諸星同垣:紫微星
〈論諸星同垣:紫微〉
『紫微斗数全書』巻三・論命と行限・原文と現代語訳
はじめに
この篇は『紫微斗数全書』巻三〈諸星の同垣:富貴・貧賤・寿命の分かれ目〉のうち、紫微星の部分です。「同垣」とは同じ宮にあることで、この長い篇は星ごとに、どの星と同宮し、どの星と出会えば、富貴になるか貧賤になるか、長生きか早死にかを並べています。
最初の行は紫微星の廟旺です。丑・未・午で入廟、寅・申・卯・酉・巳・亥で旺、子で平和、そして「無陷」、落陥の地はありません。星格の輝度表もこの行とほぼ同じで、全書が書いていない辰・戌を得地としている点だけが加わります。
そのあとの二十あまりの句は、どれも組み合わせについての断語で、後ろによく小さな注が付いて条件を補います。たとえば「紫微居午無刑忌,甲丁己命至公卿」には「刑乃擎羊也」、刑とは擎羊星のこと、という注があります。いくつかの組に分けて読めます。
- 紫微星が午、子午、亥寅にある:生年の十干と合わせて富貴を論じます。
- 紫微星と天府星:寅申の同宮、命宮を夾む形、財帛宮・田宅宮にある形、巳亥にそろう形。
- 紫微星と破軍星・七殺星・貪狼星:辰戌丑未の紫破、紫微星と七殺星の化権、卯酉で劫空に遇えば僧になる、など。
- 女命:紫微星・太陽星が命宮にあれば早く賢い夫に遇う。
盤の上では実際には同宮しない組み合わせを挙げる句もあり(たとえば「紫府同臨巳亥」は、実は紫微星と天府星が巳・亥に分かれて向かい合う形です)、注で説明しています。底本の「享幅」「安樂山」「辰戍」は、それぞれ〈享福〉、安禄山、〈辰戌〉の誤りです。
1紫微 廟丑未午 旺寅申卯酉巳亥 平子 無陷
書き下し紫微、丑未午に廟、寅申卯酉巳亥に旺、子に平、陥無し。
現代語訳紫微星の廟旺:丑・未・午で入廟、寅・申・卯・酉・巳・亥で旺、子で平和です。落陥の地はありません。
- 廟
- 入廟。星がもっとも力を出せる位置。
- 旺
- 廟に次ぎ、なお力がある位置。
- 平
- 平和。よくも悪くもなく、力は並みです。
星格のやり方星格の紫微星の輝度は、丑・未・午で廟、寅・申・卯・酉・巳・亥で旺、子で平和で、この行と同じです。全書は辰・戌を書いていませんが、星格では辰・戌を得地としています。
2紫微居午無刑忌甲丁己命至公卿 加刑忌平常刑乃擎羊也。
書き下し紫微午に居りて刑忌無ければ、甲丁己の命は公卿に至る。刑忌を加うれば平常、刑は乃ち擎羊なり。
現代語訳紫微星が午で命宮にあり、刑の星も化忌もなければ、甲・丁・己年生まれの人は公卿にまで至ります。(注)刑の星や化忌が加われば平凡です。「刑」とは擎羊星のことです。
- 公卿
- 三公九卿。朝廷の高官。
3紫微居子午科權祿照最為奇 科權祿三方照是也為仰面朝斗格。
書き下し紫微子午に居りて科権禄照らせば最も奇と為す。科権禄の三方より照らす是れなり、仰面朝斗格と為す。
現代語訳紫微星が子か午にあって、化科・化権・化禄が照らせば、最もすぐれています。(注)科・権・禄が三方から照らすことで、仰面朝斗格と呼びます。
星格のやり方紫微星が子・午で命宮にあるとき、化科・化権・化禄の三つが同時に命宮の三方四正に入ることは星格の盤では起こりません(二万枚の盤で一枚も成立しません)。そこで命盤の照合では、化権と化禄が命宮に会えばよい、と条件をゆるめています。
「仰面朝斗」という名前には、全書の中にいくつか似た言い方があります。〈骨髄賦〉には「朝斗仰斗,爵祿榮昌」、〈女命骨髄賦〉には「對面朝斗格,子午宮逢祿存」とあり、どれも子・午の宮の帝王の星が朝拝を受ける形を言っています。条件でいちばん難しいのは科・権・禄の三つがそろって三方から照らすことで、上の「星格のやり方」で述べたとおり、盤の上では三つが同時に入ることはありません。実際に起こるのは二つが会う形で、たとえば乙年に紫微星が化科で命宮にある、あるいは壬年に紫微星が化権になり、そこへ禄が一つ三方から照らす、といった形です。こうした〈三奇〉の格は理想の型と受け取り、実際の盤では二つそろえばもう珍しいと考えてよいでしょう。
4紫微男亥女寅宮壬甲生人富貴同 同男女同也。
書き下し紫微男は亥、女は寅宮、壬甲生の人は富貴同じ。同じとは男女同じきなり。
現代語訳紫微星が、男性なら亥の宮に、女性なら寅の宮にあれば、壬・甲年生まれの人は同じように富貴です。(注)「同じ」とは男女とも同じという意味です。
この句は性別と宮を結びつけていますが、なぜ男は亥、女は寅なのかを原文は言わず、後世にも一致した説明はありません。十干のほうは分解できます。紫微星が亥(七殺星と同宮)なら、壬年は紫微星が化権で禄存星も亥に入り、甲年は廉貞星の化禄と破軍星の化権が三合の卯に、武曲星の化科が未に入って、禄・権・科がすべて三方に入ります。紫微星が寅(天府星と同宮)なら、甲年は禄存星が寅に入り、廉貞星の化禄が午にあります。壬年は紫微星が化権になりますが、同じ年に武曲星の化忌と陀羅星がどちらも三合の戌に入り、吉の中にとげがあります。こう読むと、十干の理由のほうが性別の理由よりずっとはっきりしています。
5紫微卯酉劫空四殺多為脫俗之僧 四殺羊陀火鈴也。
書き下し紫微卯酉にて劫空四殺あれば多く脱俗の僧と為る。四殺は羊陀火鈴なり。
現代語訳紫微星が卯・酉にあって、地劫星・地空星と四殺に遇えば、多くは俗世を離れた僧になります。(注)四殺とは擎羊星・陀羅星・火星・鈴星です。
- 脫俗之僧
- 俗世を離れて出家した僧。
紫微星が卯・酉にあれば必ず貪狼星と同宮し、全書が「桃花犯主」と呼ぶ組み合わせになります。そこへ地空星・地劫星と四殺が加われば、出家と断じます。理屈はこうです。帝王の星は卯・酉では旺にとどまって廟ではなく、しかも桃花の星に引っぱられています。そのうえ空劫に遇えば、世俗の欲も成功もむなしくなり、宗教へ向かう、というのです。〈骨髄賦〉は「極居卯酉多為脫俗僧人」(斗数骨髄賦)と言い、〈女命骨髄賦〉はさらに「十人之命九人僧」と言います。今なら、物や世間的な成功への関心が薄く、精神的なものを求める傾向と読めますが、全書の本来の意味は出家で、そこは書き換えないでおきます。
6紫微天府全依輔弼之功 紫府得輔弼同垣,及三方拱照嘉會,終身富貴。
書き下し紫微天府は全く輔弼の功に依る。紫府輔弼を得て垣を同じくし、及び三方拱照して嘉会すれば、終身富貴。
現代語訳紫微星・天府星は、すべて左輔星・右弼星の助けに頼ります。(注)紫府が左輔星・右弼星を得て同宮し、また三方から拱照して吉星がよく集まれば、一生富貴です。
- 輔弼
- 左輔星と右弼星。
この句の原文は〈太微賦〉の「紫微天府全依輔弼之功」(太微賦)で、同垣の篇の注は〈同垣〉と〈三方拱照〉の二つの場合を補っています。知っておきたい盤の細部が一つあります。左輔星と右弼星が同宮するのは丑・未だけで、紫府の同宮は寅・申なので、紫府が自分の宮に左輔星・右弼星を両方とも持つことはありえません。実際には一つが同宮して一つが三方にあるか、どちらも三方から照らす形がほとんどです。紫微星か天府星のある宮の三方四正に、左輔星・右弼星があるかを見てください。
7紫微天府同宮無殺湊甲人享幅終身 紫府同在寅申宮守命,六甲人富貴。
書き下し紫微天府同宮して殺の湊まる無ければ、甲の人終身幅を享く。紫府同じく寅申宮に在りて命を守れば、六甲の人富貴。
現代語訳紫微星・天府星が同宮し、煞星が寄り集まらなければ、甲年生まれの人は一生福を受けます。(注)紫府がそろって寅・申の宮で命宮を守れば、六甲の年に生まれた人は富貴です。
- 六甲
- 十干が甲の六つの年。甲子・甲戌・甲申・甲午・甲辰・甲寅。
校勘 「享幅終身」の「幅」は「福」とすべきところです。
紫府の同宮は寅・申だけで、これは決まっています。甲年のよさを分解すると、禄存星が寅にあるので、紫府が寅なら禄存星と同宮、申なら禄存星は対宮です。廉貞星の化禄は三合の午か子に、武曲星の化科は三合の戌か辰に入ります。甲年は禄も科も紫府の三方四正の中にあるわけです。条件の「無殺湊」は擎羊星・陀羅星・火星・鈴星を除くことですが、甲年に禄存星が寅にあると、羊陀は両側の卯と丑に分かれ、紫府が寅なら羊陀に夾まれます。原文はこの点を扱っていません。〈骨髄賦〉の「紫府同宮終身福厚」(斗数骨髄賦)は同じ句の短い形です。
8紫府朝垣活祿逢終身福厚至三公 命坐寅申再加吉星妙。
書き下し紫府朝垣にして活禄に逢えば終身福厚くして三公に至る。命寅申に坐し再び吉星を加うれば妙。
現代語訳紫府が命宮にあって活禄に逢えば、一生福が厚く、三公にまで至ります。(注)命宮が寅・申にあり、さらに吉星が加わればいっそうよいです。
- 朝垣
- 字面は命垣(命宮)に向かうこと。この句の原注が「命坐寅申」と言うので、ここでは紫微星・天府星が寅・申で命宮にあることを指します。
- 活祿
- 化禄のこと(禄存に対して言います)。
「活祿」は化禄のことで、禄存に対する言い方です。紫府が寅・申にあるとき、三方四正の主星は七殺星、廉貞星と天相星、武曲星なので、化禄が入ってこられるのは二通りだけです。甲年の廉貞星の化禄と、己年の武曲星の化禄です。生年の化禄が、紫府のある命宮の三合か対宮に落ちているかを見れば判断できます。注の「再加吉星妙」は第6句の趣旨を受け継ぐもので、帝王の星にいちばん必要なのは補佐です。ここの三公は第2句の公卿と同じ格で、全書の紫微星への最高の評価です。
9紫府日月居旺地必定出佳公卿器 紫午府丑無殺加,又化祿是也。
書き下し紫府日月旺地に居れば必定佳き公卿の器を出だす。紫は午、府は丑にして殺の加わる無く、又化禄なる是れなり。
現代語訳紫府と太陽星・太陰星がみな旺の地にあれば、必ず公卿の器となる人が出ます。(注)紫微星が午、天府星が丑にあって、煞星が加わらず、さらに化禄があることです。
- 紫午府丑
- 紫微星が午にあるとき天府星は戌にあり、二つの星が午と丑に分かれることはありません。ここは紫微星が午で命宮にあるか、天府星が丑で命宮にある、と読むしかありません。
注が指摘するとおり、紫微星が午で天府星が丑という形は同時には成り立ちません。別の角度から読むと、この句の要点は二組の星がどちらも旺の地にあることです。帝王の星と令星の紫微星・天府星、それに日月の太陽星・太陰星です。紫微星は午で入廟、天府星は丑で入廟です。太陽星は寅・卯・辰・巳・午で旺か廟、太陰星は寅・酉・戌・亥・子・丑で旺か廟です。原注は煞星がなく化禄があることを求めていて、前の数句と同じ基準です。こうした句は〈盤の骨組み全体が明るい〉という描写として受け取ればよく、四つの星が同時に会照する盤を無理に探す必要はありません。
10紫府武曲臨財宅更兼權祿富奢翁 得左右祿存亦同。
書き下し紫府武曲財宅に臨み更に権禄を兼ぬれば富奢の翁。左右禄存を得るも亦同じ。
現代語訳紫微星・天府星・武曲星が財帛宮か田宅宮にあり、さらに化権・化禄があれば、裕福でぜいたくな老人になります。(注)左輔星・右弼星や禄存星を得ても同じです。
- 財宅
- 財帛宮と田宅宮。
この句は諸星同垣:天府星や諸星同垣:劫空・傷使と命・身・財・宅の句とほとんど同じで、全書が繰り返し出す財の断語です。財帛宮はお金の流れを、田宅宮は手元に残る資産を見ます。紫微星・天府星・武曲星はどれも財の星か財を主る星で、そこに化権・化禄が加われば、稼ぐこともでき守ることもできます。見るべきは命宮ではなく、財帛宮と田宅宮の二つです。「富奢翁」は、資産が厚く暮らしにゆとりがあることを言い、必ずしも浪費を指すわけではありません。
11紫微輔弼同宮一呼百諾居上品 或作三方為次吉,在財帛宮則為財賦之官。
書き下し紫微輔弼と同宮すれば一呼百諾して上品に居る。或いは三方に作るは次吉と為す、財帛宮に在れば則ち財賦の官と為る。
現代語訳紫微星が左輔星・右弼星と同宮すれば、一声かければ百人が応じ、上の位につきます。(注)左輔星・右弼星が三方にあるとする説もあり、それは一段下の吉です。財帛宮にあれば、財政をつかさどる官になります。
- 一呼百諾
- 一声呼べば百人が応えること。地位が高く権勢が大きいさま。
- 財賦之官
- 銭や穀物、税をつかさどる官。
12紫府擎羊在巨商 得武曲居遷移者吉。
書き下し紫府擎羊は巨商に在り。武曲の遷移に居るを得る者は吉。
現代語訳紫微星・天府星が擎羊星に遇えば、大商人になります。(注)武曲星が遷移宮にあれば吉です。
紫府が擎羊星に遇えば大商人で、注はさらに、武曲星が遷移宮にあるという条件を加えます。盤の上で、紫府が命宮にあり武曲星が遷移宮にある形は、天府星が卯か酉で命宮にあり、対宮が武曲星と七殺星という一通りしかありません。紫微星が命宮にあるとき、武曲星はいつも三合にあって遷移宮には来ません。昔の人の理屈はこうです。帝王の星と令星はもともと官に向いていますが、擎羊星に遇うと激しく争いを好み、官界に合わず、商いの場でかえって力を出せる。そこへ財の星が外にあれば、外へ出て商いをする大商人になる、というのです。〈太微賦〉の「財蔭坐於遷移,巨商高賈」(太微賦)と比べてみてください。
13紫祿同宮日月照貴不可言 紫微祿存同宮,日月三合拱照。
書き下し紫禄同宮して日月照らせば貴言うべからず。紫微禄存同宮し、日月三合より拱照す。
現代語訳紫微星と禄存星が同宮し、太陽星・太陰星が照らせば、言葉にできないほど貴くなります。(注)紫微星と禄存星が同宮し、太陽星・太陰星が三合から拱照することです。
- 日月照
- 紫微星の三方四正に太陽星が入ることはありません。太陽星はいつも紫微星から逆に数えて四つめの宮にあり、紫微星と三合にも対沖にもなりません。この句の組み合わせは盤の上で成り立たないので、命盤の条件は付けていません。
注のとおり、この句の組み合わせは成り立ちません(紫微星の三方四正に太陽星は入りません)。前半の「紫祿同宮」は成り立ちます。禄存星が紫微星と同宮すれば、必ず擎羊星・陀羅星に両側から夾まれ、全書がよく言う羊陀が禄を夾む形の一つになります。「日月照」に使える読み方を与えるなら、太陽星・太陰星が生まれつきの盤でそれぞれ旺の地にある、とゆるめるしかなく、三方から照らすとは読めません。全書にはこうした句が少なくなく、たいていは口訣が写し伝えられるうちに、いくつものよい条件が積み重なったものです。理想の型だと知っておけば十分です。
14紫微七殺化權反作楨梓
書き下し紫微七殺化権すれば反って楨梓と作る。
現代語訳紫微星と七殺星に化権が加われば、かえって国の柱となる人材になります。
- 楨梓
- 楨と梓はどちらもよい木材で、国家の柱となる人材のたとえ。
紫微星と七殺星が同宮するのは巳・亥だけで、化権の出どころも一つしかありません。壬年の紫微星の化権です(七殺星は化しません)。全書は南北斗諸星の分属で七殺星について「遇帝為權」と言っています。殺の将が帝王の星に遇えば従えられて権柄になる、という意味で、本来凶の七殺星がかえって柱の材になるのです。「反作」の二字がその転換を表しています。勢いと行動力の強い人が、よい指導者やよい仕組みのもとで、その力を正しいところに使う形です。壬年は禄存星も亥にあるので、紫殺が亥で命宮にある壬年生まれの人は、権と禄が同宮します。
15紫微破軍無左右無吉曜凶惡胥吏之徒
書き下し紫微破軍、左右無く吉曜無ければ凶悪胥吏の徒。
現代語訳紫微星・破軍星に左輔星・右弼星も吉星もなければ、凶悪な小役人のたぐいです。
- 胥吏
- 役所で文書を扱う下級の役人。
紫微星と破軍星の同宮は丑・未だけです。左輔星・右弼星も吉星もなければ、凶悪な胥吏と断じます。全書の理屈は一貫しています。紫微星は左輔星・右弼星があってこそ君主で、補佐のない帝王の星は〈孤君〉です。それが歯止めのないまま消耗の星の破軍星に遇えば、役所で権力をもてあそぶ小役人に落ちる、というのです。紫微星の性情にも「與破軍同為胥吏」とあります。胥吏は昔の社会で地位が低く、貪欲で過酷だと見られがちでした。今なら、組織の中で現場の執行を担い、やり方が強引な役回りと理解できます。「凶惡」は原文の評価をそのまま訳したものです。
16紫微權祿遇羊陀雖獲吉而無道 為人心術不正。
書き下し紫微権禄羊陀に遇えば吉を獲ると雖も道無し。人と為り心術正しからず。
現代語訳紫微星が化権・化禄を帯びて擎羊星・陀羅星に遇えば、吉を得ても正しい道を行きません。(注)人柄として心根が正しくありません。
原文は〈太微賦〉の「帝遇凶徒雖獲吉而無道」(太微賦)で、ここでは凶徒が擎羊星・陀羅星だとはっきり言っています。条件は紫微星が化権か化禄を帯び(乙年の化科は数えません)、羊陀に遇うことです。理屈は、帝王の星が権と禄を持つので事は成し遂げられるが、周りが刑忌の星なのでやり方が正しくない、というものです。注の「心術不正」は、全書には珍しく人柄を直接評した言葉です。盤の上では、紫微星に化権か化禄が付き、同宮か三方に擎羊星・陀羅星がある形を探します。
17紫破命臨於辰戍丑未再加吉曜富貴堪期
書き下し紫破命辰戍丑未に臨み、再び吉曜を加うれば富貴期するに堪う。
現代語訳紫微星・破軍星が辰・戌・丑・未で命宮にあり、さらに吉星が加われば、富貴を期待できます。
- 紫破
- 紫微星と破軍星が同宮するのは丑・未だけです。辰・戌では紫微星と天相星が同宮し、破軍星は対宮にあります。
校勘 「辰戍丑未」の「戍」は十二支の「戌」とすべきところです。
注のとおり、紫破が同宮するのは丑・未だけで、辰・戌では紫微星と天相星が同宮し、破軍星は対宮です。星格の輝度では、紫微星は丑・未で入廟、辰・戌では得地にとどまり、破軍星は丑・未でも辰・戌でも旺なので、この四宮はどれも悪くなく、吉星が加われば富貴になります。第24句の「紫破辰戍君臣不義」と並べて読むと面白く、同じ宮でも吉星が加われば富貴、加わらなければ不義の臣で、分かれ目は吉星があるかどうかです。
18紫破貪狼為至淫男女邪淫
書き下し紫破貪狼は至淫と為す、男女邪淫す。
現代語訳紫微星・破軍星・貪狼星は最も淫らな組み合わせで、男も女もよこしまで淫らです。
この句は〈太微賦〉の「桃花犯主為至淫」(太微賦)を広げたものです。紫微星は卯・酉で貪狼星と、丑・未で破軍星と同宮し、二組とも最も淫らとされます。字面どおりなら性情と私生活への厳しい評価で、全書は少しも手加減していません。欲が強く、恋愛や楽しみに深く入れ込む傾向と受け取ることもできますが、「至淫」は昔の道徳の言葉で、今の人にそのまま当てはめるべきではありません。実際の恋愛のようすは、夫妻宮・福徳宮と煞星の配置を合わせて見なければ判断できません。
19紫府同臨巳亥一朝富貴雙全
書き下し紫府同じく巳亥に臨めば一朝にして富貴双全。
現代語訳紫微星・天府星が巳・亥にそろえば、ある日、富も地位もそろいます。
- 紫府同臨巳亥
- 紫微星が巳なら天府星は亥、紫微星が亥なら天府星は巳にあり、二つの星は巳・亥に分かれて向かい合い、同宮はしません。
注のとおり、巳・亥の紫府は同宮ではなく向かい合う形です。紫微星は巳・亥で七殺星と同宮し、天府星は対宮に単独で座るので、命宮と遷移宮に帝王の星と令星が一つずつあることになります。「一朝富貴」の「一朝」には、にわかに、ある日、という意味があり、はじめから富貴なのではなく、ある運限になって開けることをほのめかしています。これは紫殺の性質とかかわりがあり、七殺星は揺れ動きと切り開くことを主り、時機を待つ必要があります。実際に盤を見るときは、大限を順にたどり、どの十年が財帛宮・官禄宮や吉星の多い宮に来るかを見ます。
20紫府夾命為貴格
書き下し紫府命を夾むは貴格と為す。
現代語訳紫微星・天府星が命宮を夾むのは、貴の格です。
- 夾
- 命宮の左右の二宮に星が一つずつあること。
紫府が命宮を夾む条件は、思うより狭いものです。紫微星と天府星が命宮の両側に分かれなければならず、それは命宮が寅か申のときだけで、しかも命宮そのものは主星のない宮か、天機星と太陰星の同宮かのどちらかです。つまり紫府に夾まれた人の命宮の主星は、機陰の一通りしかありえず、そうでなければ主星のない宮で対宮の星を借ります。夾とは、左右の二宮の力が間の一宮を守る形で、貴さは両側から来ます。全書の貴の局にはほかにも夾の格があり、左右夾命などと比べてみてください。
21紫微昌曲富貴可期
書き下し紫微昌曲あれば富貴期すべし。
現代語訳紫微星が文昌星・文曲星とともにあれば、富貴を期待できます。
文昌星・文曲星は科挙の星で、昔の人は紫微星がこの二星に遇うのを、学問を積んで官につく組み合わせと読みました。昌曲が同宮するのは丑・未だけ(文昌星は戌から逆に、文曲星は辰から順に、生まれた時刻で置きます)なので、〈紫微星と昌曲〉がそろって命宮にあるのは、たいてい丑・未の紫微星と破軍星に昌曲が加わる形です。三方からの会照までゆるめれば、当てはまる盤はずっと多くなります。二つの星が同宮しているか、三方から照らしているかを見てください。学歴や文章の力、専門の資格が仕事を後押しする形と言えます。
22紫微太陰殺曜逢一生曹吏逞英雄
書き下し紫微太陰殺曜に逢えば一生曹吏として英雄を逞しくす。
現代語訳紫微星・太陰星が煞星に逢えば、一生小役人のまま、英雄ぶって威を張ります。
- 曹吏
- 役所の部署で実務をする下級の役人。
- 紫微太陰
- 紫微星と太陰星は盤の上で同宮せず、三方四正で出会うこともありません。この句の組み合わせは成り立たないので、命盤の条件は付けていません。
注のとおり、紫微星と太陰星は同宮も会照もしません。この句は全書巻二の官禄宮の「若逢紫府兼左右,一生曹吏逞英雄」と比べることができ、言葉はほとんど同じなのに、主語は紫府です。二か所を読み比べると、同垣の篇のこの句は、写し伝えるうちに「府」が「太陰」に替わったのではないかと推測できます。曹吏は部署ごとに実務をする小役人で、「逞英雄」には小さな地位で威張るという響きがあります。
23紫微武曲破軍會羊陀欺公禍亂 只宜經商。
書き下し紫微武曲破軍羊陀に会えば公を欺き禍乱す。只商を経るに宜し。
現代語訳紫微星・武曲星・破軍星が出会い、さらに擎羊星・陀羅星に会えば、公をあざむき、禍や乱れを起こします。(注)商いにしか向きません。
紫微星が武曲星・破軍星に遇い、さらに羊陀に会えば、公をあざむき乱を起こすと断じ、注は商いにだけ向くと言います。盤の上でこれらの星がそろう典型は、紫微星と破軍星が丑・未にあり、武曲星が三合(巳と酉、または亥と卯)から照らす形か、紫微星と貪狼星が卯・酉にあり、三合に武曲星と破軍星がある形です。武曲星は財の星、破軍星は消耗の星で、羊陀が加われば、お金に細工をして公と衝突することになるので、全書は官につかず商いをせよと勧めます。第12句の、紫府が擎羊星に遇えば大商人という考え方と同じで、激しい組み合わせは官界に向かない、ということです。
24紫破辰戍君臣不義 安樂山,趙高命是也。
書き下し紫破辰戍は君臣不義。安楽山、趙高の命是れなり。
現代語訳紫微星・破軍星が辰・戌にあれば、君主に対して不忠不義の臣です。(注)安禄山・趙高の命がこれです。
- 君臣不義
- 臣下が君主に対して不忠不義であること。
- 安樂山
- 安禄山のこと(底本の誤字)。唐代に反乱を起こし、安史の乱を引き起こした武将。
- 趙高
- 秦代の宦官。鹿を指して馬と言わせ、権力をもてあそんで政治を乱しました。
校勘 「辰戍」の「戍」は十二支の「戌」とすべきところです。注の「安樂山」は安禄山とすべきところです。紫微星と破軍星が辰・戌にそろうことはなく、辰・戌では紫微星と天相星が命宮にあり、破軍星は対宮にあります。
校勘のとおり、辰・戌では紫微星と天相星が命宮にあり、破軍星は対宮です。全書はここで安禄山と趙高を例に挙げ、どちらも史書に名高い乱臣です。〈だれそれの命〉という例は全書によく出てきますが、たいていは後の人がこじつけたもので、確かな生年月日はありません。同じ組み合わせについて第17句は吉星が加われば富貴になると言っているので、この句の条件は、紫微星と天相星が辰・戌にあり、破軍星が対宮から沖し、しかも吉星がない場合と理解すべきです。全書は辰・戌の紫微星をいつも低く見ていて、立命行限宮歌が辰年の紫微星を凶に入れているのとも一致します。
25女命紫微太陽星早遇賢夫信可憑 女命紫微在寅午申宮吉,貴美旺夫益子。陷地平常,惟子酉及巳亥加四殺,美玉瑕玷日後不美。
書き下し女命紫微太陽星は早く賢夫に遇う、信に憑るべし。女命紫微寅午申宮に在れば吉、貴美にして夫を旺し子を益す。陥地は平常、惟だ子酉及び巳亥にて四殺を加うれば、美玉の瑕玷にして日後美ならず。
現代語訳女性の命で紫微星・太陽星が命宮にあれば、早く賢い夫に遇います。これは信じてよいことです。(注)女性の命で紫微星が寅・午・申の宮にあれば吉で、貴く美しく、夫を盛り立て子を益します。落陥の地なら平凡です。ただ子・酉、また巳・亥で四殺が加われば、美しい玉に傷があるようなもので、のちのちよくありません。
- 旺夫益子
- 夫を盛り立て、子どもにも益があること。
- 美玉瑕玷
- 美しい玉にきずがあること。すぐれたものの欠点のたとえ。
星格のやり方全書の中で矛盾しています。この篇の冒頭では紫微星は「無陷」とされているのに、ここの注は「陷地平常」と言っています。
前半は〈女命骨髄賦〉の「端正紫微太陽星,早遇賢夫」(女命骨髄賦)で、注が宮を補い、紫微星は寅・午・申で吉だとします。紫微星は寅・申で天府星と同宮し、午で入廟するので、ちょうど帝王の星がいちばん安定する三つの位置です。後半の「子酉及巳亥加四殺」はよくない条件です。紫微星は子では平和にすぎず、酉では貪狼星と、巳・亥では七殺星と同宮し、どれも欠けたところのある組み合わせで、そこに煞星が加われば傷が出ます。古書は女性の命のよしあしを賢い夫に遇うかどうかで測りましたが、今なら人とのつながりやパートナーとの関係の質として理解できます。
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
よくある質問
紫微星の廟旺はどの宮ですか?
全書巻三は、紫微星は丑・未・午で入廟、寅・申・卯・酉・巳・亥で旺、子で平和とし、落陥の地はないとしています。星格の輝度表も同じで、ほかに辰・戌を得地としています。
紫微星が午で命宮にあるのはよい配置ですか?
全書は「紫微居午無刑忌,甲丁己命至公卿」と言います。紫微星が午で命宮にあり、擎羊星も化忌もなければ、甲・丁・己年生まれの人は公卿にまで至る、擎羊星や化忌が加われば平凡だ、という意味です。
紫微星と天府星の同宮は何を表しますか?
紫微星と天府星が同宮するのは寅と申だけです。全書は「紫微天府同宮無殺湊,甲人享幅終身」と言い、注で、紫府が寅・申で命宮にあれば甲年生まれの人は富貴だとしています。また「紫府朝垣活祿逢,終身福厚至三公」とも言います。
紫微星と破軍星が命宮にあるのはよいですか、悪いですか?
全書は、紫破が辰戌丑未で命宮にあり吉星が加われば富貴を期待できるとしています。しかし左輔星・右弼星も吉星もなければ「凶惡胥吏之徒」、貪狼星と出会えば「為至淫」で、さらに「紫破辰戍君臣不義」と言い、安禄山と趙高を例に挙げます。
紫微星が卯・酉にあるとなぜ僧の命と言うのですか?
原文は「紫微卯酉劫空四殺,多為脫俗之僧」です。紫微星が卯・酉にあり(貪狼星と同宮)、さらに地劫星・地空星と、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星に遇えば、多くは俗世を離れて出家する人だ、という意味です。
この篇に出てくる主星