中孚卦
心の底から出た誠は、いちばん鈍いものまで動かすと語る卦です。真心は難所を越える力になりますが、信じる相手や守るものを誤ると、かえってつまずきやすくなります。
一つのことを心に、筮竹で一卦立てる物事が進むかどうかは、本気かどうか、言ったことを守るかどうかにかかっています。誠が足りていれば、少し難しいことも前へ押し出せます。ただ守るのは正しい約束であるべきで、手放すべきこだわりに固執すると、つまずきやすくなります。
よいこと
- 言ったことを守る
- 相手をよく見定める
- 状況を正直に話す
- 得たものを分け合う
避けたいこと
- 二股をかける
- できる以上のことを言う
- 気分で態度が変わる
- 口約束をうのみにする
仕事とお金
- 就職・転職
- 面接では、実際にやってきたことを飾らずに話すほうが伝わります。初九の「虞吉」のとおり、応募前に会社をよく調べ、決めたら集中を。あちこちに同時に条件を出して回ると、信用を落としやすくなります。
- 起業・商売
- 信頼が前提の提携や長期契約に向き、約束は書面に落としておきましょう。彖伝の「乗木舟虚」は中が空の舟で、だから浮かびます。得をしようという思いをいったん置き、条件を正直に並べるほうが話はまとまりやすくなります。
- お金
- 信頼できる相手との協力に向き、やり取りは書面ではっきりさせておきましょう。出どころのわからない話や、口約束だけの儲け話には近づかないほうが安心です。
恋愛と人間関係
- シングル
- テクニックより真心が効く時で、中孚は心の中が誠実であることです。新しく知り合った人には自分の状況を正直に話し、演じなくてかまいません。気の合う人なら自然に応えてくれやすいものです。
- パートナーがいる
- 九五の「有孚攣如」は、言ったことを守ることで二人が結ばれる姿です。小さな約束ほど大事にしましょう。信頼にひびが入ると、けんかよりも直すのに時間がかかりやすくなります。
- 復縁
- 見込みはありますが、真心で応える必要があります。相手が見ているのは言葉が本当かどうかで、まず小さなことで約束を守ることから。六三のように進んだり止まったりを繰り返すと、相手は離れやすくなります。
- 人間関係・協力
- 九二の「鳴鶴在陰、其子和之」のとおり、誠実な人は大声を出さなくても、合う仲間が応えてくれます。協力して得たものは分け合いましょう。そのほうが結びつきは強くなりやすいものです。
暮らし
- 試験・学業
- 目標を実力より高く掲げすぎないことです。上九は鶏が天に昇ろうとする姿を戒めます。模試の結果がどこであれ、そこから一段ずつ計画を組むほうが、自分に正直なぶん伸びやすくなります。
- 引っ越し・旅行
- 卦辞に「利渉大川」とあり、海を越える遠出にも向きます。同行者とは予算と役割を先に決めて守りましょう。宿や切符は、安さより評判の確かな所を選ぶほうが安心です。
- 心身の状態
- 思っていることと口にすることが食い違うと、いちばん疲れやすくなります。本当の気持ちを信頼できる一人に話し、生活のリズムを整えましょう。眠れない日や体の重さが続く時は、医師に相談してください。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 双方の気持ちがかみ合ってはじめて返事が来る形です。六四は月がほぼ満ちる姿で、かなり近くまで来ています。こちらが信頼できると相手が確かめれば、返事は届きやすくなります。
- 争い・訴訟
- 大象の「議獄緩死」は、裁きはよく話し合い、急がないということです。言い切って関係を断つ前に、事実を確かめてから誠意をもって話しましょう。確かな証拠があれば、相手も譲りやすくなります。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みは中くらいからやや高めです。巽は縄や長い木、兌は口を表します。南東の方角、ひもを掛けている所、細長い木の家具のそば、袋やカップなど口の開いた入れ物の中を見てみましょう。
決断するとき
本心から出た、人に恥じない決断なら、進めてよい時です。多少の難しさがあっても、試してみる価値はあります。
たとえばこんな人なら
中孚は、誠は豚や魚にまで届くと語ります。子どもが言葉を信じなくなったのは、先延ばしが重なったからかもしれません。次はできることだけを約束し、週末に公園へ行くと決めたら時間どおりに出かけましょう。それを重ねれば、言葉はまた信じてもらいやすくなります。
沢の上を風が渡ると、水面の全体にそれが伝わります。特別な品を用意するより、越してきた時に短くあいさつし、ごみ出しや騒音の決まりを守りましょう。小さな約束を守る姿は、少しずつ近所に伝わりやすいものです。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
豚魚吉,利涉大川,利貞。
豚魚にして吉。大川を渉るに利ろし。貞しきに利ろし。
誠が豚や魚にまで届いて、吉です。大きな川を渡るのによく、正しさを守るのがよいです。
風沢中孚(ふうたくちゅうふ)は、上卦が巽(風)、下卦が兌(沢)です。風が沢の上を渡り、水面が一面に波立ちます。中の二本が陰で空、上下が陽で満ちた形が、心は虚で誠が満ちる姿に見えるので「中孚」、孚は誠という意味です。
初九
虞吉,有它不燕。
虞れば吉。它有れば燕からず。
信じる相手をよく見定めれば吉です。ほかに心を移せば、安らかではいられません。
組む相手や付き合う相手を、最初によく確かめる段階です。決めたらそこに集中を。並行してほかの候補を探し続けると、どちらとも落ち着かない関係になりやすくなります。
小象:初九虞吉,志未變也。
九二
鳴鶴在陰,其子和之,我有好爵,吾與爾靡之。
鳴鶴陰に在り、其の子之に和す。我に好爵有り、吾爾と之に靡かん。
鶴が木陰で鳴くと、その子が声を合わせて応えます。わたしにはよい酒杯(皆が慕う徳のたとえ)があり、わたしもあなたもそれに心を引かれます。
本心は大声で言わなくても、合う人には届きます。よい機会や手に入れたものを仲間と分け合う気持ちがあれば、その誠意で結びつきは強くなりやすいものです。
小象:其子和之,中心願也。
六三
得敵,或鼓或罷,或泣或歌。
敵を得たり。或いは鼓し或いは罷め、或いは泣き或いは歌う。
相手に出会い、太鼓を打って進んだかと思えば止まり、泣いたかと思えば歌います。
相手の出方に気持ちを振り回され、攻めたり引いたり、沈んだり浮かれたりしている状態です。大事な返事や決定は、気持ちの波がいちばん大きい時を避け、落ち着いてからのほうが後悔しにくくなります。
小象:或鼓或罷,位不當也。
六四
月幾望,馬匹亡,无咎。
月望に幾し。馬匹亡う。咎なし。
月がほぼ満ちようとしています。並んで引く馬の一頭がいなくなります(仲間から離れます)。咎はありません。
上の立場にかなり近づき、選ぶ時が来ています。これまでの仲間内から少し距離を置き、上への責任に専念する形です。寂しさはあっても、その選び方は間違いになりにくいものです。
小象:馬匹亡,絕類上也。
九五
有孚攣如,无咎。
孚有りて攣如たり。咎なし。
誠があって、互いに固く結ばれています。咎はありません。
人をまとめる立場で、頼りになるのは言ったことを守る姿勢です。チームや相手との信頼は少しずつ積み上がるもので、その場の都合で例外を作らないほうが崩れにくくなります。
小象:有孚攣如,位正當也。
上九
翰音登于天,貞凶。
翰音天に登る。貞しけれども凶。
鶏(翰音)が天に昇ろうとします。正しさを守っても凶です。
評判が実力より先に膨らんでいるか、とうに見直すべきことに固執している形です。鶏は空高くは飛べません。言うことを実際にできる範囲に戻し、やり方を変えるほうが落ちる高さは低くすみやすくなります。
小象:翰音登于天,何可長也。
中孚,柔在內而剛得中。說而巽,孚乃化邦也。豚魚吉,信及豚魚也。利涉大川,乘木舟虛也。中孚以利貞,乃應乎天也。
中孚は、柔が卦の内にあり、剛が上下卦の中の位を得ています。下は喜び、上は従って入り込むので、誠が国じゅうを感化します。豚や魚にまで吉というのは、誠が豚や魚にまで届くということです。大きな川を渡るのによいのは、木でできた中の空いた舟に乗るようなものだからです。中孚で正しさを守るのがよいのは、それで天に応じるからです。
大象澤上有風,中孚;君子以議獄緩死。
沢上に風有るは中孚なり。君子以て獄を議し死を緩くす。
沢の上に風があるのが中孚です。君子はこれを見て、裁きをよく話し合い、死刑の判断はゆるやかに慎重にします。
序卦伝:なぜこの順番なのか節而信之,故受之以中孚。
前の節は、節度を設けて決まりを立てることでした。決まりは、皆が本心から信じて守ってこそ根づきます。そこで節の後に中孚が続きます。中孚とは、心の中の誠です。
雑卦伝小過過也,中孚信也。
雑卦伝は、中孚は信、小過は過ぎることと対にします。中孚は心の中に満ちた誠を語り、小過はふるまいが普段より少し度を越すことを語ります。二つの卦は陰陽の爻がちょうど反対になっています。
関連する卦よくある質問
中孚卦が出たら、恋愛はどう読む?
テクニックより真心が効く時で、中孚は心の中が誠実であることです。新しく知り合った人には自分の状況を正直に話し、演じなくてかまいません。気の合う人なら自然に応えてくれやすいものです。 九五の「有孚攣如」は、言ったことを守ることで二人が結ばれる姿です。小さな約束ほど大事にしましょう。信頼にひびが入ると、けんかよりも直すのに時間がかかりやすくなります。
中孚卦が出たら、仕事はどう読む?
面接では、実際にやってきたことを飾らずに話すほうが伝わります。初九の「虞吉」のとおり、応募前に会社をよく調べ、決めたら集中を。あちこちに同時に条件を出して回ると、信用を落としやすくなります。 取引先や同僚との間では、信用がいちばんの財産です。口のうまさより、約束を果たすほうが道は開けやすい時です。互いの信頼が前提になる提携の話を進めるのにも向きます。
中孚卦が出たら、待っていることは来る?
双方の気持ちがかみ合ってはじめて返事が来る形です。六四は月がほぼ満ちる姿で、かなり近くまで来ています。こちらが信頼できると相手が確かめれば、返事は届きやすくなります。
中孚卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みは中くらいからやや高めです。巽は縄や長い木、兌は口を表します。南東の方角、ひもを掛けている所、細長い木の家具のそば、袋やカップなど口の開いた入れ物の中を見てみましょう。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。