紫微星の主るところは
〈問紫微所主若何?〉
『紫微斗数全書』巻一・賦文・諸星問答と格局・原文と現代語訳
はじめに
この篇は巻一〈諸星問答論〉の最初の問い「問紫微所主若何?」です。紫微星は帝座で、諸星の筆頭に置かれているので、分量もいちばん多くなっています。全篇には四つの声があります。
- 答曰(第1〜15段):紫微星の本質は「中天之尊星」だと言い、続いて三台の見方を説き、さらに紫微星が命宮・官禄宮・財帛宮と田宅宮・子女宮・夫妻宮・遷移宮・福徳宮にあるときを一宮ずつ述べ、「無輔弼同行則為孤君」とも言います。
- 希夷先生曰(第16〜18段):紫微星が福を降して災いを消し、火星・鈴星を制し、七殺星を降すことを強調し、紫微星が辰戌丑未で破軍星に会う場合を特に取り上げます。
- 歌曰(第20〜24段):五言の口訣で、それまでの要点を韻文にまとめています。
- 玉蟾先生曰(第25〜27段):紫微星を朝廷にたとえ、左輔・右弼を宰相、文昌・文曲を随員、天魁・天鉞を伝令、太陽・太陰を各部署の長官、天府を蔵の管理者とします。
読むときに気をつけたいことが二つあります。一つ目は、篇中で紫微星が「與囚同居」「與太陰武曲同度」と言われていますが、紫微星は廉貞星・太陰星・武曲星とは盤上で同宮しないので、この「同」は会照に近い意味だということです。二つ目は、「相貌」は全書での父母宮の別名、「男女宮」は子女宮のことだという点です。
1答曰:紫微屬土,乃中天之尊星為帝座,主掌造化樞機,人生主宰。仗五行育萬物,以人命為之立定數。
書き下し答えて曰く、紫微は土に属し、すなわち中天の尊星にして帝座と為す。造化の枢機を主掌し、人生の主宰なり。五行に仗りて万物を育み、人命をもってこれが為に定数を立つ。
現代語訳答えて言います。紫微星は五行で土に属し、天の中央のいちばん尊い星で、帝王の座です。天地の造化のかなめを司り、人の一生の主宰です。五行によって万物を育て、人の命のために定まった命数を立てます。
- 中天
- 天の真ん中。紫微垣は北の空の中央にあり、昔の人は天帝の住まいと見なしました。
- 帝座
- 帝王の座。紫微星の別名です。
- 樞機
- かなめ、要所。
冒頭のこの句が篇全体の基調を決めています。紫微星はただの「よい星」ではなく、盤全体の主宰だということです。五行は土に属し、土は中央にあって万物を載せるので、昔の人は紫微星を北の空の真ん中の帝座に置き、「掌造化樞機」としました。この後の段で、紫微星が福を降し、煞を制し、七殺星を降すと言われるのは、どれもこの君主という身分から導かれています。
盤を読むときは、まず二つのことを分けておく必要があります。紫微星がどの宮にあるかと、紫微星が命宮に座っているかは別のことです。どの盤にも紫微星はあり、十二宮のどこか一つに必ず入っています。この篇の断定の多くは、紫微星が命宮・身宮・官禄宮のあたりにある場合のことです。星格の盤で紫微星の位置は五行局と旧暦の誕生日で決まり、ほかの十三の主星はすべて紫微星と天府星から導かれます。これが、命盤を立てる技術の上での「人生主宰」の意味でもあります。詳しくは紫微星と天府星の二系統の主星を参照してください。
2安星纏各根所司,處年數內常掌爵祿。諸宮降福能消百惡。
書き下し星纏を安んずること各司る所に根ざし、年数の内に処りて常に爵禄を掌る。諸宮に福を降し、能く百悪を消す。
現代語訳多くの星の配置は、それぞれ受け持つ職分にもとづいています。紫微星は人の年寿と命数の中で、常に官爵と俸禄を司ります。どの宮にあっても福を降し、さまざまな凶悪を消すことができます。
- 星纏
- 星躔と同じで、星のある位置。
- 爵祿
- 官爵と俸禄。
「處年數內常掌爵祿」は紫微星と官禄を結びつけていて、〈紫微星の性情〉が「官禄の主と為す」と言うのと同じ意味です(紫微星の性情を参照)。昔の「爵祿」は官職と俸禄で、今なら役職や肩書と、それにともなう収入や資源に近いものです。
「諸宮降福能消百惡」は、紫微星がどこに行っても悪いことはないという意味によく読まれますが、それは広げすぎです。後の第6・7・18段で、紫微星が補佐なく孤立したとき、煞星に会ったとき、破軍星に会ったときには問題が起きるとすぐに言っています。だからこの句が言っているのは、紫微星の本性が和らげる方向にあるということで、保証ではありません。実際にどれだけ和らげられるかは、輝度、左輔星・右弼星があるか、三方四正の煞星や化忌の重さで決まります。
3須看三臺,蓋紫微守命是中臺,前一位是上臺,後一位是下臺。俱看在廟旺之鄉否,有何吉凶之守照。如廟旺化吉甚妙,陷又化凶甚凶。
書き下し須らく三台を看るべし。蓋し紫微の命を守るは是れ中台、前一位は是れ上台、後一位は是れ下台なり。倶に廟旺の郷に在るや否や、何の吉凶の守照有るかを看る。如し廟旺にして吉に化せば甚だ妙、陥にして又凶に化せば甚だ凶なり。
現代語訳三台を見なければなりません。紫微星が守る命宮を中台、その前の一宮を上台、後ろの一宮を下台とします。三つの宮がどれも廟旺の地にあるかどうか、どんな吉星・凶星が守り照らしているかを見ます。廟旺で、しかも吉に化せばたいへんよく、落陥で、しかも凶に化せばたいへん凶です。
- 三臺
- ここでは紫微星のある宮とその前後の二宮を指します。雑曜の三台星とは別です。
- 守照
- 守は宮の中に座ること、照は対宮や三方から照らしてくること。
「三臺」はこの篇に特有の見方で、一般の三方四正ではありません。紫微星が守る宮を中台とし、その前と後ろの一宮を上台・下台とするので、紫微星の両隣を見ることになります。これは後の夾宮の考え方にとても近く、両隣に吉星があれば支えられ、擎羊・陀羅や火星・鈴星があれば挟まれて押さえられます。
星格の盤では、紫微星の宮の左右の宮が上台・下台です。二つの宮の主星の輝度の小さな字と、化禄・化権・化科・化忌の印があるかを見ます。紫微星自身は十二宮のうち子だけが平和、辰・戌が得地で、ほかはすべて廟か旺なので、「陷又化凶」はむしろ両隣を見ていると言えます。また、古書の「化吉」「化凶」は四化だけを指すのではなく、吉星・煞星の働き全体も含みます。
4吉限不為美,凶限則凶也。
書き下し吉限も美と為さず、凶限はすなわち凶なり。
現代語訳(このような場合)吉の運限に入ってもよいとは言えず、凶の運限に入れば凶です。
- 限
- 運限。大限・小限。
この句は第3段の後に続いていて、主語が省かれています。前後の文から見ると、三台が「陷又化凶」の紫微星のことです。土台が不安定なので、よい運限に入っても力を出せず、悪い運限に当たれば凶が現れる、ということです。言い換えれば、本命の構造が、運限がどこまで増幅できるかを決めています。
これは斗数のごく基本的な「本命を体とし、運限を用とする」という考え方で、運限は本命にすでにあるものを動かすことしかできません。実際に見るときは、大限が来ている宮を仮の命宮と考え、紫微星の三台がその大限のどの位置に来ているかを振り返って見るとよいでしょう。
5人之身命若值祿存同宮,日月三合相照,貴不可言。
書き下し人の身命、若し禄存に値いて同宮し、日月三合に相照らせば、貴きこと言うべからず。
現代語訳人の命宮・身宮で紫微星が禄存星と同宮し、さらに太陽星・太陰星が三合から照らしてくれば、言葉にできないほど貴くなります。
- 三合
- 四宮ずつ離れた三つの宮。互いに呼応します。
- 日月三合相照
- 通行の星の配置法では、紫微星の三方四正に太陽星・太陰星は入らないので、この条件は盤上ではそろいません。命盤の条件の印は、紫微星と禄存星の同宮だけに付けています。
この句は〈諸星の同垣〉にもほぼ同じ形で出てきて、「紫禄同宮して日月照らせば、貴きこと言うべからず」とあります(紫微星の同垣を参照)。条件は二段階で、命宮か身宮に紫微星と禄存星が一緒に座り、さらに太陽星・太陰星が三合から照らすことです。
問題は二段目です。星の配置法では、太陽星はいつも紫微星から三つ後ろにあり、太陰星の位置も紫微星とずれているので、どちらも紫微星の三方四正に入ることはできません。だから、紫微星と禄存星が同宮し、しかも太陽・太陰が三合から照らすという字面どおりの形は、どの盤でもそろいません。比較的筋の通る読み方は「身命」を分けるもので、身宮が紫微星と禄存星、命宮の三合に別に太陽・太陰がある、とします。また、帝王の星が禄を得て、そのうえ太陽と月に補佐されるという規模を示すための、誇張した理想の格にすぎないと見る人もいます。星格の「あなたの命盤」の照合では紫微星と禄存星の同宮だけを示しているので、照らし合わせるときは、太陽・太陰の半分は自分で見積もる必要があります。
6無輔弼同行則為孤君,雖美玉不足。更與諸殺同宮,或諸吉合照,君子在野,小人在位。
書き下し輔弼の同行無ければすなわち孤君と為し、美玉といえども足らず。更に諸殺と同宮し、或いは諸吉合照すれば、君子は野に在り、小人は位に在り。
現代語訳左輔星・右弼星が同行していなければ孤君で、美しい玉であっても足りないところがあります。さらに煞星と同宮するか、吉星が三合から照らしてくると、君子は野に下り、小人が高い地位を占める形になります。
- 孤君
- 補佐する臣下のいない君主。紫微星に左輔星・右弼星が同行していないことを指します。
- 雖美玉不足
- 言葉が簡略で、おおよそ「美しいけれども足りないところがある」という意味です。
- 或諸吉合照
- 「與諸殺同宮」の後に続いていて、意味があまり通りません。ここでは字面どおりに訳しています。
「孤君」は全書に繰り返し出てくる考え方です。紫微星は君主で、臣下がいてはじめて事を成せます。左輔星・右弼星がいちばん直接の宰相です。原文の条件は「無輔弼同行」で、厳密には左輔・右弼が同宮していないこと、ゆるく取れば三方四正で会っているかを見ることになります。孤君格も参照してください。
後半の「君子在野,小人在位」は、命宮を朝廷にたとえたものです。補佐がなく、しかも煞星と同宮すると、よい力が外へ押しやられ、悪いものがかえって実権を握ります。「或諸吉合照」がここに来ると読みにくいことは注で説明しました。比較的筋の通る理解は、吉星が三合から照らしてきても、主星自身が孤立して煞を帯びていれば、吉星は外側にとどまるしかない、というものです。現代なら、主張が強く地位も高いけれど、頼れるチームがなく、身近な合わない人に左右されやすい、と読めます。
7主人奸詐假善,平生惡積。與囚同居,無左右相佐,定為胥吏。
書き下し人奸詐にして善を仮るを主り、平生悪を積む。囚と同居し、左右の相佐くる無ければ、定めて胥吏と為る。
現代語訳その人は腹黒く、善人のふりをし、一生のうちに悪行を積み重ねることをつかさどります。廉貞星と一緒にあり、左輔星・右弼星の補佐がなければ、きっと下っ端の胥吏にしかなりません。
- 囚
- 廉貞星。廉貞星は化気が囚です。紫微星と廉貞星は同宮せず、二つの星はいつも三合の位置にあります。
- 胥吏
- 役所で文書や雑務を扱う下級の役人。
この段の「奸詐假善」は前の段の状況、つまり紫微星が孤立し、しかも煞星があるときのことを言っていて、紫微星が命宮にある人がみなそうだということではありません。昔の人の理屈では、帝王の星が補佐を失うと、帝王の威厳と自尊心は残っていても正当に発揮する道がないので、うわべの振る舞いや私心に変わる、ということです。
「與囚同居」の囚は廉貞星です。紫微星と廉貞星はいつも四宮離れていて、互いに三合の位置にあるので、ここは会照としか読めません。興味深いことに、〈紫微星の性情〉も同じく「為胥吏」と言っていますが、組み合わせる相手は破軍星で、「破軍と同じくすれば胥吏と為る」とあります(紫微星の性情を参照)。紫微星が小役人に落ちる条件について全書の言うことはまちまちですが、共通しているのは左輔・右弼がないことです。胥吏は昔の位階のない事務員で、今ならおおよそ現場の事務職にあたります。これは地位についての断定で、職業の良し悪しの評価ではありません。
8如落疾厄、兄弟、奴僕、相貌、四陷宮,主人勞碌作事無成,雖得助亦不為福。更宜詳細宮度,應究星纏之論。
書き下し如し疾厄、兄弟、奴僕、相貌の四陥宮に落つれば、人の労碌して事を作すも成る無きを主り、助けを得るといえどもまた福と為さず。更によろしく宮度を詳細にし、応に星纏の論を究むべし。
現代語訳紫微星がもし疾厄宮・兄弟宮・奴僕宮・父母宮という四つの陥宮に落ちれば、その人は苦労が多く、事をなしても成果がなく、助けを得ても福にはなりません。さらに宮の度数を詳しく見て、星のある位置の道理を突き詰めるべきです。
- 奴僕
- 奴僕宮(交友)のこと。
- 相貌
- 全書での父母宮の別名。
- 陷宮
- 紫微星にとって力を出しにくい宮。
ここでの「四陷宮」は輝度の表の落陥ではなく、宮として力を出しにくいということです。疾厄・兄弟・奴僕・父母(相貌)の四宮は、どれも自分自身が主導できる位置ではありません。君主が臣民・体・同輩・目上の座に着いても尊さを生かせないので、「勞碌作事無成,雖得助亦不為福」と言います。
注意したいのは、この四宮でも、星格の盤での紫微星の輝度は廟旺でありうることで、二つのことは分けて見る必要があります。また、紫微星がこの四宮にあるときは、命宮の主星は別の星になり、命を論じるには主に命宮の星を見るので、この段の断定は補足に近く、紫微星の力が他人や体の領域に落ちている、ということです。原文も最後の一文「更宜詳細宮度」で自ら余地を残していて、この句だけでその人が苦労性だと決めつけてはいけません。
9若居官祿身命,三宮最要左右守衛。天相祿馬交馳,不落空亡,更坐生鄉,可為貴論。
書き下し若し官禄身命に居れば、三宮最も左右の守衛を要す。天相、禄馬交馳し、空亡に落ちず、更に生郷に坐すれば、貴論と為すべし。
現代語訳紫微星がもし官禄宮・命宮・身宮にあれば、この三つの宮ではとりわけ左輔星・右弼星の守りが必要です。さらに天相星があり、禄馬交馳し、空亡に落ちず、そのうえ長生の地に座れば、貴い命として論じることができます。
- 祿馬交馳
- 禄の星と天馬星が出会うこと。昔の人は動く中で財を得ると読みました。
- 空亡
- 旬空・截空のような「空」の位置。星がここに落ちると力が浮つきます。
- 生鄉
- 長生十二位の長生の地。
星格のやり方長生十二位の進む向きについて、全書は男命は順に、女命は逆に数えるとしています。星格は陰陽と男女で順逆を決めるので、盤上の長生の位置は全書どおりに並べた場合と違うことがあります。
この段は、紫微星が「貴」となる条件をすべて並べています。紫微星が命宮・身宮・官禄宮にあり、左輔星・右弼星が守り、さらに天相星と禄馬交馳があり、空亡に落ちず、そのうえ長生の地に座ることです。条件が一段ずつ積み重なっていて、本当の貴格は要求が高く、紫微星があればよいというものではないことを示しています。
盤で確かめる順序は次のようにできます。まず紫微星の宮かその三方四正に左輔・右弼があるかを見ます。次に禄存星か化禄が天馬星と同宮または対照しているか(禄馬交馳)を見ます。それからその宮の小さな星に旬空・截路・空亡がないかを見て、最後に長生十二神が「長生」かを見ます。最後の項目は順逆の並べ方に左右されることを上の「星格のやり方」で説明したので、照らし合わせるときは幅を持たせておきます。昔の「貴」は官位で、今なら組織の中で正式な権限と地位を持つことと理解できます。
10如魁鉞三臺星會吉星。則三臺八座矣。帝會文昌拱照,又得美限扶,必文選之職。
書き下し如し魁鉞三台星、吉星に会すれば、すなわち三台八座なり。帝、文昌の拱照に会し、又美限の扶けを得れば、必ず文選の職なり。
現代語訳もし天魁星・天鉞星・三台星が吉星に会えば、三台八座の高官です。紫微星が文昌星の拱照に会い、さらによい運限の支えを得れば、必ず文官を選ぶ職に就きます。
- 三臺八座
- 昔の高官の呼び名。三台は尚書・御史・謁者などの台の官、八座は尚書省の主な長官を指します。
- 文選之職
- 吏部文選司のような、文官の選任を司る職。
- 美限
- よい運限。
ここの「三臺」は第3段とは違います。「三臺八座」と続けて使うときは、雑曜の三台と八座の二つの星を指し、同時に昔の高官の呼び名でもあるので、この句は掛詞になっています。星格の盤では、三台・八座は宮の小さな星の中に出てきます。左輔星・右弼星に誕生日を加えて導かれるので、左輔・右弼の近くに来ることがよくあります。
「帝會文昌拱照」に「美限扶」が加わると「文選之職」、つまり人事任用を司る文官と判断されます。全書は文昌星と紫微星の組み合わせをとても重んじていて、帝王の星が権位を、文昌星が文書と試験をつかさどるので、合わせると学問と試験で権力の仕組みに入る道になります。現代なら、人事・選考・制度設計のような仕事に向くと読めますが、運限が合っているかもやはり見る必要があり、原文自身が「美限」を条件に挙げています。
11帝降七殺為權,有吉同位,則帝相有氣。諸吉咸集,作武官之職。
書き下し帝は七殺を降して権と為す。吉の同位する有れば、すなわち帝相に気有り。諸吉咸集まれば、武官の職を作す。
現代語訳紫微星は七殺星を降して権力に変えます。吉星が同宮していれば、帝王の星も補佐の星も力を持ちます。多くの吉星がみな集まれば、武官の職に就きます。
- 帝相
- 帝王の星と補佐の星。原文は「相」が天相星か、補佐の星一般かをはっきり言っていません。
「帝降七殺為權」は紫微星のいちばん有名な働きの一つです。七殺星は将の星で殺気が強く、帝王の星に会うと取り込まれて権力になります。盤上で紫微星と七殺星が同宮するのは巳・亥の二宮だけで、巳・亥の紫微星は旺、七殺星は平和なので、ちょうど君が強く将が弱く、将が君の命令に従う構造になっています。〈諸星の同垣〉も「紫微七殺権に化すればかえって楨梓と作る」と言っていて(紫微星の同垣を参照)、楨梓は大黒柱となる人材のことです。
後半の「帝相有氣」の「相」があいまいなことは注で指摘しました。紫微星と七殺星が同宮するとき、天相星は三方の外にあるので、ここは補佐の星一般を指す可能性が高いでしょう。「作武官之職」を今に置き換えると、決断・実行・チームを率いることが求められる職務、たとえば管理職、軍や警察、エンジニアリング、営業の責任者です。
12財帛田宅有左右守衛,又與太陰武曲同度,不見惡星,必為財賦之官。更與武曲祿存同宮,身命中尤為奇特。
書き下し財帛田宅に左右の守衛有り、又太陰武曲と同度し、悪星を見ざれば、必ず財賦の官と為る。更に武曲禄存と同宮すれば、身命の中にて尤も奇特と為す。
現代語訳紫微星が財帛宮・田宅宮にあり、左輔星・右弼星の守りがあり、さらに太陰星・武曲星と同じ所にあって、悪い星を見なければ、必ず財政や税を司る官になります。さらに武曲星・禄存星と同宮すれば、命宮・身宮の中でとりわけ優れています。
- 同度
- 同じ所にあること。紫微星は盤上で太陰星・武曲星と同宮しないので、ここの「同度」「同宮」は会照に近い意味です。
- 財賦之官
- 財政・税を扱う官。
この段の「同度」「同宮」は、どちらも盤上では字面どおりになりません。紫微星が財帛宮にあるとき、武曲星はいつも官禄宮、廉貞星は命宮にあり、三つは互いに三合なので、武曲星は会照です。太陰星は三方四正にも入らず、紫微星とはいつもずれています。言い換えれば、原文が挙げているのは理想の組み合わせで、帝王の星が財を司り、そこに財の星の武曲星と富の星の太陰星が合わさる、というものです。
実際に確かめられるのは、紫微星が財帛宮か田宅宮にあり、同宮か三方に左輔星・右弼星、禄存星があり、擎羊・陀羅・火星・鈴星・地空・地劫がないことです。昔の「財賦之官」は銭や穀物・税を扱う官で、現代では、財務・税務・資産管理のような職にあたります。〈諸星の同垣〉には別に「紫微輔弼同宮す……財帛宮に在ればすなわち財賦の官と為す」という句があり(紫微星の同垣を参照)、条件はここより単純で、左輔・右弼だけを求めています。
13男女宮得祥佐吉星,主生貴子。若獨守無相佐,則子息孤單。
書き下し男女宮に祥佐吉星を得れば、貴子を生むを主る。若し独守して相佐くる無ければ、すなわち子息孤単なり。
現代語訳紫微星が子女宮にあり、吉星の補佐があれば、貴い子を生みます。もし単独で座り補佐がなければ、子は少なく心細いものになります。
- 男女宮
- 子女宮のこと。
- 子息
- 子ども。
子女宮の判断にも同じ君臣の理屈が使われています。紫微星に補佐があれば子は貴く、紫微星が孤立していれば子は少ない、ということです。ここでの「貴子」は昔なら功名のある息子で、現代なら子どもが成功する、親子関係に重みがある、と読めます。
「獨守無相佐,則子息孤單」は昔の背景に戻して読む必要があります。昔の人は子が多いことを福とし、子が少ないことを孤単と言いました。今は子どもを持つかどうかは個人の選択なので、この句は何人生めるかではなく、子どもとの縁ややりとりが薄いか濃いか、と読むほうが合っています。〈子女宮〉の篇にはもっと細かい人数の話があり、たとえば紫微星が廟旺なら男三人・女二人とします(子女宮を参照)。こうした数字は昔の決まり文句なので、参考程度にしておきましょう。
14妻宮會吉,男女得貴美夫婦諧老,亦要無破殺。
書き下し妻宮に吉を会すれば、男女とも貴美を得て夫婦諧老す、また破殺無きを要す。
現代語訳紫微星が夫妻宮にあり、さらに吉星に会えば、男命でも女命でも、尊く美しい配偶者を得て、夫婦そろって仲よく年を重ねます。ただし破軍星や煞星がないことも必要です。
- 破殺
- 破軍星と煞星とも、沖破と煞星とも解せます。
- 諧老
- 仲よく老いるまで連れ添うこと。
「男女得貴美夫婦諧老」の「男女」は、子どものことではなく、男命でも女命でもという意味です。条件は、紫微星が夫妻宮にあり、吉星に会い、しかも「無破殺」であることです。「破殺」に二通りの読み方があることは注に挙げました。全書の習慣では、紫微星がいちばん嫌うのは破軍星との同宮(丑・未)や対宮からの衝き(辰・戌)なので、破軍星と煞星と読むほうが全書全体に沿っています。
紫微星が夫妻宮にあるとき、いまの目で読めば、パートナーが主張を持ち重みのある人である、あるいは関係の中で相手の立場が上になりやすい、と読めます。〈妻妾宮〉は紫微星について「晩く聘して諧老し、性剛し」と言っていて(妻妾宮を参照)、遅い結婚と気性の強さという二つの条件が加わっています。この段と互いに補い合って読めます。
15遷移雖是強宮,更要相佐,有吉星照命,則因人之貴。福德男為陷地,女為廟樂,逢吉則吉,逢凶則凶。
書き下し遷移は是れ強宮といえども、更に相佐を要す。吉星の命を照らす有れば、すなわち人に因るの貴なり。福徳は男には陥地と為し、女には廟楽と為す。吉に逢えばすなわち吉、凶に逢えばすなわち凶。
現代語訳紫微星が遷移宮にあるとき、遷移宮は強宮ではありますが、さらに補佐が必要です。吉星が命宮を照らしていれば、人のおかげで貴くなります。紫微星が福徳宮にあるとき、男命では陥地、女命では廟楽とします。吉に会えば吉、凶に会えば凶です。
- 因人之貴
- 他人のおかげ(引き立てや後ろ盾)で地位が上がること。
- 廟樂
- 星が廟旺で、思うままに力を出せる位置にあること。
この段は二つの宮を扱っています。遷移宮は命宮の対宮で、命宮を直接照らすので、昔の人は強宮と呼びました。紫微星が遷移宮にあるとき、命宮は必ず空宮か、別の主星がある宮で、紫微星の力を借りることになります。「因人之貴」は、貴さが外の人から来るということで、たとえば引き立て、協力、地位のある人とのつながりです。
福徳宮の「男為陷地,女為廟樂」は、全書では珍しい、性別によって宮の吉凶を論じる例です。輝度の表にこうした区別はなく、星格の盤の輝度の小さな字も性別で変わることはありません。昔の人の理由は書かれていませんが、福徳宮は楽しみと精神をつかさどるので、女命では帝王の星が内に安らぎ、男命では安逸に流れて奮い立たないのを嫌った、ということかもしれません。これは全書の見方なので、照らし合わせるときは原文のとおりに理解すればよく、輝度に無理に当てはめる必要はありません。
16希夷先生曰:紫微為帝座,在諸宮能降福消災,解諸星之惡虛。能制火鈴為善,能降七殺為權。
書き下し希夷先生曰く、紫微は帝座と為し、諸宮に在りて能く福を降し災を消し、諸星の悪虚を解く。能く火鈴を制して善と為し、能く七殺を降して権と為す。
現代語訳希夷先生は言います。紫微星は帝座で、どの宮にあっても福を降して災いを消し、ほかの星の凶悪さと虚ろさを解くことができます。火星・鈴星を制して善に向かわせ、七殺星を降して権力に変えることができます。
- 希夷先生
- 宋代初めの道士、陳摶。号を希夷先生といい、全書がその作と称する祖師です。
- 火鈴
- 火星と鈴星。煞星です。
希夷先生のこの段は、紫微星の働きを「制火鈴為善」「降七殺為權」の二句に凝縮しています。火星・鈴星は爆発し、くすぶる煞星で、紫微星がそれを「為善」にさせるとは、勢いを正しい方向に使わせるということです。七殺星は降されると、孤剋の将の星から、使える権力に変わります。〈紫微星の性情〉も紫微星について「その威は七殺を制し火鈴を降す」と言っています(紫微星の性情を参照)。
「解諸星之惡虛」の「虚」は注目に値します。紫微星は凶を解くだけでなく、浮ついたもの、たとえば空劫がもたらす現実離れも解きます。ただしこれは程度の問題です。〈紫微星の性情〉の歌訣は、紫微星が命宮を守って羊陀火鈴に会うと「只だ空門に梵王を礼するに好し」とも言っているので、「能制」は煞星が重すぎない場合のことです。煞星がそろってしまえば、紫微星でも押さえきれません。
17若得府相左右昌曲吉集,無有不貴。不然亦主巨富。縱有四殺沖破亦作中局。
書き下し若し府相左右昌曲の吉集を得れば、貴ならざる有る無し。然らざればまた巨富を主る。縦い四殺の沖破有るもまた中局と作す。
現代語訳もし天府星・天相星・左輔星・右弼星・文昌星・文曲星などの吉星が集まれば、貴くならない人はいません。そうでなくても大きな富をつかさどります。たとえ四煞の沖破があっても、中くらいの格局とします。
- 四殺
- 擎羊星・陀羅星・火星・鈴星。
この段は吉星を二つの層に分けています。天府・天相は主星の層の補佐、左輔・右弼と文昌・文曲は補助の星の層の助け手です。すべて集まれば「無有不貴」、条件がそろわなければ一歩下がって「亦主巨富」、四煞の沖破があってもなお「中局」です。これは全書の典型的な段階づけの判断法で、まず上限を見て、割り引いたあとでどの段に落ちるかを見ます。
紫微星が天府星と同宮するのは寅・申だけ、天相星と同宮するのは辰・戌だけで、それ以外の位置では、天府・天相は三方四正から会しに来る必要があります。確かめるときは紫微星の宮を開き、三方四正の線の上に天府星・天相星があるか、左輔・右弼と文昌・文曲がどこにあるかを見ます。「中局」は現代では、平凡ではなく、そこそこ安定した暮らしのことで、原文の意味は、帝王の星の土台は下の格まで落ちにくいということです。
18若遇破軍在辰戌丑未,主為臣不忠,為子不孝之論。女命逢之作貴婦斷。加殺沖破,亦作平常不為下賤。
書き下し若し破軍に遇いて辰戌丑未に在れば、臣と為りて忠ならず、子と為りて孝ならずの論を主る。女命これに逢えば貴婦と作して断ず。殺を加えて沖破するもまた平常と作し、下賤と為さず。
現代語訳もし破軍星に会って辰・戌・丑・未にあれば、臣下としては忠でなく、子としては孝でない、という論になります。女命がこれに会えば、貴婦として判断します。煞星が加わって沖破しても平常とし、下賤とはしません。
- 破軍在辰戌丑未
- 紫微星は丑・未では破軍星と同宮し、辰・戌では破軍星と宮をはさんで向かい合います。
紫微星と破軍星は丑・未で同宮し、辰・戌では紫微星が一つの宮に座り、破軍星が対宮にあります(紫微星が辰なら破軍星は戌)。この組み合わせについての全書の評価はとても矛盾しています。ここでは「為臣不忠,為子不孝」と言い、〈諸星の同垣〉は「紫破辰戌は君臣不義」と言いながら(紫微星の同垣を参照)、同じ篇で「紫破命、辰戌丑未に臨み、再び吉曜を加うれば富貴期するに堪う」とも言っています。全書は紫微星と破軍星の組み合わせを必ず凶とは見ておらず、吉曜があるかどうかを見ているのがわかります。
昔の人の理由はこうです。破軍星は化気が耗で、古いものを壊し、決まりを守らないことをつかさどります。帝王の星がそれに会うと、君が君らしくなくなるので、不忠不孝にまで話が広がりました。いまの暮らしに置き換えると、既存の秩序に従わない、独立して自分の道を開く、上司や親と意見が分かれる、といったことに近いでしょう。女命でかえって貴婦と判断するのは、昔の女性の地位が嫁ぎ先で決まり、破軍星の勢いが家業を支える力と見られたからで、これは昔の女性観の産物です。
歌曰
20紫微原屬土,官祿宮主星,有相為有用,無相為孤君,諸宮皆降福,逢凶福自申,
書き下し紫微は原土に属し、官禄宮の主星なり。相有れば有用と為し、相無ければ孤君と為す。諸宮皆福を降し、凶に逢うも福自ら申ぶ。
現代語訳紫微星はもともと土に属し、官禄宮の主星です。補佐があれば役に立ち、補佐がなければ孤君です。どの宮でも福を降し、凶星に会っても、福はおのずと伸びていきます。
- 相
- 補佐、補佐の星。天相星と解する人もいます。
- 申
- 「伸」に通じ、伸びること。
この歌訣は一句目から紫微星を「官祿宮主星」と定めていて、〈紫微星の性情〉と一致します。ここで言う「官祿宮主」は、紫微星の本性が事業や権位に属するということで、紫微星が必ず官禄宮にあるという意味ではありません。
「有相為有用,無相為孤君」は第6段を二句に縮めたもので、「相」は左輔・右弼とも、天相星とも読めることは注で説明しました。「逢凶福自申」は、全書の紫微星についての言葉の中でいちばん楽観的なもので、凶に会っても福を伸ばせるとしています。これは同じ歌の第23段「若還無輔弼,諸惡共飲凌」と並んでいて、前後を分けるのは補佐があるかどうかです。歌訣は一首まるごと読む必要があり、一句だけ抜き出してはいけません。
21文昌發科甲,文曲受皇恩,僧道有師號,快樂度春秋,眾星皆拱照,為吏協公平,
書き下し文昌は科甲を発し、文曲は皇恩を受く。僧道は師号有り、快楽に春秋を度る。衆星皆拱照すれば、吏と為りて公平に協う。
現代語訳文昌星に会えば科挙に合格して功名を得、文曲星に会えば皇帝の恩寵を受けます。出家して修行する人なら師号を得て、楽しく年月を過ごします。多くの星がみな拱照すれば、役人になっても公正で偏りがありません。
- 科甲
- 科挙の試験。広く功名を得ることを指します。
- 師號
- 朝廷が高僧や高位の道士に与える称号。
この段は、紫微星にどの星を組み合わせるかで、進む道がそれぞれ違うことを示しています。文昌星となら科甲(試験による功名)、文曲星となら「受皇恩」(上の立場の人に認められる)、僧や道士なら師号を得ます。最後の「眾星皆拱照,為吏協公平」は、吉星がそろって会すれば、たとえ役人のような職でも公正でいられるということです。
文昌星と文曲星の分担は全書ではとても決まっていて、文昌星は正統な学問と試験寄り、文曲星は才芸・弁舌・正規でない道での功名寄りです。現代なら、紫微星が文昌星に会う人は学歴・資格・試験の道に向き、文曲星に会う人は実演・評判・上の人の評価に頼るほうが向いている、と読めます。「僧道有師號」から、全書が宗教の職も同じ貴賤の体系に入れていて、出家した人にも高い低いがあると考えていたことがわかります。
22女人會帝座,遇吉事貴人,若與桃花會,飄蕩落風塵,擎羊火鈴聚,鼠竊狗偷群,
書き下し女人帝座に会し、吉に遇えば貴人に事う。若し桃花と会すれば、飄蕩して風塵に落つ。擎羊火鈴聚まれば、鼠窃狗偸の群れなり。
現代語訳女性が帝座に会い、吉星に会えば、貴人に仕えます。もし桃花の星と会えば、さすらって風塵に落ちます。擎羊星・火星・鈴星が集まれば、こそ泥の仲間になります。
- 事貴人
- 貴人に仕えること。地位のある人に嫁ぐことを指します。
- 桃花
- 恋愛と人づきあいをつかさどる星。貪狼星・天姚・咸池など。
- 落風塵
- 風塵に落ちること。遊女に身を落とすことを指します。
- 鼠竊狗偷
- こそ泥、小さな盗み。
女命のこの数句は、原文では三つの結果になっています。吉星に会えば地位のある人に嫁ぎ(事貴人)、桃花の星に会えばさすらって風塵に落ち、擎羊星・火星・鈴星が集まればこそ泥の仲間になる、というものです。訳文は字面どおりに訳したので、ここで述べたいのは条件のことです。全書の「桃花」は貪狼星・天姚・咸池・紅鸞のような星を指し、紫微星と貪狼星は卯・酉で同宮します。これが〈太微賦〉の言う「桃花、主を犯すを至淫と為す」で、この句にいちばんよく当てはめられる形です。
分けて考える必要があります。昔の女性の進む道はほぼ結婚しかなかったので、命のよし悪しは「誰に嫁ぐか」「身を落とすかどうか」で表されました。今この星の組み合わせを見るなら、桃花の強い紫微星の女命は、人づきあいや恋愛の機会が多く、込み入った関係に巻き込まれやすいということで、擎羊・火星・鈴星が集まるのは、衝動的で決まりを守りにくい傾向です。断定は傾向であって、盤全体に吉星があるか、運限がどう進むかをやはり見る必要があります。
23三方有吉拱,方作貴人評,若還無輔弼,諸惡共飲凌,帝為無道主,考究要知因,
書き下し三方に吉の拱する有れば、方に貴人の評を作す。若し還た輔弼無ければ、諸悪共に飲凌す。帝は無道の主と為る、考究して因を知るを要す。
現代語訳三方から吉星が拱照してはじめて、貴人と評価できます。もし左輔星・右弼星がなければ、さまざまな凶星がそろって侵してきます。帝王の星が無道の主になってしまうので、その原因をよく考えて突き止める必要があります。
- 無道主
- 正しい道を行わない君主。
校勘 「諸惡共飲凌」の「飲」は「欺」(欺凌)の誤りと思われます。
「三方有吉拱,方作貴人評」は、紫微星の貴さは三方四正の吉星によって裏づけられる必要があり、命宮に座るだけでは足りないということです。後の「無輔弼」、校勘のとおり欺凌の意味で読む「諸惡共飲凌」、「帝為無道主」の数句は、第6・7段をもう一度言い直したもので、孤君が煞を帯びると、帝王の星がかえって暗君になるということです。
最後の「考究要知因」はよく読み飛ばされますが、実は読者への注意です。同じ紫微星の坐命でも、なぜ「無道主」になったのかを突き止める必要があり、原因は三方の煞星かもしれず、化忌かもしれず、運限かもしれないので、一概には論じられません。ご自分の盤で命宮の三方四正を見て、左輔星・右弼星があるか、煞星がどの宮にあるかを確かめてください。
24二限若遇帝,喜氣自然新。
書き下し二限若し帝に遇えば、喜気自然に新たなり。
現代語訳大限・小限がもし紫微星に会えば、喜びの気配がおのずと新しく開けます。
- 二限
- 大限と小限。
「二限若遇帝」は、大限か小限が紫微星のある宮に来ることを指します。昔の人は、帝王の星が限に臨むと、昇進や慶事があり、局面が一新すると考えました。これは運限における紫微星の基本的な性質です。
ただしこの句は単独では使えません。〈紫微星の性情〉の入限の訣は同時に「紫微限に入るは本祥と為す、只だ恐るは三方の殺破狼」と言っていて(紫微星の性情を参照)、限の宮の三方に七殺星・破軍星・貪狼星が見えると、ふつうの人にはかえって不利で、官にある人は左遷のおそれがあるとしています。星格の盤では大限に切り替え、大限の命宮が紫微星の宮かどうかを見て、さらにその三方四正を見ます。
25玉蟾先生曰:紫微乃中天星主,為眾星之樞紐,為造化也。大抵為人命之主宰,掌五行育萬物,各有所司。
書き下し玉蟾先生曰く、紫微はすなわち中天の星主、衆星の枢紐と為り、造化と為すなり。大抵人命の主宰と為し、五行を掌り万物を育み、各司る所有り。
現代語訳玉蟾先生は言います。紫微星は天の中央の星の主で、多くの星のかなめであり、造化を司ります。おおむね人の命の主宰で、五行を掌って万物を育て、多くの星はそれぞれ受け持ちを持っています。
- 玉蟾先生
- 全書巻一の別の箇所では「白玉蟾先生」とあり、一般に南宋の道士、白玉蟾とされます。
玉蟾先生のこの段は第1段の答えとほとんど重なりますが、「各有所司」という要点が一つ増えています。紫微星はかなめで、ほかの星はそれぞれ一つの持ち場を受け持ち、紫微星のよし悪しは、多くの星がそれぞれの職に落ち着いているかどうかで決まる、ということです。これが次の段の「朝廷のたとえ」への布石になっています。
全書の段落はそれぞれ出どころが違うので、同じ意味が違う口調で繰り返されることがよくあります。ここまで読むと、「答曰」「希夷先生曰」「玉蟾先生曰」の三者の説はおおむね一致していて、違うのは強調点だとわかります。答曰は宮ごとの論、希夷は煞を制すること、玉蟾は組織の役割分担に重きを置いています。
26以左輔右弼為相,以天相昌曲為從,以魁鉞為傳令,以日月為分司,以祿馬為掌爵之司,以天府為帑藏之主,身命逢之,不勝其吉。
書き下し左輔右弼をもって相と為し、天相昌曲をもって従と為し、魁鉞をもって伝令と為し、日月をもって分司と為し、禄馬をもって掌爵の司と為し、天府をもって帑蔵の主と為す。身命これに逢えば、その吉に勝えず。
現代語訳左輔星・右弼星を宰相とし、天相星・文昌星・文曲星を随員とし、天魁星・天鉞星を伝令とし、太陽星・太陰星を各部署を分担する官とし、禄存星・天馬星を爵位を司る官とし、天府星を蔵を管理する長官とします。命宮・身宮が紫微星に会えば、その吉は数えきれません。
- 分司
- 各部門を分担して管轄する役所。
- 帑藏
- 国庫、府庫。
これは全書でいちばん完全な「紫微の朝廷図」です。左輔・右弼は宰相、天相と文昌・文曲は随員、天魁・天鉞は伝令、太陽・太陰は各部門を分担する官、禄存・天馬は爵禄を扱う官、天府は国庫の長です。このたとえがとても役に立つのは、紫微星に必要なのが単なる吉星ではなく、役割分担のそろった吉星の組み合わせだと教えてくれるからです。
盤を読むときは、これをチェックリストとして使えます。紫微星の三方四正と同宮に、いくつの役職が埋まっているか。宰相(左輔・右弼)がいちばん大事で、欠ければ第6段の孤君です。国庫(天府星)は寅・申では同宮し、それ以外の位置では三方から会照するかを見ます。太陽・太陰はいつも紫微星と同じ三方四正には入らないので(第5段の説明を参照)、「分司」はたとえの上での完全さで、紫微星のそばに探す必要はありません。この段のたとえは、君臣慶会のような格局の考え方の源にもなっています。
27如遇四殺(羊陀火鈴)、劫空機梁沖破,定是僧道。此星在命,為人厚重,面紫色,專作吉斷。
書き下し如し四殺(羊陀火鈴)、劫空機梁の沖破に遇えば、定めて是れ僧道なり。此の星命に在れば、人と為り厚重、面紫色にして、専ら吉断を作す。
現代語訳もし四煞(擎羊星・陀羅星・火星・鈴星)、地劫星・地空星、天機星・天梁星の沖破に会えば、必ず出家して修行する人になります。紫微星が命宮にあれば、人柄は重厚で、顔色は紫がかり、もっぱら吉と判断します。
- 僧道
- 出家して修行する人。僧と道士。
この段は紫微星と出家を結びつけています。四煞と空劫に会い、さらに天機星・天梁星が沖破すると「定是僧道」です。天機星と天梁星はもともと清高で宗教的な色合いを帯びていて、全書は天機星の篇で天機星を「僧道に宜し」とし、天梁星についても同じく僧道に宜しいと言っています。紫微星が煞星に弱められ、さらに天機・天梁に会うと、世に入る君主から世を離れる方向へ向かうということです。
「定是」は古書の断定の仕方で、いまの言葉で言えば、世俗の権位に関心がない、あるいは縁がなく、宗教・哲学・修行に向かう、または競争から離れた暮らしを選ぶ、と読めます。最後の二句は紫微星の本来の姿に戻り、「為人厚重,面紫色,專作吉斷」と言っています。全書の紫微星の坐命に対する基本の評価はやはり吉で、上に挙げた凶の姿はどれも条件が積み重なった結果だということがわかります。
よくある質問
『紫微斗数全書』で紫微星は何をつかさどるとされていますか?
〈諸星問答論〉は、紫微星は土に属し、「中天之尊星」で帝座であり、造化のかなめを司り、人の一生の主宰だとしています。どの宮にあっても福を降して凶悪を消し、火星・鈴星を制し、七殺星を降して権に変えるとも言います。玉蟾先生は紫微星を朝廷の君主にたとえ、左輔星・右弼星を宰相としています。
紫微星の「孤君」とはどういう意味ですか?
原文は紫微星について「無輔弼同行則為孤君,雖美玉不足」と言います。紫微星のそばに左輔星・右弼星が同行していなければ、臣下の補佐のない君主のようなもので、どれほどよくても足りないところがある、という意味です。歌訣も「有相為有用,無相為孤君」「若還無輔弼,諸惡共飲凌」(「飲」は「欺」の誤りと思われます)と言っています。
紫微星が辰戌丑未で破軍星に会うと、全書はどう言っていますか?
希夷先生は、紫微星が辰・戌・丑・未で破軍星に会うと「主為臣不忠,為子不孝」、つまり臣下としては忠でなく、子としては孝でないとしています。ただし女命なら、かえって貴婦として判断し、煞星が加わって沖破しても平常で、下賤とはしないとも言います。紫微星は丑・未では破軍星と同宮し、辰・戌では破軍星と宮をはさんで向かい合います。
紫微斗数でいう「三臺」とは何ですか?
この篇の三台は紫微星を見る方法です。紫微星が守る命宮を中台、その前の宮を上台、後ろの宮を下台とし、三つの宮がどれも廟旺か、どんな吉星・凶星が守り照らしているかを見ます。雑曜の三台星とは別のものです。
紫微星が兄弟宮・疾厄宮・奴僕宮にあるのはよくないのですか?
原文は疾厄・兄弟・奴僕・相貌(父母)の四つの宮を紫微星の「四陷宮」と呼び、紫微星がここにあると、苦労が多く物事が成りにくく、助けを得ても福にはならないとしています。ただしすぐ続けて、宮の度数と星をさらに詳しく見るべきだとも言っていて、この一句だけでは判断できません。
この篇に出てくる主星