廉貞星の性情

〈廉貞星性情〉

『紫微斗数全書』巻二・安星起例と十二宮・原文と現代語訳

はじめに

廉貞星は火に属し、北斗の星で、化気は次桃花・殺・囚星、官禄の主です。全書は廉貞星の人を「身長體壯,眼露神光」と描き、気性は硬く、浮ついて、争いを好むとします。

この篇の流れは次のとおりです。

  • ほかの星との関係(第2段):入廟すれば武職で貴、府相左右や科権禄存と同宮すれば富貴、昌曲・七殺に逢えば武功を立て、擎羊星と同宮すれば毎日是非があり、破軍星・火鈴と同宮すれば、原文は「狗悻狼心」とののしります。
  • 年干と宮(第3〜8段):巳・亥の陥宮では祖業を捨てて孤独、六甲年生まれが寅・申に座れば上格、六丙年生まれが子午卯酉に座れば急に起こって急に崩れます。
  • 女命(第9〜10段):三合から吉星が拱照すれば封贈をつかさどり、入廟して化禄すれば剛烈で機転がきき、夫を盛り立て子に益があります。最後の一句は、廉貞星は天相星との同宮を最も喜び、その悪を化せるとまとめます。
  • 宮ごと(第11〜16段)と三組の吉凶訣。

底本のこの篇にはいくつか文字の問題があります。「克骨」は顴骨の誤りと思われ、「狗悻」にも誤字がありそうで、「格故鼎新」は革故鼎新とすべきです。第13段は寅の宮の廉貞星を「和平」としますが、巻二の廟旺表でも星格の盤でも寅の宮の廉貞星は廟です。

1廉貞屬火,北斗化次桃花殺、囚星,為官祿主。為人身長體壯,眼露神光,眉毛中大克骨亦露,性硬浮蕩,好忿爭。

書き下し廉貞は火に属し、北斗、化して次桃花、殺、囚星、官禄の主たり。人と為り身長く体壮、眼に神光露れ、眉毛中大にして克骨もまた露る、性硬く浮蕩、忿争を好む。

現代語訳廉貞星は五行で火に属し、北斗の星で、化気は次桃花・殺・囚星であり、官禄の主です。廉貞星が坐命する人は、背が高く体格がたくましく、目に鋭い光があり、眉の中ほどが太く、頬骨も張り出しています。気性は硬く、浮ついていて、怒って争うのを好みます。

次桃花
貪狼星に次ぐ二番目の桃花の星。
囚星
廉貞星の化気は囚です。

校勘 「眉毛中大克骨亦露」の「克骨」は顴骨(頬骨)の誤りと思われ、それに従って訳しています。

解説

廉貞星坐命の総論です。化気に「次桃花」「殺」「囚」の三つを同時に持ち、十四主星の中で最も込み入った星です。次桃花は人との縁と欲を、殺は剛烈さを、囚は縛ることを言います。全書の廉貞星の性情の描写は否定寄りで、「性硬浮蕩,好忿爭」と言い、〈廉貞星の主るところは〉はさらに「主人心狠性狂,不習禮義」と言います(廉貞星の主るところは)。

今は廉貞星の「囚」の面を自分を律する、筋を通すと読み、「次桃花」を広報や人付き合いの力と読むことがよくあります。これは現代に広げた読み方で、全書そのものが強調しているのは、この星が御しにくいということです。星格の盤では、廉貞星は寅・申で入廟し、巳・亥で落陥します。

✎ メモ

2入廟武職貴,遇府相左右有科權祿存同宮富貴。逢昌曲七殺立武功。與擎羊同是非日有。破軍火鈴同,狗悻狼心。

書き下し入廟すれば武職にて貴、府相左右に遇い科権禄存の同宮する有れば富貴。昌曲七殺に逢えば武功を立つ。擎羊と同じければ是非日に有り。破軍火鈴と同じければ、狗悻狼心。

現代語訳入廟すれば、武官として貴くなります。天府星・天相星・左輔星・右弼星に遇い、さらに化科・化権・化禄・禄存星が同宮すれば富貴です。文昌星・文曲星・七殺星に逢えば、武功を立てます。擎羊星と同宮すれば、毎日是非があります。破軍星・火星・鈴星と同宮すれば、狼や犬のように心がむごく卑しいです。

狗悻狼心
心がむごく、行いが卑しいことのたとえ。ふつうは狼心狗行と言います。

校勘 「狗悻狼心」には誤字があると思われ、狼心狗行とする言い方や、狗倖とする読み方もあります。どれも心がむごく、行いが卑しいという意味です。

解説

この段は五通りの廉貞星を一気に並べています。入廟すれば武職で貴、府相左右・化吉・禄存星と同宮すれば富貴、昌曲・七殺星に逢えば武功を立て、擎羊星と同宮すれば毎日是非があり、破軍星・火鈴と同宮すれば「狗悻狼心」で、これは原文どおりに訳しています。

ここから全書の廉貞星の見方がわかります。廉貞星を縛れる星(天府星・天相星・禄存星・化吉)に遇えば器になり、剛烈さをあおる星(擎羊星・破軍星・火鈴)に遇えば手に負えなくなる、ということです。〈諸星同垣:廉貞星〉の「廉貞四殺遭刑戮」(諸星同垣:廉貞星)は、同じ理屈の極端な形です。

✎ メモ

3巳亥陷宮棄祖孤單,巧藝僧道軍旅之流。

書き下し巳亥の陥宮は祖を棄て孤単、巧芸僧道軍旅の流。

現代語訳巳・亥の陥宮にあれば、祖先の家業を捨て、孤独で、手仕事の職人、出家人、軍人の類です。

解説

巳・亥の宮の廉貞星は落陥し、必ず貪狼星と同宮します。後の時代に「廉貪」と呼ばれる形です。二つの桃花の星が並んで陥地に座るので、全書は祖業を捨て、孤独で、技芸・僧道・軍旅に従うと判じています。

〈廉貞星の主るところは〉の歌訣は「廉貪巳亥宮,遇吉福盈豐,應過三旬後,須防不善終」と言い(廉貞星の主るところは)、もう少しまとまった時間の見通しを示しています。若いうちは吉に遇えば豊かになれても、中年以降は晩節に気をつけよ、ということです。今の言葉にすれば、巳・亥の廉貪の課題は、欲と境界線の引き方にあることが多いと言えます。

✎ メモ

4六甲生人命坐寅申者上格,丁己生人次之。

書き下し六甲の生人命寅申に坐する者は上格、丁己の生人これに次ぐ。

現代語訳六甲年生まれで命宮が寅・申の宮にあれば上等の格局で、丁・己年生まれがそれに次ぎます。

解説

寅・申の宮の廉貞星は入廟で単独で守り、対宮は貪狼星です。甲年は廉貞星化禄が坐命し、禄存星も寅にあるので「上格」です。丁・己年は禄存星が午にあって寅の宮の三合に入り、己年は武曲星化禄も三合に入るので、それに次ぎます。

〈諸星同垣:廉貞星〉には「廉貞申未宮無殺富貴聲揚播遠名」とあり、注はこれを「雄宿朝元格」と呼びます(諸星同垣:廉貞星)。寅・申は廉貞星の最良の位置で、本篇第13段が寅の宮を「和平」と言うのとは食い違います。そちらの段を見てください。

✎ メモ

5六丙生人命坐子午卯酉,橫發橫破不耐久。

書き下し六丙の生人命子午卯酉に坐すれば、横発横破して久しきに耐えず。

現代語訳六丙年生まれで命宮が子・午・卯・酉の宮にあれば、急に財を成して急に崩れ、長続きしません。

解説

子午卯酉の廉貞星は、子・午では天相星と同宮し、卯・酉では破軍星と同宮します。丙年は廉貞星化忌で、囚の星が化忌となって坐命するので「橫發橫破不耐久」、勢いはあっても守りきれません。

この句は第11・12段と合わせて読めます。子・午の廉相の吉の年は甲・丁・己、卯・酉の廉破の吉の年は乙・辛・癸で、どちらにも丙年はありません。〈諸星同垣:廉貞星〉は別に「廉貞卯酉宮加殺公胥無面官人」と言い(諸星同垣:廉貞星)、卯・酉の廉破はもともと縛りの要る組み合わせです。

✎ メモ

6六甲生人命坐四墓宮,財官格,若丙戊生人招非有成敗。

書き下し六甲の生人命四墓の宮に坐すれば財官格、若し丙戊の生人ならば非を招き成敗有り。

現代語訳六甲年生まれで命宮が辰・戌・丑・未の四墓の宮にあれば財官格です。丙・戊年生まれなら、是非を招き、成功と失敗の浮き沈みがあります。

四墓宮
辰・戌・丑・未の四つの宮。
解説

四墓の宮の廉貞星は、辰・戌では天府星と同宮し、丑・未では七殺星と同宮します。甲年は廉貞星化禄が坐命するので財官格、丙年は廉貞星化忌が坐命し、戊年は陀羅星が辰にある(辰の宮の人の場合)ので、是非を招き、成敗があります。

第4段から第6段は廉貞星の十二宮を三組に分けていて、甲年はどの組でも吉の年、丙年はどの組でも凶の年です。理由は甲年が廉貞星化禄、丙年が廉貞星化忌だからです。これが廉貞星の年干を読むいちばん簡単な鍵です。

✎ メモ

7若與昌曲忌星同在巳亥宮,六丙生人有禍,六甲生人亦不宜也。

書き下し若し昌曲忌星と同じく巳亥の宮に在れば、六丙の生人は禍有り、六甲の生人もまた宜しからず。

現代語訳もし文昌星・文曲星・化忌と一緒に巳・亥の宮にあれば、六丙年生まれは禍があり、六甲年生まれもよくありません。

解説

条件は、廉貞星が巳・亥(廉貪の陥地)にあり、文昌星・文曲星・化忌と同宮することです。丙年は廉貞星化忌・文昌星化科なので「六丙生人有禍」です。甲年は廉貞星化禄で本来はよいはずですが、原文はそれでもよくないと言います。考えられる理由は、陥地の廉貪に昌曲が加わること自体が不安定な組み合わせで、化禄でも持ち上げきれない、ということでしょう。

ここでの昌曲は吉星として働いていません。全書は、昌曲が廉貞星・貪狼星に遇うと上滑りしやすいとよく言い、〈貪狼星の主るところは〉は「昌曲同度,必多虛而少實」と言います(貪狼星の主るところは)。

✎ メモ

8未申生人命居未申宮,化祿逢吉富貴必矣。若在諸宮逢羊陀火鈴化忌沖破,主殘疾。

書き下し未申の生人命未申の宮に居り、化禄吉に逢えば富貴必せり。若し諸宮に在りて羊陀火鈴化忌の沖破に逢えば、残疾を主る。

現代語訳未・申の生まれで、命宮が未・申の宮にあり、化禄して吉星に逢えば、必ず富貴です。もしほかの宮にあって、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・化忌の沖破に逢えば、身体の障害をつかさどります。

未申生人
原文のまま。未年・申年生まれを指すのかもしれません。
解説

前半の「未申生人命居未申宮,化祿逢吉」について、注で触れたとおり「未申生人」は未年・申年生まれを指すのかもしれません。廉貞星は未では七殺星と同宮し、申では単独で入廟し、化禄は甲年だけです。〈諸星同垣:廉貞星〉の雄宿朝元格も「申未宮」と書いていて(諸星同垣:廉貞星)、どちらも未と申の二宮を挙げています。

後半は、廉貞星がほかの宮で四煞・化忌の沖破に逢えば身体の障害をつかさどると言います。廉貞星は火に属し、化気が囚・殺なので、煞星や化忌に遇ったときに全書がいちばんよく判じるのは流血と身体の障害です。第26段の「膿血刑災」も同じ方向です。

✎ メモ

9女命三合吉拱主封贈,雖惡殺沖破不為下局,

書き下し女命三合に吉拱すれば封贈を主り、悪殺沖破すと雖も下局と為さず、

現代語訳女命の廉貞星に三合から吉星が拱照すれば、封贈を受けることをつかさどります。悪殺の沖破があっても、下局とはしません。

解説

女命の廉貞星は、三合から吉星が拱照すれば封贈を受け、悪殺の沖破があっても下局にはならないと言います。これは全書が廉貞星の女命にかなり寛容な一句で、男命ですぐ刑戮と言う口ぶりとはずいぶん違います。

〈諸星同垣:廉貞星〉は「廉貞清白能相守」と言い、注で女命のどの年干・どの宮が格に入るかを挙げ、「若辰戌丑未反賤」とも言っていて(諸星同垣:廉貞星)、条件をもっと細かく述べています。

✎ メモ

10若入廟逢化祿剛烈機巧,清秀,旺夫益子。僧道加吉拱,有師號,此星最喜天相同宮能化其惡。

書き下し若し入廟して化禄に逢えば剛烈機巧、清秀、夫を旺じ子を益す。僧道吉拱を加うれば師号有り。此の星最も天相の同宮を喜び、能く其の悪を化す。

現代語訳(女命で)もし入廟して化禄に逢えば、剛烈で機転がきき、清らかで美しく、夫を盛り立て子に益があります。出家人にさらに吉星の拱照が加われば、師の称号を得ます。この星は天相星との同宮を最も喜び、その悪を化すことができます。

師號
出家人が授かる法号や尊称。
解説

前半は女命の続きです。廉貞星が入廟(寅・申)し、さらに化禄(甲年)すれば、剛烈で機転がきき、清らかで美しく、夫を盛り立て子に益があります。出家人なら吉星が加われば師の称号があります。

最後の一句が廉貞星を読む鍵です。「此星最喜天相同宮能化其惡」です。廉貞星の化気は囚、天相星の化気は印で、印は囚を取り締まれるので、子・午の廉相は廉貞星の最も安定した組み合わせの一つです。命盤との照合はこの句を独立した条件として示していて、廉貞星と天相星の同宮であれば男女を問いません。

✎ メモ

11子午宮和平,與天相同度,丁己甲生人財官格。

書き下し子午の宮は和平、天相と同度、丁己甲の生人は財官格。

現代語訳廉貞星は子・午の宮では平和で、天相星と同宮し、丁・己・甲年生まれは財官格です。

解説

子・午の宮では廉貞星と天相星が同宮し、前の段の「能化其惡」の形で、対宮は破軍星です。甲年は廉貞星化禄が坐命し、破軍星化権が対宮に、武曲星化科が三合にあります。丁・己年は禄存星が午にあり、己年は武曲星化禄が三合に入るので、財官格です。

子・午の廉相の対宮の破軍星は、外の環境からの衝撃とよく読まれます。命宮で天相星が印を持って関所を守るので、廉貞星の剛さを正しい道に使えるのです。

✎ メモ

12卯酉宮和平,與破軍同度,乙辛癸生人吉。

書き下し卯酉の宮は和平、破軍と同度、乙辛癸の生人は吉。

現代語訳廉貞星は卯・酉の宮では平和で、破軍星と同宮し、乙・辛・癸年生まれは吉です。

解説

卯・酉の宮では廉貞星と破軍星が同宮し、二つの星はどちらも変動と剛烈さをつかさどります。対宮は天相星です。乙年は禄存星が卯、辛年は禄存星が酉、癸年は破軍星化禄が坐命するので、吉です。

第2段と照らし合わせてください。「破軍火鈴同,狗悻狼心」が言うのは、まさに廉破にさらに火鈴が加わる場合です。同じ廉破でも、禄存星や化禄があれば吉、火鈴があれば凶で、分かれ目ははっきりしています。〈諸星同垣:廉貞星〉の「廉貞破火居陷地自縊投河」(諸星同垣:廉貞星)は、最も凶の端です。

✎ メモ

13寅宮和平,甲庚己生人貴格。申宮入廟甲庚戊生人貴格,丙生人次之。

書き下し寅の宮は和平、甲庚己の生人は貴格。申の宮は入廟、甲庚戊の生人は貴格、丙の生人これに次ぐ。

現代語訳廉貞星は寅の宮では平和で、甲・庚・己年生まれは貴格です。申の宮では入廟し、甲・庚・戊年生まれは貴格で、丙年生まれがそれに次ぎます。

星格のやり方ここでは寅の宮の廉貞星を「和平」としていますが、巻二の廟旺表では寅の宮の廉貞星は廟です。星格の輝度は表に従っています。

解説

この句は寅の宮の廉貞星を「和平」、申の宮を入廟と言いますが、上の「星格のやり方」で触れたとおり、廟旺表でも星格でも二宮とも廟です。〈諸星同垣:廉貞星〉も「廉貞廟寅申」と書いていて(諸星同垣:廉貞星)、全書の多くの箇所は寅と申を同等に扱っています。この句の「和平」は孤立した例です。

年干について。寅の宮では、甲年は廉貞星化禄と禄存星がともに寅、庚年は禄存星が申にあって対宮から照らし、己年は禄存星が午にあって三合に入ります。申の宮では、甲年は廉貞星化禄で禄存星が寅にあって対宮から照らし、庚年は禄存星が申に座り、戊年は貪狼星化禄が寅にあって対宮から照らします。申の宮の「丙生人次之」はわかりにくく、丙年は廉貞星化忌です。

✎ メモ

14巳亥宮陷地,甲己丙戊生人福不耐久。

書き下し巳亥の宮は陥地、甲己丙戊の生人は福久しきに耐えず。

現代語訳廉貞星は巳・亥の宮では陥地で、甲・己・丙・戊年生まれは福が長続きしません。

解説

巳・亥の宮の廉貞星は落陥し、貪狼星と同宮します。甲年は廉貞星化禄、己年は貪狼星化権、戊年は貪狼星化禄で禄存星が巳、丙年は禄存星が巳と、四年ともいくらか助けがあるので福があります。けれども陥地の福は「不耐久」です。

これは第3段・第7段と同じ宮で、三段を読み通すと、巳・亥の廉貪について全書は一貫して、福はあっても長持ちせず、起こっても守れない、と見ています。

✎ メモ

15辰戌宮利益,與天府同度,甲庚生人財官格。

書き下し辰戌の宮は利益、天府と同度、甲庚の生人は財官格。

現代語訳廉貞星は辰・戌の宮では利益で、天府星と同宮し、甲・庚年生まれは財官格です。

解説

辰・戌の宮では廉貞星と天府星が同宮し、対宮は七殺星です。甲年は廉貞星化禄が坐命し、庚年は禄存星が申にあって辰の宮の三合に入り、武曲星化権も三合にあるので、財官格です。

天府星は令星で財庫でもあり、天相星と同じく廉貞星を縛れます。〈諸星同垣:天府星〉には別に「天府居午戌天相來朝甲人一品之貴」とあり(諸星同垣:天府星)、戌の宮の廉府は甲年ならとても高い格局です。

✎ メモ

16丑未宮利益,與七殺同度,加吉星財官格。

書き下し丑未の宮は利益、七殺と同度、吉星を加うれば財官格。

現代語訳廉貞星は丑・未の宮では利益で、七殺星と同宮し、吉星が加われば財官格です。

解説

丑・未の宮では廉貞星と七殺星が同宮し、対宮は天府星です。原文は年干を挙げず、「加吉星財官格」とだけ言います。〈諸星同垣:廉貞星〉は「廉貞七殺居廟旺反為積富之人」と言い、注に「若陷地化忌,貧賤殘疾」とあります(諸星同垣:廉貞星)。

廉殺はどちらも剛い星で、同宮すると苦労に耐え、骨身を惜しまないのが特徴です。後の時代に廉殺は「積富」と言われるのも、体を使って積み上げることによります。星格の盤では、丑・未の廉貞星は利益、七殺星は廟です。

✎ メモ

廉貞入男命吉凶訣:

18廉貞守命亦非常,賦性巍巍志氣強,格故鼎新官大貴,為官清顯姓名香。

書き下し廉貞命を守るもまた非常、賦性巍々として志気強し。格故鼎新して官大いに貴く、官と為りて清顕、姓名香し。

現代語訳廉貞星が命宮を守るのもまた並ではなく、生まれつきの性質は高くそびえ、志は強いです。古いものを改めて新しいものを打ち立て、官位は大いに貴く、官としては清廉で名高く、名がかぐわしく伝わります。

格故鼎新
正しくは革故鼎新で、古いものを取り除き新しいものを打ち立てること。

校勘 底本の「格故鼎新」は、革故鼎新とすべきです。

解説

男命で廉貞星が命宮を守れば、生まれつきの性質は高く、志は強く、古いものを改めて新しいものを打ち立て、官として清廉で名高いと言います。この首は廉貞星への最も肯定的な賛辞で、第1段の「好忿爭」と対になります。同じ剛烈さでも、改革に使えば有能な臣になるのです。

「為官清顯」は化気の「囚」とも合っています。自分を律せる廉貞星こそ、清廉を守れるのです。命盤との照合が示すのは男命の廉貞星の坐命で、吉凶はやはり第2段の会照を見る必要があります。

✎ メモ

19廉貞坐命落閑宮,貪破羊火忌相逢,縱有財官也不美,平生何以得從容。

書き下し廉貞命に坐して閑宮に落ち、貪破羊火忌相逢えば、縦い財官有るもまた美ならず、平生何を以てか従容を得ん。

現代語訳廉貞星が坐命して閑宮に落ち、貪狼星・破軍星・擎羊星・火星・化忌に逢えば、財や官があってもよくなく、一生どうしてゆったり過ごせるでしょうか。

解説

廉貞星が坐命して閑宮に落ち、貪狼星・破軍星・擎羊星・火星・化忌に逢う形です。〈命主・身主と起例雑説〉の閑宮の一覧に廉貞星は入っていないので(命主・身主と起例雑説)、ここの「閑宮」は力を得られない位置と大まかに読むしかありません。

貪狼星・破軍星と廉貞星の関係は決まっていて、廉貪は巳・亥で同宮し、廉破は卯・酉で同宮し、ほかの宮でもよく三方で会います。本当の分かれ目は擎羊星・火星・化忌で、これらがあってはじめて「不美」になります。

✎ メモ

20廉貞落陷入閑宮,吉曜相逢也有凶,腰足災殘難脫厄,更加惡殺命該終。

書き下し廉貞落陥して閑宮に入り、吉曜相逢うもまた凶有り。腰足の災残厄を脱し難く、更に悪殺を加うれば命終わるに該る。

現代語訳廉貞星が落陥して閑宮に入れば、吉星に逢っても凶があります。腰や足に災いや障害があって、厄を逃れにくく、さらに悪殺が加われば、命が尽きることになります。

解説

条件は、廉貞星が落陥(巳・亥)し、しかも閑宮にあることで、吉星に遇っても凶があり、腰や足に災いと障害があり、さらに悪殺が加われば「命該終」だと言います。廉貞星が流血や障害をつかさどるというのは、全書で一貫しています。

「腰足災殘」は、廉貞星の身体についての具体的な断定です。今なら、廉貞星が落陥する人は筋骨・外傷・慢性的な疲労に気をつける、という目安として扱えます。「命該終」は古書の極端な言い方で、全書自身も「更加惡殺」を条件にしているので、廉貞星の落陥だけで判断すべきではありません。

✎ メモ

廉貞入女命吉凶訣:

22女人身命值廉貞,內政清廉格局新,諸吉拱照無殺破,定教封贈在青春。

書き下し女人の身命廉貞に値えば、内政清廉にして格局新たなり。諸吉拱照して殺破無ければ、定めて封贈をして青春に在らしむ。

現代語訳女性の身宮・命宮が廉貞星に当たれば、家の切り盛りは清廉で、格局は新しいです。多くの吉星が拱照し、殺星や破軍星がなければ、必ず若いうちに封贈を受けます。

內政
家の中の事柄。
解説

女命の身宮・命宮が廉貞星に遇えば、家の切り盛りが清廉で格局が新しく、吉星が拱照して殺破がなければ、若いうちに封贈を受けると言います。この首は第9段と同じ調子で、廉貞星の女命を肯定しています。

「內政清廉」は面白い言葉です。廉貞星は男命では官界での清廉に、女命では家事での清廉になります。どちらも「囚」の自制から来ています。

✎ メモ

23廉貞貪破曲相逢,陀火交加極賤庸,定主刑夫並剋子,只好偏房娼婢容。

書き下し廉貞貪破曲相逢い、陀火交加すれば極めて賤庸。定めて夫を刑し並びに子を剋するを主り、只偏房娼婢の容に好し。

現代語訳廉貞星が貪狼星・破軍星・文曲星と逢い、陀羅星・火星も重なれば、きわめて卑しく凡庸です。必ず夫を刑し、子も剋し、妾・娼妓・婢女になるしかありません。

解説

条件は、女命で廉貞星が貪狼星・破軍星・文曲星と逢い、さらに陀羅星・火星があることです。断定は原文どおりで、きわめて卑しく凡庸、夫を刑し子を剋し、妾・娼妓・婢女だと言います。全書が廉貞星の女命に向けた最も重い一句で、第9段の「雖惡殺沖破不為下局」とは矛盾するように見えます。

分かれ目は組み合わせにあります。第9段はふつうの煞星の沖破で、この首は廉貞星・貪狼星・破軍星という最も動きの激しい三つの星に、文曲星と陀火が加わり、桃花の星と煞星がすべて寄り集まる形です。全書はこの組み合わせを男女とも高く見ておらず、〈諸星同垣:貪狼星〉は「貪狼廉貞同度男多浪蕩女多淫」と言います(諸星同垣:貪狼星)。命盤との照合は、二組の会照がどちらも成り立ったときにだけ示します。

✎ メモ

廉貞入限吉凶訣:

25廉貞入限旺宮臨,喜逢吉曜福駢臻,財物自然多蓄積,任人得意位高升。

書き下し廉貞限に入りて旺宮に臨み、喜びて吉曜に逢えば福駢び臻る。財物自然に多く蓄積し、人に任ぜられて意を得、位高く升る。

現代語訳廉貞星が運限に入って旺の宮に臨み、うれしいことに吉星に逢えば、福がそろってやって来ます。財物は自然と多く蓄えられ、任された職で思いどおりになり、地位が高く上がります。

駢臻
そろってやって来ること。
解説

廉貞星が運限に入って旺の宮に臨み、さらに吉曜に逢えば、福がそろって来て、財物が蓄えられ、任された職で思いどおりになると言います。廉貞星は寅・申で入廟し、辰・戌・丑・未で利益です。

〈廉貞星の主るところは〉は、廉貞星は「只宜官祿身命之位,遇吉福映」と言い(廉貞星の主るところは)、運限でも同じ理屈です。廉貞星の運は吉星があってはじめて、その剛い力を仕事に変えられます。

✎ メモ

26大小二限遇廉貞,更有天刑忌刃侵,膿血刑災難脫逃,破軍貪殺赴幽冥。

書き下し大小の二限廉貞に遇い、更に天刑忌刃の侵す有れば、膿血刑災脱逃し難し、破軍貪殺あれば幽冥に赴く。

現代語訳大限・小限が廉貞星に遇い、さらに天刑・化忌・擎羊星が侵せば、膿や血の出る刑傷の災いから逃れにくいです。そこに破軍星・貪狼星・七殺星があれば、あの世へ行きます。

刃
擎羊星。羊刃とも言います。
赴幽冥
死ぬこと。
解説

廉貞星が運限に入り、さらに天刑・化忌・擎羊星が侵せば膿血刑災をつかさどり、破軍星・貪狼星・七殺星が加われば「赴幽冥」だと言います。これは廉貞星の運で最も凶の組み合わせで、条件は刑・忌・羊の三つに殺破狼が重なることです。

〈廉貞星の主るところは〉は廉貞星が「遇刑忌則膿血不免」と言い(廉貞星の主るところは)、諸星同垣の系統には「廉貞白虎刑杖難逃」ともあり、どれも廉貞星の運を流血や刑罰と結びつけています。今の暮らしでは、手術・外傷・訴訟の類への注意として受け取れますが、結論はやはり本命盤と流年がともに凶かどうかを見て出すものです。

✎ メモ
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
廉贞属火,北斗化次桃花杀、囚星,为官禄主。为人身长体壮,眼露神光,眉毛中大克骨亦露,性硬浮荡,好忿争。 入庙武职贵,遇府相左右有科权禄存同宫富贵。逢昌曲七杀立武功。与擎羊同是非日有。破军火铃同,狗悻狼心。 巳亥陷宫弃祖孤单,巧艺僧道军旅之流。 六甲生人命坐寅申者上格,丁己生人次之。 六丙生人命坐子午卯酉,横发横破不耐久。 六甲生人命坐四墓宫,财官格,若丙戊生人招非有成败。 若与昌曲忌星同在巳亥宫,六丙生人有祸,六甲生人亦不宜也。 未申生人命居未申宫,化禄逢吉富贵必矣。若在诸宫逢羊陀火铃化忌冲破,主残疾。 女命三合吉拱主封赠,虽恶杀冲破不为下局, 若入庙逢化禄刚烈机巧,清秀,旺夫益子。僧道加吉拱,有师号,此星最喜天相同宫能化其恶。 子午宫和平,与天相同度,丁己甲生人财官格。 卯酉宫和平,与破军同度,乙辛癸生人吉。 寅宫和平,甲庚己生人贵格。申宫入庙甲庚戊生人贵格,丙生人次之。 巳亥宫陷地,甲己丙戊生人福不耐久。 辰戌宫利益,与天府同度,甲庚生人财官格。 丑未宫利益,与七杀同度,加吉星财官格。 廉贞入男命吉凶诀: 廉贞守命亦非常,赋性巍巍志气强,格故鼎新官大贵,为官清显姓名香。 廉贞坐命落闲宫,贪破羊火忌相逢,纵有财官也不美,平生何以得从容。 廉贞落陷入闲宫,吉曜相逢也有凶,腰足灾残难脱厄,更加恶杀命该终。 廉贞入女命吉凶诀: 女人身命值廉贞,内政清廉格局新,诸吉拱照无杀破,定教封赠在青春。 廉贞贪破曲相逢,陀火交加极贱庸,定主刑夫并克子,只好偏房娼婢容。 廉贞入限吉凶诀: 廉贞入限旺宫临,喜逢吉曜福骈臻,财物自然多蓄积,任人得意位高升。 大小二限遇廉贞,更有天刑忌刃侵,脓血刑灾难脱逃,破军贪杀赴幽冥。

よくある質問

廉貞星が命宮にある人はどんな性格ですか?

全書は、廉貞星の人は背が高く体格がたくましく、目に鋭い光があり、眉も頬骨も張り出し、気性は硬く浮ついて、怒って争うのを好むとしています。入廟すれば武職で貴く、天府星・天相星・左右や科権禄存と同宮すれば富貴をつかさどるとします。

廉貞星はなぜ天相星を喜ぶのですか?

第10段の最後の一句は「此星最喜天相同宮能化其惡」と言います。廉貞星は化気が殺・囚で気性が剛烈ですが、天相星と同宮すればその凶悪を化せる、ということです。廉貞星と天相星は子・午で同宮し、全書は丁・己・甲年生まれが財官格だとします。

廉貞星が巳・亥の宮にあるのはよくないのですか?

全書は、巳・亥は廉貞星の陥宮で、祖業を捨てて孤独、職人・出家人・軍人の類だとし、甲・己・丙・戊年生まれは福が長続きしないと言います。さらに文昌星・文曲星・化忌と巳・亥で同宮すれば、丙年生まれは禍があり、甲年生まれもよくないとします。

女命の廉貞星について全書は何と言っていますか?

全書は、女命の廉貞星に三合から吉星が拱照すれば封贈をつかさどり、悪殺が沖破しても下局にはならないとします。入廟して化禄すれば、剛烈で機転がきき、清らかで美しく、夫を盛り立て子に益があります。ただし吉凶訣は、廉貞星が貪狼星・破軍星・文曲星と逢い、陀羅星・火星も加われば、きわめて卑しく、夫を刑し子を剋し、妾・娼妓・婢女になるしかないとも言います。

この篇に出てくる主星

廉貞星破軍星天相星七殺星天府星
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