節卦
節度と分をわきまえることを語る卦です。竹の節のように、止まるべき所で止まり、通すべき所は通します。ただ、節制が行き過ぎて苦しみになると長くは続きません。
一つのことを心に、筮竹で一卦立てる何事にも分と上限を持ち、止まるべき所では止まりましょう。節度は物事を通じさせますが、行き過ぎて苦しみになると、かえって続かなくなります。自分にも人にも無理のない程度を見つけましょう。
よいこと
- 先に予算の上限を決める
- 決まりに沿って一歩ずつ
- 自分から手本を示す
- 時機が来たら外へ出る
避けたいこと
- 体を壊すほど切り詰める
- 決まりを厳しくしすぎる
- 欲しいまま使う
- 動くべき時に縮こまる
仕事とお金
- 就職・転職
- 応募の前に、給与の下限や通勤時間の上限など条件を決めておくと、絞り込みが早くなります。ただ九二の「不出門庭」を爻辞は厳しく戒めます。よい話が来ても選び続けて動かないと、機会を逃しやすくなります。
- 起業・商売
- 予算を組み、原価を抑え、値付けに決まりを設けるのに向きます。彖伝は「節以制度、不傷財」と言います。ただ節約にも限度があり、人や品質を削るほど切り詰めるやり方は、長続きしにくいものです。
- お金
- 予算を立て、支出を抑え、貯めるのに向く時です。節約は長く続けられることが大事で、厳しすぎるとどこかで反動が来やすくなります。
恋愛と人間関係
- シングル
- 関係は一節ずつ進めるくらいがちょうどよく、会うことも付き合うことも急に飛ばさないほうが安心です。相手への条件も、買い物リストのように細かく決めすぎると、出会いの入口を自分で狭めやすくなります。
- パートナーがいる
- それぞれの時間やお金の分け方など、線引きを話し合って決めておくと、もめごとは減りやすくなります。九五の「甘節」のとおり、自分が先に守り、相手にも心地よい形にすると、協力してもらいやすくなります。
- 復縁
- 見込みは中くらいからやや低めです。別れた理由がお金や感情の抑えのなさなら、六三の「不節若、則嗟若」のとおり、そこが変わらないかぎり、戻ってもまた嘆くことになりやすいでしょう。
- 人間関係・協力
- 協力する前に、役割分担、利益の分け方、抜ける時の条件を話しておきましょう。大象の「制数度」のとおりです。親しい間柄でも線は必要で、毎回こちらだけが多く引き受けたり譲ったりしないほうが続きやすくなります。
暮らし
- 試験・学業
- 勉強は毎日の量を決めておくのが向いています。沢に入る水に限りがあるように、詰め込みすぎるとあふれて残りません。六四の「安節」のように習慣になれば、意志の力で無理に続けなくても済みやすくなります。
- 引っ越し・旅行
- 出かける前に予算と日程の上限を決めておくと、出費が膨らみにくくなります。道が通じない、時機が合わない時は、初九の「不出戸庭、无咎」のとおり、しばらく延ばしてもかまいません。
- 心身の状態
- 起きる時間や食事の時間と量を決め、暮らしに節目をつけると、気持ちも落ち着きやすい時期です。感情を抑え込みすぎないことも大事です。何日も気力がわかない、体の調子がおかしい時は、医師に診てもらってください。
昔ながらの占的
- 待っていること
- 節目ごとに進む形で、その段階に来てはじめて次が動きます。急かしても早まりにくいものです。ただ縮こまってばかりではなく、自分が動く番が来たら、こちらから手を打ちましょう。
- 争い・訴訟
- 交渉の前に、どこまで譲るか、どの条件で手を引くかを決めておきましょう。決まりに沿って一歩ずつ進め、言い合いで勝とうとしないこと。相手を追い詰めず、ほどほどで収めるほうがこじれにくくなります。
- 失せ物・尋ね人
- 見つかる見込みは中くらいです。北の方角、水回りの近く(坎)、洗面台や流しのそば、低くくぼんだ所(兌)を探してみましょう。
決断するとき
始める前に範囲と損切りの線を決め、計画どおりに進めましょう。時機を見て、動くべき時は縮こまらないことです。
たとえばこんな人なら
卦辞は「苦節不可貞」と言います。外食も趣味も一度に全部やめると、家族の不満がたまって続きにくくなります。毎月の上限を家族と一緒に決め、自由に使える枠も少し残しておきましょう。守れる決まりにして、月に一度見直すと続きやすくなります。
節は物事に限度を与える卦で、仕事にも範囲があってこそ長く続きます。料金表と追加分の料金を書面にし、最初は穏やかに説明しましょう。自分が毎回その通りに受け取っていれば、客の側も受け入れやすくなります。
これは変爻がないときの読み方です。変爻があれば朱熹の考変占法で読むべき爻を見ます。卦を立てると結果ページで直接わかります。
亨。苦節不可貞。
亨る。苦節は貞にすべからず。
通じます。度を越して苦しい節制を、変わらぬ道として守り続けてはいけません。
水沢節(すいたくせつ)は、上卦が坎(水)、下卦が兌(沢)です。沢の上に水がありますが、沢が受け止められる水には限りがあり、満ちれば抑えなければなりません。そこから「節」、ほどよく区切るという意味になりました。
初九
不出戶庭,无咎。
戸庭を出でず。咎なし。
戸口の外の庭にも出ません。咎はありません。
まだ時機が来ておらず、外は通じていない形です。守るべき時は守り、口数を減らし、軽々しく動かないこと。道が開けてから出ていくほうが無難です。
小象:不出戶庭,知通塞也。
九二
不出門庭,凶。
門庭を出でず。凶。
門の内の庭にも出ません。凶です。
もう時機が来ているのに、その場から動かない形で、爻辞は厳しく戒めます。動くべき時に守りすぎると機会を逃しやすくなります。今まさに手から抜けていきそうな機会を洗い出してみましょう。
小象:不出門庭凶,失時極也。
六三
不節若,則嗟若,无咎。
節若たらざれば、則ち嗟若たり。咎なし。
節度を守らなければ、嘆くことになります。咎はありません(王弼は、自分で招いたことで誰も責められない、と読みます)。
お金も飲み食いも感情も抑えずにいると、結果が出た時に一人でため息をつくことになりやすい形です。今のうちに上限を決め、早めに手を引くほうが、後悔は小さくすみやすくなります。
小象:不節之嗟,又誰咎也。
六四
安節,亨。
節に安んず。亨る。
節度に安んじます。通じます。
無理なく自然に決まりを守り、分をわきまえていて、窮屈さを感じていない形です。こうした節度がいちばん長続きし、物事も進みやすくなります。
小象:安節之亨,承上道也。
九五
甘節,吉;往有尚。
節に甘んず。吉。往けば尚ばるること有り。
節度を心地よく守ります。吉です。進んでいけば尊ばれます。
立場のある人が自ら手本を示し、その節度が周りにとっても心地よく、皆が進んでついてくる形です。この姿勢で物事を進めると、認められやすくなります。
小象:甘節之吉,居位中也。
上六
苦節,貞凶,悔亡。
苦節す。貞しくとも凶。悔亡ぶ。
度を越して苦しい節制です。正しさを守っても凶です。悔いは消えます。
自分や人を締めつけすぎている形です。暮らしに響くほど切り詰める、決まりが多すぎてチームが息苦しい、などがそれです。無理に続けるとつまずきやすくなります。ただ倹約しすぎは贅沢より立て直しやすいので、皆が続けられる水準に戻せば悔いも消えていきやすくなります。
小象:苦節貞凶,其道窮也。
節,亨,剛柔分,而剛得中。苦節不可貞,其道窮也。說以行險,當位以節,中正以通。天地節而四時成,節以制度,不傷財,不害民。
節が通じるのは、剛と柔が分かれ、剛が中の位を得ているからです。度を越して苦しい節制を守り続けてはいけないのは、その道が行き詰まるからです。喜びをもって険しさに向かい、ふさわしい位にあって節度を保ち、中正であるので通じます。天地に節度があるから四季が成り立ちます。制度によって節度を設ければ、財を損なわず、民を害しません。
大象澤上有水,節;君子以制數度,議德行。
沢上に水有るは節なり。君子以て数度を制し、徳行を議す。
沢の上に水があるのが節です。君子はこれを見て、数や決まりを定め、徳と行いを論じます。
序卦伝:なぜこの順番なのか物不可以終離,故受之以節。
前の渙は離れ散ることでした。物事はいつまでも散ったままではいられず、どこかで収まり、限度が必要になります。そこで渙の後に節が続きます。
雑卦伝渙離也,節止也。
雑卦伝は、節は止めること、渙は離れることと対にします。節は沢の水が一定の量まで来たら止まるように、物事に限度を設けます。対になる渙は人の心や物事が外へ離れていくことで、止まる節と散る渙という対比です。
関連する卦よくある質問
節卦が出たら、恋愛はどう読む?
関係は一節ずつ進めるくらいがちょうどよく、会うことも付き合うことも急に飛ばさないほうが安心です。相手への条件も、買い物リストのように細かく決めすぎると、出会いの入口を自分で狭めやすくなります。 それぞれの時間やお金の分け方など、線引きを話し合って決めておくと、もめごとは減りやすくなります。九五の「甘節」のとおり、自分が先に守り、相手にも心地よい形にすると、協力してもらいやすくなります。
節卦が出たら、仕事はどう読む?
応募の前に、給与の下限や通勤時間の上限など条件を決めておくと、絞り込みが早くなります。ただ九二の「不出門庭」を爻辞は厳しく戒めます。よい話が来ても選び続けて動かないと、機会を逃しやすくなります。 ルールや予算、手順をはっきり決めると、仕事が回りやすくなります。ただ決まりを厳しくしすぎると、チームの反発を招きやすいので気をつけましょう。
節卦が出たら、待っていることは来る?
節目ごとに進む形で、その段階に来てはじめて次が動きます。急かしても早まりにくいものです。ただ縮こまってばかりではなく、自分が動く番が来たら、こちらから手を打ちましょう。
節卦が出たら、失せ物は見つかる?
見つかる見込みは中くらいです。北の方角、水回りの近く(坎)、洗面台や流しのそば、低くくぼんだ所(兌)を探してみましょう。
一卦は一つの問いに答え、命盤はあなた自身とこの一年の全体を映します。
経文は『周易』の通行本によります。現代語訳と読み方は星格が書いた参考で、定説ではありません。