に利ろし。
足の指で止まります。咎はなく、長く正しさを守るのがよいです。
物事が始まったばかりで、踏み出す前に手を止める形です。ここで止まれば、損はいちばん小さくすみやすくなります。気をつけたいのは、数日たってまたうずうずと始め直してしまうことです。
小象:艮其趾,未失正也。
六二
艮其腓,不拯其隨,其心不快。
其の腓に艮まる。其の随うを拯わず。其の心快からず。
ふくらはぎで止まりますが、それが従っている上の腰を救えず、心は晴れません。
自分は止まれても、先頭の人やチームはまだ前へ突き進み、止めようにも止まらない形です。気が晴れないのは自然なこと。意見ははっきり伝えて記録に残し、人の決定まで一人で背負い込まないようにしましょう。
小象:不拯其隨,未退聽也。
九三
艮其限,列其夤,厲薰心。
其の限に艮まる。其の夤を列く。厲うきこと心を薫す。
腰で止まり、背骨に沿った肉が裂けるようです。危うく、焦りが煙のように心をいぶします。
無理に自分を完全に止めようとする形です。急に連絡を全部断つ、何もかも一斉にやめるといったやり方は、心も体も引き裂かれがちです。止めるべきところだけ止め、ほかに少し余裕を残すほうが、焦りは落ち着きやすくなります。
小象:艮其限,危薰心也。
六四
艮其身,无咎。
其の身に艮まる。咎なし。
体を止めます。咎はありません。
自分のふるまいを整えれば十分な時です。勢いでメッセージに返信しない、腹を立てたまま書類に判を押さない、などがそうです。人を動かす力はまだないので、まず自分を落ち着かせましょう。
小象:艮其身,止諸躬也。
六五
艮其輔,言有序,悔亡。
其の輔に艮まる。言うこと序有り。悔亡ぶ。
頬(口)を止めます。話に筋道と順序があり、悔いは消えます。
今は話すほど言い違いが増えやすい時です。考えてから口を開き、話す順番と軽重を整えましょう。感情的な一言を減らせば、あとで片づける面倒も一つ減りやすくなります。
小象:艮其輔,以中正也。
上九
敦艮,吉。
艮まるに敦し。吉。
厚く誠実な態度で止まります。吉です。
最後の局面でも、どっしりと原則を守る形です。交渉の締めくくりで急に譲らない、やめた習慣に戻らない、などがそうです。この厚みが、よい結末につながりやすくなります。
小象:敦艮之吉,以厚終也。
艮,止也。時止則止,時行則行,動靜不失其時,其道光明。艮其止,止其所也。上下敵應,不相與也。是以不獲其身,行其庭不見其人,无咎也。
艮とは止まることです。止まるべき時には止まり、行くべき時には行き、動くも静まるも時を外さなければ、その道は明るく輝きます。「其の止に艮まる」(卦辞の背に止まること)とは、止まるべき所に止まることです。上下の爻は互いに対立して応じ合わず、行き来がありません。だから自分の体も感じず、庭を歩いてもその人々が見えず、咎がないのです。
大象兼山,艮;君子以思不出其位。
兼ねたる山は艮なり。君子以て思うこと其の位を出でず。
山が二つ重なっているのが艮です。君子はこれを見て、考えることが自分の立場を超えないようにします。
序卦伝:なぜこの順番なのか物不可以終動,止之,故受之以艮;艮者止也。
物事はいつまでも動き続けることはできず、どこかで止めなければなりません。そこで震の後に艮が続きます。艮とは止まることです。
雑卦伝震起也,艮止也。
雑卦伝は、震は起こること、艮は止まることと対にします。震は動き出し、艮は静まります。山は歩かず、止まるべき所に来たらそこにとどまります。動と静の対比です。
関連する卦よくある質問
艮卦が出たら、恋愛はどう読む?
しばらくは新しい進展が起きにくく、気持ちも外に向きにくい時期です。彖伝は上下が「敵応」して応じ合わないと言います。互いに自分の場所に立っている時なので、まず自分の暮らしを整えましょう。 二人ともそれぞれ意地を張りやすい時です。六二は「其心不快」、相手を引っぱろうとしても動かず心が晴れない形です。無理に説得せず、まず自分の側を整えるほうがこじれにくくなります。
艮卦が出たら、仕事はどう読む?
転職や昇進争いの時ではありません。大象の「思不出其位」のとおり、まず今の担当を満たしましょう。どうしても替わりたいなら初六の「艮其趾」、足を出す前に止まって考えるほうが迷いにくくなります。 自分の担当の仕事を丁寧に仕上げることに集中しましょう。ほかの部署に口を出したり、目立とうと急いだりしないほうが無難です。新しい企画は少し寝かせ、手元の仕事をまとめる時です。
艮卦が出たら、待っていることは来る?
遅めです。しばらくは動きがなく、短期で大きな変化は起きにくいでしょう。上九の「敦艮、吉」のとおり、最後まで落ち着いていられる人によい結果が来やすい形です。この間は何度も催促しないことです。
艮卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みは中くらいで、丁寧に探す必要があります。艮は山や石、門のあたりを表すので、部屋の隅、扉の脇、棚、壁ぎわ、階段の曲がり角を見てみましょう。方角は北東です。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。