官禄宮

〈官祿宮〉

『紫微斗数全書』巻二・安星起例と十二宮・原文と現代語訳

はじめに

この篇は『紫微斗数全書』巻二の、十二宮ごとに諸星の判断を並べた部分から取ったもので、官禄宮、つまり仕事、功名、官途の運を扱います。昔の仕事といえばおもに官に仕えることだったので、判断は文官か武官か、官位の高い低い、長く続けられるかをめぐるものになっています。

  • 星ごとの判断(第1〜26段):各星が官禄宮にあるとき、文と武のどちらに向くか、権勢と地位はどれほどかを言います。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加わると、たいてい「平常」「退官失職」「貶謫」です。
  • 斗君(第27段)。
  • 付録の詩(第28〜37段):定公卿・定両府・定文官・定武官・定曹吏の五首で、それぞれ七言の詩で、どの組み合わせならどんな官になるかを詠みます。

よく出る言葉:

  • 「文武之材」:文官にも武官にも向く人材。「武職崢嶸」:武官として抜きん出ること。
  • 「胥吏」「吏員」:役所で実務をこなす下級の役人で、正式の官ではありません。「吏員立腳」は小役人として身を立てることです。
  • 「貪污之官」:原文がはっきりそう言っていて、訳文もそのまま訳しています。
  • 「貶謫」「黜降」:位を下げられたり、遠方へ出されたりすることです。

この篇の底本は誤字や字の位置のずれが多く、「封候伯」の「候」は「侯」、「胥更」は「胥吏」、「不和文人」はおそらく「不利文人」、「見美陀」は「見羊陀」です。天同星の条は太陽星・天梁星・太陰星の句が詰めこまれていて、句読に疑問があります。それぞれの段の校勘に書いてあります。

1紫微廟旺遇左右昌曲魁鉞,軒勝位至封候伯,加羊陀火鈴平常,天府同權貴名利兩全,天相加內外權貴清正,破軍同鬧中安身。

書き下し紫微廟旺にして左右昌曲魁鉞に遇えば、軒勝にして位は候伯に封ぜらるるに至る、羊陀火鈴を加うれば平常、天府同じくすれば権貴にして名利両全、天相を加うれば内外権貴にして清正、破軍同じくすれば鬧中に身を安んず。

現代語訳紫微星が官禄宮にあって廟旺で、左輔星・右弼星・文昌星・文曲星・天魁星・天鉞星に遇えば、意気盛んで抜きん出て、侯や伯に封ぜられる地位にまで至ります。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば平凡です。天府星と同宮なら権勢も地位もあり、名声と利益の両方がそろいます。天相星が加われば、内でも外でも権勢と地位があり、清廉で公正です。破軍星と同宮なら、にぎやかで競争の激しい中に身を落ち着けます。

軒勝
意気盛んで、ほかより抜きん出ていること。
候伯
侯爵・伯爵(原文は「候」と書いています)。爵位を授けられる高い位のこと。

校勘 「封候伯」の「候」は「侯」とすべきところです。

解説

官禄宮は命宮の三合の宮で、財帛宮とともに命宮の三方を作るので、官禄宮の星はいつも命宮の三方四正の中にあります。官禄宮の対宮はいつも夫妻宮で、仕事と結婚が互いに映し合います。紫微星が廟旺で左右・昌曲・魁鉞に遇えば「位至封候伯」で、この篇でいちばん高い評価です。帝王の星が仕事の位置にあり、しかも百官がそろっている形です。天府星と同宮(寅申)なら名声と利益がそろい、天相星と同宮(辰戌)なら清廉で公正、破軍星と同宮(丑未)なら競争の中に身を置きます。紫微星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

2天機入廟權貴,會文曲為良巨,見羊陀火鈴方宜,天梁同文武之材,太陰同名振邊夷,陷宮退官失職,吏員立腳。

書き下し天機入廟すれば権貴、文曲に会えば良巨と為る、羊陀火鈴を見て方に宜し、天梁同じくすれば文武の材、太陰同じくすれば名辺夷に振るう、陥宮なれば官を退き職を失い、吏員として脚を立つ。

現代語訳天機星が官禄宮にあって入廟なら、権勢と地位があります。文曲星に会えばすぐれた人材になります。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星を見てこそよい、とされます。天梁星と同宮なら、文武を兼ね備えた人材です。太陰星と同宮なら、名声が辺境の異民族にまで響きます。落陥の宮なら、官を退き職を失い、小役人として身を立てるだけです。

吏員
役所で実務をこなす下級の役人。正式の官ではありません。
立腳
足場を築く、身を落ち着けること。

校勘 「為良巨」の「巨」はおそらく「臣」の誤りです。「見羊陀火鈴方宜」は、煞星を見れば不吉という全書のほかの箇所の言い方と逆で、脱字か誤字があると思われます。訳文は字面どおりに訳しています。

解説

天機星は入廟なら権勢と地位があり、文曲星に会えばすぐれた人材です。「見羊陀火鈴方宜」は、煞星を見れば凶という全書の一貫した考え方と逆で、校勘でも疑問としています。天梁星と同宮(辰戌)なら文武の材で、これは善蔭朝綱が官禄宮に出た形です。太陰星と同宮(寅申)なら名声が辺境まで響きます。落陥の宮なら官を退き職を失い、「吏員立腳」、末端の書類仕事をするだけになります。今の職場に置き換えると、企画、研究、技術的な仕事に向いています。天機星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

3太陽入廟文武為良,不見羊陀火鈴吉,太陰同貴顯,左右昌曲魁鉞同更君科祿權,定居一品之貴。

書き下し太陽入廟すれば文武良しと為す、羊陀火鈴を見ざれば吉、太陰同じくすれば貴顕、左右昌曲魁鉞同じくして更に科禄権を君すれば、定めて一品の貴に居る。

現代語訳太陽星が官禄宮にあって入廟なら、文官でも武官でもよいです。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星を見なければ吉です。太陰星と同宮なら高い地位につきます。左輔星・右弼星・文昌星・文曲星・天魁星・天鉞星と同宮し、さらに化科・化禄・化権が加われば、必ず一品の高い位につきます。

一品
昔の官位でいちばん上の等級。

校勘 「更君科祿權」の「君」はおそらく「加」か「會」の誤りです。

解説

太陽星は入廟なら文武どちらでもよいとされます。太陽星を問う篇は太陽星が「最宜在官祿宮」(太陽星の主るところは)としていて、官禄宮は太陽星がいちばん力を出せる場所です。太陰星と同宮(丑未)なら高い地位につき、左右・昌曲・魁鉞が加わってさらに化科・化禄・化権があれば「定居一品之貴」です。〈太微賦〉にも「太陽會文昌於官祿,皇殿朝班」(太微賦)とあります。今なら、人前に立ち、名前が出る仕事に向いています。太陽星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

4武曲入廟與昌曲左右同宮,武職崢嶸,常人發福,會科權祿為財富之官,貪狼同為貪污之官,破軍同軍旅內出身,

書き下し武曲入廟して昌曲左右と同宮すれば、武職崢嶸たり、常人も発福す、科権禄に会えば財富の官と為る、貪狼同じくすれば貪汚の官と為る、破軍同じくすれば軍旅の内より身を出す、

現代語訳武曲星が官禄宮にあって入廟し、文昌星・文曲星・左輔星・右弼星と同宮すれば、武官として抜きん出て、ふつうの人でも福を得ます。化科・化権・化禄に会えば、財富を管理する官になります。貪狼星と同宮なら汚職をする官です。破軍星と同宮なら、軍隊から身を起こします。

崢嶸
山が高くそびえること。抜きん出ることのたとえ。
軍旅
軍隊。
解説

武曲星が入廟して昌曲・左右と同宮すれば武官として抜きん出、化科・化権・化禄に会えば「財富之官」、財政や金融を管理する官とされます。貪狼星と同宮(丑未)なら「貪污之官」で、財の星に欲の星が重なって仕事の位置にあるので、昔の人ははっきり汚職と判断しました。破軍星と同宮(巳亥)なら軍隊から身を起こします。全書の官禄宮の条には珍しい、道徳的な判断です。金融、経理、軍や警察が武曲星の典型的な分野で、武曲星と貪狼星の人は特に、お金の扱いの規律を守ることが大切です。武曲星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

5與安身七殺同橫立功名,陷宮及陀鈴劫忌功名無分。

書き下し安身七殺と同じくすれば横に功名を立つ、陥宮及び陀鈴劫忌なれば功名分無し。

現代語訳(武曲星が)七殺星と同宮すれば、強引なやり方で功名を立てます。落陥の宮にあるか、陀羅星・鈴星・地劫星・化忌に遇えば、功名の縁はありません。

橫立功名
強引な、型破りなやり方で功名を立てること。

校勘 「與安身七殺同」は語順が通らず、おそらく「與七殺同」で、「安身」は余計に入った字です。

解説

武曲星と七殺星の同宮(卯酉)は「橫立功名」で、勢いと型破りな手段で功名を立てるとされ、擎羊星の性情の「橫立功名」と同じ言葉です。落陥の宮か、陀羅・鈴星・地劫・化忌に遇えば功名の縁がありません。武曲星には全書でも星格でも本当の落陥の地がなく(いちばん低いのは巳亥の平和)、ここの「陷宮」はおそらく平和の地か、煞星の重い位置を指しています。武曲星が化忌になるのは壬年なので、官禄宮の武曲星は壬年に仕事上のお金のもめごとに気をつけたいところです。

✎ メモ

6天同入廟文武皆宜,無羊陀火鈴吉,巨門同先小後大,太陽昌曲科權祿吉美天姿,同權貴太陰同,陷宮胥更論。

書き下し天同入廟すれば文武皆宜し、羊陀火鈴無ければ吉、巨門同じくすれば先に小さく後に大なり、太陽昌曲科権禄あれば吉美にして天姿あり、同じくすれば権貴、太陰同じくして、陥宮なれば胥更をもって論ず。

現代語訳天同星が官禄宮にあって入廟なら、文官でも武官でもよいです。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星がなければ吉です。巨門星と同宮なら、はじめは小さく後に大きくなります。太陽星・文昌星・文曲星・化科・化権・化禄があれば、吉で美しく、生まれつきの資質がすぐれています。(天梁星と)同宮すれば権勢と地位があります。太陰星と同宮して落陥の宮なら、小役人として論じます。

胥吏
役所で実務をこなす下級の役人。

校勘 「陷宮胥更論」の「更」は「吏」とすべきところです。この段の「同權貴太陰同」は句読がはっきりせず、おそらく〈(天梁)同権貴、太陰同陥宮胥吏論〉と読むべきところです。天同星と太陽星は盤の上で同宮しないので、「太陽昌曲」の句は会照のことを言っていると思われます。

解説

天同星は入廟なら文武どちらにも向き、巨門星と同宮(丑未)なら、はじめは小さく後に大きくなります。後半の句読がはっきりしないこと、天同星と太陽星は同宮しないので「太陽昌曲科權祿」は会照として読むべきことは、校勘のとおりです。「胥吏」は末端の役人です。天同星が官禄宮にあると、仕事では安定した、気楽な環境に向かいやすく、先頭を切って突き進む人ではありません。公務、サービス業、福祉に関わる仕事が合っています。天同星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

7廉貞入廟武職權貴不耐久,貪狼同鬧中權貴,紫微會三方文職諭,七殺同軍旅出身,天相天府同衣錦富貴。

書き下し廉貞入廟すれば武職権貴なれども久しきに耐えず、貪狼同じくすれば鬧中に権貴、紫微三方に会えば文職諭、七殺同じくすれば軍旅より身を出す、天相天府同じくすれば錦を衣て富貴なり。

現代語訳廉貞星が官禄宮にあって入廟なら、武官として権勢と地位がありますが、長続きしません。貪狼星と同宮なら、にぎやかで競争の激しい中で権勢と地位を得ます。三方で紫微星に会えば「文職諭」。七殺星と同宮なら軍隊から身を起こします。天相星か天府星と同宮なら、錦を着て故郷に帰るような富貴を得ます。

校勘 「紫微會三方文職諭」は意味がはっきりせず、「諭」に誤りがあると思われます。原文のまま残しています。

解説

廉貞星は入廟(寅申)なら武官として権勢と地位がありますが「不耐久」、長続きしません。貪狼星と同宮(巳亥)なら競争の中で権勢を得、七殺星と同宮(丑未)なら軍隊から身を起こし、天相星(子午)・天府星(辰戌)と同宮なら錦を着て富貴です。全書で廉貞星は「官祿主」とされ(〈星の生剋と南北斗の分属〉の言葉です)、官禄宮では本来の位置に戻るのですが、化気が「囚」なので、権勢はすぐに来ても守りにくいのです。「文職諭」は校勘でも疑問としています。廉貞星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

8天府入廟文武皆吉,無羊陀火鈴空耗全美,紫微同文武聲名,廉貞武曲同權貴,見空劫平常。

書き下し天府入廟すれば文武皆吉、羊陀火鈴空耗無ければ全く美し、紫微同じくすれば文武の声名あり、廉貞武曲同じくすれば権貴、空劫を見れば平常。

現代語訳天府星が官禄宮にあって入廟なら、文官でも武官でも吉です。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・耗星がなければ、まったく申し分ありません。紫微星と同宮なら、文武ともに名声があります。廉貞星・武曲星と同宮なら、権勢と地位があります。地空星・地劫星を見れば平凡です。

解説

天府星は入廟なら文武どちらも吉で、煞星がなければ申し分なしとされます。紫微星と同宮(寅申)なら文武ともに名声があり、廉貞星(辰戌)・武曲星(子午)と同宮なら権勢と地位、空劫を見れば平凡です。天府星が官禄宮にあるとき、対宮の夫妻宮には必ず七殺星が入ります。仕事は安定し結婚は波立つという形で、七殺星が夫妻宮にある場合(夫妻宮(妻妾宮))と同じ一枚の盤の表と裏です。天府星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

9太陰入廟多貴,陷地氣高橫破難顯達,會太陽昌曲左右三品之貴,天同同文武皆宜,天機同鬧中進身吏員立腳。

書き下し太陰入廟すれば貴多し、陥地なれば気高く横破して顕達し難し、太陽昌曲左右に会えば三品の貴、天同同じくすれば文武皆宜し、天機同じくすれば鬧中に身を進め吏員として脚を立つ。

現代語訳太陰星が官禄宮にあって入廟なら、地位が高いことが多いです。落陥の地なら、気位が高く、急に崩れて、出世しにくいです。太陽星・文昌星・文曲星・左輔星・右弼星に会えば、三品の高い位です。天同星と同宮なら、文官でも武官でもよいです。天機星と同宮なら、にぎやかで競争の激しい中で身を進め、小役人として身を立てます。

解説

太陰星は入廟なら地位が高く、落陥の地(卯辰巳)なら「氣高橫破」、気位は高いのに急に崩れるとされます。太陽・昌曲・左右に会えば「三品之貴」です。天同星と同宮(子午)なら文武どちらにも向き、天機星と同宮(寅申)なら「鬧中進身吏員立腳」です。太陰星が官禄宮にあると、仕事は文書や内勤、企画の方向に傾き、不動産や女性に関わる分野と縁があることもよくあります。太陰星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

10貪狼入廟遇火鈴武職掌大權,紫微同文武之職權貴非小,陷宮貪污之官,加羊陀空劫平常。

書き下し貪狼入廟して火鈴に遇えば武職にして大権を掌る、紫微同じくすれば文武の職にして権貴小に非ず、陥宮なれば貪汚の官、羊陀空劫を加うれば平常。

現代語訳貪狼星が官禄宮にあって入廟し、火星・鈴星に遇えば、武官として大きな権力を握ります。紫微星と同宮なら、文官でも武官でも、権勢と地位は小さくありません。落陥の宮なら汚職をする官です。擎羊星・陀羅星・地空星・地劫星が加われば平凡です。

解説

貪狼星が入廟して火星・鈴星に遇えば武官として大権を握るとされ、これは火貪格・鈴貪格が官禄宮に出た形です。紫微星と同宮(卯酉)なら権勢は小さくなく、落陥の宮(巳亥)なら「貪污之官」で、武曲星の条の武曲星と貪狼星と同じ判断です。貪狼星が官禄宮にあると、仕事では野心があり多芸ですが、白黒のはっきりしない領域に足を踏み入れやすくもあります。貪狼星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

11巨門入廟武職權貴,文人不耐久,太陽同有進退,入廟久長,天機同在卯宮吉美,在酉宮雖美無始終,

書き下し巨門入廟すれば武職権貴、文人は久しきに耐えず、太陽同じくすれば進退有り、入廟すれば久長、天機同じくして卯宮に在れば吉美、酉宮に在れば美なりといえども始終無し、

現代語訳巨門星が官禄宮にあって入廟なら、武官として権勢と地位がありますが、文官では長続きしません。太陽星と同宮なら進んだり退いたりし、入廟なら長く続きます。天機星と同宮して卯の宮にあれば、吉で美しいです。酉の宮にあれば、よくても初めと終わりがそろいません。

解説

巨門星は入廟なら武官として権勢と地位があり、「文人不耐久」、巨門星の口舌は文官には向かないとされます。太陽星と同宮(寅申)なら進退があり、入廟なら長く続きます。天機星と同宮すれば、卯の宮なら吉で美しく、酉の宮なら「雖美無始終」です。面白いことに、天機星と巨門星の輝度は卯でも酉でもまったく同じ(天機星は旺、巨門星は廟)なのに、全書は上下をつけています。おそらく卯は木に属し、天機星も木なので、卯では本来の五行の位置にあるからでしょう。巨門星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

12陷宮遭悔吝,加羊陀火鈴空劫更不美,退宮卸職。

書き下し陥宮なれば悔吝に遭う、羊陀火鈴空劫を加うれば更に美ならず、宮を退き職を卸す。

現代語訳(巨門星が)落陥の宮にあれば、悔いと行き詰まりに遭います。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、さらに悪く、位を退き職を降ります。

悔吝
悔いと行き詰まり。
解説

巨門星は落陥の宮(辰戌)なら悔いと行き詰まりに遭い、煞星が加われば職を退くとされます。辰と戌は天羅地網の位置で、そこに巨門星そのものの暗さが重なるので、仕事でも面倒ごとに巻きこまれやすくなります。〈骨髄賦〉には「巨門辰戌為陷地,辛人化吉祿崢嶸」(斗数骨髄賦)とあり、辛年には巨門星が化禄になるので、落陥の地でも巻き返せるとされます。この条はそれに触れていませんが、合わせて読むとよいでしょう。

✎ メモ

13天相入廟文武皆宜食祿千鍾,陷地成敗,紫微同權貴,昌曲左右同權顯榮貴,

書き下し天相入廟すれば文武皆宜しく禄千鍾を食む、陥地なれば成敗あり、紫微同じくすれば権貴、昌曲左右同じくすれば権顕栄貴、

現代語訳天相星が官禄宮にあって入廟なら、文官でも武官でもよく、千鍾の俸禄を受けます。落陥の地なら成功も失敗もあります。紫微星と同宮なら権勢と地位があります。文昌星・文曲星・左輔星・右弼星と同宮なら、権勢があり、名高く栄えて高い地位につきます。

食祿千鍾
鍾は昔の容量の単位で、千鍾は手厚い俸禄のこと。
解説

天相星は入廟なら文武どちらにも向き、「食祿千鍾」、手厚い俸禄を受けるとされます。天相星は化気が「印」で官禄主なので、官禄宮では本来の位置に戻ります。落陥の地(卯酉)なら成敗があります。紫微星と同宮(辰戌)なら権勢と地位、昌曲・左右と同宮なら権勢があり名高く栄えます。天相星が官禄宮にあるとき、対宮の夫妻宮には必ず破軍星が入ります。仕事では調整役として落ち着いていても、恋愛では変動が多い配置です。天相星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

14武曲同邊夷之職,廉貞同崢嶸權貴,加羊陀火鈴空劫有貶謫。

書き下し武曲同じくすれば辺夷の職、廉貞同じくすれば崢嶸として権貴、羊陀火鈴空劫を加うれば貶謫有り。

現代語訳(天相星が)武曲星と同宮すれば、辺境の職につきます。廉貞星と同宮なら、抜きん出て権勢と地位があります。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば、位を下げられ遠方へ出されます。

貶謫
官が位を下げられ、遠方へ出されること。
解説

天相星と武曲星の同宮(寅申)は「邊夷之職」、辺境の職で、今なら海外赴任や遠隔地での仕事と読めます。廉貞星と同宮(子午)なら抜きん出て権勢があり、これも天相星が廉貞星の悪さを和らげる例です。煞星が加われば位を下げられるとされ、天相星の性情の「羊陀空劫重相會,口舌官災」と一致します。印の星が煞星に会ったとき何より恐れるのは、地位の問題なのです。

✎ メモ

15天梁廟午會左右魁鉞,文武之材天同同權貴不小,天機同崢嶸貴顯,加羊陀火鈴空劫平。

書き下し天梁午に廟して左右魁鉞に会えば、文武の材なり、天同同じくすれば権貴小ならず、天機同じくすれば崢嶸として貴顕、羊陀火鈴空劫を加うれば平。

現代語訳天梁星が官禄宮にあって午の宮で入廟し、左輔星・右弼星・天魁星・天鉞星に会えば、文武を兼ね備えた人材です。天同星と同宮なら、権勢と地位は小さくありません。天機星と同宮なら、抜きん出て高い地位につきます。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば平凡です。

解説

天梁星が午で入廟し(一つだけで入る)、左右・魁鉞に会えば文武の材で、これは寿星入廟を官禄宮に置いた形です。天同星と同宮(寅申)なら権勢は小さくなく、天機星と同宮(辰戌)なら抜きん出て高い地位につきます。天梁星を問う篇は天梁星が「顯於王室職位,臨於風憲」(天梁星の主るところは)としていて、風憲は監察の役所です。天梁星は仕事の上では、審査、監督、医療、福祉のように、人を守り関門を預かる仕事がいちばん合っています。天梁星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

16七殺廟旺武職崢嶸權貴非小,不宜文人,武曲同權貴,廉貞同功名顯達。

書き下し七殺廟旺なれば武職崢嶸として権貴小に非ず、文人に宜しからず、武曲同じくすれば権貴、廉貞同じくすれば功名顕達す。

現代語訳七殺星が官禄宮にあって廟旺なら、武官として抜きん出て、権勢と地位は小さくありませんが、文官には向きません。武曲星と同宮なら権勢と地位があります。廉貞星と同宮なら、功名を立てて出世します。

解説

七殺星は廟旺なら「武職崢嶸」で「不宜文人」です。七殺星は将の星なので、官禄宮では、突き進み、競い、決断することが求められる仕事を表します。七殺星を問う篇は七殺星が「在官祿得地,化禍為祥」(七殺星の主るところは)としていて、官禄宮は七殺星がいちばん力を発揮する場所です。武曲星と同宮(卯酉)なら権勢と地位、廉貞星と同宮(丑未)なら功名を立てて出世します。七殺星が官禄宮にあるとき、対宮の夫妻宮には必ず天府星が入ります。七殺星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

17破軍廟旺武職軒勝,武曲同加權祿,文昌文曲顯達,加羊陀火鈴平常,紫微同宮名振揚,廉貞同文人不耐久,胥吏最美。

書き下し破軍廟旺なれば武職軒勝、武曲同じくして権禄、文昌文曲を加うれば顕達す、羊陀火鈴を加うれば平常、紫微と同宮すれば名振揚す、廉貞同じくすれば文人は久しきに耐えず、胥吏は最も美し。

現代語訳破軍星が官禄宮にあって廟旺なら、武官として意気盛んで抜きん出ます。武曲星と同宮して化権・化禄・文昌星・文曲星が加われば出世します。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星が加われば平凡です。紫微星と同宮なら名声が広く響きます。廉貞星と同宮なら、文官では長続きせず、小役人がいちばんよいです。

解説

破軍星は廟旺なら武官として抜きん出、武曲星と同宮(巳亥)して権禄・昌曲が加われば出世し、紫微星と同宮(丑未)なら名声が広く響き、廉貞星と同宮(卯酉)なら文官では続かず小役人がいちばんよいとされます。破軍星が官禄宮にあるとき、対宮の夫妻宮には必ず天相星が入ります。破軍星を問う篇は破軍星が「在官祿主清貧」(破軍星の主るところは)としていて、ここより厳しい口ぶりです。二つを並べると、全書の官禄宮の破軍星の評価は廟か陥かで決まることがわかります。破軍星が官禄宮にあるときも参照してください。

✎ メモ

18文昌入廟太陽同加吉科權祿,文武之材,同天府文曲富貴雙全。

書き下し文昌入廟して太陽と同じく吉科権禄を加うれば、文武の材、天府文曲と同じくすれば富貴双全。

現代語訳文昌星が官禄宮にあって入廟し、太陽星と同宮して吉星と化科・化権・化禄が加われば、文武を兼ね備えた人材です。天府星・文曲星と一緒なら、富も地位もそろいます。

解説

文昌星が入廟して太陽星と同宮し、吉星と科権禄が加われば文武の材、天府星・文曲星と一緒なら富と地位がそろうとされます。官禄宮で文昌星に太陽星が加わる形は、まさに〈太微賦〉の「太陽會文昌於官祿,皇殿朝班」(太微賦)の組み合わせで、陽梁昌禄の一部でもあります。今で言えば、試験、資格、文章の力が仕事の扉を開く配置です。

✎ メモ

19文曲廟旺文武皆宜,陷宮與天機太陰同宮,胥吏權貴,會紫府左右近君頻而執政,加羊陀火鈴空劫平常。

書き下し文曲廟旺なれば文武皆宜し、陥宮にして天機太陰と同宮すれば、胥吏にして権貴、紫府左右に会えば君に近づくこと頻りにして政を執る、羊陀火鈴空劫を加うれば平常。

現代語訳文曲星が官禄宮にあって廟旺なら、文官でも武官でもよいです。落陥の宮で天機星・太陰星と同宮すれば、小役人でも権勢と地位があります。紫微星・天府星・左輔星・右弼星に会えば、たびたび君主のそば近くに仕え、政治をとります。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星が加われば平凡です。

近君
君主のそば近くに仕えること。
解説

文曲星は廟旺なら文武どちらにも向き、落陥の宮で天機星・太陰星と同宮すれば小役人でも権勢があるとされます。ここには盤の上の問題があります。天機星と太陰星が同宮するのは寅と申だけで、文曲星は寅で平和、申で得地で、どちらも落陥ではないので、「陷宮與天機太陰同宮」は盤と合いません。紫府・左右に会えば「近君頻而執政」、権力の中心のそばで働きます。今の組織で言えば、話す力、伝える力、まとめる力で上へ上がっていく形で、秘書、参謀、広報担当といった立場が文曲星型の位置です。

✎ メモ

20左輔入廟文武之材,武職最旺,不利文人,會吉星身中清,文武皆良,見羊陀火鈴空劫進退聲名。

書き下し左輔入廟すれば文武の材、武職最も旺じ、文人に利あらず、吉星に会えば身中清く、文武皆良し、羊陀火鈴空劫を見れば声名進退す。

現代語訳左輔星が官禄宮にあって入廟なら、文武を兼ね備えた人材で、武官でもっとも盛んになり、文官には不利です。吉星に会えば清らかで重要な地位につき、文官でも武官でもよいです。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星を見れば、名声が上がったり下がったりします。

身中清
言葉が簡略です。おおよそ、清らかで尊い地位に身を置くという意味です。
解説

左輔星は入廟なら文武の材で、「武職最旺,不利文人」とされます。左輔星には輝度が付かないので、ここの「入廟」はおそらく同宮する主星が廟旺であることを指しています。左輔星が官禄宮にあると、仕事に助け手やチームがいることを表します。「不利文人」は右弼星の条と同じで、左輔星・右弼星が武官の副官と見られていたからかもしれません。チームで進める仕事に向き、協力によって仕事が前へ進む人です。

✎ メモ

21右弼宜居武職,不和文人,與紫府昌曲同,財官雙美,陷宮成敗有貶謫,見美陀火鈴空劫亦有黜降。

書き下し右弼は武職に居るに宜しく、文人に和せず、紫府昌曲と同じくすれば、財官双美、陥宮なれば成敗し貶謫有り、美陀火鈴空劫を見ればまた黜降有り。

現代語訳右弼星が官禄宮にあると、武官に就くのがよく、文官には不利です。紫微星・天府星・文昌星・文曲星と同宮すれば、財も官もそろってよいです。落陥の宮なら成功も失敗もあり、位を下げられ遠方へ出されます。擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地空星・地劫星を見れば、やはり罷免や降格があります。

黜降
罷免されたり、位を下げられたりすること。

校勘 「不和文人」の「和」はおそらく「利」の誤りです(左輔星の条は「不利文人」です)。「見美陀」の「美」は「羊」とすべきところです。

解説

右弼星は武官に向き、紫府・昌曲と同宮すれば財も官もそろい、落陥の宮なら成敗があって位を下げられるとされます。「不和」が「不利」、「美陀」が「羊陀」であることは校勘のとおりです。右弼星と左輔星の官禄宮での評価はほとんど同じで、全書が仕事の位置では左輔星と右弼星を一組として見ていることがわかります。有能な副官がそばにいる配置ですが、煞星が来れば、その副官が問題のもとになることもあります。

✎ メモ

22祿存會吉文武皆良,財官雙美,子孫爵秩,諸宮為美。

書き下し禄存吉に会えば文武皆良し、財官双美、子孫爵秩あり、諸宮に美と為す。

現代語訳禄存星が官禄宮にあって吉星に会えば、文官でも武官でもよく、財も官もそろい、子孫にも爵位や官職があります。どの宮でもよいとされます。

爵秩
爵位と官の等級。
解説

禄存星は官禄宮で、吉星に会えば文武どちらもよく、財も官もそろい、「子孫爵秩」とされます。禄存星を問う篇の「與帝星守官祿,宜子孫爵秩」(禄存星の主るところは)がこの条のもとです。禄存星が官禄宮にあるとき、擎羊星と陀羅星は必ず奴僕宮と田宅宮にあります。今なら、仕事が安定して収入も決まっていて、公務や大きな組織のように長く積み上げていく環境に向いていると読めます。

✎ メモ

23擎羊入廟最利武職,同吉星權貴,陷地平常,虛名而已。

書き下し擎羊入廟すれば最も武職に利あり、吉星と同じくすれば権貴、陥地なれば平常、虚名のみ。

現代語訳擎羊星が官禄宮にあって入廟なら、武官にもっとも有利です。吉星と同宮すれば権勢と地位があります。落陥の地なら平凡で、名ばかりです。

解説

擎羊星は入廟なら武官にもっとも有利で、吉星と同宮すれば権勢と地位、落陥の地なら名ばかりとされます。擎羊星は刑の星なので、官禄宮では決断と競争の求められる仕事を表し、軍や警察、外科、法務のような「刃を扱う」仕事がいちばん合います。擎羊星の廟の地は辰・戌・丑・未です。こういう人は競争の激しい業界で頭角を現しますが、職場でのぶつかり合いには気をつけたいところです。

✎ メモ

24陀羅獨守平常,加吉星亦虛名而已。

書き下し陀羅独守すれば平常、吉星を加うるもまた虚名のみ。

現代語訳陀羅星が一つだけで官禄宮を守ると平凡です。吉星が加わっても名ばかりです。

解説

陀羅星が一つだけで守れば平凡で、吉星が加わっても名ばかりとされます。官禄宮での陀羅星の評価はとても低く、吉星が加わっても肩書きだけです。陀羅星は遅れをつかさどるので、仕事の位置では、昇進が遅い、計画が滞ることを表します。仕事の歩みはゆっくりで、急がず着実に進める仕事に向き、粘り強さがいちばんの財産になります。

✎ メモ

25火星晚年功名遂心,早年成敗,會紫微貪狼吉,陷地不美。

書き下し火星は晩年に功名心に遂ぐ、早年は成敗す、紫微貪狼に会えば吉、陥地なれば美ならず。

現代語訳火星が官禄宮にあると、晩年になって功名が思いどおりになり、若いころは成功も失敗もあります。紫微星・貪狼星に会えば吉です。落陥の地ならよくありません。

解説

火星は官禄宮で「晚年功名遂心,早年成敗」とされ、ここでも全書おなじみの、はじめは難しく後に楽になる形です。紫微星・貪狼星に会えば吉で、貪狼星と組めば火貪格です。落陥の地(申子辰)ならよくありません。仕事の道のりに当てはめると、若いころは浮き沈みが大きく、転職も多く、中年を過ぎてから落ち着くことがよくあります。

✎ メモ

26鈴星獨守旺宮吉,陷地不美,加諸吉星權貴。

書き下し鈴星独守して旺宮なれば吉、陥地なれば美ならず、諸吉星を加うれば権貴。

現代語訳鈴星が一つだけで官禄宮を守ると、旺の宮なら吉で、落陥の地ならよくありません。多くの吉星が加われば権勢と地位があります。

解説

鈴星が一つだけで守れば、旺の宮なら吉、落陥の地ならよくなく、吉星が加われば権勢と地位があるとされます。鈴星と火星の官禄宮の条は少し違っていて、火星は早いか遅いかを、鈴星は輝度を強調しています。二つを合わせて読むと、火星も鈴星も仕事の位置では爆発力はあるが安定しない星です。現代では、短期のプロジェクトや危機への対応のように、瞬発力の要る仕事に向いています。

✎ メモ

27斗君遇吉其年月財官旺,逢凶忌財官不顯達,有勞祿奔波。

書き下し斗君吉に遇えばその年月財官旺ず、凶忌に逢えば財官顕達せず、労禄奔波有り。

現代語訳斗君が官禄宮に来て吉星に遇えば、その年その月は財も官も盛んです。凶星や化忌に逢えば、財も官も伸びず、苦労してあちこち駆け回ります。

斗君
流年で正月にあたる宮。ここから流月を数えはじめます。
勞祿
労碌、つまり苦労して働くこと。
解説

斗君が官禄宮に来て吉に遇えば、その年その月は財も官も盛んで、凶や化忌に逢えば財も官も伸びず、苦労して駆け回るとされます。この条は「年月」と言っていて、流年と流月を合わせて仕事を論じています。流月が官禄宮に来て吉星がある月は、昇進の話をしたり、職を変えたり、企画を出したりするのによい時期です。

✎ メモ

28定公卿

書き下し公卿を定む

現代語訳公卿になれるかを定める詩訣。

公卿
三公九卿。朝廷でもっとも高い位の官。
解説

この段から、原文には〈定某官〉という短い詩が五首付いていて、それぞれに小見出しがあります。「定公卿」は公卿にまでなれる条件を定めるもので、公卿は朝廷の最上層の官です。これらの詩は、前の十二宮の星ごとの条とは違い、格局全体から官職の高い低いを判断します。

✎ メモ

29輔弼星纏帝座中,高官三品入朝中,空亡惡曜三方見,指是虛名受蔭封。

書き下し輔弼の星帝座の中に纏えば、高官三品にして朝中に入る、空亡悪曜三方に見れば、指すは是れ虚名にして蔭封を受く。

現代語訳左輔星・右弼星が帝座の紫微星のまわりにまとわりつけば、三品の高官となって朝廷に入ります。三方に空亡や悪い星を見れば、名ばかりで、祖先のおかげで官を授けられるにすぎません。

帝座
紫微星。
蔭封
祖先や父の功によって官を授けられること。
解説

左輔星・右弼星が帝座にまとわりつけば三品で朝廷に入り、三方に空亡や悪い星を見れば、名ばかりで祖先の蔭で官を得るだけ、という詩です。全書が繰り返し強調する「紫微星には百官が要る」という考えで、紫微星に左輔星・右弼星が加わる形は、後世の言う君臣慶会の一部です。命盤との照合では、これを命宮か官禄宮に置いています。今の言葉にすれば、チームを持つリーダーこそ上まで行け、一人で戦う紫微星は肩書きだけで終わりやすい、ということです。

✎ メモ

30定兩官府

書き下し両官府を定む

現代語訳両府の大臣になれるかを定める詩訣。

兩官府
両府のこと。宋代に中書省と枢密院を両府と呼び、文と武の大政を分けて担いました。宰相・執政の大臣を指します。
解説

〈両府〉は宋代以降、中書省と枢密院をまとめて呼んだ名で、一方は政務を、もう一方は軍事を担う、朝廷の最高の二つの機関でした。この小見出しの下の詩は文昌星・文曲星について詠んでいて、文昌星・文曲星が人を権力の中枢へ導くという意味です。

✎ メモ

31昌曲二曜最難逢,建節封侯笑語中,若然凶殺來臨破,須然好處也成凶。

書き下し昌曲の二曜は最も逢い難し、節を建て侯に封ぜらるるは笑語の中、もし然して凶殺来臨して破れば、須然好き処もまた凶と成る。

現代語訳文昌星・文曲星の二つの星には、もっとも出会いにくいものです。出会えば、談笑のうちに節を授かって一方の大官となり、侯に封ぜられます。もし凶星や煞星が来て打ち破れば、もとはよいところであっても、凶に変わってしまいます。

建節
朝廷の符節を授かり、地方の大官になること。
解説

文昌星・文曲星の二曜は「最難逢」とされます。文昌星と文曲星が同宮するのは丑と未だけで、決まった生まれ時刻でなければ同宮しないので、出会いにくいのです。これが昌曲同宮です。同宮すれば「建節封侯」、凶星や煞星に破られれば、よいところも凶に変わります。諸星の同垣を論じた篇には「昌曲臨於丑未,時逢卯酉近天顏」(諸星同垣:文昌星・文曲星)とあり、まさに丑未で同宮するという条件です。

✎ メモ

32定文官

書き下し文官を定む

現代語訳文官になれるかを定める詩訣。

解説

「定文官」は文官になれるかを定める詩訣です。文官と武官の区別は、全書ではおもに文昌星・文曲星(文)と、武曲星・左輔星・右弼星(武)の配置で見ます。次の詩が文官の条件です。

✎ メモ

33文官昌曲掛朝衣,官祿之中喜有之,紫相更兼權祿至,定居風憲肅朝儀。

書き下し文官は昌曲もて朝衣を掛く、官禄の中にこれ有るを喜ぶ、紫相更に権禄の至るを兼ぬれば、定めて風憲に居りて朝儀を粛す。

現代語訳文官は文昌星・文曲星によって朝廷の衣をまといます。官禄宮にこの二つの星があるのをもっとも喜びます。さらに紫微星・天相星があり、化権・化禄も来れば、必ず監察の官となり、朝廷の儀礼を引き締めます。

風憲
監察や弾劾を担う御史などの官職。
解説

文官になるには官禄宮に文昌星・文曲星があり、さらに紫微星・天相星、化権・化禄があれば「風憲」、監察の官になるとされます。紫微星と天相星は帝王と印の星で、そこに文の星が加わると、法の規律と文書を司る官になります。天梁星を問う篇も天梁星が「臨於風憲」と言っています。今それに当たるのは法務、監査、監察、政策研究のように、文章の力と権威の両方が要る仕事です。

✎ メモ

34定武官

書き下し武官を定む

現代語訳武官になれるかを定める詩訣。

解説

「定武官」は武官になれるかを定める詩訣です。次の詩は武曲星を主役にしています。武曲星を問う篇は武曲星について「在天司壽,在數司財」と言い、しかも北斗の将星なので、全書では武官と財政の両方を表し、兵も財も預かる星です。

✎ メモ

35將軍武曜最為良,帝座權衡在祿鄉,輔弼二星兼拱照,金章玉帶佐皇王。

書き下し将軍は武曜を最も良しと為す、帝座権衡にして禄郷に在り、輔弼二星兼ねて拱照すれば、金章玉帯もて皇王を佐く。

現代語訳将軍となるには武曲星がもっともよいです。帝座の紫微星が権衡を握って禄のある宮にあり、さらに左輔星・右弼星の二つの星がともに照らせば、金の印と玉の帯を身につけて、皇帝や王を補佐します。

武曜
武曲星。
祿鄉
禄のある宮。官禄宮を指すという説もあります。
金章玉帶
金の印と玉の帯。高官の装い。
解説

武曲星はもっともよい将の星で、さらに紫微星が禄郷(化禄や禄存星のある宮)で権を握り、左輔星・右弼星が照らせば「金章玉帶佐皇王」です。命盤との照合では、これを武曲星が命宮か官禄宮にあって左輔星・右弼星に会う形として見ています。軍や警察、法の執行、実行力とお金の管理の両方を求められる管理職が、この組み合わせの今の姿です。

✎ メモ

36定曹吏

書き下し曹吏を定む

現代語訳曹吏になるかを定める詩訣。

曹吏
役所の各部署で実務をこなす吏員。
解説

「定曹吏」は曹吏になるかを定める詩訣です。曹吏は役所の各部署の末端の吏員で、官より地位は低いものの、実際に仕事を回していた人たちです。全書が曹吏にも一つの格を立てているのは、昔の人がこれも予測できる職業の運命と見ていたことを示しています。

✎ メモ

37太陽化官在陽宮,更有光輝使不凶,若逢紫府兼左右,一生曹吏逞英雄。

書き下し太陽官に化して陽宮に在り、更に光輝有りて凶ならざらしむ、もし紫府に逢い左右を兼ぬれば、一生曹吏として英雄を逞しうす。

現代語訳太陽星は化気が「官」で、陽の宮にあれば、いっそう輝きを増し、凶にさせません。もし紫微星・天府星に逢い、左輔星・右弼星も兼ねれば、一生吏員として腕をふるいます。

化官
太陽星の化気。全書は「貴」または「官」と書き、官職と高い地位をつかさどります。
陽宮
子・寅・辰・午・申・戌の六宮。紫微星・天府星は太陽星の三方四正に入らないので、「逢紫府」は盤と合いません。命盤の条件では、太陽星が陽の宮にあって左輔星・右弼星に会うことだけを見ています。
解説

太陽星が陽の宮(子寅辰午申戌)にあれば輝いて凶にならず、紫府・左右に逢えば一生曹吏として腕をふるうとされます。太陽星を陽の宮に置くのは、子女宮の「太陽星落在陽宮」と同じ陰陽を合わせる考え方です。ただし太陽星は子では落陥、戌では不得地なので、陽の宮だからといって輝いているとは限らず、盤を見るときは輝度も確かめる必要があります。いまの言葉で言えば、末端の公務員や事務職の中で抜きん出る人のようなもので、高い地位ではなくても名を上げることができます。

✎ メモ
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
紫微庙旺遇左右昌曲魁钺,轩胜位至封候伯,加羊陀火铃平常,天府同权贵名利两全,天相加内外权贵清正,破军同闹中安身。 天机入庙权贵,会文曲为良巨,见羊陀火铃方宜,天梁同文武之材,太阴同名振边夷,陷宫退官失职,吏员立脚。 太阳入庙文武为良,不见羊陀火铃吉,太阴同贵显,左右昌曲魁钺同更君科禄权,定居一品之贵。 武曲入庙与昌曲左右同宫,武职峥嵘,常人发福,会科权禄为财富之官,贪狼同为贪污之官,破军同军旅内出身, 与安身七杀同横立功名,陷宫及陀铃劫忌功名无分。 天同入庙文武皆宜,无羊陀火铃吉,巨门同先小后大,太阳昌曲科权禄吉美天姿,同权贵太阴同,陷宫胥更论。 廉贞入庙武职权贵不耐久,贪狼同闹中权贵,紫微会三方文职谕,七杀同军旅出身,天相天府同衣锦富贵。 天府入庙文武皆吉,无羊陀火铃空耗全美,紫微同文武声名,廉贞武曲同权贵,见空劫平常。 太阴入庙多贵,陷地气高横破难显达,会太阳昌曲左右三品之贵,天同同文武皆宜,天机同闹中进身吏员立脚。 贪狼入庙遇火铃武职掌大权,紫微同文武之职权贵非小,陷宫贪污之官,加羊陀空劫平常。 巨门入庙武职权贵,文人不耐久,太阳同有进退,入庙久长,天机同在卯宫吉美,在酉宫虽美无始终, 陷宫遭悔吝,加羊陀火铃空劫更不美,退宫卸职。 天相入庙文武皆宜食禄千钟,陷地成败,紫微同权贵,昌曲左右同权显荣贵, 武曲同边夷之职,廉贞同峥嵘权贵,加羊陀火铃空劫有贬谪。 天梁庙午会左右魁钺,文武之材天同同权贵不小,天机同峥嵘贵显,加羊陀火铃空劫平。 七杀庙旺武职峥嵘权贵非小,不宜文人,武曲同权贵,廉贞同功名显达。 破军庙旺武职轩胜,武曲同加权禄,文昌文曲显达,加羊陀火铃平常,紫微同宫名振扬,廉贞同文人不耐久,胥吏最美。 文昌入庙太阳同加吉科权禄,文武之材,同天府文曲富贵双全。 文曲庙旺文武皆宜,陷宫与天机太阴同宫,胥吏权贵,会紫府左右近君频而执政,加羊陀火铃空劫平常。 左辅入庙文武之材,武职最旺,不利文人,会吉星身中清,文武皆良,见羊陀火铃空劫进退声名。 右弼宜居武职,不和文人,与紫府昌曲同,财官双美,陷宫成败有贬谪,见美陀火铃空劫亦有黜降。 禄存会吉文武皆良,财官双美,子孙爵秩,诸宫为美。 擎羊入庙最利武职,同吉星权贵,陷地平常,虚名而已。 陀罗独守平常,加吉星亦虚名而已。 火星晚年功名遂心,早年成败,会紫微贪狼吉,陷地不美。 铃星独守旺宫吉,陷地不美,加诸吉星权贵。 斗君遇吉其年月财官旺,逢凶忌财官不显达,有劳禄奔波。 定公卿 辅弼星缠帝座中,高官三品入朝中,空亡恶曜三方见,指是虚名受荫封。 定两官府 昌曲二曜最难逢,建节封侯笑语中,若然凶杀来临破,须然好处也成凶。 定文官 文官昌曲挂朝衣,官禄之中喜有之,紫相更兼权禄至,定居风宪肃朝仪。 定武官 将军武曜最为良,帝座权衡在禄乡,辅弼二星兼拱照,金章玉带佐皇王。 定曹吏 太阳化官在阳宫,更有光辉使不凶,若逢紫府兼左右,一生曹吏逞英雄。

よくある質問

紫微斗数の官禄宮では何を見ますか?

官禄宮では仕事、功名、地位を見ます。『紫微斗数全書』が書かれた時代、仕事といえばおもに官に仕えることだったので、星ごとに、官禄宮にあるとき文官と武官のどちらに向くか、権勢と地位はどれほどか、長く続けられるか、そして羊陀火鈴空劫に会うと平凡に終わるか、職を退くか、位を下げられるかを書いています。

官禄宮で全書が武官に向くとする星はどれですか?

全書は、武曲星が入廟して文昌・文曲・左輔・右弼と同宮すれば「武職崢嶸」、廉貞星が入廟なら「武職權貴」、貪狼星が入廟して火星・鈴星に遇えば「武職掌大權」、巨門星が入廟なら「武職權貴,文人不耐久」、七殺星が廟旺なら「武職崢嶸」で「不宜文人」、破軍星が廟旺なら「武職軒勝」、擎羊星が入廟なら「最利武職」としています。

全書が「貪污之官」とするのはどの組み合わせですか?

原文は、武曲星と貪狼星がそろって官禄宮にあれば「為貪污之官」、貪狼星が落陥の宮にあっても「貪污之官」としています。全書の原文の言葉で、訳文も字面どおりに訳しています。

「定公卿」「定文官」などの詩は何を言っているのですか?

官禄宮の篇の後ろに付いている五首の七言詩です。定公卿は左輔星・右弼星が紫微星のそばにあれば三品の高官、定両府は文昌星・文曲星がそろうのは難しいが、そろえば節を建て侯に封ぜられる、定文官は官禄宮に文昌星・文曲星があり、さらに紫微星・天相星と化権・化禄があれば監察の官、定武官は武曲星がいちばんよい、定曹吏は太陽星が陽の宮にあって紫微星・天府星と左輔星・右弼星に逢えば一生役所の吏員として腕をふるう、と詠みます。

この篇に出てくる主星

紫微星太陽星天機星武曲星廉貞星太陰星
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