女命骨髄賦
〈女命骨髓賦〉
『紫微斗数全書』巻一・賦文・諸星問答と格局・原文と現代語訳
はじめに
〈女命骨髄賦〉は『紫微斗数全書』巻一にあり、〈斗数骨髄賦〉のすぐ後に続きます。最初の十七段は七言の詩の形をとった女命の断訣で、その後は「論對面朝斗格」「論出家僧道之命」のような、格や命の型を論じる詩の一組です。途中の一句に自注として「已前論賦俱係看命要訣」とあり、賦はここで終わり、以下は付録の歌訣だということを示しています。
- 女命の断訣(1〜17):天府星・天相星が命宮に座れば子が貴く夫が賢い、廉貞星・天同星は清白で守ることができる、紫微星・太陽星は早く賢い夫に出会う。巨門星・天機星は破蕩、天梁星・太陰星は貧しく、擎羊星・火星は下賤、武曲星は寡宿、貪狼星は内心が残忍で淫佚が多い。十干の化禄がいちばん吉。三方四正で煞に逢い、夫宮に煞があれば禍患が深く、本宮に正曜がなければかならず生き別れる。
- 格局の詩(19〜32):対面朝斗、科権禄主、左右朝垣、兼文武、文星朝命、石中隠玉、火貴。
- 人事の分類(33〜67):商人、技芸、出家の僧道、孤剋、寿夭と淫蕩、残疾、破相、聡明、富足、貧賤、盗賊、一身の駁雑で、それぞれに詩が一、二首付いています。
この篇は全書が女命について下したもっともじかの評価で、言葉はとても重いものです。「下賤」「寡宿」「多淫佚」「定為娼」「必主生離剋害」を、訳文では原文どおりに直訳し、書き換えていません。これらは明代の女性に対する評価の基準で、現代の読み方は各段の解析にまとめています。
1府相之星女命躔,必當子貴與夫賢。
書き下し府相の星女命に躔れば、必ず当に子貴く夫賢なるべし。
現代語訳天府星・天相星が女命の命宮にあれば、かならず子は貴くなり、夫は賢いです。
- 躔
- 星のある位置。
〈女命骨髄賦〉は最初の一句で、もっともよい女命を語ります。天府星・天相星が命宮に座れば、子が貴く夫が賢い、と。昔の人が女命を見るとき、要は本人の成功ではなく夫と子にありました。これがこの篇全体の価値の基準で、読む前に知っておく必要があります。天府星は財の庫、天相星は印の星で、どちらも落ち着いて守りに強く、昔は家を切り盛りするのにいちばん向くと考えられていました。巻二の〈天相星の性情〉も女命の天相星について「旺夫貴子顯門庭」と言っています(天相星の性情)。今に引き寄せて読むと、この二つの星が命宮に座る女性は落ち着いていて頼りになり、資源をやりくりするのが上手で、管理・財務・事務のような仕事に向き、家庭でも仕事でも柱になれる人です。
2廉貞清白能相守,更有天同理亦然。
書き下し廉貞は清白にして能く相守り、更に天同有るも理亦然り。
現代語訳廉貞星(が女命の命宮にあれば)清白で、貞節を守ることができます。さらに天同星があっても、道理は同じです。
- 相守
- 節を守り、夫と添い遂げること。
廉貞星が女命の命宮に座れば「清白能相守」で、天同星も同じだと言います。廉貞星は全書でよく次桃花(二番手の桃花星)とされ、気性が荒く争いを好むとされますが、女命になると、ここでは清白で節を守ると評価されています。巻二の〈廉貞星の性情〉も「女人身命值廉貞,內政清廉格局新」と言っています(廉貞星の性情)。廉貞星の化気は囚で、囚には自分を律するという意味があり、女命に使うと決まりを守ると読みます。天同星は福をつかさどり、気性が穏やかです。巻三の〈諸星同垣:天同星〉も「女命天同必是賢」と言いますが、「己亥逢此化吉雖美必淫」という例外も付けています。現代の目で見れば、廉貞星の女命は筋を通して自分を律する人、天同星の女命は人当たりがよく家庭を大事にする人です。
3端正紫微太陽星,早遇賢夫性可憑。
書き下し端正なる紫微太陽星、早く賢夫に遇い性憑むべし。
現代語訳紫微星・太陽星(が女命の命宮にあれば)端正で、早くに賢い夫に出会い、性格は信頼できます。
紫微星・太陽星が女命の命宮に座れば、端正で、早くに賢い夫に出会うとします。紫微星は帝星、太陽星は貴の星で、女命では「夫の星」がよいと読まれます。太陽星は女命ではもともと夫を表していて、〈太陽星の主るところは〉は「此星男得之為父星,女得之為夫星」と言っています。巻三の〈諸星同垣:紫微星〉は条件を補い(諸星同垣:紫微星)、紫微星は寅・午・申の宮で吉、陥地では平凡、子酉・巳亥で四殺が加われば「美玉瑕玷」としています。今の暮らしに置けば、紫微星・太陽星が命宮に座る女性は自分の考えがあって度量が大きく、相手を見る目が高く、条件のよい相手に出会いやすい人です。自分が家の決め役になることもあります。
4太陽寅到午,遇吉終是福。
書き下し太陽寅より午に到り、吉に遇えば終に是れ福なり。
現代語訳太陽星が寅から午までの宮にあって吉星に遇えば、最後には福です。
太陽星が寅から午(寅・卯・辰・巳・午)にあって吉星に遇えば、最後には福だとします。この五つの宮は太陽が日の出から正午までにある位置で、星格の輝度表では寅が旺、卯が廟、辰・巳・午が旺で、どれも太陽星が明るいところです。巻三の〈諸星同垣:太陽星〉の言い方は「居卯辰巳午無殺,旺夫益子」で(諸星同垣:太陽星)、寅が抜けています。太陽星は女命では夫の星で、太陽星が明るいのは夫に成功と地位があることを表します。現代に置き換えると、太陽星が廟旺で命宮に座る女性は情熱的で外向きで、惜しみなく与え、仕事でも家庭でも輝ける人です。ただ与えすぎて疲れないよう気をつけたいところです。
5左輔天魁為福壽,右弼天相福來臨。
書き下し左輔天魁は福寿と為し、右弼天相は福来臨す。
現代語訳左輔星・天魁星(が女命の命宮にあれば)福があって長生きします。右弼星・天相星(が女命の命宮にあれば)福がやってきます。
左輔星・天魁星が女命の命宮に座れば福と寿があり、右弼星・天相星が座れば福がやってくるとします。この四つはどれも補佐と貴人の性質をもつ星です。巻三の〈諸星同垣:天相星〉は「右弼天相福來臨」を十干まで細かく分けていて(諸星同垣:天相星)、子の宮の癸年生まれ、寅の宮の癸・己年生まれなどを貴格とし、丑・未・亥の宮は貴くなく、子午卯酉は福が少ないとしていて、条件はずっと厳しくなっています。今の言葉で言えば、こうした星が命宮に座る女性は人に好かれ、助けを得やすく、チームでの仕事や補佐役に向きます。左輔・右弼や天魁・天鉞がある人は、大事なときに手を差し伸べてくれる人がよく現れます。
6祿存厚重多衣食,府相朝垣命必榮。
書き下し禄存は厚重にして衣食多く、府相垣に朝すれば命必ず栄ゆ。
現代語訳禄存星(が女命の命宮にあれば)重厚で、衣食が豊かです。天府星・天相星が命宮に朝してくれば、命はかならず栄えます。
前の句は、禄存星が女命の命宮に座れば重厚で衣食が豊かだということです。禄存星は財を守ることをつかさどり、〈禄存星の主るところは〉は女命について「清淑機巧能幹能為,有君子之志」と言います。後の句は府相朝垣で、天府星・天相星が三方から命宮を照らせば、命はかならず栄えるということです。これは男女に共通の貴格で、女命の篇でもう一度挙げています。禄存星の「厚重」は、今なら落ち着いていて頼りになり、お金の管理が上手ということです。ただ、禄存星はいつも擎羊星・陀羅星に夾まれているので、禄存星が命宮に座る女性は控えめで、殻を破りきれない印象を与えることがよくあります。財を守る星の二つの面です。
7紫府巳亥相互輔,左右扶持福必生。
書き下し紫府巳亥に相互いに輔け、左右扶持すれば福必ず生ず。
現代語訳紫微星・天府星が巳・亥で互いに助け合い、さらに左輔星・右弼星が支えれば、かならず福が生まれます。
紫微星・天府星が巳・亥で「相互輔」するとあります。盤の上の事実はこうです。紫微星が巳にあればかならず七殺星と同宮し、対宮の亥はかならず天府星が単独で座ります。紫微星が亥にあれば、対宮の巳が天府星です。ですから巳・亥の紫微星・天府星は、かならず対宮をはさんで照らし合う形で、これが「相互輔」の意味です。そこに左輔星・右弼星の支えがあれば、福がかならず生まれます。現代の目で見れば、紫微星・七殺星が命宮に座るか、天府星が命宮に座る(対宮が紫微星・七殺星)女性は、力があって責任を引き受けられる人で、三方に左輔・右弼があれば頼れる助け手が身近にいて、仕事と家庭を両立できます。
8巨門天機為破蕩。天梁月曜女命貧。
書き下し巨門天機は破蕩と為す。天梁月曜は女命貧し。
現代語訳巨門星・天機星(が女命の命宮にあれば)家を破り、身を持ち崩します。天梁星・太陰星なら、女命は貧しいです。
- 破蕩
- 家業を破り、身を持ち崩して節を守らないこと。
- 月曜
- 太陰星。
前の句は、巨門星・天機星が女命の命宮に座れば破蕩だということです。巨門星と天機星が同宮するのは卯・酉の二つの宮だけです。巻三の〈諸星同垣:巨門星〉は「女命巨機於卯酉,雖富貴不免淫佚,若陷地下賤」と言っていて(諸星同垣:巨門星)、昔の人の巨門星・天機星の女命への悪い評価は、おもに恋愛の面にあったことがわかります。後の句は、天梁星・太陰星なら女命は貧しいということです。天梁星は清高を、太陰星は柔らかさをつかさどり、二つが会うと女命は孤高で貧しいと昔の人は考えました。今読むなら、巨門星・天機星の女命は頭がよく弁が立ち、気持ちがよく変わる人、天梁星・太陰星の女命は自立していて誇り高く、物にこだわらない人です。どちらも字のとおりに破蕩や貧しさと読む必要はありません。
9擎羊火星為下賤。文昌文曲福不全。
書き下し擎羊火星は下賤と為す。文昌文曲は福全からず。
現代語訳擎羊星・火星(が女命の命宮にあれば)下賤です。文昌星・文曲星(が女命の命宮にあれば)福が完全ではありません。
前の句は、擎羊星・火星が女命の命宮に座れば下賤だということです。この二つはどちらも激しい煞星で、昔は女性にしとやかさが期待されたので、激しい星は女命で特に評価が低くなります。巻三の〈諸星同垣:火星・鈴星〉は「擎羊火鈴為下格 女人廟旺猶可,陷地下賤」と言い、廟陥の条件を加えています。後の句は、文昌星・文曲星が女命の命宮に座れば福が完全ではないということです。文昌・文曲は文の星で、男命なら科挙の合格ですが、女命では才気がありすぎるとかえって分をわきまえない、と昔の人は考えました。今の感覚で読めば、擎羊星・火星の女命は思い切りがよく突き進める人、文昌星・文曲星の女命は才能があって表現の上手な人で、どちらも長所です。古書の評価は当時の男女観を映しています。
10武曲之宿為寡宿。破軍一曜性難明。
書き下し武曲の宿は寡宿と為す。破軍一曜は性明らかにし難し。
現代語訳武曲という星(が女命の命宮にあれば)寡宿で、やもめになる命です。破軍星一つなら、性格はつかみにくいです。
- 寡宿
- 孤独とやもめをつかさどる星。ここでは女命が夫に先立たれることを指します。
武曲星が女命の命宮に座れば「寡宿」で、やもめの命だとし、破軍星は性格がつかみにくいとします。武曲星は将の星で財の星、性格はまっすぐで決断が速く、女命が剛すぎると夫を剋す、と昔の人は考えました。ところが巻二の〈武曲星の性情〉は「女人武曲命中逢,天府加之志氣雄,左右祿存相逢聚,富貴雙全美無窮」と言っていて(武曲星の性情)、評価がまったく逆です。鍵は天府星・左輔右弼・禄存星があるかどうかにあります。破軍星の女命については、巻二が別に「剋害良人非一次」と言っています。現代の読み方では、武曲星の女命は自立していて稼ぐ力と決断力があり、職場で強い人であることが多く、破軍星の女命は型にはまらず、変化を恐れない人です。
11貪狼內狠多淫佚。七殺沉吟福不榮。
書き下し貪狼は内狠にして淫佚多し。七殺は沈吟して福栄えず。
現代語訳貪狼星(が女命の命宮にあれば)内心が残忍で、淫らで放縦なことが多いです。七殺星(が女命の命宮にあれば)憂いに沈み、福が栄えません。
- 淫佚
- 淫らで放縦なこと。
- 沉吟
- 低くうめき嘆くこと。思い悩むさま。
前の句は、貪狼星が女命の命宮に座れば内心が残忍で、淫佚が多いということです。貪狼星の化気は桃花で、昔の人は女命の桃花に特に厳しかったのです。巻三の〈諸星同垣:貪狼星〉は「女命貪狼多嫉妒」と言い、条件は亥・子で擎羊・陀羅に遇うことです。後の句は、七殺星が女命の命宮に座れば思い悩み、福が栄えないということです。〈七殺星の主るところは〉は秘経を引いて「七殺居陷地,沉吟福不生」と言い、巻二の〈七殺星の性情〉は女命の七殺星について「作事果斷又聰明,氣高志大無男女,不免刑夫歷苦辛」と言っています(七殺星の性情)。いまの読み方なら、貪狼星の女命は多芸で交際が広く、七殺星の女命は思い切りがよく志が大きい人で、恋愛では自分の自立を尊重してくれる相手が合います。
12十干化祿最榮昌,女命逢之大吉昌。
書き下し十干の化禄最も栄昌、女命之に逢えば大いに吉昌なり。
現代語訳十干の化禄はもっとも栄えます。女命がこれに逢えば、大いに吉で盛んです。
- 十干化祿
- 生まれ年の十干によって、甲から癸までそれぞれ一つの星が化禄します。
十干の化禄はもっとも栄え、女命がこれに逢えば大いに吉だとします。十干の化禄は生まれ年の十干により、甲は廉貞星、乙は天機星、丙は天同星、丁は太陰星、戊は貪狼星、己は武曲星、庚は太陽星、辛は巨門星、壬は天梁星、癸は破軍星です。命盤との照合では、この十の星が化禄して命宮に座る場合をすべて挙げています。化禄は福分・資源・人の縁をつかさどり、命宮に座れば一生衣食に困らず、人に好かれます。この句には男女で区別する理由がなく、女命の篇で化禄のよさをもう一度強調しているだけです。盤を読むときは、命宮の主星に化禄がついているかを見てください。化禄の課も参考になります。
13更得祿存相湊合,旺夫益子受恩光。
書き下し更に禄存の相湊合するを得れば、夫を旺じ子を益し恩光を受く。
現代語訳さらに禄存星が寄り合えば、夫を盛り立て、子に益があり、恩寵と栄誉を受けます。
- 恩光
- 朝廷の恩寵。昔の女性は夫や子が出世すると封号を受けました。
前の句を受けて、化禄のほかにさらに禄存星が寄り合えば、夫を盛り立て子に益があり、恩光を受けるとします。化禄に禄存星が加わるのが双禄で、財と禄が倍になります。「恩光」は、昔の女性が夫や子の出世によって朝廷から封号を受けることです。現代では、双禄が命宮に座るか会照する女性は自分自身に資源と財運があり、家庭を支えられる人で、家計の柱であることもよくあります。気をつけたいのは、禄存星は擎羊星・陀羅星に夾まれるので、双禄が同宮するときも両側に擎羊・陀羅があり、財が多いぶん奪い合いや重圧も生まれやすいことです。
14火鈴羊陀及巨門,天空地劫又相臨。
書き下し火鈴羊陀及び巨門、天空地劫又相臨み、
現代語訳火星・鈴星・擎羊星・陀羅星と巨門星、さらに天空(地空星)・地劫星が臨み、
- 天空
- 全書の天空は時系の地空です(安星訣「亥上起子順安劫,逆向便是天空鄉」)。地劫と並べて呼ばれ、盤上で年支から置く雑曜の「天空」ではありません。
この句と次の二句は一組で、女命に不利な星を並べています。火星・鈴星・擎羊星・陀羅星・巨門星に、天空(地空星)と地劫星が加わります。全書の「天空」が地空であることは注のとおりです。ここで巨門星を六煞と並べているのは、昔の人が巨門星を口舌と是非の星とみなし、女命では特に不利と考えたからです。この句そのものには結論がなく、結論は第16・17段にあります。これらの星が三方四正、とりわけ夫妻宮にあれば禍患が深い、と。三つの句をつなげて読む必要があります。
15貪狼七殺廉貞宿,武曲加臨剋害侵。
書き下し貪狼七殺廉貞の宿、武曲加臨すれば剋害侵す。
現代語訳貪狼星・七殺星・廉貞星といった星に、さらに武曲星が加われば、刑剋と害が入り込みます。
前の句を受けて、さらに貪狼星・七殺星・廉貞星が加わり、武曲星も臨めば刑剋が入り込むとします。この四つと前の句の七つを合わせると、全書のほとんどすべての煞星と剛い主星になります。注目したいのは、第2段で廉貞星を「清白能相守」としたばかりなのに、ここでは剋害の星に入れていることです。第10段で武曲星を寡宿としたのも同じです。同じ星でも、命宮にあるときと、夫妻宮にあるとき、三方から会照するときとでは別の話だということです。この数句の読み方の要は、次の段の「夫宮」にあります。
16三方四正嫌逢殺,更在夫宮禍患深。
書き下し三方四正殺に逢うを嫌い、更に夫宮に在れば禍患深し。
現代語訳三方四正で煞星に逢うのをいちばん嫌います。それが夫妻宮にあれば、禍患はさらに深いです。
- 夫宮
- 女命の夫妻宮。
三方四正で煞星に逢うだけでもよくなく、それが夫妻宮にあれば禍患はさらに深いとします。これがこの篇の女命についての核心の判断で、女命では夫妻宮が要の宮です。〈増補太微賦〉も「凡觀女人之命,先觀夫子二宮」と言っています。命盤との照合では、夫妻宮に六煞がある場合だけを示しています。現代に読み替えると、夫妻宮に煞星がある人は、結婚生活で言い争いや離れて暮らす時間が多くなりやすく、遅めの結婚や、性格が補い合う相手を選ぶのがよい、ということです。〈増補太微賦〉の「定三嫁而心不足」も同じ類の断定で(増補太微賦)、やはり字のとおりに受け取るべきではありません。
17若是本宮無正曜,必主生離剋害真。
書き下し若し是れ本宮に正曜無くんば、必ず生離剋害を主ること真なり。
現代語訳もし本宮に主星がなければ、かならず生き別れと刑剋・害をつかさどり、それはまことです。
- 本宮
- 前の句の夫宮を受けて、一般に夫妻宮と読みます。命宮と読む人もいます。
- 正曜
- 十四主星。
- 生離
- 生きたまま別れること。夫婦が別れることや別居を指します。
「本宮無正曜」は、注のとおり一般に夫妻宮に主星がないことと読み、命宮と読む人もいます。夫妻宮が空宮なら、昔の人は「必主生離剋害」と言いました。空宮は対宮(官禄宮)の主星を借りて見るので、夫婦の関係が仕事に引っ張られる、あるいは相手の像がはっきりしない、と読めます。巻三の〈諸星同垣:劫空・傷使と命・身・財・宅〉は「命無正曜二姓延生」と言い(諸星同垣:劫空・傷使と命・身・財・宅)、こちらは命宮の読み方を使っています。現代に当てはめるなら、夫妻宮が空宮の人は恋愛観に柔軟さがあり、結婚の形が伝統的なものと違うこともあります。生き別れるかどうかは、煞星の同宮や化忌があるかを見て判断します。
18已前論賦俱係看命要訣,學者宜熟玩之,乃得原委也。
書き下し已前の論賦は倶に看命の要訣に係る、学者宜しく熟く之を玩ぶべし、乃ち原委を得ん。
現代語訳以上に論じた賦は、どれも命を見る要訣です。学ぶ人はよく読んで味わうべきで、そうしてはじめて事の始めから終わりまでがわかります。
- 已前
- 以前と同じで、以上のこと。
- 原委
- 事の始めと終わり、いきさつ。
この句は自注で、以上の賦はみな命を見る要訣だと言っています。ここで一本の線が引かれます。前の十七段が〈女命骨髄賦〉の本文で、後ろは付録の格局の詩と人事の分類です。後ろの詩の多くは男女を分けておらず、たとえば「石中隱玉」「火貴格」「僧道之命」がそうです。ですから第19段からは、内容がもう女命に限られていないことを知っておく必要があります。全書を編むとき、別々の出どころの材料をつなぎ合わせた跡でもあり、同じようなことは全書のあちこちに見られます。
論對面朝斗格 子午宮逢祿存是也
20詩曰 祿有對面在遷移,子午逢之利祿宜,德合吉壤人敬重,雙全富貴福稀奇。
書き下し詩に曰く、禄対面の遷移に在る有り、子午之に逢えば利禄宜し。徳吉壌に合して人敬重し、双全の富貴福稀奇なり。
現代語訳詩に言います。禄存星が向かいの遷移宮にあり、子・午の宮でこれに逢えば、利と禄によいです。徳が吉い土地にかない、人から敬われ重んじられ、富貴がそろい、福はまれに見るほどです。
- 對面朝斗
- 題の自注は「子午宮逢祿存是也」で、詩は禄存星が向かいの遷移宮にあると言います。
対面朝斗格について。題は子・午の宮で禄存星に逢うと言い、詩は禄存星が向かいの遷移宮にあると言います。禄存星は子の宮(癸年)か午の宮(丁年・己年)に来ることはあっても、辰戌丑未には来ません。禄存星が遷移宮にあるのは、財と禄が外から命宮に照らし込むことにあたるので、「利祿宜」というわけです。巻三の〈諸星同垣:天馬と科権禄〉には「對面朝天子」という言い方があり(諸星同垣:天馬と科権禄)、遷移宮が子・午の宮にあって化禄が遷移宮にある形で、ここの禄存星とは違います。今に置くと、よその土地や外の人づきあいの中で資源を得やすく、赴任や外との窓口になる仕事に向く人です。
論科權祿主格
22詩曰 祿權周勃命中逢,入相王朝贊聖功,迎合權星兼吉曜,巍巍富貴列三公。
書き下し詩に曰く、禄権周勃の命中に逢い、王朝に入相して聖功を賛く。権星を迎合し吉曜を兼ぬれば、巍巍たる富貴三公に列す。
現代語訳詩に言います。周勃は命の中で化禄・化権に逢い、朝廷に入って宰相となり、聖天子を助けて功業を立てました。さらに権の星を迎え、吉星を兼ねれば、高くそびえる富貴で、三公に列します。
- 周勃
- 前漢の建国の功臣で、文帝のときに丞相となりました。
- 三公
- 朝廷の最高位の三つの官。
論左右朝垣格
24詩曰 天星左右最高明,若在三方祿位興,武職高登應顯佐,文人名譽列公卿。
書き下し詩に曰く、天星の左右最も高明、若し三方に在れば禄位興る。武職は高く登りて応に顕佐たるべく、文人は名誉公卿に列す。
現代語訳詩に言います。天の星の左輔星・右弼星はもっとも高明で、三方にあれば禄位が盛んになります。武官なら高く昇って重要な補佐となり、文人なら名誉は公卿に列します。
- 左右朝垣
- 左輔星・右弼星が三方から命宮を照らすこと。
「左右朝垣格」は、左輔星・右弼星が命宮の三方から照らす形です。左輔・右弼は助けをつかさどり、三方にあれば仕事・財・外での活動のどの面にも助けてくれる人がいるということです。詩は、武官なら重要な補佐になれ、文人なら名が公卿に列すると言います。これは〈太微賦〉の「紫微天府全依輔弼之功」と同じ考え方で(太微賦)、左輔・右弼は格局を大きくする星です。現代風に言えば、有能な同僚や部下、友人に恵まれ、チームを率いる役に向く人です。盤では命宮を開き、三方四正の線上に左輔星・右弼星があるかを見てください。
論兼文武格 文曲武曲在身命是也
26詩曰 格名文武少人知,遇此須教百事通,更值命宮無殺破,滔滔榮顯是英雄。
書き下し詩に曰く、格は文武と名づくるも人の知ること少なし、此れに遇わば須らく百事をして通ぜしむべし。更に命宮に殺破無きに値えば、滔滔たる栄顕是れ英雄なり。
現代語訳詩に言います。「文武」という格の名を知る人は少ないですが、これに遇えば何事にも通じます。さらに命宮に七殺星・破軍星がなければ、あふれるように栄えて名が顕れ、英雄になります。
- 兼文武格
- 題の自注は「文曲武曲在身命是也」。
- 殺破
- 七殺星・破軍星。
「兼文武格」は、題の自注のとおり文曲星・武曲星が身宮・命宮にある形です。文曲星は才芸と弁舌を、武曲星は実務と決断をつかさどり、一つの文と一つの武なので「百事通」というわけです。詩はさらに、命宮に七殺星・破軍星がなければ、あふれるように栄えると言います。〈斗数骨髄賦〉にも「文曲武曲為人多學多能」があります(斗数骨髄賦)。武曲星と文曲星が同宮する条件について言えば、文曲星は生まれた時刻で置くので、武曲星と同宮する機会は少なくありません。現代では、話せて動ける、分野をまたぐ人材で、営業・管理・起業に向きます。
論文星朝命格
28詩曰 文昌文曲最榮華,值此須生富貴家,更得三方祥曜拱,卻如錦上又添花。
書き下し詩に曰く、文昌文曲最も栄華、此れに値えば須らく富貴の家に生まるべし。更に三方祥曜の拱するを得れば、却って錦上に又花を添うるが如し。
現代語訳詩に言います。文昌星・文曲星はもっとも栄華で、これにあたればかならず富貴の家に生まれます。さらに三方から吉星が拱照すれば、錦の上にさらに花を添えるようなものです。
- 祥曜
- 吉星。
「文星朝命格」は、文昌星・文曲星が命宮にあれば、かならず富貴の家に生まれ、さらに三方から吉星が拱照すれば錦上に花を添える、とします。この詩は文昌・文曲をとても高く評価していて、第9段の「文昌文曲福不全」と強い対照をなしています。同じ篇の中で、前の女命の本文は文昌・文曲の福が欠けると言い、後ろの格局の詩は文昌・文曲がもっとも栄華だと言うわけです。ここから二つのことがわかります。一つは、本文は女命を専門に論じ、格局の詩は男女を分けていないこと。もう一つは、全書がいくつもの出どころをつなぎ合わせたもので、評価がしばしば一致しないことです。盤を読むときは、文昌・文曲の輝度と三方の吉凶を基準にしてください。
論石中隱玉格 命在子午逢巨門是也
30詩曰 巨門子午二宮逢,身命逢之必貴榮,更得三方科祿照,石中隱玉是豐隆。
書き下し詩に曰く、巨門子午の二宮に逢い、身命之に逢えば必ず貴栄。更に三方科禄の照を得れば、石中隠玉是れ豊隆なり。
現代語訳詩に言います。巨門星が子・午の二つの宮にあり、身宮・命宮がこれに逢えば、かならず貴く栄えます。さらに三方から化科・化禄が照らせば、石中隠玉はいっそう豊かに盛んになります。
- 石中隱玉格
- 題の自注は「命在子午逢巨門是也」。
論貪狼遇火名為火貴格 三合照身命是也
32詩曰 火遇貪狼照命宮,封侯食祿是英雄,三方倘若無凶殺,到老應知福壽隆。
書き下し詩に曰く、火貪狼に遇いて命宮を照らせば、封侯食禄是れ英雄。三方倘若凶殺無くんば、老に到るまで応に福寿隆きを知るべし。
現代語訳詩に言います。火星が貪狼星に遇って命宮を照らせば、侯に封じられて禄を食む英雄です。三方にもし凶煞がなければ、老いるまで福と寿が盛んだと知るべきです。
- 火貴格
- 題の自注は「三合照身命是也」。貪狼星・火星が三合から身宮・命宮を照らす形です。
「火貴格」は、貪狼星が火星に遇う形で、題は三合から身宮・命宮を照らすと言います。これが火貪格で、火星が貪狼星の欲に火をつけ、突然の成功がよくあります。詩は、侯に封じられて禄を食み、三方に凶煞がなければ老いるまで福寿が盛んだと言います。〈斗数骨髄賦〉も「貪狼火星居廟旺名鎮諸邦」と言っていて、廟旺であることが要ります。火貪の特徴は爆発力で、機会が来るのも成果が出るのも速く、去るのも速いことがあります。今に置き換えると、瞬発力と時機の判断が求められる業界、たとえば営業や起業に向く人で、鍵は成功した後に守りきれるかどうかです。
論人有無商賈之命
34如人命有巨日紫府守照,為人安分,有仁德耿直之心,作事無私,不行邪僻,不肯妄求,為士為官主有廉潔:如值月貪同殺忌,心多機關,貪財無厭,暮夜求利之輩。
書き下し如し人の命に巨日紫府の守照有れば、人と為り安分、仁徳耿直の心有り、事を作して私無く、邪僻を行わず、妄りに求むるを肯ぜず、士と為り官と為りて廉潔有るを主る。如し月貪同殺忌に値えば、心に機関多く、財を貪りて厭くこと無し、暮夜に利を求むるの輩なり。
現代語訳もし人の命宮に巨門星・太陽星・紫微星・天府星が座るか照らしていれば、その人は分をわきまえ、仁徳とまっすぐな心があり、事を行って私心がなく、邪な道を行かず、みだりに求めようとせず、士人になっても官になっても清廉です。もし太陰星・貪狼星・天同星・七殺星・化忌にあたれば、心にたくらみが多く、財を貪って満足することがなく、夜更けまで利を求める類の人です。
- 守照
- 本宮に座って守るか、三方から照らしてくること。
- 暮夜求利
- 夜になってもまだ利をはかること。人目をはばかる稼ぎもほのめかしています。
この段から人事の分類が始まり、最初は商人です。条件は二組に分かれます。巨門星・太陽星・紫微星・天府星が座るか照らせば、分をわきまえて清廉、太陰星・貪狼星・天同星・七殺星・化忌なら、たくらみが多く財を貪って飽きない、とします。前の組は「為士為官」、後ろの組こそが「暮夜求利」の商人です。これは士を重んじ商を軽んじた昔の考え方を映していて、商売は財を貪り、昼も夜も駆け回るものとして描かれています。現代の見方では、後ろの組の星をもつ人は商機に敏感で、頑張りがきき、苦労に耐えられ、それはまさに商売に必要な資質です。「暮夜求利」は、働く時間が長く、昼夜を問わない、と読めます。
35詩曰 貪月同殺會機梁,因財計利作經商,須知暮夜無眠睡,潮海營營自走忙。
書き下し詩に曰く、貪月同殺機梁に会い、財に因り利を計りて経商を作す。須らく知るべし暮夜に眠睡無く、潮海のごとく営営として自ら走り忙しきを。
現代語訳詩に言います。貪狼星・太陰星・天同星・七殺星が天機星・天梁星に会えば、財のために利を計って商売をします。知っておくべきは、夜も眠れず、潮や海の波のように、せわしなく自分で駆け回ることです。
- 營營
- せわしなく駆け回り、名利を追うさま。
前の段を受けて、詩は貪狼星・太陰星・天同星・七殺星が天機星・天梁星に会えば、財のために利を計って商売をし、夜も眠らず、潮のように駆け回ると言います。ここでは機月同梁の天機星・天梁星も引き入れていて、〈斗数骨髄賦〉の「機月同梁作吏人」と対照をなしています。同じ星の組が、一方では役人、一方では商人とされているわけです。昔の人は、機月同梁の人は公の職に就くか商いをするかで、どちらも細やかさと計算が要る道だと考えていたことがわかります。今の暮らしで言えば、心配りが細かく計算が得意で、財務・貿易・営業に向く人です。
36又曰 經商紫府遇擎羊,武曲遷移利市場,殺破廉貞同左右,羊鈴火宿遠傳揚。
書き下し又曰く、経商は紫府擎羊に遇い、武曲遷移にして市場に利あり。殺破廉貞左右に同じく、羊鈴火宿遠く伝揚す。
現代語訳また言います。商売をする人は、紫微星・天府星が擎羊星に遇うか、武曲星が遷移宮にあって、市場で利を得ます。七殺星・破軍星・廉貞星が左輔星・右弼星と同宮し、擎羊星・鈴星・火星があれば、名声は遠くまで広まります。
もう一首の商売の詩です。紫微星・天府星が擎羊星に遇う、武曲星が遷移宮にある、七殺星・破軍星・廉貞星が左輔・右弼と同宮する、擎羊・鈴星・火星がある。これらがみな商売の命だとします。この詩に挙がる組み合わせは雑多ですが、共通点は「主星に力があるが、煞星があるか、外にある」ことです。紫微星・天府星が擎羊星に遇えば帝星が刑の煞を帯びて仕官の道を行かず、武曲星が遷移宮にあれば財の星が外にあります。巻三の〈諸星同垣:武曲星〉も「武曲遷移巨商高賈」と言っています。今読むなら、能力も思い切りもあるが組織の階層には合わず、起業や商売のほうが力を発揮できる人です。
論人命有無藝術者
38寅申巳亥安命或丑未辰戌遇有貪狼武曲在命化忌、加殺,必作細巧藝術之人也。
書き下し寅申巳亥に命を安んじ、或いは丑未辰戌にて、貪狼武曲の命に在りて化忌し、殺を加うる有るに遇えば、必ず細巧芸術の人と作る。
現代語訳寅・申・巳・亥に命宮があるか、丑・未・辰・戌で、貪狼星・武曲星が命宮にあって化忌し、煞が加わるのに遇えば、かならず精巧な手わざの人になります。
- 藝術
- 昔は技芸・手わざのことで、今いう芸術創作ではありません。
この段は「藝術」を語っていて、注のとおり技芸・手わざのことです。条件は、命宮が寅申巳亥か辰戌丑未にあり、貪狼星・武曲星が命宮で化忌するか煞が加わることです。貪狼星は多芸をつかさどり、武曲星は実務をつかさどり、化忌や煞が加わると仕官の道を行けず、手わざで身を立てる方向に向かいます。巻三の〈諸星同垣:武曲星〉も「武曲貪狼加殺忌技藝之人」と言っています(諸星同垣:武曲星)。貪狼星が化忌するのは癸年、武曲星が化忌するのは壬年です。現代なら、技術職や専門職の人材、たとえばエンジニア、デザイナー、料理人、職人で、今日の評価は昔とまったく違います。
39詩曰 閑宮貪狼何生業,不是屠人須打鐵,諸般巧藝更能精,性好遊畋並捕獵。
書き下し詩に曰く、閑宮の貪狼何の生業ぞ、是れ屠人ならずんば須らく鉄を打つべし。諸般の巧芸更に能く精しく、性遊畋並びに捕猟を好む。
現代語訳詩に言います。閑宮の貪狼星は何を生業とするか。屠殺人でなければ、鍛冶屋です。さまざまな技芸にさらによく通じ、生まれつき遊猟や狩りを好みます。
- 閑宮
- 廟でも陥でもない、力の出ない宮。
- 遊畋
- 出かけて狩りをすること。
詩は、閑宮の貪狼星は屠殺人でなければ鍛冶屋で、さまざまな技芸に通じ、狩りを好むと言います。これは〈斗数骨髄賦〉の「貪狼陷地作屠人」と同じ類の断定ですが(斗数骨髄賦)、ここは陥地ではなく「閑宮」です。星格の輝度では貪狼星は寅申で平和、卯酉で利益で、強くも弱くもない位置です。昔の人が言う屠殺人や鍛冶屋は、いまの言葉で言えば、体力・技術・度胸の要る仕事と読めます。「性好遊畋並捕獵」は貪狼星のもう一つの面、つまり屋外、運動、冒険が好きなことも示しています。
40又曰 破武未宮多巧藝,巳亥安命正相宜,破軍廉貞居卯酉,細巧之人定藝奇。
書き下し又曰く、破武未宮に巧芸多く、巳亥に命を安んずるも正に相宜し。破軍廉貞卯酉に居れば、細巧の人定めて芸奇なり。
現代語訳また言います。破軍星・武曲星が未の宮にあれば技芸が多く、巳・亥に命宮があってもまさにふさわしいです。破軍星・廉貞星が卯・酉にあれば、細やかで器用な人で、技芸はきっと見事です。
- 破武未宮
- 破軍星と武曲星が同宮するのは巳・亥だけです。「未宮」が何を指すかははっきりせず、原文のまま記しています。
もう一首の技芸の詩です。破軍星・武曲星が未の宮にあれば技芸が多く、巳・亥に命宮があってもよく、破軍星・廉貞星が卯・酉にあれば細やかで器用な人だとします。破軍星・武曲星が巳・亥でしか同宮せず、「未宮」が何を指すかはっきりしないことは注のとおりです。未の破軍星はかならず紫微星と同宮し(紫微・破軍)、未の武曲星は貪狼星と同宮するので、破軍星・武曲星が未で同宮することはなく、書き写すときの誤りかもしれません。卯・酉の破軍星・廉貞星は破軍星が落陥、廉貞星が平和で、どちらもよい位置ではないので、昔の人は技芸に向かうと考えました。今の目で見れば、手を動かす力が強く、技術・工芸・修理・手作りの仕事に向く組み合わせです。
41又曰 天機天相命身中,帝令財星入墓中,天府若居遷動位,平生定是作奇工。
書き下し又曰く、天機天相命身の中、帝財星をして墓中に入らしむ。天府若し遷動の位に居れば、平生定めて是れ奇工を作す。
現代語訳また言います。天機星・天相星が命宮・身宮にあり、帝星が財の星を墓の地に入らせ、天府星が遷移宮にあれば、一生かならず精巧な細工をする人です。
- 帝令財星入墓中
- 意味がはっきりしません。おおよそ紫微星・武曲星が辰戌丑未の墓の宮にあることです。
- 遷動位
- 遷移宮。
この詩の条件はとても入り組んでいます。天機星か天相星が命宮・身宮にあり、「帝令財星入墓中」で、天府星が遷移宮にある、というものです。盤の上には一つの事実があります。天府星の対宮はいつも七殺星なので、天府星が遷移宮にあれば七殺星が命宮に座ることになり、命宮に天機星や天相星が同時にあることはできません。ですからこの詩の「命身中」は、実際には身宮に天機星か天相星がある場合しかありえません。命盤との照合は「命宮か身宮」で見ているので、ちょうどこの場合を受け入れられます。「帝令財星入墓中」の意味がはっきりしないことは注のとおりです。こうした盤の上で確かめにくい詩は、「奇工」という結論をつかんでおけば十分です。
論出家僧道之命
43紫微居卯酉遇劫空者,看命無正曜又兼羊火劫空化忌者,更看父母妻子三宮有殺者方可斷。及寅年申月巳日亥時四正殺湊化忌,男僧道,女尼姑。
書き下し紫微卯酉に居りて劫空に遇う者、命に正曜無く又羊火劫空化忌を兼ぬる者を看、更に父母妻子の三宮に殺有る者を看て方に断ずべし。及び寅年申月巳日亥時、四正に殺湊まり化忌あれば、男は僧道、女は尼姑。
現代語訳紫微星が卯・酉にあって地劫・地空に遇う者、命宮に主星がなく、さらに擎羊星・火星・地劫・地空・化忌を兼ねる者を見て、さらに父母・夫妻・子女の三つの宮に煞星がある者を見て、はじめてそう断じることができます。また寅の年・申の月・巳の日・亥の時に生まれ、四正に煞星が集まり、化忌がある者も、男は僧侶や道士、女は尼になります。
- 寅年申月巳日亥時
- 年・月・日・時の十二支がちょうど寅・申・巳・亥の四つの馬の地になること。
この段は出家の命を語り、条件は三つです。紫微星が卯・酉で地劫・地空に遇う。命宮に正曜がなく、擎羊・火星・地劫・地空・化忌がある。寅の年・申の月・巳の日・亥の時に生まれ、四正に煞星が集まって化忌がある。さらに最後に「更看父母妻子三宮有殺者方可斷」が加わり、六親の宮にも刑剋がなければなりません。昔の人が出家を断じるのにとても慎重で、いくつもの条件を重ねる必要があったことがわかります。卯・酉の紫微星はかならず貪狼星と同宮し、帝星が桃花に遇い、さらに空劫に遇うと、世を離れる方向に向かいます。現代に引き寄せれば、宗教・哲学・心の修練に関心がある、あるいは一人の時間を好み物にこだわらない、ということで、本当に出家するとは限りません。
44詩曰 極居卯酉遇劫空,十人之命九人僧,道釋巖泉皆有分,清閑幽靜度平生。
書き下し詩に曰く、極卯酉に居りて劫空に遇えば、十人の命九人は僧。道釈巌泉皆分有り、清閑幽静に平生を度る。
現代語訳詩に言います。紫微星(北極)が卯・酉にあって地劫・地空に遇えば、十人の命のうち九人は僧になります。道士も僧も、山林や泉石の暮らしもみな縁があり、清らかで静かに一生を過ごします。
- 道釋巖泉
- 道は道教、釈は仏教、巌泉は山林に隠れ住むこと。
45又曰 命坐空鄉定出家,文星相會實堪誇,若還文曲臨身命,受蔭清閑福可嘉。
書き下し又曰く、命空郷に坐すれば定めて出家す、文星相会すれば実に誇るに堪えたり。若還文曲身命に臨めば、蔭を受け清閑にして福嘉すべし。
現代語訳また言います。命宮が空の地に座れば、かならず出家します。文の星が会えば、まことに誇るに足ります。もし文曲星が身宮・命宮に臨めば、庇護を受け、清らかで静かで、福は喜ばしいものです。
もう一首です。命宮が空の地に座ればかならず出家し、文の星が会えば誇るに足り、文曲星が身宮・命宮にあれば庇護を受けて清閑で、福は喜ばしい、とします。「空鄉」は地空・地劫のこととも、旬空・截空のこととも読めます。命盤との照合では地空だけを示しています。この詩の要は後半で、出家した人に文の星があれば学のある高僧であり、文曲星があれば清閑で福がある、ということです。今に置けば、空の星が命宮に座る人は考え方が浮世離れしていて、文の星が加われば研究・執筆・宗教・哲学のような仕事に向き、精神の領域で成果を上げられます。
46又曰 天機七殺破梁同,羽客僧流命所逢,更若太陽兼帝座,伶仃孤剋命方終。
書き下し又曰く、天機七殺破梁同じくすれば、羽客僧流の命の逢う所。更に若し太陽帝座を兼ぬれば、伶仃孤剋にして命方に終る。
現代語訳また言います。天機星・七殺星・破軍星・天梁星がそろえば、道士や僧侶の類の命が逢うものです。さらに太陽星と帝星(紫微星)を兼ねれば、ひとりぼっちで刑剋があり、そのまま命を終えます。
- 羽客
- 道士。
- 伶仃
- 孤独で頼る者がないこと。
もう一首です。天機星・七殺星・破軍星・天梁星がそろえば道士や僧侶の命で、さらに太陽星と紫微星があれば、最後まで孤独だとします。〈富貴貧賤十等を定める論〉の僧道論も、天機・天梁・七殺・破軍・地空・地劫がそろって紫微星を犯す形を挙げています(富貴貧賤十等を定める論)。天機星と天梁星が同宮するのは辰・戌だけで、七殺星と破軍星は同宮しません。では「同」を三方四正で会うことと読めばよいかというと、それでも成り立ちません。星格の盤では、天機星・天梁星は七殺星・破軍星と三方四正でも会わず(前の二つは機月同梁の側、後の二つは殺破狼の側です)、紫微星も太陽星と会うことがないので、詩に挙がる星の全部が一枚の盤にそろうことはありえません。それぞれがこの方向に傾く星を並べた一覧と読むのがよいでしょう。四つの星はそれぞれ変動・孤高・厳しさ・消耗をつかさどり、世俗に落ち着かない組み合わせです。現代に置き換えると、自立していて人に流されず、自由業や精神性の高い仕事に向く人、と読めます。
論人命內犯孤剋者
48如剋妻剋子剋父母內犯一二不為僧道亦作貧賤之人,第一看父母在廟旺地有無吉凶星辰,如在陷地加殺化忌必主刑剋,第二又看妻妾宮,三看子女宮廟陷之地,有無吉凶星辰,如在陷加殺化忌必鰥寡孤獨論斷。
書き下し剋妻剋子剋父母の如き、内一二を犯せば、僧道と為らざるも亦貧賤の人と作る。第一に父母の廟旺の地に在りて吉凶の星辰有りや無しやを看、如し陥地に在りて殺化忌を加うれば必ず刑剋を主る。第二に又妻妾宮を看、三に子女宮の廟陥の地に吉凶の星辰有りや無しやを看、如し陥に在りて殺化忌を加うれば必ず鰥寡孤独もて論断す。
現代語訳妻を剋す、子を剋す、父母を剋す、そのうち一つ二つを犯していれば、僧侶や道士にならなくても、やはり貧賤な人です。第一に父母宮を見て、廟旺の地に吉星・凶星があるかないかを見ます。もし陥地にあって煞星・化忌が加われば、かならず刑剋をつかさどります。第二に夫妻宮(妻妾宮)を見て、第三に子女宮の廟陥の地に吉星・凶星があるかないかを見ます。もし落陥して煞星・化忌が加われば、かならず鰥寡孤独として断じます。
- 鰥寡孤獨
- 老いて妻のない者、老いて夫のない者、幼くして父のない者、老いて子のない者。
この段は孤剋を語ります。妻を剋す、子を剋す、父母を剋す、そのうち一つ二つを犯していれば、僧侶や道士にならなくても貧賤だとします。見方は、まず父母宮、次に夫妻宮、次に子女宮を見て、それぞれの宮が落陥し、さらに煞星や化忌が加わっていれば鰥寡孤独と論じる、というものです。これは全書にはめずらしい完全な手順で、三つの六親の宮について、廟陥、吉星と凶星、煞と忌を順に確かめます。今読むなら、六親の宮に煞星や化忌があるのは、その親族との縁がやや薄く、付き合いに気を配る必要があるということで、刑剋とは限りません。盤を読むときも同じ順で見てかまいませんが、結論は穏やかに出しましょう。
論壽夭淫蕩
50詩曰 貪狼入廟最高強,南極星同壽命長,北斗帝星無惡殺,綿綿老耋衍禎祥。
書き下し詩に曰く、貪狼入廟すれば最も高強、南極星同じくすれば寿命長し。北斗の帝星に悪殺無くんば、綿綿として老耋まで禎祥を衍ぶ。
現代語訳詩に言います。貪狼星が入廟すればもっとも強く、南極星とともにあれば寿命が長いです。北斗の帝星(紫微星)に悪い煞がなければ、いつまでも長く老年まで生き、吉祥が続きます。
- 南極星
- 南極の寿星。一般に天梁星と解します。
- 老耋
- 七、八十歳の老人。
- 禎祥
- めでたいこと。
詩は、貪狼星が入廟すればもっとも強く、南極星(天梁星)とともにあれば寿命が長く、紫微星に悪い煞がなければ長寿でめでたい、と言います。全書は貪狼星を「解厄之神」と呼び、入廟すれば寿をつかさどるとしていて、巻三の〈諸星同垣:貪狼星〉も「貪狠入廟壽元長」と言っています(諸星同垣:貪狼星。狠は狼の誤り)。ただし貪狼星と天梁星は同宮しないので、「南極星同」を同宮と読むことはできません。しかも二つの星はいつも三つ離れた宮にあるので、天梁星が貪狼星の三方四正に入ることもなく、星格の盤ではこの組み合わせを字のとおりに満たすことはできません。この詩はこの段の「壽夭淫蕩」のうちの「寿」で、次の一首が「淫蕩」です。同じ入廟の貪狼星が、二つの詩でまったく逆の評価を受けています。
51詩曰 七殺臨身終是夭,貪狼入廟定為娼,前示三合相臨照,也學韓君去竊香。
書き下し詩に曰く、七殺身に臨めば終に是れ夭、貪狼入廟すれば定めて娼と為る。前に示す三合相臨照すれば、也た韓君に学びて去きて香を窃む。
現代語訳詩に言います。七殺星が身宮に臨めば、最後はやはり夭折します。貪狼星が入廟すれば、きっと娼妓になります。前に示した三合がさらに照らせば、韓寿にならって香を盗み、密通します。
- 韓君
- 晋の韓寿のこと。賈充の娘と密通し、賈充の娘は帝から賜った珍しい香を盗んで韓寿に贈りました。後世、偸香(香を盗む)は男女の密通を指します。
詩は、七殺星が身宮に臨めば最後は夭折し、貪狼星が入廟すればきっと娼妓になり、三合が照らせば韓寿にならって香を盗む、と言います。〈貪狼星の主るところは〉も「入廟必為娼」と言い(貪狼星の主るところは)、〈斗数骨髄賦〉は「貪狼入命必為娼」としています(斗数骨髄賦)。前の一首「貪狼入廟最高強」と並べて読むと、同じ条件を一首は長寿、一首は娼妓と言っていて、全書そのものが統一されていません。〈貪狼星の主るところは〉はこの句の後に「喜見空亡,返主端正」と補っていて、昔の人も和らげる道があると考えていたことがわかります。今の見方では、入廟の貪狼星をもつ人は魅力が強く感情が豊かで、鍵は自分を律することにあります。
52詩曰 身命兩宮俱有殺,貪花戀酒禍猶深,平生二限來符會,得意之中卻又沈。
書き下し詩に曰く、身命両宮倶に殺有れば、花を貪り酒を恋いて禍猶深し。平生二限来たりて符会すれば、得意の中に却って又沈む。
現代語訳詩に言います。身宮・命宮の両方に煞星があれば、女色を貪り酒に溺れて、禍はさらに深いです。一生のうちに大限・小限が来て重なれば、得意の最中にかえってまた沈みます。
詩は、身宮・命宮の両方に煞星があれば女色と酒に溺れて禍が深く、大限・小限がさらに重なれば、得意の最中にまた沈むと言います。この詩の要は「身命兩宮俱有殺」にさらに「平生二限來符會」が加わることで、本命に煞があり、そこに運限が重なってはじめて禍が深くなります。これは〈斗数骨髄賦〉の「命衰身衰限衰終身乞丐」の三層の作りと一致しています(斗数骨髄賦)。現代に置き換えると、身宮・命宮に煞のある人は、順調なときほど節度に気をつけ、一時の得意で羽目を外さないことです。運限が変われば、問題が表に出てくるからです。
論定人殘疾
54先看命宮星落陷,加羊陀火鈴劫空忌宿,又看疾厄宮星廟陷吉凶而斷可也。
書き下し先ず命宮の星の落陥を看、羊陀火鈴劫空忌宿を加え、又疾厄宮の星の廟陥吉凶を看て断ずれば可なり。
現代語訳まず命宮の星が落陥しているかを見て、擎羊星・陀羅星・火星・鈴星・地劫星・地空星・化忌が加わっているかを見て、さらに疾厄宮の星の廟陥と吉凶を見て判断すればよいのです。
- 忌宿
- 化忌。
この段は残疾の判断の仕方を語ります。まず命宮の主星が落陥しているかを見て、次に擎羊・陀羅・火星・鈴星・地劫・地空・化忌があるかを見て、さらに疾厄宮の星の廟陥と吉凶を見ます。はっきりした二つの段階で、命宮で体の土台を、疾厄宮で具体的な部位を見るわけです。〈斗数準縄〉も「疾厄逢忌定有尪羸」と言っています(斗数準縄)。星格の盤では、命宮を開いて主星の輝度と煞星を見て、次に疾厄宮を開いて主星と化忌を見ます。これは健康への注意喚起で、医学的な診断ではありません。疾厄宮に化忌がある人は、関わる部位を定期的に検査するとよいでしょう。
55詩曰 命中羊陀殺守身,火鈴坐照禍非輕,平生若不常年臥,也作陀腰曲背人。
書き下し詩に曰く、命中に羊陀、殺身を守り、火鈴坐照すれば禍軽きに非ず。平生若し常年臥さずんば、也た陀腰曲背の人と作る。
現代語訳詩に言います。命宮に擎羊星・陀羅星があり、七殺星が身宮を守り、火星・鈴星が座るか照らせば、禍は軽くありません。一生のうち、長年病に伏せるのでなければ、腰が曲がり背の丸い人になります。
- 陀腰曲背
- 陀は「駝」と同じで、背が丸く腰が曲がっていること。
詩は、命宮に擎羊・陀羅があり、身宮に七殺星があり、火星・鈴星が照らせば禍は軽くなく、長年病に伏せるのでなければ、背が丸く腰が曲がると言います。「陀腰曲背」は陀羅星の「陀」の字と関わっている可能性が高く、陀羅星は遅れや曲がりをつかさどるので、昔の人は背の曲がりと結びつけました。〈形性賦〉が擎羊星について「身體遭傷」と言うのも(形性賦)、同じ類の体についての断定です。今の暮らしに置き換えると、この組み合わせの人は背骨・姿勢・長い間の疲れの蓄積に気をつけ、よく体を動かし、座りっぱなしを避けるとよい、ということです。「長年病に伏せる」はもっとも極端な場合で、疾厄宮と運限を見てはじめて論じられます。
論定人破相
57詩曰 相貌之中逢殺曜,更加三合又逢刑,疾厄擎羊逢耗使,折傷肢體不和平。
書き下し詩に曰く、相貌の中に殺曜に逢い、更に三合を加えて又刑に逢う。疾厄の擎羊耗使に逢えば、肢体を折傷して和平ならず。
現代語訳詩に言います。父母宮(相貌宮)の中で煞星に逢い、さらに三合が加わってまた刑の星に逢う。疾厄宮の擎羊星が耗と天使に逢えば、手足や体を折り傷つけ、穏やかではいられません。
- 相貌
- 全書の十二宮の「相貌宮」で、父母宮のこと。
- 耗使
- 耗は天傷(全書は天傷を「上天虛耗之神」と言います)、使は天使で、ほかの篇の「傷使」と同じものを指します。耗を大耗や破軍星と読む人もいます。
この詩は破相を語ります。父母宮(相貌宮)が煞星に逢い、三合にも刑の星があり、疾厄宮の擎羊星が耗・使に逢えば、手足を折り傷つける、とします。〈斗数準縄〉は「相貌逢凶必帶破相」と言い(斗数準縄)、前半と一致しています。「耗使」の読み方は注のとおりで、一般に天傷・天使と読みます。天使はいつも疾厄宮にあるので、「疾厄の擎羊が使に逢う」は実際には擎羊星が疾厄宮にあることです。現代なら、運動や交通などでの事故やけがに気をつけたい、ということで、この種の断定は今では手術の跡や小さなけがとして表れることが多いものです。
論定人聰明
59詩曰 文曲天相破軍星,計策偏多性更靈,更若三方昌曲會,一生巧藝有聲名。
書き下し詩に曰く、文曲天相破軍星、計策偏に多く性更に霊なり。更に若し三方に昌曲会すれば、一生巧芸にて声名有り。
現代語訳詩に言います。文曲星・天相星・破軍星(が命宮に座れば)、はかりごとがとりわけ多く、性質もいっそう利発です。さらに三方で文昌星・文曲星が会えば、一生、技芸で名を上げます。
この詩は聡明を語ります。文曲星・天相星・破軍星が命宮に座れば、はかりごとが多く利発で、三方にさらに文昌・文曲があれば、一生技芸で名を上げる、とします。文曲星が聡明なのはわかりやすいのですが、天相星・破軍星がここに入るのはあまり見ない形です。天相星は調整をつかさどり、人の顔色を読むのが上手です。破軍星は切り開くことをつかさどり、新しいやり方を試すのを恐れません。それでどちらも「計策偏多」に数えられます。巻二の〈破軍星の性情〉は別に破軍星を「好博禽捕獵」とも言っていて、これも身軽で動き回るのが好きな一面です。今の言葉で言えば、この三つの星が命宮に座る人は頭の回転が速くアイデアが多く、創意と戦略が求められる仕事に向きます。
論定人富足
61詩曰 太陰入廟有光輝,財入財鄉分外奇,破耗凶星皆不犯,堆金積玉富豪兒。
書き下し詩に曰く、太陰入廟すれば光輝有り、財財郷に入れば分外に奇なり。破耗凶星皆犯さずんば、堆金積玉の富豪の児なり。
現代語訳詩に言います。太陰星が入廟すれば光輝があり、財の星が財の地に入れば格別にすぐれます。破耗の凶星がどれも犯さなければ、金を積み玉を重ねる富豪の子です。
- 財入財鄉
- 財の星(武曲星。太陰星も含めて言う人もいます)が財帛宮か旺の地に入ること。
この詩は富足を語ります。太陰星が入廟して光輝があり、財の星が財の地に入り、破耗の凶星を犯さなければ、金を積み玉を重ねる、とします。太陰星の化気は富で、入廟(亥・子・丑)がいちばんよく、星格の輝度表でも太陰星は亥・子・丑で廟です。「財入財鄉」は注のとおりで、一般に武曲星が財帛宮にあることを指します。命盤との照合では、二つのうちどちらかがあればよいとしています。〈太微賦〉の「財居財位,遇者富奢」も同じ意味です(太微賦)。現代風に読むと、太陰星が廟旺の人はお金の管理が上手で安心を大事にし、家や貯えを通じて財を積み上げていく人です。
論定人貧賤
63詩曰 命中吉曜不來臨,火忌羊陀四正侵,武曲廉貞巨破會,一生暴怒又身貧。
書き下し詩に曰く、命中に吉曜来臨せず、火忌羊陀四正より侵し、武曲廉貞巨破会すれば、一生暴怒して又身貧し。
現代語訳詩に言います。命宮に吉星がやって来ず、火星・化忌・擎羊星・陀羅星が四正から侵し、武曲星・廉貞星・巨門星・破軍星がさらに会えば、一生かんしゃくもちで、しかも貧しいです。
この詩は貧賤を語ります。命宮に吉星がなく、火星・化忌・擎羊・陀羅が四正から侵し、武曲星・廉貞星・巨門星・破軍星も会えば、一生かんしゃくもちで貧しい、とします。この詩の条件は三層の重なりで、吉がなく、煞があり、剛い主星がある、というものです。「暴怒」は注目に値します。昔の人は貧しさと気性を結びつけ、剛い星に煞星が加われば気性が荒く、人との関係も悪くなるので、豊かになりにくいと考えました。いまの暮らしでは、こうした盤の人は感情との付き合い方を学ぶとよく、気性が落ち着けば、多くの機会が手元に残るようになります。
論定人作盜賊
65詩曰 命逢破耗與貪廉,七殺三方照及身,武曲更居遷動位,一生面背刺痕新。
書き下し詩に曰く、命破耗と貪廉とに逢い、七殺三方より照らして身に及び、武曲更に遷動の位に居れば、一生面背の刺痕新たなり。
現代語訳詩に言います。命宮が破軍星・大耗と貪狼星・廉貞星に逢い、七殺星が三方から照らして身宮に及び、武曲星がさらに遷移宮にあれば、一生、顔や背中の入れ墨の刑の跡がいつも新しいです。
- 刺痕
- 昔、罪人の顔や体に字を入れ墨した刑罰(黥刑)の跡。くり返し罪を犯して刑を受けることを指します。
この詩は盗賊を語ります。命宮が破軍星・大耗・貪狼星・廉貞星に逢い、七殺星が三方から身宮を照らし、武曲星が遷移宮にあれば、一生入れ墨の刑の跡がいつも新しい、とします。入れ墨は昔の罪人への黥刑です。条件は雑多ですが、共通点は殺破狼に廉貞星が加わり、さらに武曲星が外にあることです。全書のほかの箇所にも似た断定があり、たとえば〈諸星同垣:貪狼星〉の「貪狼加殺同鄉女偷香而男鼠竊」です(諸星同垣:貪狼星)。今に引き寄せれば、この組み合わせの人は度胸があって型にはまらず、よい導きがなければ道を外れやすい一方、よい環境があれば切り開く型の人材になります。
論定人一身駁雜
67詩曰 吉曜相扶凶曜臨,百般巧藝不亨通,若逢身命遇惡曜,只做屠牛宰馬人。
書き下し詩に曰く、吉曜相扶くるも凶曜臨めば、百般の巧芸亨通せず。若し身命に逢いて悪曜に遇えば、只牛を屠り馬を宰する人と做る。
現代語訳詩に言います。吉星が助けても凶星が臨めば、どんな技芸を学んでもうまくいきません。もし身宮・命宮がさらに悪い星に遇えば、牛や馬を屠る人にしかなれません。
最後の一首は「一身駁雜」を語ります。吉星が助けても凶星が臨めば、どんな技芸を学んでもうまくいかず、身宮・命宮がさらに悪い星に遇えば、牛や馬を屠るしかない、とします。駁雑は吉と凶が入り混じることで、この考え方は〈太微賦〉の「處世孤貧數中逢乎駁雜」にも出てきます(太微賦)。吉も凶もある人は、何でも少しずつできるが、どれも極めない、ということがよくあります。こうした盤の人は一つの方向を決めて深く掘り下げ、多芸を専門に変えていくのがよく、力を分散させないことです。
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
よくある質問
〈女命骨髄賦〉には何が書かれていますか?
〈女命骨髄賦〉は『紫微斗数全書』巻一の、女命を専門に論じた賦です。天府星・天相星が命宮に座れば「子貴與夫賢」、紫微星・太陽星は「早遇賢夫」、巨門星・天機星は「破蕩」、擎羊星・火星は「下賤」、武曲星は「寡宿」、貪狼星は「內狠多淫佚」、夫妻宮が煞に逢えば「禍患深」と言います。後半には対面朝斗、石中隠玉、火貴格などの格局の詩が付いています。
女命で天府星・天相星が命宮に座るのはよい配置ですか?
〈女命骨髄賦〉は最初の一句で「府相之星女命躔,必當子貴與夫賢」と言います。天府星・天相星が女命の命宮に座れば、かならず子が貴くなり、夫が賢い、という意味です。後の段ではさらに「府相朝垣命必榮」と言い、天府星・天相星が三方から命宮を照らしても、かならず栄えるとしています。
女命で夫妻宮に主星がないことについて、全書は何と言っていますか?
賦は、三方四正で煞に逢うのをいちばん嫌い、夫宮にあれば禍患がさらに深いと言ったうえで、「若是本宮無正曜,必主生離剋害真」と続けます。本宮に主星がなければ、かならず生き別れと剋害をつかさどる、という意味です。原文の「本宮」は「夫宮」のすぐ後にあるので、一般に夫妻宮と読みます。
全書はどんな命が出家すると言っていますか?
〈女命骨髄賦〉に付いた「論出家僧道之命」は、紫微星が卯・酉で地劫・地空に遇う形、命宮に正曜がなくさらに擎羊・火星・地劫・地空・化忌がある形を挙げ、さらに父母・夫妻・子女の三つの宮に煞があるかを見てはじめて断じられる、と言います。詩は「極居卯酉遇劫空,十人之命九人僧」と言います。男は僧侶か道士、女は尼になります。
この篇に出てくる主星