父母宮
『紫微斗数全書』巻二・安星起例と十二宮・原文と現代語訳
はじめに
この篇は『紫微斗数全書』巻二の、十二宮ごとに諸星の判断を並べた部分から取ったもので、底本の見出しは「父母」です。十二宮の最後の宮で、全書のほかの箇所では「相貌宮」とも呼ばれています。
はじめの四段は総論です。父母を見るときは太陽星を父、太陰星を母とし、太陽星が落陥なら先に父を剋し、太陰星が落陥なら先に母を剋するとします。二つとも落陥のときは生まれた時刻を見て、昼に生まれた人は父が残り、夜に生まれた人は母が残るとし、著者は「余試之屢驗矣」とまで書いています。そのあとはほかの宮と同じく、一つの星に一条ずつ、父母宮にあって刑剋があるかどうか、誰と同宮するとどう変わるかを言い、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星に会えば、たいてい「早剋」「父母不周全」とします。最後の一条は斗君です。
よく出る言葉を先に挙げておきます。
- 剋・刑・刑剋:父母が早く亡くなる、または父母と離れることです。「早剋」はごく早く剋すること、「遲刑」はやや遅れて剋することです。
- 「重拜父母」:別に義理の父母を立てることです。
- 過房:よその家に養子として入ることです。入贅:男性が女性の家に入って結婚し、その家の人になることです。
- 二姓寄居・二姓延生:よその姓の家に身を寄せること、よその姓の家でようやく育つことです。
- 退祖・棄祖・離祖:生まれた家を離れることです。
底本にはいくつか字句の乱れがあります。たとえば「如二星具在陷地」の「具」は「俱」とすべきで、「貪狼狼陷地」は「狼」が一字多くなっています。それぞれの段の校勘に書いてあります。
1凡看父母以太陽星為父,太陰星為母。太陽在陷宮主先剋父,太陰星在陷宮主先剋母。
書き下し凡そ父母を看るに太陽星を以て父と為し、太陰星を母と為す。太陽陥宮に在れば先に父を剋するを主る、太陰星陥宮に在れば先に母を剋するを主る。
現代語訳父母を見るときは、太陽星を父とし、太陰星を母とします。太陽星が落陥の宮にあれば、先に父を剋することをつかさどります。太陰星が落陥の宮にあれば、先に母を剋することをつかさどります。
- 剋
- 刑剋。父母が早く亡くなる、または父母と離れることを指します。
この段は父母宮の総綱で、見落としやすい大事な点があります。父母を見る第一歩は父母宮ではなく、盤全体の太陽星と太陰星だということです。太陽星は父、太陰星は母で、太陽星が落陥なら先に父を剋し、太陰星が落陥なら先に母を剋します。どの宮にあるかは問いません。これは全書の中でも珍しい、星に人を当てる使い方で、太陽星と太陰星は一つの盤の陰と陽なので、父と母に対応させているのです。星格の輝度表では、太陽星は子・亥で落陥、太陰星は卯・辰・巳で落陥です。巻三の表では、太陽星の落陥は子の宮だけです。「先剋」は、父母のどちらとの縁が薄いか、いっしょに過ごす時間が少ないか、と読むことができ、そのまま早く亡くなると読むのはふさわしくありません。
2如二星具在陷地,只以人之本生時,日生者主父存,夜生者主母在。若夜生者太陰星主母存,反背不明主母先剋。
書き下し如し二星具に陥地に在れば、只人の本生の時を以てす、日に生まるる者は父存するを主り、夜に生まるる者は母在るを主る。若し夜に生まるる者は太陰星母存するを主る、反背して明らかならざれば母先に剋するを主る。
現代語訳もし二つの星がどちらも落陥の地にあれば、その人が生まれた時刻だけを見ます。昼に生まれた人は父が残ることをつかさどり、夜に生まれた人は母が残ることをつかさどります。夜に生まれた人は太陰星を見て、母が残ることをつかさどりますが、太陰星が反背して明るくなければ、先に母を剋することをつかさどります。
- 反背
- 太陽星が夜の宮に、太陰星が昼の宮にあって、どちらも輝きを失っていること。
校勘 「如二星具在陷地」の「具」は「俱」とすべきところです。
二つとも落陥のときは生まれた時刻を見て、昼生まれなら父が残り、夜生まれなら母が残ります。これは全書を通じた「昼生まれは太陽星を見て、夜生まれは太陰星を見る」という原則で、巻三では日照雷門には「晝生」が、月朗天門には「夜時生」が求められていますし、〈子女宮〉にも「日生最怕太陰臨,夜生最怕太陽照」とあります。後半はさらに細かく分け、夜生まれで太陰星が反背して明るくなければ、母が先に剋されるとしています。星格の日月同臨格も、昼生まれか夜生まれかによって、どちらの光が生きるかを判断しています。言いかえれば、古人は生まれた時刻が昼か夜かで、父母のどちらの影響が深いかが決まると考えたのです。
3日生時者主父在,反背暗晦主父先剋。余試之屢驗矣,學者宜細心識之。先有本宮某星主刑剋,又加惡殺的以刑剋斷之,
書き下し日に生まるる時の者は父在るを主る、反背暗晦なれば父先に剋するを主る。余之を試みるに屢験あり、学ぶ者宜しく細心に之を識るべし。先に本宮某星の刑剋を主る有り、又悪殺を加うれば的に刑剋を以て之を断ず、
現代語訳昼に生まれた人は、父が残ることをつかさどります。太陽星が反背して暗ければ、先に父を剋することをつかさどります。わたしはこれを試して何度も当たったので、学ぶ人はよく気をつけて覚えておくべきです。まず本宮に刑剋をつかさどる何かの星があり、さらに凶悪な煞星が加われば、たしかに刑剋として判断します。
- 的
- たしかに、まちがいなく。
前の句の続きで、昼生まれで太陽星が反背して暗ければ、父が先に剋されます。著者の「余試之屢驗矣」は、全書には珍しい一人称の経験談です。後半は大事な判断の原則を出しています。本宮にまず刑剋をつかさどる星があり、そこに悪い煞星が加わって、はじめてたしかに刑剋と判断する、ということです。つまり太陽星・太陰星の落陥は一つの目安にすぎず、父母宮そのものに刑剋の星があり、さらに煞星が加わる、という三つが重なってはじめて重い判断を下すのです。とても慎重な読み方です。盤を読むときも、父母との関係はいくつもの条件で見るもので、一つの目安だけでは決められないことを覚えておきたいところです。
4據理參詳,在乎人之自悟耳。
書き下し理に拠りて参詳す、人の自ら悟るに在るのみ。
現代語訳道理にもとづいてくわしく照らし合わせること。あとは、その人自身が悟るかどうかにかかっています。
「據理參詳,在乎人之自悟耳」、道理に照らして考え、あとは各人が自分で悟るしかない、という一文です。この句で総論を締めくくり、ここまでの規則が公式ではなく、盤を読む人が自分で判断するものだと認めています。〈斗数準縄〉の「大抵在人之機變」と同じ姿勢です。ここから先は星ごとの条で、どの条も「その星ならどうか、ある星と同宮するとどうか、煞星が加わるとどうか」という書き方です。これらの条を読むときは、総論の念押しを忘れないでください。太陽星・太陰星の明るさ、本宮の星、煞星の三つを合わせて見るのです。
5紫微無剋,天府同亦無刑,加羊陀火鈴空劫亦剋,天相同無刑,貪狼同無殺加亦無刑,破軍同早剋。
書き下し紫微は剋無し、天府同じくするもまた刑無し、羊陀火鈴空劫を加うればまた剋す、天相同じくすれば刑無し、貪狼同じくして殺の加わる無ければまた刑無し、破軍同じくすれば早く剋す。
現代語訳紫微星が父母宮にあると、刑剋はありません。天府星と同宮しても刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、やはり剋します。天相星と同宮すれば刑はなく、貪狼星と同宮して煞星が加わらなければ、やはり刑はありません。破軍星と同宮すれば、早く剋します。
紫微星が父母宮にあると、剋はありません。帝王の星が父母宮に座るので、父母には地位があり、子との関係も安定しています。同宮では、天府星(寅・申)は刑がなく、天相星(辰・戌)も刑がなく、貪狼星(卯・酉)は煞星がなければ刑がなく、破軍星(丑・未)は早く剋します。ところが同じ篇の破軍星の条(第21段)は「紫微同無刑」と言っていて、同じ紫微星と破軍星の組み合わせが、一方では早剋、もう一方では無刑になっています。星ごとに書く書き方から来る食い違いです。輝度で見ると、丑・未では紫微星が廟、破軍星が旺で、二つとも強い星です。紫微星が父母宮にある人の父母は、たいてい自分の考えがはっきりしていて威厳があり、しつけは厳しいけれど頼りになります。
6天機廟旺無刑,陷地逢羊陀火鈴空劫,二姓寄居,重拜父母,或過房入贅,
書き下し天機廟旺なれば刑無し、陥地にして羊陀火鈴空劫に逢えば、二姓に寄居し、父母を重ねて拝す、或いは過房入贅す、
現代語訳天機星が父母宮にあると、廟旺なら刑はありません。落陥のうえ擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星に会えば、よその姓の家に身を寄せ、別に義理の父母を立てるか、あるいは養子に出たり、婿入りしたりします。
- 二姓寄居
- よその姓の家に身を寄せること。
- 重拜父母
- 別に義理の父母を立てること。
- 過房
- よその家に養子として入ること。
- 入贅
- 男性が女性の家に入って結婚し、その家の人になること。
天機星が父母宮にあると、廟旺なら刑がなく、落陥で煞星に会えば、よその家に身を寄せる、義理の父母を立てる、養子に出る、婿入りする、とされます。天機星の廟は子・午、落陥は丑・未です(巻三の表)。天機星は変化をつかさどる星なので、父母宮で落陥のうえ煞星に会えば父母との関係が大きく揺れ動き、古人はそれを預けられる、養子に出ると言いました。こうした言葉は、今ならさまざまな家族の形に当たります。両親が別れて暮らす、祖父母に育てられる、親戚に面倒を見てもらう、大人になってから実家と疎遠になる、などです。今の目で見ると、天機星が父母宮にある人と父母とのやりとりは話し合いが中心で、考え方にずれがあることがよくあります。
7太陰同免刑,天梁同無刑,俱要無殺,加有殺,加也不免刑傷,巨門早刑。
書き下し太陰同じくすれば刑を免る、天梁同じくすれば刑無し、倶に殺無きを要す、加わりて殺有れば、加わるもまた刑傷を免れず、巨門は早く刑す。
現代語訳(天機星が)太陰星と同宮すれば刑剋を免れ、天梁星と同宮すれば刑はありません。どちらも煞星が加わらないことが条件で、煞星が加われば、やはり刑傷を免れません。巨門星と同宮すれば、早く刑があります。
校勘 「俱要無殺,加有殺,加也不免刑傷」は読点の位置がずれていて、「俱要無殺加,有殺加也不免刑傷」とすべきところです。
天機星の条の続きです。太陰星との同宮(寅・申)は刑を免れ、天梁星との同宮(辰・戌)は刑がありませんが、どちらも煞星がないことが条件で、煞星があれば免れません。巨門星との同宮(卯・酉)は早く刑があります。天機星と巨門星が父母宮にあると、巨門星の口舌に天機星の変化が加わり、父母とのいさかいが多くなります。句読の問題は校勘のとおりです。天機星と太陰星、天機星と天梁星が父母宮にあれば、父母は穏やかで教育を大切にします。天機星と巨門星なら父母と口論になりやすく、考え方の差も大きいので、大人になってからはほどよい距離を保つほうが、かえって関係がよくなります。
8太陽入廟無剋,陷地剋父,加羊陀火鈴空劫剋父母早,
書き下し太陽入廟すれば剋無し、陥地なれば父を剋す、羊陀火鈴空劫を加うれば父母を剋すること早し、
現代語訳太陽星が父母宮にあると、入廟なら刑剋はありません。落陥なら父を剋します。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、早くに父母を剋します。
太陽星が父母宮にあると、入廟なら剋がなく、落陥なら父を剋し、煞星が加われば早くに父母を剋します。太陽星はもともと父の星なので、父母宮に座れば父の星が父母の宮にあることになり、明るさがそのまま父との関係を決めます。太陽星の廟は卯、旺は寅・辰・巳・午で(巻三の表)、星格の輝度もほぼ同じです。太陽星が父母宮で廟旺なら、父は成功していて家族の面倒をよく見ます。落陥なら、父が仕事に忙しくて子と過ごす時間が少ない、あるいは父自身が苦労している、と読めます。これは総論の第1段と同じ筋の考え方です。
9太陰同看無,羊陀湊父母全遲刑,巨門同加四殺空劫早剋,天梁同無刑。
書き下し太陰同じくして看るに、羊陀の湊まる無ければ父母全く遅く刑す、巨門同じくして四殺空劫を加うれば早く剋す、天梁同じくすれば刑無し。
現代語訳(太陽星が)太陰星と同宮し、擎羊星・陀羅星が寄り集まっていなければ、父母はそろっていて、刑剋は遅く来ます。巨門星と同宮して四煞・地空星・地劫星が加われば、早く剋します。天梁星と同宮すれば刑はありません。
- 四殺
- 擎羊星・陀羅星・火星・鈴星。
校勘 「太陰同看無,羊陀湊父母全遲刑」は読点の位置がずれていて、「太陰同看無羊陀湊,父母全,遲刑」とすべきところです。
太陽星の条の続きです。太陰星との同宮(丑・未)は擎羊星・陀羅星がなければ父母がそろい、刑は遅く来ます。巨門星との同宮(寅・申)は煞星が加われば早く剋し、天梁星との同宮(卯・酉)は刑がありません。ここの「天梁同無刑」は、天梁星の条(第19段)の「太陽同剋遲」と違い、一方は刑なし、一方は遅く剋すで、程度に差があります。太陽星と太陰星が父母宮で同宮すれば、ちょうど父の星と母の星がそろって座ることになり、丑の宮では太陰星が明るく、未の宮では太陽星が明るいので、古人は刑が遅い、つまり晩年になってから別れが来ると言いました。今の目で見ると、太陽星と天梁星が父母宮にあれば、父母は道徳を重んじ筋を通す人で、家風も正しいと読めます。
10武曲剋早,退祖業不刑,貪狼同刑剋,七殺同有刑,天相同加羊陀火鈴空劫刑傷。
書き下し武曲は剋すること早し、祖業を退けば刑せず、貪狼同じくすれば刑剋、七殺同じくすれば刑有り、天相同じくして羊陀火鈴空劫を加うれば刑傷。
現代語訳武曲星が父母宮にあると、早くに剋します。祖業から退けば刑はありません。貪狼星と同宮すれば刑剋があり、七殺星と同宮すれば刑があります。天相星と同宮し、さらに擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、刑傷があります。
武曲星が父母宮にあると早く剋し、祖業から退けば刑はありません。武曲星は孤剋の将星で、父母宮では父母との縁が薄くなります。「退祖業不刑」は、祖業を離れて自分で家を構えれば刑剋を避けられる、ということで、昔よく使われた化解(災いをかわす工夫)の考え方です。別々に住めば、かえって関係がよくなるのです。同宮では、貪狼星(丑・未)は刑剋、七殺星(卯・酉)は刑があり、天相星(寅・申)は煞星が加われば刑傷です。武曲星が父母宮にある人の父母は、たいてい現実的でまじめで、気持ちを表に出すのが苦手です。子は早くから経済的に自立することが多いでしょう。
11天同獨守廟旺無刑,加四殺重拜父母,巨門同欠和太陰同父母雙全,天梁同無刑或退祖業,加羊陀火鈴空劫父母不全。
書き下し天同独り守りて廟旺なれば刑無し、四殺を加うれば父母を重ねて拝す、巨門同じくすれば和を欠く、太陰同じくすれば父母双全、天梁同じくすれば刑無く或いは祖業を退く、羊陀火鈴空劫を加うれば父母全からず。
現代語訳天同星が単独で父母宮を守ると、廟旺なら刑はありません。四煞が加われば、別に義理の父母を立てます。巨門星と同宮すれば仲が十分ではなく、太陰星と同宮すれば父母がそろっています。天梁星と同宮すれば刑はなく、あるいは祖業から退きます。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、父母はそろいません。
天同星が単独で父母宮にあると、廟旺なら刑がなく、四煞が加われば義理の父母を立てます。天同星が単独で座るのは卯・酉・辰・戌・巳・亥で、廟は巳・亥です(巻三の表)。同宮では、巨門星(丑・未)は仲が十分でなく、太陰星(子・午)は父母がそろい、天梁星(寅・申)は刑がないか祖業から退きます。天同星は福の星で、父母宮での評価は全体に穏やかで、父母と仲よくいけます。天同星が父母宮にある人の父母は、たいてい人柄がおおらかで愛情深く、家の空気も気楽です。天同星と巨門星の同宮なら父母との誤解に気をつけ、言いたいことは率直に伝えるとよいでしょう。
12廉貞難為父母,祖重拜,貪狼同早刑,七殺孤剋,天府同免刑,破軍同早刑,加羊陀火鈴空劫,父母不周全。
書き下し廉貞は父母と為り難し、祖重ねて拝す、貪狼同じくすれば早く刑す、七殺は孤剋、天府同じくすれば刑を免る、破軍同じくすれば早く刑す、羊陀火鈴空劫を加うれば、父母周全ならず。
現代語訳廉貞星が父母宮にあると、父母に仕えることが難しく、(生まれた)家(を離れ)、別に義理の父母を立てます。貪狼星と同宮すれば早く刑があり、七殺星と同宮すれば孤独で刑剋があり、天府星と同宮すれば刑剋を免れ、破軍星と同宮すれば早く刑があります。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、父母はそろいません。
- 難為父母,祖重拜
- 言葉が簡略ですが、父母との縁が薄く、生まれた家を離れて、別に義理の父母を立てる、という意味です。
廉貞星が父母宮にあると「難為父母,祖重拜」です。廉貞星は化気が囚で、父母宮では父母との関係が行きづまります。同宮では、貪狼星(巳・亥)は早く刑があり、七殺星(丑・未)は孤剋、天府星(辰・戌)は刑を免れ、破軍星(卯・酉)は早く刑があります。〈形性賦〉の「陀耗囚之星守父母之纏,決然破祖刑傷」の「囚」は廉貞星のことで、この条と一致しています。天府星が廉貞星の刑を免れさせているのも見どころで、〈天府星の主るところは〉は天府星が擎羊・陀羅を従え、火星・鈴星を福に変えると言っていますが、ここでは廉貞星の刑まで和らげています。今の家庭に置くと、父母と考え方が大きくぶつかることがよくあるので、お互いに自分の場所を持つのがよいでしょう。
13天府父母雙全,紫微同亦無刑,廉貞武曲同,在廟旺無刑,加羊陀火鈴空劫主傷。
書き下し天府は父母双全、紫微同じくするもまた刑無し、廉貞武曲同じくして、廟旺に在れば刑無し、羊陀火鈴空劫を加うれば傷を主る。
現代語訳天府星が父母宮にあると、父母がそろっています。紫微星と同宮しても刑はありません。廉貞星・武曲星と同宮しても、廟旺の地にあれば刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、刑傷をつかさどります。
天府星が父母宮にあると、父母がそろっています。天府星は財の蔵で令星でもあり、どっしりと守る星なので、父母宮では家庭が安定していることを表します。同宮では、紫微星(寅・申)は刑がなく、廉貞星(辰・戌)・武曲星(子・午)は廟旺なら刑がなく、煞星が加われば傷をつかさどります。天府星は父母宮でもっとも評価のよい星の一つです。天府星が父母宮にある人の父母は経済的に安定していて、家から物の面での支えを受けられます。父母の考え方は保守的で安定を大切にし、子に対しても安定した仕事と暮らしを望む傾向があります。
14太陰入廟無剋,加羊陀火鈴剋母,不然過房棄祖,太陽同無四殺父母雙全,天機同無刑天同同極美。
書き下し太陰入廟すれば剋無し、羊陀火鈴を加うれば母を剋す、然らざれば過房して祖を棄つ、太陽同じくして四殺無ければ父母双全、天機同じくすれば刑無し、天同同じくすれば極めて美なり。
現代語訳太陰星が父母宮にあると、入廟なら刑剋はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば母を剋し、そうでなければ養子に出て生まれた家を離れます。太陽星と同宮して四煞がなければ父母はそろい、天機星と同宮すれば刑はなく、天同星と同宮すればきわめてよいです。
- 棄祖
- 生まれた家を離れること。
太陰星が父母宮にあると、入廟なら剋がなく、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば母を剋するか、養子に出て家を離れます。太陰星はもともと母の星なので、父母宮に座れば母の影響がいちばん直接に表れます。太陰星の廟は亥・子・丑で(巻三の表)、星格の輝度とも一致しています。同宮では、太陽星(丑・未)は四煞がなければ父母がそろい、天機星(寅・申)は刑がなく、天同星(子・午)はきわめてよいとされます。太陰星が父母宮にある人にとっては母の役割がとくに大きく、母はやさしくこまやかです。落陥や煞星があれば、母が苦労している、あるいは母と過ごす時間が少ない、と読めます。
15貪狼狼陷地早棄祖,重拜過房,入贅,廉貞同早刑主孤單,紫微同無殺加雙全。
書き下し貪狼狼陥地なれば早く祖を棄つ、重ねて拝し過房し、入贅す、廉貞同じくすれば早く刑して孤単を主る、紫微同じくして殺の加わる無ければ双全。
現代語訳貪狼星が父母宮にあって落陥なら、早くに生まれた家を離れ、別に義理の父母を立て、養子に出て、婿入りします。廉貞星と同宮すれば早くに刑があり、孤独をつかさどります。紫微星と同宮して煞星が加わらなければ、父母はそろっています。
校勘 「貪狼狼陷地」は「狼」が一字多く、〈貪狼陥地〉とすべきところです。
貪狼星が父母宮にあって落陥なら、早くに家を離れ、義理の父母を立て、養子に出て、婿入りするとされます(衍字は校勘のとおりです)。貪狼星の落陥は巳・亥です。同宮では、廉貞星(巳・亥)は早く刑があって孤独をつかさどり、紫微星(卯・酉)は煞星がなければ父母がそろいます。この条は武曲星(丑・未)に触れていませんが、武曲星の条には「貪狼同刑剋」とあります。貪狼星は欲と人づきあいをつかさどる星で、父母宮で落陥なら父母との関係が変わりやすくなります。今の家庭に置き換えると、貪狼星が父母宮にある人の父母は外向的で多才か、あるいは家の暮らしに変化が多く、父母との関係は手をかけて育てていくものになります。
16巨門陷地傷剋棄祖過房,太陽同少和,天機同重,拜天同同或退祖無刑,加羊陀火鈴空劫父母不周全。
書き下し巨門陥地なれば傷剋し祖を棄て過房す、太陽同じくすれば和少なし、天機同じくすれば重ねて拝す、天同同じくすれば或いは祖を退き刑無し、羊陀火鈴空劫を加うれば父母周全ならず。
現代語訳巨門星が父母宮にあると、落陥なら刑剋で損なわれ、生まれた家を離れ、養子に出ます。太陽星と同宮すれば仲が少なく、天機星と同宮すれば別に義理の父母を立て、天同星と同宮すれば、あるいは祖業から退くものの刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、父母はそろいません。
校勘 「天機同重,拜天同同」は読点の位置がずれていて、「天機同重拜,天同同」とすべきところです。
巨門星が父母宮にあると、落陥なら刑剋で損なわれ、家を離れ、養子に出ます。巨門星の落陥は辰・戌です。同宮では、太陽星(寅・申)は仲が少なく、天機星(卯・酉)は義理の父母を立て、天同星(丑・未)は祖業から退くことはあっても刑がありません。句読の問題は校勘のとおりです。巨門星は口舌をつかさどるので、父母宮でいちばんよく表れるのは、父母との意思の疎通がうまくいかず、言い争いが多いことです。巨門星が父母宮にある人は父母と考え方にずれがあることが多いので、話すときは聞く側に回るとよいでしょう。巨門星が廟旺(寅・申・卯・酉)なら、父母は筋道を立てて話し教育を大切にする人で、ただ言い方がまっすぐなだけ、ということもあります。
17天相廟旺無刑,紫微同無刑剋,廉貞同亦刑,加羊陀火鈴空劫早刑。
書き下し天相廟旺なれば刑無し、紫微同じくすれば刑剋無し、廉貞同じくすればまた刑す、羊陀火鈴空劫を加うれば早く刑す。
現代語訳天相星が父母宮にあると、廟旺なら刑はありません。紫微星と同宮すれば刑剋はなく、廉貞星と同宮すればやはり刑があります。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、早くに刑があります。
天相星が父母宮にあると、廟旺なら刑がありません。天相星の廟は子・午・丑・寅・申で(巻三の表)、星格の輝度でも子・丑・寅・午・申が廟です。同宮では、紫微星(辰・戌)は刑剋がなく、廉貞星(子・午)はやはり刑があり、煞星が加われば早く刑があります。この条は廉貞星との同宮を「亦刑」としていますが、廉貞星の条は天相星に触れておらず、二つの条が補い合っています。天相星は印の星で調整をつかさどるので、父母宮では父母と穏やかに暮らし、互いに尊重し合う形になります。天相星が父母宮にある人の父母は話のわかる人で、家の決まりははっきりしていても厳しすぎません。
18天梁陷地,加羊陀火鈴孤剋,棄祖入贅,更名寄人,保養免刑,
書き下し天梁陥地にして、羊陀火鈴を加うれば孤剋し、祖を棄て入贅す、名を更めて人に寄せ、保養せば刑を免る、
現代語訳天梁星が父母宮にあって落陥のうえ、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば、孤独で刑剋があり、生まれた家を離れて婿入りします。名を改めてよその家に預け、そこで守り育ててもらえば、刑剋を免れます。
- 更名寄人
- 名を改めて、よその家に預けること。
天梁星が父母宮にあって落陥のうえ煞星が加われば、孤剋、家を離れる、婿入り、名を改めてよその家に預ける、とされ、そうすれば「保養免刑」です。天梁星は蔭の星で、〈天梁星の主るところは〉はこれを「父母之主」と呼んでいます。本来は父母宮にもっともふさわしい星ですが、落陥(巳・申・亥)でさらに煞星が加わると、庇護がかえって失われます。「更名寄人,保養免刑」は昔の化解の方法で、名を改め、よその家に預けて、ほかの人に育ててもらえば刑剋を避けられる、という考えです。天梁星が父母宮で廟旺なら、父母は頼れる守り手です。落陥なら、祖父母やほかの年長者に育てられることもあります。
19天同同加四殺有刑,無殺無刑,天機同無刑,太陽同剋遲,加四殺空劫亦剋早。
書き下し天同同じくして四殺を加うれば刑有り、殺無ければ刑無し、天機同じくすれば刑無し、太陽同じくすれば剋すること遅し、四殺空劫を加うればまた剋すること早し。
現代語訳(天梁星が)天同星と同宮して四煞が加われば刑があり、煞星がなければ刑はありません。天機星と同宮すれば刑はなく、太陽星と同宮すれば剋は遅く来ます。四煞・地空星・地劫星が加われば、やはり早く剋します。
天梁星の条の続きです。天同星との同宮(寅・申)は四煞が加われば刑があり、煞星がなければ刑がありません。天機星との同宮(辰・戌)は刑がなく、太陽星との同宮(卯・酉)は剋が遅く、煞星が加われば早く剋します。この条の「太陽同剋遲」と、太陽星の条の「天梁同無刑」は程度が違いますが、二つを合わせて読むと、太陽星と天梁星が父母宮にあれば、刑があったとしても遅く来る、というあたりに落ち着きます。天梁星の「蔭」は父母宮では全体に守りの性質で、たいていの組み合わせが「無刑」とされ、煞星が加わったときだけ刑剋が問題になります。
20七殺剋早離祖,六親骨肉孤獨,武曲同亦刑,廉貞同刑早,紫微同加吉星無刑,加羊陀火鈴空劫,父母不周全。
書き下し七殺は剋すること早く祖を離る、六親骨肉孤独、武曲同じくすればまた刑す、廉貞同じくすれば刑すること早し、紫微同じくして吉星を加うれば刑無し、羊陀火鈴空劫を加うれば、父母周全ならず。
現代語訳七殺星が父母宮にあると、早くに剋し、生まれた家を離れ、六親の肉親はみな孤独です。武曲星と同宮すればやはり刑があり、廉貞星と同宮すれば早くに刑があります。紫微星と同宮して吉星が加われば刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、父母はそろいません。
- 六親
- 父・母・兄・弟・妻・子。広く親族を指します。
七殺星が父母宮にあると、早く剋して家を離れ、「六親骨肉孤獨」です。七殺星は孤剋の星で、父母宮での評価はとても低く、この篇でもっとも言葉の重い条の一つです。同宮では、武曲星(卯・酉)もやはり刑があり、廉貞星(丑・未)は早く刑があり、紫微星(巳・亥)は吉星が加われば刑がありません。〈斗数発微論〉にも「相貌加刑殺,刑剋難免」とあります。今読むなら、七殺星が父母宮にある人の父母は気性が強くしつけが厳しいか、いっしょにいる時間が少ないかで、子はたいてい早くから自立します。「孤獨」は、身寄りがないというより、自分の足で立つことと読むのがよいでしょう。
21破軍剋早離祖,更名寄養免刑,武曲同剋早,廉貞同亦早剋,紫微同無刑。
書き下し破軍は剋すること早く祖を離る、名を更め寄養せば刑を免る、武曲同じくすれば剋すること早し、廉貞同じくすればまた早く剋す、紫微同じくすれば刑無し。
現代語訳破軍星が父母宮にあると、早くに剋し、生まれた家を離れます。名を改めてよその家に預けて育ててもらえば、刑剋を免れます。武曲星と同宮すれば早くに剋し、廉貞星と同宮してもやはり早く剋します。紫微星と同宮すれば刑はありません。
破軍星が父母宮にあると、早く剋して家を離れますが、名を改めてよその家で育ててもらえば刑を免れます。破軍星は破りすり減らすことをつかさどるので、父母宮では父母との関係に変化が多くなります。同宮では、武曲星(巳・亥)は早く剋し、廉貞星(卯・酉)も早く剋し、紫微星(丑・未)は刑がありません。〈形性賦〉は破軍星(耗)を、父母宮を守れば必ず「破祖刑傷」となる星の一つに挙げていて、この条と一致しています。一方、紫微星との同宮が刑なしとされるのは、紫微星の条の「破軍同早剋」と逆です。破軍星が父母宮にある人は、幼いころの家の環境の変化が大きく、引っ越しや父母の仕事の変化、あるいは早くに家を出て自分の道を進むことがよくあります。
22文昌加吉星入廟無刑,加羊陀火鈴有刑,或退祖二姓延生。
書き下し文昌吉星を加えて入廟すれば刑無し、羊陀火鈴を加うれば刑有り、或いは祖を退き二姓に延生す。
現代語訳文昌星が父母宮にあって吉星が加わり入廟なら、刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば刑があり、あるいは生まれた家を離れ、よその姓の家でようやく育ちます。
- 二姓延生
- よその姓の家で、ようやく命をつなぐこと。預けられたり養子に出たりすることを指します。
文昌星が父母宮にあると、吉星が加わり入廟なら刑がなく、煞星が加われば刑があるか、家を離れて「二姓延生」となります。文昌星の入廟は巳・酉・丑です。文昌星は文の星なので、父母宮では父母が教育を大切にし、教養のある家であることを表します。「二姓延生」はよその姓の家でようやく育つことで、昔は預けられることや養子に出ることを指しました。文昌星が父母宮にある人の父母はたいてい本をよく読む人で学業を重んじ、父母とのやりとりも学ぶことや書きものが中心になります。煞星が加われば、幼いうちに父母と離れることもあり、遠くの学校に通う、親戚の家に住まわせてもらう、といった形が考えられます。
23文曲獨守入廟無刑,加羊陀火鈴空劫父母俱不周全。
書き下し文曲独り守りて入廟すれば刑無し、羊陀火鈴空劫を加うれば父母倶に周全ならず。
現代語訳文曲星が単独で父母宮を守り、入廟なら刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、父母はどちらもそろいません。
文曲星が単独で父母宮にあると、入廟なら刑がなく、煞星が加われば父母がどちらもそろわないとされます。この条は文昌星の条に近いのですが、「俱不周全」は文昌星の条の「有刑」より重い言い方です。文曲星の廟は巳・酉・丑で(巻三の表)、星格の輝度でも丑・巳・酉が廟です。「獨守」は父母宮に主星がなく文曲星だけがある場合で、このときは対宮の疾厄宮の主星を借りて見ます。今に置き換えると、文曲星が父母宮にある人の父母は芸ごとに通じ、話がうまい人です。煞星が加われば、父母のどちらかが早くに離れていく、あるいは家の空気が落ち着かない、ということもあります。
24左輔獨守無刑,廉貞同早刑,加文昌相生無刑,加羊陀火鈴刑傷,退祖二姓延生。
書き下し左輔独り守れば刑無し、廉貞同じくすれば早く刑す、文昌を加え相生ずれば刑無し、羊陀火鈴を加うれば刑傷、祖を退き二姓に延生す。
現代語訳左輔星が単独で父母宮を守ると、刑はありません。廉貞星と同宮すれば早くに刑があります。文昌星が加わり、五行が相生すれば刑はありません。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば刑傷があり、生まれた家を離れて、よその姓の家でようやく育ちます。
左輔星が単独で父母宮にあると刑がなく、廉貞星と同宮すれば早く刑があり、文昌星が加わって相生すれば刑がなく、煞星が加われば刑傷、家を離れる、二姓延生、とされます。左輔星は助けの星で、父母宮では父母のほかにも手を貸してくれる年長者がいることを表します。「加文昌相生」は五行の相生のことで、左輔星は土、文昌星は金に属し、土は金を生むので刑がない、という理屈です。この篇で五行の相生をそのまま理由に使っている数少ない箇所です。左輔星が父母宮にある人は、育つ間に父母だけでなく、祖父母やおじ・おばなどの年長者からもよく面倒を見てもらいます。
25右弼獨守無刑,加吉星得父母庇蔭,見羊陀火鈴湊,離祖二姓安居。
書き下し右弼独り守れば刑無し、吉星を加うれば父母の庇蔭を得、羊陀火鈴の湊まるを見れば、祖を離れ二姓に安居す。
現代語訳右弼星が単独で父母宮を守ると、刑はありません。吉星が加われば父母の庇護を受けます。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が寄り集まるのを見れば、生まれた家を離れ、よその姓の家で安らかに暮らします。
右弼星が単独で父母宮にあると刑がなく、吉星が加われば父母の庇護を受け、煞星を見れば家を離れて「二姓安居」とされます。右弼星も左輔星と同じく助けの星ですが、この条ははっきり「得父母庇蔭」と言っていて、左輔星の条より評価が高めです。「二姓安居」は「二姓延生」より語気が軽く、よその姓の家に住み、しかも落ち着いて暮らせる、ということです。右弼星が父母宮にある人の場合、父母の世話はたいてい陰で静かに行われ、お金の援助や人の紹介といった形をとります。煞星が加われば家族と離れて暮らすこともありますが、暮らしそのものは安定しています。
26祿存無剋,加空劫羊陀火鈴,早年有破父財,且刑傷中不自成家計。
書き下し禄存は剋無し、空劫羊陀火鈴を加うれば、早年に父の財を破る有り、且つ刑傷の中に自ら家計を成さず。
現代語訳禄存星が父母宮にあると、刑剋はありません。地空星・地劫星・擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば、若いうちに父の財を失わせることがあり、しかも刑傷の中で、自分で家計を立てることができません。
禄存星が父母宮にあると剋がなく、煞星が加われば若いうちに父の財を失わせ、刑傷の中で自分の家を立てにくいとされます。禄存星は財を守る星なので、父母宮では父母に財があり、資産を残せることを表します。禄存星はいつも擎羊星・陀羅星に挟まれていて、父母宮に禄存星があれば、両隣は必ず擎羊星・陀羅星で、陀羅星が命宮に、擎羊星が福徳宮に入ります。条文の「加羊陀」は同宮か会照を指すはずです。実際の暮らしでは、禄存星が父母宮にある人の父母は倹約家で貯めるのが上手です。煞星が加われば、若いころに父母のお金の事情に問題が起き、子の経済的な出発に響くこともあります。
27擎羊刑剋早會日月重重退祖,加吉星眾免刑。
書き下し擎羊は刑剋早し、日月に会えば重重に祖を退く、吉星を加うること衆ければ刑を免る。
現代語訳擎羊星が父母宮にあると、早くに刑剋があります。太陽星・太陰星に会えば、くり返し生まれた家を離れます。吉星が多く加われば、刑剋を免れます。
擎羊星が父母宮にあると早く剋し、太陽星・太陰星に会えばくり返し家を離れ、吉星が多く加われば刑を免れます。この条はわざわざ「會日月」と言っています。擎羊星が太陽星・太陰星に会うのは、刑の星が父の星・母の星にぶつかることなので、くり返し家を離れるとされるのです。これは総論の、太陽星・太陰星を父母とする原則に応じています。〈斗数準縄〉は「相貌逢凶必帶破相」と言い、父母宮は相貌宮とも呼ばれるので、擎羊星がここにあると顔に傷が残るという説もあります。擎羊星が父母宮にある人は父母とぶつかりやすく、あるいは幼いころにけがをしたことがあるかもしれません。吉星があれば、ぶつかり合いも和らげられます。
28陀羅幼年刑傷,會日月重重退祖,二姓安居,加吉星入贅過房,或重拜二姓延生。
書き下し陀羅は幼年に刑傷す、日月に会えば重重に祖を退き、二姓に安居す、吉星を加うれば入贅過房し、或いは重ねて拝し二姓に延生す。
現代語訳陀羅星が父母宮にあると、幼いころに刑傷があります。太陽星・太陰星に会えば、くり返し生まれた家を離れ、よその姓の家で安らかに暮らします。吉星が加われば婿入りしたり養子に出たり、あるいは別に義理の父母を立てて、よその姓の家でようやく育ちます。
陀羅星が父母宮にあると幼いころに刑傷があり、太陽星・太陰星に会えばくり返し家を離れて「二姓安居」、吉星が加われば婿入り・養子・義理の父母・二姓延生とされます。この条は変わっていて、吉星が加わっても結果はやはり婿入りや養子で、吉星がないよりいくらかましになるだけです。陀羅星は遅れともつれをつかさどるので、父母との関係がすっきりしません。陀羅星にも太陽星・太陰星に会う場合が書かれていて、擎羊星の条と同じ書き方です。陀羅星が父母宮にある人は父母との関係が長くもつれやすく、介護の分担や財産の分け方がずるずる長引く、といった形で表れます。大人になってからは距離をとるほうが、かえってうまくいくでしょう。
29火星獨守孤剋,二姓延生,加吉星平和。
書き下し火星独り守れば孤剋し、二姓に延生す、吉星を加うれば平和。
現代語訳火星が単独で父母宮を守ると、孤独で刑剋があり、よその姓の家でようやく育ちます。吉星が加われば穏やかです。
火星が単独で父母宮にあると孤剋し、二姓延生で、吉星が加われば穏やかです。火星は急ぐこと、突然のことをつかさどるので、父母宮では父母との関係が急に変わることを表します。この条は短く、評価もとても重く、吉星が加わってはじめて穏やかになります。巻三の〈諸星同垣:火星・鈴星〉は火星の廟を寅・午・戌としていますが、この条は廟と陥を分けていません。今の家庭にあてはめると、火星が父母宮にある人の父母はせっかちで気性がまっすぐ、家の空気も張りつめやすいでしょう。父母とは落ち着いて向き合い、ぶつかったときはまず一歩引くとよいでしょう。
30鈴星刑剋孤單,二姓安居,重拜父母,入贅過房。
書き下し鈴星は刑剋孤単、二姓に安居し、父母を重ねて拝し、入贅過房す。
現代語訳鈴星が父母宮にあると、刑剋があって孤独で、よその姓の家で安らかに暮らし、別に義理の父母を立て、婿入りしたり養子に出たりします。
鈴星が父母宮にあると、刑剋と孤独、二姓安居、義理の父母、婿入りと養子が並べられます。この条は預けられる、養子に出るといった言い方をすべて並べていて、この篇でもっとも言葉の重い条の一つです。しかも化解の条件がまったくなく、「加吉星」さえ書かれていません。鈴星は火星に近い星ですが、より陰にこもっていて、父母宮では父母との間に口に出せない隔たりがあることを表します。鈴星が父母宮にある人は父母との気持ちのやりとりが少なめなので、自分から伝えるようにするとよいでしょう。こうした判断は、今ならたいてい関係が疎遠になることで、実際に養子に出ることではありません。
31魁鉞主父母榮貴同吉星雙全。
書き下し魁鉞は父母の栄貴を主る、吉星と同じくすれば双全。
現代語訳天魁星・天鉞星が父母宮にあると、父母が栄えて高い地位にあることをつかさどります。吉星と同宮すれば、父母はそろっています。
天魁星・天鉞星が父母宮にあると父母は栄えて身分が高く、吉星と同宮すれば父母がそろっています。魁鉞は貴人の星で、父母宮では父母そのものが貴人であること、つまり地位があり人脈があって、子を引き立てられることを表します。この条には煞星が加わる場合の条件がなく、〈福徳宮〉の魁鉞の条と同じく、古人は魁鉞がこの二つの宮にあるのをまったくの吉と考えていました。魁鉞が父母宮にある人の父母は社会である程度の地位か専門を持っていて、子は育つ間に多くの資源と導きを得られます。
32斗君過度逢吉父母吉利無災傷,得安逸內外有喜。遇凶則父母不利。
書き下し斗君過度して吉に逢えば父母吉利にして災傷無し、安逸を得て内外に喜び有り。凶に遇えば則ち父母に利あらず。
現代語訳斗君が父母宮を通る年に吉星に会えば、父母は吉で災いもけがもなく、安らかで、家の内外に喜びごとがあります。凶星に会えば、父母に不利です。
- 斗君
- 流年で正月がある宮。ここから流月を数えます。
最後の一条は斗君です。斗君が父母宮を通る年に、吉星に会えば父母は吉で家の内外に喜びがあり、凶星に会えば父母に不利です。これは田宅宮や福徳宮の斗君の条と同じ書き方で、十二宮の星ごとの判断のいつもの結びです。流年に当てはめるなら、ある年は父母の健康や家の年長者のことにとくに気を配る必要がある、と理解できます。斗君が父母宮に来て煞星にも会う年は、父母のそばにいる時間を増やし、体の具合に気をつけてあげるとよいでしょう。父母宮は今では目上の人を表すとも読まれるので、上司との関係にも目を配っておくとよい年です。
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
よくある質問
紫微斗数の父母宮では何を見ますか?
父母宮で見るのは父母との縁です。父母がそろっているか、刑剋があるか、幼いころによその家に養子に出たり預けられたりするかを見ます。『紫微斗数全書』巻二にはこのほかに総論があり、太陽星を父、太陰星を母とし、太陽星が落陥なら先に父を、太陰星が落陥なら先に母を剋するとしています。全書の十二宮に出てくる「相貌宮」も、この父母宮のことです。
太陽星も太陰星も落陥のとき、全書は父母をどう見ますか?
全書は、二つの星がどちらも落陥のときは生まれた時刻だけを見るとしています。昼に生まれた人は父が残り、夜に生まれた人は母が残ります。夜に生まれた人は太陰星を見て、太陰星が反背して明るくなければ先に母を剋します。昼に生まれた人は太陽星を見て、太陽星が反背して暗ければ先に父を剋します。著者は「余試之屢驗矣」と書いています。
父母宮に煞星があるとどうなりますか?
全書の書き方では、主星が父母宮にあって、さらに擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加わると、たいてい「早剋」「刑傷」「父母不周全」とされ、あるいは「重拜父母」「過房入贅」「二姓延生」が必要になるとされます。例外は紫微星・天府星・天相星、廟旺の天同星、天梁星との同宮などで、多くは「無刑」とされています。
「二姓延生」「過房入贅」とはどういう意味ですか?
二姓延生は、よその姓の家に預けられたり、ほかの人の義理の子になったりして、ようやく命を育てられることです。過房はよその家に養子として入ること、入贅は男性が女性の家に入って結婚することです。全書は父母宮でこうした言い方を使い、実の父母との縁が薄いことを表しています。
この篇に出てくる主星