星の生剋と南北斗の分属
〈星辰生剋與諸星分屬南北斗〉
『紫微斗数全書』巻二・安星起例と十二宮・原文と現代語訳
はじめに
この篇は二つの部分に分かれます。
論星辰生剋制化(第2〜4段):星を見るには、まず五行の生剋を理解し、次に星がどんな宮に落ちているかを見ます。全書は、廉貞星は火に属し、寅宮(寅は木)にあれば木が火を生むので廉貞星は生を得る、という例を挙げます。また、武曲星は金に属し、廉貞星の火に剋されると、財星の武曲星は役に立たないとも言います。最後に四種類の「受制」を挙げます。金が火の郷に入る、火が水の郷に入る、水が土の郷に入る、土が木の郷に入る、です。
諸星分属南北斗(第6〜53段):星ごとに五行、南斗か北斗か、化気、どの宮を受け持つかを書きます。たとえば「紫微屬土中天星南北斗化帝座為官祿主」です。第24段は、紫微星から輔弼までが南北斗の正曜で、魁鉞・天馬は吉星だが正曜には入らない、と言います。後半は煞星、四化と博士十二神、流年の神煞の五行です。
この属性表は、巻二の星の性情の各篇の土台です。たとえば天機星が木に属し南斗で善に化し兄弟の主となる、という書き方は、ここでもあちらでも同じです。底本にはいくつか異なる書き方があります。「廉真」は廉貞、「天殤」は天傷のことで、そのまま写しています。「輔弼二星北斗善住雨令星」の一句は意味が通りません。
論星辰生剋制化
2星曜全明生剋制化之機,次看落於何宮,如廉真屬火在寅宮,乃木鄉能生廉真之火,
書き下し星曜は全く生剋制化の機を明らかにし、次に何れの宮に落つるかを看る。如し廉真火に属し寅宮に在らば、乃ち木郷にして能く廉真の火を生ず。
現代語訳(星を見るには)星の生剋制化の道理を完全に理解し、次にどの宮に落ちているかを見ます。たとえば廉貞星は火に属し、寅宮にあれば、寅は木の地なので、木が廉貞星の火を生むことができます。
- 生剋制化
- 五行が互いに生み、剋し、抑え、変化する関係。
- 木鄉
- 五行が木に属する宮。寅・卯は木に属します。
- 廉真
- 廉貞のこと。底本の異なる書き方です。
この段は、全書が星を見るときの二つの段階を示しています。まず星そのものの五行を知り、次にそれがどんな五行の宮に落ちているかを見ます。十二宮の五行は十二支に従い、寅・卯は木、巳・午は火、申・酉は金、亥・子は水、辰戌丑未は土です。廉貞星は火に属し、寅にあれば木が火を生むので、星が宮から生を得て力が強まります。
星格の輝度(廟・旺・利益・落陥など)は〈起例図:紫微・天府・傷使・四化と廟旺表〉の廟旺表に従っていて、この生剋の仕組みで計算したものではなく、両者は一つ一つ対応していません。たとえば廉貞星は寅では廟ですが、同じ木の卯ではただの平和です。この生剋の説は全書が星を論じる下の層の理屈で、盤を読むときには補足として使い、廟旺表をくつがえすのに使うべきではありません。
3若武曲金星與廉真同度,則武曲為財而無用也,餘仿此。
書き下し若し武曲金星、廉真と同度すれば、則ち武曲は財たれども用無し。余は此に仿う。
現代語訳もし金に属する武曲星が廉貞星と同度すれば、(火が金を剋すので)財星である武曲星は役に立たなくなります。ほかもこれにならって推します。
- 同度
- 同じ場所にあること。武曲星と廉貞星は盤上で同宮せず、三合の位置で会するので、ここの「同度」は会照に近い意味です。
前の注で、武曲星と廉貞星は同宮しないことを示しました。ですからここの「同度」は三合での出会いと読む必要があります。紫微系では、武曲星と廉貞星はいつも四宮離れています(〈南北斗諸星の置き方〉を参照)。古人の推理は、廉貞星の火が武曲星の金を剋し、財星が剋されるので「為財而無用」となる、というものです。
これは、全書が二つの主星の関係を五行の生剋で直接説明している数少ない例です。ただし全書のほかの箇所では、武曲星が廉貞星に会うことの評価は一定していません。〈武曲星の性情〉は廉貞星を家を破る凶星の中に挙げていますが、それは落陥の地に煞星が加わる場合です。原文を見てください。
4金入火鄉 火入水鄉 水入土鄉 土入木鄉 俱為受制
書き下し金、火郷に入り、火、水郷に入り、水、土郷に入り、土、木郷に入る、倶に受制と為す。
現代語訳金の星が火の地に入る、火の星が水の地に入る、水の星が土の地に入る、土の星が木の地に入る。どれも剋され抑えられることになります。
- 受制
- 宮の五行に剋されること。火は金を、水は火を、土は水を、木は土を剋します。原文には木が金の郷に入る場合が挙がっていません。
四つの受制は、どれも「宮が星を剋す」形です。金の星が巳・午の火の宮に、火の星が亥・子の水の宮に、水の星が辰戌丑未の土の宮に、土の星が寅・卯の木の宮に落ちる場合です。五行の相剋はもともと五組あるので、原文には木の星が金の郷(申・酉)に入る場合が欠けていて、書き漏らしと思われます。
たとえば太陰星は水に属し、辰に落ちれば水入土郷で、廟旺表でも太陰星は辰でちょうど落陥なので、この組はぴったり合います。けれども合わないものもあり、紫微星は土に属するのに、寅・卯の木の宮ではむしろ旺です。ですからこの四句は一般的な原則として受け取るべきで、輝度を決める公式ではありません。
論諸星分屬南北斗化吉凶並分屬五行
6紫微屬土中天星南北斗化帝座為官祿主
書き下し紫微は土に属し、中天の星、南北斗、帝座に化し、官禄の主と為す。
現代語訳紫微星は五行が土に属し、天の中央の星で、南北斗に属し、化気は帝座、官禄の主です。
- 化
- 化気。それぞれの星の本性を表す呼び名。
- 官祿主
- 官禄宮を受け持つ星。
紫微星の属性は全書のどこでも書き方が一致していて、〈紫微星の性情〉の最初の一句もこことほとんど同じです(原文を見る)。「中天星」は、南斗にも北斗にも専属せず、二つの斗の主であることを指すので、「南北斗」と記されています。
化気の帝座は、紫微星を理解するための鍵です。帝王は臣下の補佐があってはじめて形になるので、全書はいたるところで紫微星に左輔星・右弼星、天府星・天相星がいるかを見ます。官禄の主というのは、紫微星が仕事や地位を受け持つということで、命宮や官禄宮に坐すときにいちばん力を発揮します。
7天機屬木南斗化善為兄弟主
書き下し天機は木に属し、南斗、善に化し、兄弟の主と為す。
現代語訳天機星は木に属し、南斗に属し、化気は善、兄弟の主です。
天機星は化気が善なので、全書は天機星が命宮に坐す人は心が優しく善を好むと言い、〈天機星の主るところは〉はこれを「南斗第三益算之善星」と呼んでいます(原文を見る)。兄弟の主とは、天機星が兄弟宮を受け持つことで、兄弟との縁を論じるときは、まず天機星を見ます。
ここでは木に属することが大切です。木は生じ伸びること、変わり動くことを主り、天機星の機知に富んで変わりやすい性格と同じ絵になっています。
8祿存屬土北斗司爵貴壽星
書き下し禄存は土に属し、北斗、爵貴を司る、寿星なり。
現代語訳禄存星は土に属し、北斗に属し、爵位と貴さを司り、寿命の星です。
この表では禄存星に化気が書かれておらず、「司爵貴」で寿星だとだけあります。禄存星は北斗の第三星なので、命主の七星でも三番目に並んでいます(〈命主・身主と起例雑説〉を参照)。
爵貴を司るとは、官位と俸禄の安定のことで、化禄の「流れる財」とは違います。禄存星は土に属し、土はどっしりした重みを主ります。全書が禄存星の坐命の人を老成して落ち着いていると描くのは、この絵です。
9太陽屬火南北斗化貴為官祿主
書き下し太陽は火に属し、南北斗、貴に化し、官禄の主と為す。
現代語訳太陽星は火に属し、南北斗に属し、化気は貴、官禄の主です。
太陽星は化気が貴で、官禄の主でもあるので、全書が太陽星を論じるときは、いつも名誉と地位、官職がついて回ります。太陰星と同じく「南北斗」と記され、日月はどちらか一方の斗に専属しません。
星格の現代の読み方では、太陽星を与えること、外へ広がること、利益より名声が先に来ることと読みますが、これはまさに化貴と火に属することから延ばした読み方です。太陽星の廟陥は昼夜と宮で決まります。〈太陽星の性情〉を見てください。
10天同屬水金南斗化福為福德主
書き下し天同は水金に属し、南斗、福に化し、福徳の主と為す。
現代語訳天同星は水・金に属し、南斗に属し、化気は福、福徳の主です。
- 水金
- 原文のとおり。巻二の〈天同星の性情〉は水とだけ書いています。
水金と二つの五行を並べるのはこの表に特有の書き方で、巻二の〈天同星の性情〉は水とだけ書いています。注で述べたとおりです。化気が福で福徳の主というのは、天同星が楽しみ・福分・心の持ちようを主ることを示していて、坐命の人は穏やかです。全書はこれを、慈しみ深くまっすぐだと描いています。
後世には、天同は福に化し、はじめは苦労してもあとから楽になる、という説がありますが、これは福は鍛えられてはじめて現れるという考えから推したもので、全書の原文ではありません。
11廉真屬火北斗化殺囚在官祿為官祿主在身命為次桃花
書き下し廉真は火に属し、北斗、殺・囚に化す。官禄に在りては官禄の主と為し、身命に在りては次桃花と為す。
現代語訳廉貞星は火に属し、北斗に属し、化気は殺と囚です。官禄宮にあれば官禄の主、身宮・命宮にあれば次の桃花です。
- 次桃花
- 二番目の桃花星。貪狼星に次ぐもの。
廉貞星のこの条がいちばん込み入っています。化気には殺も囚もあり、さらに宮によって違う役割を演じます。官禄宮では官禄の主、身宮・命宮では次の桃花です。囚とは縛られることなので、廉貞星には原則があって自分を律せる面と、閉じ込められる面とがあります。
〈廉貞星の性情〉は廉貞星について「最喜天相同宮,能化其惡」と言い(原文を見る)、天相星は化気が印で、印は囚を管理できる、という同じ化気の理屈です。
12武曲屬金北斗化財為財帛主
書き下し武曲は金に属し、北斗、財に化し、財帛の主と為す。
現代語訳武曲星は金に属し、北斗に属し、化気は財、財帛の主です。
武曲星は化気が財で、財帛の主であり、全書が認める正財の星です。金に属し、金は剛さと決断を主るので、全書は武曲星の性は剛く、きっぱりしていると言います。
もう一つの呼び名、将星も武曲星の金の性から来ています。〈武曲星の性情〉の女命の歌訣は「將星一宿最剛強」と言っていて(原文を見る)、これは武曲星のことです。
13天府屬土南斗化令星為財帛田宅主
書き下し天府は土に属し、南斗、令星に化し、財帛・田宅の主と為す。
現代語訳天府星は土に属し、南斗に属し、化気は令星、財帛と田宅の主です。
- 令星
- 号令を発する星。
天府星は化気が令星で、財帛と田宅を同時に受け持つので、後世は天府星を財の蔵と見ています。吉に会えば蔵が満ち、空劫に遇えば空の蔵です。土に属し、土はしまい込み守ることができるので、天府星の慎重で落ち着いた性格はここから来ています。
〈天府星の主るところは〉は天府星を「南斗主令第一星」と言っていて(原文を見る)、紫微星と同じく帝星の系統の主星ですが、紫微星は「尊」を、天府星は「守」を主ります。
14太陰屬水南北斗化富為財帛田宅主
書き下し太陰は水に属し、南北斗、富に化し、財帛・田宅の主と為す。
現代語訳太陰星は水に属し、南北斗に属し、化気は富、財帛と田宅の主です。
太陰星は化気が富で、財帛と田宅を受け持ち、太陽星の貴とちょうど対になっています。日は貴を、月は富を主ります。水に属し、水は柔らかさとしまい込むことを主るので、太陰星の人はきめ細かく内にこもりがちです。
全書はほかに太陰星を「母宿」「妻星」とも呼んでいて(〈太陰星の性情〉を参照)、男命で母親とパートナーを見るときに、太陰星の廟陥がよく参考にされます。
15貪狼屬水木北斗化桃花殺主禍福
書き下し貪狼は水木に属し、北斗、桃花殺に化し、禍福を主る。
現代語訳貪狼星は水・木に属し、北斗に属し、化気は桃花殺で、禍福を主ります。
貪狼星の五行は、全書の三か所で書き方が違います。ここでは水木、〈貪狼星の性情〉では木、〈貪狼星の主るところは〉では「其氣屬木,體屬水」と言っていて(原文を見る)、三つ目の言い方がちょうど前の二つを説明しています。
化気の桃花殺は、貪狼星が欲望・つきあい・色恋を主ることを表しています。禍福を主るというのは、もっぱら吉でももっぱら凶でもなく、どんな星に会うかで決まる、という意味です。
16巨門屬水北斗化暗主是非
書き下し巨門は水に属し、北斗、暗に化し、是非を主る。
現代語訳巨門星は水に属し、北斗に属し、化気は暗で、是非を主ります。
巨門星は化気が暗で是非を主り、これが全書の巨門星についてのあらゆる判断の出発点です。口論・疑い深さ・陰での噂話は、どれも暗から来ています。〈巨門星の主るところは〉は別に水と金に属するとしていて(原文を見る)、ここで水だけと書くのとは違います。
気をつけたいのは、暗には別の面もあることです。暗いからこそ見分け、問い詰める必要があるので、後世は巨門星を弁の立つこと、分析力、研究心と読みます。
17天相屬水南斗化印為官祿主
書き下し天相は水に属し、南斗、印に化し、官禄の主と為す。
現代語訳天相星は水に属し、南斗に属し、化気は印、官禄の主です。
天相星は化気が印で、印は役所の印章なので、天相星は官禄の主で、管理・調整・決まりを守ることを主ります。水に属し、性情は穏やかです。
印は誰かが押してはじめて役に立つので、後世は天相星を見るとき、とくに左右の隣の宮を重く見ます。同宮と夾宮が吉か凶かで天相星のよしあしが決まるのは、印という絵を延ばしたものです。
18天梁屬土南斗化蔭主壽星
書き下し天梁は土に属し、南斗、蔭に化し、寿を主る星なり。
現代語訳天梁星は土に属し、南斗に属し、化気は蔭で、寿命を主る、寿の星です。
天梁星は化気が蔭で、蔭とはかばい守ることなので、天梁星は人の面倒を見ること、人に面倒を見てもらうこと、そして凶に逢っても吉に転じることを主ります。寿星というのは寿命を主るということで、天梁星が命宮に坐すか疾厄宮に入ると、古人は長生きで救いがあると読みました。
天梁星と天機星はどちらも南斗に属し、二つの星はよく会します。全書は「機梁會合善談兵」と言っています(〈諸星同垣:天機星〉を参照)。
19七殺屬火金南斗降星遇帝為權
書き下し七殺は火金に属し、南斗の降星、帝に遇えば権と為る。
現代語訳七殺星は火・金に属し、南斗に属する降星で、帝星(紫微星)に遇えば権に化します。
- 降星
- 降伏させられる星。全書はほかの箇所で、紫微星は「七殺を降して権と為す」と言っています。
この条は〈七殺星の性情〉と一字違います。ここでは降星、あちらでは「南斗將星」です(原文を見る)。どちらの説も筋が通ります。将星は七殺星そのものの厳しく勇ましい性質を言い、降星は紫微星に遇って降伏させられ、権力に変わることを言っています。だから後半の句が「遇帝為權」なのです。
七殺星は火金に属し、金は厳しさを、火は激しさを主ります。全書は七殺星がほかの宮ではすべて殺になると言っていて、紫微星に遇わなければ凶の性質が表に出ます。
20破軍屬水北斗化耗司夫妻子女奴僕
書き下し破軍は水に属し、北斗、耗に化し、夫妻・子女・奴僕を司る。
現代語訳破軍星は水に属し、北斗に属し、化気は耗で、夫妻・子女・奴僕を司ります。
破軍星は化気が耗で、耗とは消耗すること、古いものを壊すことなので、破軍星は切り開くことも損なうことも主ります。夫妻・子女・奴僕を司るとは、これらの宮の人間関係がいちばん破軍星の影響を受けるという意味で、〈破軍星の性情〉では妻子と奴僕を主るとしています。
水に属し、北斗です。破軍星は七殺星・貪狼星といつでも三方で会照するので、この三つの星の化気、殺・耗・桃花は、よくまとめて読まれます。
21文昌屬金南北斗司科甲乃文魁之首
書き下し文昌は金に属し、南北斗、科甲を司る、乃ち文魁の首なり。
現代語訳文昌星は金に属し、南北斗に属し、科挙の合格を司り、文魁の筆頭です。
- 科甲
- 科挙の試験に合格すること。
- 文魁
- 文章で第一の人、科挙の首席。
文昌星は金に属し、科甲を司り、「文魁之首」です。文曲星の科甲を主ることと並んでいますが、ここでは文昌星をより高く置いています。昔は科挙の合格が功名の入り口だったので、昌曲が命宮に坐す人はたいてい読書人と読まれました。
今日に引き直せば、試験・書類・筋道・正統な学問です。文昌星は辛年に化忌、丙年に化科となり、四化は〈四化(禄権科忌)の置き方〉にあります。
22文曲屬水北斗主科甲星
書き下し文曲は水に属し、北斗、科甲を主る星なり。
現代語訳文曲星は水に属し、北斗に属し、科挙の合格を主る星です。
文曲星は水に属し北斗で、これも科甲を主ります。昌曲はよく一緒に出てきますが、二つの星の性質は違います。文昌星は金に属して正統さと筋道に寄り、文曲星は水に属して弁舌と才芸に寄ります。全書の〈文曲星の主るところは〉に別に専論があります(原文を見る)。
文曲星は己年に化忌、辛年に化科となり、文昌星と同じく化す星で、十四主星以外で四化を持つ数少ない星です。
23輔弼二星北斗善住雨令星
書き下し輔弼の二星は北斗の善、雨令に住まる星なり。
現代語訳左輔星・右弼星の二つの星は北斗に属し、善星です。「住雨令星」の数文字には誤りがあり、意味がわかりません。
校勘 「輔弼二星北斗善住雨令星」は意味が通らず、「善住雨令星」には誤字があると思われます。
この句の誤字は校勘で指摘したとおりです。巻二の〈左輔星の性情〉の最初の句「左輔土,南北斗善星,佐帝令尤佳」と比べると(原文を見る)、「善住雨令星」はおそらく善・佐帝令星の誤りでしょう。住と佐、雨と帝は字形が似ています。この読み方なら、輔弼は帝王(紫微星)を補佐して号令を出させる善星です。
二か所では斗の所属も違い、ここでは北斗、性情の篇では南北斗です。
24以上自紫微至輔弼一十八星俱南北斗正曜,魁鉞天馬亦是吉星俱不入正曜。
書き下し以上、紫微より輔弼に至る一十八星は倶に南北斗の正曜、魁鉞・天馬も亦た是れ吉星なれども倶に正曜に入らず。
現代語訳以上、紫微星から輔弼までの十八の星は、どれも南北斗の正曜です。天魁星・天鉞星・天馬星も吉星ですが、どれも正曜には入りません。
- 正曜
- 南北斗の正式な星。
この句で「正曜」の範囲がはっきりします。表は紫微星から輔弼まで並んでいて、十四主星・禄存星・文昌星・文曲星・左輔星・右弼星があり、一つずつ数えると十九になって、原文の「一十八星」と一つ合いません。輔弼を一条と数えたのかもしれませんが、原文は説明していません。天魁星・天鉞星・天馬星は吉星でも正曜ではないとはっきり言い、四煞と四化も入っていません。
星格は十四主星を宮のいちばん目立つところに置き、六吉星・六煞星・禄存星・天馬星をそのそばに並べていて、分け方はここに近いものの、まったく同じではありません。
25魁鉞二星屬火
書き下し魁鉞の二星は火に属す。
現代語訳天魁星・天鉞星の二つの星は火に属します。
魁鉞は火に属します。この表は五行だけを書き、斗の所属や化気を書いていないので、全書はこれらを補助の吉星と見ていることがわかります。二つの星は天乙貴人で、目上の引き立てを主ります。使い方は〈天魁星・天鉞星の主るところは〉を見てください。
26天馬屬火
書き下し天馬は火に属す。
現代語訳天馬星は火に属します。
天馬星は火に属し、火は動くことを主るので、天馬星が奔走や移動を主るのとぴったり合います。天馬星そのものには吉凶がなく、何に会うかを見ます。禄存星や化禄に会えば「祿馬交馳」、空亡に遇えば一生奔走します。ほかの説は〈天馬星の主るところは〉を見てください。
27擎羊屬金北斗浮星化刑
書き下し擎羊は金に属し、北斗の浮星、刑に化す。
現代語訳擎羊星は金に属し、北斗に属する浮星で、化気は刑です。
擎羊星は化気が刑で、刑とは傷つくことや刑罰のことなので、擎羊星は衝突・外傷・お上がらみのもめごとを主り、うまく使えば思い切りのよさにもなります。浮星とは、正曜に属さず、主星の上に浮かんでいる星という意味です。
五行は、ここでは金、巻二の〈擎羊星の性情〉では火金で(原文を見る)、全書の二か所で一致していません。
28陀羅屬金北斗助星化忌
書き下し陀羅は金に属し、北斗の助星、忌に化す。
現代語訳陀羅星は金に属し、北斗に属する助星で、化気は忌です。
陀羅星は化気が忌で、四化の化忌と同じ字です。引き延ばし・もつれ・滞りを主ります。擎羊星は表の刃、陀羅星は陰の矢というのが、後世よく使われる対比です。
ここでは陀羅星を助星と言っていますが、〈陀羅星の性情〉では「北斗浮星」とし、五行も火金としていて(原文を見る)、二か所の書き方が違います。原文どおりに写しています。
29火星屬火南斗助星
書き下し火星は火に属し、南斗の助星。
現代語訳火星は火に属し、南斗に属する助星です。
火星は火に属し南斗で、ここでは助星と呼ばれ、〈火星の性情〉では南斗の浮星と呼ばれていて、陀羅星と同じく二通りの言い方があります。火星はせっかちさや爆発を主り、貪狼星と出会うとかえって火貪格になり、全書が煞星を肯定する数少ない組み合わせの一つです。〈火星の性情〉を見てください。
30鈴星屬火南斗助星
書き下し鈴星は火に属し、南斗の助星。
現代語訳鈴星は火に属し、南斗に属する助星です。
鈴星も同じく火に属し南斗で、火星と一対です。後世はよく、火星は表に出て鈴星は内にこもる、火星は激しく来て鈴星は中でくすぶる、と言いますが、これは延ばした読み方で、全書そのものはそのように区別していません。
31天空地劫屬火
書き下し天空・地劫は火に属す。
現代語訳天空(地空星)・地劫星は火に属します。
- 天空
- ここでは地空星のこと。
ここの「天空」は地空星のことです。劫空は火に属し、むなしさ・失うことを主り、常識にとらわれない発想も主ります。全書が劫空をいちばん多く論じているのは〈諸星同垣〉の諸篇で、たとえば「生處劫空,猶如半天折翅」とあります(原文を見る)。
32天殤天使屬水
書き下し天殤・天使は水に属す。
現代語訳天傷・天使は水に属します。
校勘 「天殤」は天傷のことで、底本の異なる書き方です(〈起例図:紫微・天府・傷使・四化と廟旺表〉でも殤と書いています)。そのまま写しています。
天傷・天使は水に属します。二つの星は奴僕宮と疾厄宮に固定されていて、この表は五行だけを示し、斗の所属を示していないので、全書はこれらを性情を論じる星ではなく、運限の上の凶星と見ていることがわかります。使い方は〈空劫・傷使・博士十二神と雑曜の置き方〉を見てください。
33化祿屬土喜見祿存
書き下し化禄は土に属し、禄存を見るを喜ぶ。
現代語訳化禄は土に属し、禄存星を見ることを喜びます。
化禄は土に属し、禄存星を見ることを喜びます。二つの禄が会うことを双禄と呼び、財禄が倍になります。〈四化の性情:化禄・化権・化科・化忌〉は化禄を「福德之神」と言っていて(原文を見る)、ここの土に属することと見比べられます。
気をつけたいのは、化禄は年干によって移り変わるもので、同じ星がある年は化禄、ある年は化忌になる、ということです。ですから化禄のよさは、その星そのものの廟陥と合わせて見る必要があります。
34化權屬木喜會巨門武曲
書き下し化権は木に属し、巨門・武曲に会うを喜ぶ。
現代語訳化権は木に属し、巨門星・武曲星に会うことを喜びます。
化権は木に属し、巨門星・武曲星に会うことを喜びます。理由は化気から見えてきます。巨門星は暗に化し、武曲星は剛い財星なので、権を得てはじめて是非や財を手の内に握れるのです。〈四化の性情:化禄・化権・化科・化忌〉は化権について「會巨門武曲必專大事,掌握兵符」と言っています(原文を見る)。
35化科屬水喜會魁鉞
書き下し化科は水に属し、魁鉞に会うを喜ぶ。
現代語訳化科は水に属し、天魁星・天鉞星に会うことを喜びます。
化科は水に属し、魁鉞に会うことを喜びます。科は科挙の名・名声で、魁鉞は貴人なので、二つが会えば試験で試験官に認められることになります。だから〈四化の性情:化禄・化権・化科・化忌〉は化科について「最喜逢魁鉞,必中科第」と言っているのです(原文を見る)。
36化忌屬水即計都星
書き下し化忌は水に属し、即ち計都星なり。
現代語訳化忌は水に属し、すなわち計都星です。
- 計都
- 昔の星命術の虚星の名前。羅睺と並び称され、凶を主ります。
化忌は水に属し、計都星とも呼ばれます。計都はインドの天文学が中国に伝わってからの虚星で、羅睺と並び称され、七政四余などの星命術では凶を主ります。全書が化忌を計都にたとえていることから、斗数がそれより古い星命術の用語を取り込んでいることがわかります。
〈四化の性情:化禄・化権・化科・化忌〉は化忌を「多管之神」と言っていて(原文を見る)、今はこれを気にかかる、こだわる、手放せない、と読みます。「凶星」と呼ぶより、実際に近い読み方です。
37紅鸞天喜屬水
書き下し紅鸞・天喜は水に属す。
現代語訳紅鸞・天喜は水に属します。
紅鸞・天喜は水に属し、水は情と流れを主るので、二つの星が結婚などの喜びごとを主るのとよく合います。二つの星はいつも対沖し、ある宮に紅鸞があれば対宮は必ず天喜なので、よく合わせて見られます。置き方と年齢による判断は〈空劫・傷使・博士十二神と雑曜の置き方〉の紅鸞・天喜の口訣を見てください。
38歲君屬火
書き下し歳君は火に属す。
現代語訳歳君(太歳)は火に属します。
歳君とは流年の太歳のことです。全書はこれを火に属するとしていて、〈四化の性情:化禄・化権・化科・化忌〉には太歳を専門に論じた一段があり、「太歲之星不可當,守臨官限要推詳」と言っています(原文を見る)。流年の太歳そのものが力のある星と見られていたことがわかります。
39博士屬水主聰明
書き下し博士は水に属し、聡明を主る。
現代語訳博士は水に属し、聡明を主ります。
この句から第49段の官府までは、博士十二神の五行と主ることです。博士は水に属して聡明を主り、〈空劫・傷使・博士十二神と雑曜の置き方〉の歌訣の「博士聰明」と一致しています(原文を見る)。博士はいつも禄存星と同宮するので、聡明さに安定した禄が組み合わさり、吉寄りの組み合わせです。
40力士屬火主權勢
書き下し力士は火に属し、権勢を主る。
現代語訳力士は火に属し、権勢を主ります。
力士は火に属し、権勢を主ります。陽男陰女の力士はいつも擎羊星と同宮し、全書の「擎羊逢力士,李廣難封」はここから来ています(〈諸星同垣:擎羊星・陀羅星〉を参照)。権勢の神が刑の星に出会えば、力はあってもよい結果を得にくい、ということです。
41青龍屬木主喜氣
書き下し青竜は木に属し、喜気を主る。
現代語訳青竜は木に属し、喜びを主ります。
青竜は木に属し、喜びを主ります。木は生じ伸びることを主り、祝いごととよく合います。〈天梁星の主るところは〉には「青龍動則有文書之喜」とあり(原文を見る)、青竜を文書や契約のような喜ばしい知らせと結びつけています。今なら、契約がまとまる、合格する、許可が下りるといった、よい知らせと読めます。
42大小耗屬火小耗錢財大耗退祖
書き下し大小耗は火に属し、小耗は銭財、大耗は祖を退く。
現代語訳大耗・小耗は火に属します。小耗は銭財を減らすことを主り、大耗は先祖の家業を衰えさせることを主ります。
この句は大耗・小耗をまとめて書いていて、どちらも火に属します。小耗はお金が減ることを、大耗は先祖の家業が衰えることを主り、重さに軽重の差があります。星格の盤では「大耗」「小耗」が博士十二神と歳前十二神にそれぞれ一組ずつあり、二つの系統で名前が同じなので、どちらを読んでいるのかを区別してください。
43將軍屬木主威猛欠合
書き下し将軍は木に属し、威猛にして合を欠くを主る。
現代語訳将軍は木に属し、威猛で、人との和に欠けることを主ります。
将軍は木に属して威猛を主りますが、「欠合」です。勇ましい人はなかなか人と和合しない、ということです。〈太微賦〉は「力士將軍同青龍,顯其權勢」と言っていて(原文を見る)、こちらは将軍の威権の面を見ています。
44奏書屬金主福祿
書き下し奏書は金に属し、福禄を主る。
現代語訳奏書は金に属し、福禄を主ります。
奏書は金に属し、福禄を主ります。奏書のもとの意味は君主に差し出す上奏文なので、文書や上への伝達を主り、吉の面を持ちます。ただし〈流年神煞・斗君・空亡の置き方〉には別に飛天三殺の中の奏書があり、口論を主る、同じ名前の別の星です。原文を見てください。
45飛廉屬火主孤
書き下し飛廉は火に属し、孤を主る。
現代語訳飛廉は火に属し、孤独を主ります。
- 飛廉
- 博士十二神の飛廉。〈空劫・傷使・博士十二神と雑曜の置き方〉の歌訣では蜚廉と書かれています。星格の雑曜の一覧にある、年支で置く蜚廉とは別の星です。
ここの飛廉は博士十二神の一つで、火に属し、孤独を主ります。前の〈空劫・傷使・博士十二神と雑曜の置き方〉の歌訣ではこの神を蜚廉と書き、「蜚廉主弧」(主孤)となっていて、「主弧」の誤りは校勘で扱いました。星格の盤では博士系の列に「飛廉」と書かれ、雑曜には年支で置く「蜚廉」が別にあります。二つは呼び方が似ていても、出どころの違う別々の星なので、混同しないでください。
46喜神屬火主喜氣
書き下し喜神は火に属し、喜気を主る。
現代語訳喜神は火に属し、喜びを主ります。
喜神は火に属して喜びを主り、青竜と同じく祝いごとの仲間です。博士十二神のうち吉寄りなのは博士・力士・青竜・将軍・奏書・喜神の六つ、凶寄りや消耗を主るのは小耗・大耗・飛廉・病符・伏兵・官府の六つで、ちょうど半々です。
47伏兵屬火主口舌
書き下し伏兵は火に属し、口舌を主る。
現代語訳伏兵は火に属し、口論を主ります。
伏兵は火に属し、口論を主ります。伏兵とは待ち伏せする兵のことで、陰での是非や、人から中傷されるという絵で、表立ってやってくる官府とは違います。二つとも口論の仲間に並べられていて、〈空劫・傷使・博士十二神と雑曜の置き方〉の歌訣は「伏兵宮府口舌纏」としています(宮府は官府のことです。原文を見る)。
48病符主病
書き下し病符は病を主る。
現代語訳病符は病気を主ります。
病符は病気を主ります。ここには五行が書かれておらず、表の中で五行の欠けた数少ない条の一つです。病符は博士十二神の九番目で、禄存星のある宮の三合の位置にあります。星格の盤では博士系と歳前系にそれぞれ「病符」が一つずつあり、この条が言っているのは博士系の方です。
49官府主官符
書き下し官府は官符を主る。
現代語訳官府は訴訟を主ります。
- 官符
- 訴訟ごと。
官府は官符、つまり訴訟を主ります。博士十二神の最後の一つで、これも五行が書かれていません。星格の歳前十二神には別に「官符」があり、流年の喪門・白虎と同じ組です。〈流年神煞・斗君・空亡の置き方〉を見てください。
50喪門木
書き下し喪門は木。
現代語訳喪門は木に属します。
この句からは流年の四煞の五行です。喪門は木、弔客は火、白虎は金、官符は火です。四つの星の置き方は、流年太歳から前と後ろへ二宮数え、さらにその対宮を取るもので、〈流年神煞・斗君・空亡の置き方〉にあります。星格の歳前十二神には四つともあります。
51弔客火
書き下し弔客は火。
現代語訳弔客は火に属します。
弔客は火に属します。弔客は太歳の後ろ二宮、喪門は前二宮にあり、前後から太歳を挟みます。古人はこの二つの星で、流年の弔事・見舞い・悲しみごとを見ました。〈斗数骨髄賦〉は「弔客喪門又相遇,管教災病兩相攻」と言っています(原文を見る)。
52白虎金
書き下し白虎は金。
現代語訳白虎は金に属します。
白虎は金に属し、金は厳しさを主るので、白虎は流血や傷を主ります。白虎はいつも喪門の対宮にあります。全書の〈廉貞星の主るところは〉は廉貞星について「遇白虎則刑杖難逃」と言っていて(原文を見る)、これが白虎のいちばんよく引かれる使い方です。流年の白虎が命宮に臨むと、古人はとくにお上がらみのもめごとを警戒しました。
53官符火
書き下し官符は火。
現代語訳官符は火に属します。
官符は火に属します。ここの官符は流年の四煞の一つで、博士十二神の「官府」と意味は同じですが、系統が違います。一方は生まれ年の禄存星から並べ、もう一方は流年太歳から並べます。星格の歳前十二神で「官符」と書かれているのが、こちらです。
底本原文(ウィキソース、一部簡体字)
よくある質問
紫微斗数の各主星の五行は何ですか?
全書のこの篇によれば、紫微星は土、天機星は木、太陽星は火、武曲星は金、天同星は水金、廉貞星は火、天府星は土、太陰星は水、貪狼星は水木、巨門星は水、天相星は水、天梁星は土、七殺星は火金、破軍星は水です。文昌星は金、文曲星は水、禄存星は土です。
どの星が南斗で、どの星が北斗ですか?
全書によれば、北斗は貪狼星・巨門星・禄存星・文曲星・廉貞星・武曲星・破軍星・左輔星・右弼星・擎羊星・陀羅星です。南斗は天府星・天梁星・天機星・天同星・天相星・七殺星・火星・鈴星です。紫微星・太陽星・太陰星・文昌星は南北斗と書かれています。
化気とは何ですか?
化気は、それぞれの星の本性を表す呼び名です。たとえば紫微星は帝座に化し、天機星は善、太陽星は貴、武曲星は財、天同星は福、廉貞星は殺と囚、天府星は令星、太陰星は富、貪狼星は桃花殺、巨門星は暗、天相星は印、天梁星は蔭、破軍星は耗に化します。
「金入火鄉」はなぜ受制なのですか?
五行の相剋では、火は金を、水は火を、土は水を、木は土を剋します。金に属する星が火に属する宮に落ちると、宮の五行に剋されて力が制限されます。全書は武曲星(金)が廉貞星(火)に遇う例を挙げ、財星の武曲星が役に立たなくなると言っています。
この篇に出てくる主星