謙卦は六爻のどれにも悪い断辞がなく、とても安定した卦です。本当の謙虚さは自信のなさではなく、力があってもひけらかさず、分け合えることです。そうしていれば物事は少しずつ形になり、よい結末に向かいやすくなります。
よいこと
- 腰を低くして教わる
- 手柄を周りに分ける
- 多い分を足りない所へ
- 黙々と力を蓄える
避けたいこと
- 自慢して目立とうとする
- 口だけ謙虚で触れ回る
- 最低ラインまで譲る
- 細かく損得を数える
仕事とお金
- 就職・転職
- 力があっても目立とうと急がないこと。面接では自分のすごさより、実際にやってきたことを話しましょう。九三は「勞謙」、よく働いて手柄を誇らない人が最後に認められると読みます。
- 起業・商売
- 薄利でも評判を積み上げる、堅実な商いに向きます。交渉では先に少し譲ると長い付き合いになりやすいもの。ただ彖伝の「卑而不可踰」のとおり、譲るのは最低ラインの手前までです。
- お金
- 堅実に、偏りなく配分するやり方が合っています。大きく狙わないこと。余裕のある分を少し人に回すのもよく、人とのつながりも財産です。
恋愛と人間関係
- シングル
- わざとアピールするより、控えめで誠実なほうが好印象です。まず友人として話を聞き、少しずつ近づきましょう。自分を下げすぎて機嫌を取り続けるのは行きすぎです。
- パートナーがいる
- どちらも勝とうとしなければ関係は落ち着きます。大象の「裒多益寡」のように、家のことは余裕のあるほうが多めに引き受けて、細かく貸し借りを数えないことです。
- 復縁
- 自分の非を認めて、先に頭を下げてもかまいません。何が悪かったかをはっきり伝えましょう。ただ返事はすぐに求めないこと。謙卦のよい結末はゆっくりやって来ます。
- 人間関係・協力
- 手柄を分け、足りない人に資源を回すと、人は自然と一緒に動いてくれます。六四の「撝謙」は、謙虚さを行動に表すこと。丁寧な言葉をいくら重ねても、その代わりにはなりません。
暮らし
- 試験・学業
- 山が地の下に隠れるように、実力は少しずつ積み上がります。わからないことは聞き、今の実力を見られることを恐れない人が、最後に結果を出しやすいでしょう。
- 引っ越し・旅行
- 出かけるのも引っ越しも順調に運びやすい時です。新しい場所ではまず控えめに様子を見て、近所や同僚に丁寧にあいさつを。早くなじみやすくなります。
- 心身の状態
- 全体に穏やかな時期ですが、不満や我慢を飲み込みやすくなります。疲れたら疲れたと言い、いい人でい続けようと無理をしないこと。体調がすぐれなければ医療機関へ。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 来ますが、早くはありません。卦辞の「君子有終」のとおり、結果は後からついてくる形です。その間は自分の役目をこなし、何度も催促しなくて大丈夫です。
- 争い・訴訟
- まず一歩引き、自分の非がある部分は認めるほうが話は進みやすくなります。とはいえ上六は「利用行師」。本当に一線を越えられたら、言うべきことは主張しましょう。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みはあります。山が地中に隠れる象のとおり、何かの下敷きになっていそうです。低い所、部屋の隅、棚や引き出しの下段を一段ずつ探してみてください。
決断するとき
進めてかまいませんが、低い姿勢で臨みましょう。まず周りの意見を聞いてから決めるほうが、押し切るよりよい結果になりやすいでしょう。
たとえばこんな人なら
謙卦はそれでかまわないとします。九三の「勞謙君子有終」です。引き続き仕事をきちんとこなし、同僚の困りごとを手伝っていれば、上司はいずれ気づきやすくなります。昇進の話をする時は、成果を整理して淡々と示せば十分です。
大象の「裒多益寡、稱物平施」のとおり、きっちり等分するより、それぞれの実際の事情に合わせて分けるほうが納得を得やすいものです。先に少し譲ると話は早くまとまりやすくなります。ただ書類と譲れない線は守りましょう。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
亨,君子有終。
亨る。君子終わり有り。
通じます。君子はよい結末を得ることができます。
地山謙(ちざんけん)は、上卦が坤(地)、下卦が艮(山)です。高い山が地の下に隠れています。本来は高いものが、あえて低い所に身を置く。その姿から謙(けん)の象とされます。
初六
謙謙君子,用涉大川,吉。
謙謙たる君子、用て大川を渉る。吉。
へりくだったうえにもへりくだる君子は、大きな川を渡ることができます。吉。
いちばん下の、目立たない立場にいる時です。腰を低くして素直に学ぶほど、難しいことも成し遂げやすくなります。今の控えめさは損ではなく元手です。
小象:謙謙君子,卑以自牧也。
六二
鳴謙,貞吉。
鳴謙す。貞しくして吉。
謙虚だという評判が広まります。正しさを守れば吉。
周りはもうあなたの良さに気づき、口にもしてくれています。ほめられたからといってイメージづくりに走らず、これまでどおり誠実でいましょう。
小象:鳴謙貞吉,中心得也。
九三
勞謙君子,有終吉。
労謙す。君子終わり有りて吉。
功績がありながら謙虚な君子は、よい結末を得ます。吉。
いちばん働き、手柄も大きい。人が試されるのはまさにこういう時です。手柄を取り合わず誇らずにいれば、周りは自然と信頼を寄せ、仕事も最後までまとまりやすくなります。
小象:勞謙君子,萬民服也。
六四
无不利,撝謙。
利ろしからざるなし。謙を撝う。
不利なことは何もありません。謙虚さを行いに表して発揮すべきです。
上司と功労者の間にはさまれた、気をつかう位置です。自分から手柄を譲り、何事も分をわきまえて動くと、かえってどこでも物事が通りやすくなります。
小象:无不利撝謙;不違則也。
六五
不富,以其鄰,利用侵伐,无不利。
富めりとせずして其の隣を以てす。用て侵伐するに利ろし。利ろしからざるなし。
自分は富んでいないのに、隣人の支えを得ます。兵を出して討つのがよく、不利なことは何もありません。
財力や力ずくではなく、ふだんの人への接し方で支持を集めてきた人です。筋を通さず決まりを壊す相手が出てきたら、我慢し続けず手を打ってかまいません。
小象:利用侵伐,征不服也。
上六
鳴謙,利用行師,征邑國。
鳴謙す。用て師を行り、邑国を征するに利ろし。
謙虚だという評判が外に広まっています。兵を出すのはよいが、せいぜい自分の領地を正すまでです。
評判は得たのに、やりたいことはまだ形になっていません。外と争うより、自分の持ち場と身近な問題を整え、まず内側を片づける時です。
小象:鳴謙,志未得也。可用行師,征邑國也。
謙,亨,天道下濟而光明,地道卑而上行。天道虧盈而益謙,地道變盈而流謙,鬼神害盈而福謙,人道惡盈而好謙。謙尊而光,卑而不可踰,君子之終也。
謙は通じます。天の道は下へ恵みを施して光り輝き、地の道は低い所にありながら気は上へ昇ります。天の道は満ちたものを欠けさせて謙虚なものに益し、地の道は満ちたものを変えて謙虚なものへ流し込みます。鬼神は満ちたものに害をなして謙虚なものに福を与え、人の道は満ちたものを憎んで謙虚なものを好みます。謙虚な人は尊い位にあれば徳がいっそう輝き、低い位にあっても誰もその人を越えることはできません。これが、君子がよい結末を得るわけです。
大象地中有山,謙;君子以裒多益寡,稱物平施。
地中に山有るは謙なり。君子以て多きを裒らし寡なきを益し、物を称りて施しを平らかにす。
地の中に山があるのが謙です。君子はこれを見て、多いところを減らして少ないところに足し、物の多い少ないを量って公平に分け与えます。
序卦伝:なぜこの順番なのか有大者不可以盈,故受之以謙。
前の卦は大有で、多くを持っている状態です。多くを持つ者は満ちたままでいてはならず、満ちれば欠けます。そこで大有の後に謙が続きます。
雑卦伝謙輕,而豫怠也。
謙は自分を軽く見て低く置くこと、対になる豫は安楽になると怠けやすいことです。一方は身を引き締め、もう一方は気がゆるみやすい、という対比です。
関連する卦よくある質問
謙卦が出たら、恋愛はどう読む?
わざとアピールするより、控えめで誠実なほうが好印象です。まず友人として話を聞き、少しずつ近づきましょう。自分を下げすぎて機嫌を取り続けるのは行きすぎです。 どちらも勝とうとしなければ関係は落ち着きます。大象の「裒多益寡」のように、家のことは余裕のあるほうが多めに引き受けて、細かく貸し借りを数えないことです。
謙卦が出たら、仕事はどう読む?
力があっても目立とうと急がないこと。面接では自分のすごさより、実際にやってきたことを話しましょう。九三は「勞謙」、よく働いて手柄を誇らない人が最後に認められると読みます。 よく聞き、手柄を譲り、必要としている人に資源を回しましょう。目立たずに仕事を重ねることが、長い目で見ていちばん信頼につながります。
謙卦が出たら、待っていることは来る?
来ますが、早くはありません。卦辞の「君子有終」のとおり、結果は後からついてくる形です。その間は自分の役目をこなし、何度も催促しなくて大丈夫です。
謙卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みはあります。山が地中に隠れる象のとおり、何かの下敷きになっていそうです。低い所、部屋の隅、棚や引き出しの下段を一段ずつ探してみてください。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。